R1技術士試験の解答例(③地下水) | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

令和元年度の技術士二次試験の解答例を作成しました。

上水道及び工業用水道の選択科目Ⅱ-1は,4問の中から1問を選んで解答するものです。

今回は選択科目Ⅱ-1-1です。

 

【問題】

-1-1 地下水利用における水質障害・汚染の種類を複数挙げ,それぞれの対策について述べよ。

(答案用紙1枚以内)

 

 

【解答例】

地下水は、浅井戸、深井戸等があり、井戸への流入、土壌からの浸透等により水質汚染が発生する可能性がある。この対策として、定期的な水質検査を行うとともに、適宜、汚染物質の遮断、水源の変更、浄水処理の変更・追加を実施する。以下に物質毎の対策を示す。

(1)クリプトスポリジウム等

クリプトスポリジウム等が混入している可能性がある場合、紫外線処理又はろ過処理を実施する必要がある。ろ過処理は、ろ過水濁度を0.1度以下に管理する必要がある。紫外線処理は濁度2度、色度5度等の使用条件がある。

(2)硝酸性窒素等

硝酸性窒素は、肥料、農業排水、生活排水に含まれており、経口摂取によりメトヘモグロビン血症を生じる。処理方法としては、イオン交換法、生物処理法、逆浸透膜法、電気透析法がある。

(3)トリクロロエチレン

 トリクロロエチレンは、精密機械製造業の洗浄剤として使用されており、土壌浸透等により混入することがある。揮発性であり、処理方法としては、エアレーション、活性炭処理等がある。

(4)鉄・マンガン

鉄・マンガンは、地質由来の金属であり、色度が問題になることが多い。マンガンの処理方法としては、塩素による酸化処理後、マンガン砂で接触ろ過を行うのが一般的である。オゾン処理、生物処理等の高度処理を行う場合もある。鉄の処理方法としては、エアレーション、鉄細菌利用法等がある。

 

 

【解説】

地下水の水質汚染リスクに関する問題です。このテーマについては、「水道環境」科目のH29-1において同一の問題が出題されています。今年度から統廃合された分野です。今後も、「水道環境」の過去問から出題される可能性がありますので要注意です。それから、「上水道及び工業用水道」においてもH16-5地下水の水質汚染、H18-7地下水の硝酸イオンの増加、H22-1浅井戸と深井戸の水質汚染が出題されています。

水質汚染物質ですが、H18の問題で硝酸イオンというキーワードがあるので、硝酸性窒素は言及するべきです。それから、クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原生物についても当然言及するべきです。これら以外では、トリクロロエチレン、鉄・マンガン、遊離炭酸、ヒ素等があります。トータルで4項目くらい説明すればいいと思います。

 

※参考文献

・水道維持管理指針

・水道施設設計指針

 

 

 

 

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