R1技術士試験の解答例(⑤残留塩素) | 技術士を目指す人の会

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2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

令和元年度の技術士二次試験の解答例を作成しました。

上水道及び工業用水道の選択科目Ⅱ-1は,4問の中から1問を選んで解答するものです。

今回は選択科目Ⅱ-1-3です。

 

【問題】

-1-3 配水管における残留塩素濃度の変化要因を挙げ,管内での残留塩素濃度を適切に保つための複数の方策について述べよ。

(答案用紙1枚以内)

 

 

【解答例】

1 残留塩素濃度の管理

残留塩素濃度(これ以降「残塩」と略す)は、消毒効果を確保するため、水道法上、遊離残塩で0.1mg/L以上に管理する必要がある。残塩は時間経過、水温上昇、混入物により減少する。このため、このため、消毒剤の適正注入、給水栓での毎日検査を実施し、配水施設に残塩計を設置して常時監視するととも、残塩を維持するための対策を講じる必要がある。

2 配水管で残塩が減少する要因とその対策

(1)停滞水による時間経過

原因としては、人口減少等に伴う給水量の減少、口径が過大、単一管路で距離が長いこと、管網やループ化の停滞部の存在等が考えられる。対策としては、系統の切替、ドレン、管路更新時のダウンサイジングが有効である。

(2)夏季における水温上昇

原因としては、添架管や水管橋等の露出部、浅層埋設の温度上昇が考えられる。対策としては、保温カバーの設置、夏季のドレンの増量等が有効である。

(3)管路内面の劣化

原因としては、無ライニング管の使用、管路の老朽化による内面腐食や、内面のモルタルライニングの劣化によるpH上昇が考えられる。対策としては、管路更新が基本だが、当面の対応として、管洗浄やドレンを行う。

(4)異物混入

原因としては、井戸配管等とのクロスコネクションや給水装置からの逆流が考えられる。対策としては、給水装置工事における監督立会、水質検査の充実による早期発見、業者や水需要者への指導が必要になる。

 

 

【解説】

残留塩素に関する問題です。このテーマについては、H18H27に配水管網の残留塩素濃度管理が出題されています。

管内で残留塩素を消費する要因を説明する必要があります。具体的には、停滞水、水温、TOCpH、管路内面の腐食等です。原稿用紙1枚で説明するので、コンパクトにまとめる必要があります。このため、浄水場での消毒処理や配水池での追加塩素に関する内容は言及しない方いいです。

 

 

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