【R2技術士予想問題と解答例】伸縮継手・海底菅 | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

【問題9

伸縮継手を設置する目的と、設置時の検討事項を述べよ。

 

 

 

【解答例】

1 伸縮継手を設置する目的

伸縮継手は、温度変化による管路の伸縮、地盤の不同沈下、地震による地盤変位等を吸収し、管路に無理な力が作用するのを避ける、安全性を高めるために使用する。

伸縮継手は伸縮可とう継手と伸縮可とう管に大別できる。

伸縮可とう継手は、管路の継手部分が伸縮性、可とう性を有する構造になっている。GX継手やNS継手が耐震管として一般的に使用されている。

伸縮可とう管は、優れた伸縮性、可とう性を備えた継手材料であり、管路にかかる変位応力を軽減できる。このため、盛土地盤、埋立地、軟弱地盤等により不同沈下が生じる場所や構造物に固定された管路の取り出し部分に使用される。

 

2 導入時の検討事項

(1)設置環境の調査

埋設管路の場合、①埋設位置、②支持地盤の軟硬、③推定不同沈下量、④支持力の有無について調査・検討を行う。露出管路の場合、①設置位置、③気象条件等について調査・検討を行う。

(2)機能条件の検討

①使用水圧、上載荷重(土被量)、②伸縮量、最大変位角、変位量、③設置場所、設置個所数、④耐久性、水密性に関する調査・検討を行う。

(3)形式等の検討

管路が受ける角度変位、伸縮、ひねり等を踏まえ、伸縮可とう管の場合は、①口径と面管長、②形式(クローザー形、ベローズ形、ビクトリック形、ドレッセー形等)、③仕様(材質、塗装、付属機能等)について検討する。

 

【上記以外で勉強するべき事柄】

・耐震管の管種選定基準

・既設管内布設工法

・海底管の工法

 

 

【問題9 番外

海底管について、使用する管種と工法をそれぞれ複数列記して説明せよ。

 

1 海底管で使用する管種

海底管は、鋼管、ポリエチレン管、ダクタイル鋳鉄管を使用する。溶接継手の鋼管は、強度が高く軽量で、一体構造による耐震化が可能であることから、一般に使用されている。また、ポリエチレン管は金属管より軽量で施工性が優れている。

 

2 海底管の布設工法

工法は以下の3種類があり、工期、費用、用地等を勘案して適切な工法を選択する。

①布設船法

船上で配管を接合して、その都度、海底に沈めるもので、船を移動させながら布設する。工期を短くすることができる。近年、ポリエチレン管で採用されている。

②海底曳航法

陸地で配管を全て接合して一本化した後、管路にワイヤーを設置し、対岸からウインチで引っ張って布設する。一本化した管路を保管する場所、ウインチの設置場所が必要である。施工時に海上交通の影響を受けない点が長所である。

③浮遊曳航法

陸上や海上で配管を全て接合して一本化した後、管路に浮きを設置し、複数の船で海上を運搬して布設する。費用面、工期の面で他の工法よりも有利だが、施工時に海上交通の影響を受ける。

 

●参考

 海底菅については こちら もどうぞ。

 

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