ビジネス本を紹介「マナビズム」 | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

本日、ご紹介する本はこちら。

 「マナビズム

 

この本の作者は、日本体育大学の教授です。

この本には、教育のあり方が書いてあります

 

●知識は変化し、学力は変化する

下の写真は、この本、「マナビズム」に掲載されているものです。

 

 

二人の小さな女の子が、現代美術館で、絵画そっちのけで、通気口を眺めています。

 

絵を見るよりも通気口の方が面白いわけです。

こうした光景を見ると、「せっかくわざわざ美術館に来て、入館料まで払っているんだから、ちゃんと絵画を見ればいいのに」なんて思ってしまいます。

しかしながら、子供というのは、いろいろな物の中から、自らが興味のあるものを発見して、それに集中するものです。

だから、周りの大人達が、ここは美術館だからとか、お金を払ったんだからとか、有名な作品だからという理由で、子供の主体的な好奇心を

奪ってはいけないのだそうです。

僕も、美術館に行きます。アートの中には、正直、何が描かれているのか、何がいいのかよく理解できないものもあります。

でも、大人の僕は、解った風を装って、目を細めてフムフムとうなずきながら絵画を鑑賞します。

本当は、いいと思っていないのに、かっこつけています。

一方、子供は、絵を見て解らないなんて言わないそうです。面白いか、面白くないか、キレイか、キレイでないかを感じるのだそうです。

面白くなく、キレイでなければ、他に興味のある物を探します。そして、それに集中します。

そう考えると、無機質な部屋ではなく、多種多様な物に囲まれた環境を作ることが重要なのかもしれませんね。

 

 

●知識は変化し、学力は変化する

「知識は変化し、学力は変化する」、これはこの本のサブタイルになっている言葉です。

 

この本によると、知識には、「事実的な知識」と「概念的な知識」があるのだそうです。

事実的な知識は、それが何なのか、どういう内容なのかを知っていることを意味します。

概念的な知識は、ある事実の特徴、原因、影響等を知っていることを意味します。

 

例えば、日本で894年に何があったのか?

答は、遣唐使の中止です。

894年に遣唐使を中止した、これが事実的な知識です。

 

では、なぜ遣唐使を中止したのか?

遣唐使を中止したことによる影響は?

こうしたことを知っていることが、概念的な知識です。

 

まず、なぜ遣唐使を中止したのか?についてです。

菅原道真が遣唐使の派遣中止を、宇多天皇に進言したからです。

では、なぜ菅原道真は遣唐使を中止にしようと考えたのか?

遣唐使を送る意味がなくなかったからです。

そもそも、遣唐使を送った目的です。

当時の唐、その前の隋は世界の最先端でした。

これを吸収するために唐に勉強をしに行ったわけです。

日本は、ハード面については、都の作り方を学び、平城京や平安京を作りました。

ソフト面としては、中央官制、均田制、租庸調制等をマネしました。

日本は、コピーの達人だったようで、唐から吸収するべきものを吸収し終えたわけです。

それから、唐では、875〜884年に黄巣の乱が発生していて、危険な状態でした。

実際、この後、907年に唐は滅びます。

というわけで、遣唐使を中止にしたわけです。

 

次に、遣唐使を中止にした影響です。

その当時、日本では天皇と藤原家の力が強大でした。

天皇と藤原家は、遣唐使をやめてしまいました。

日本は小国です。いつ侵略されるか解らないわけですから、本来的には、唐とお付き合いを続けるべきです。

それから、先進都市で発生したことは、それを真似した都市でも発生します。

唐で行ったことは、日本でも起こります。未来の情報をシャットダウンしたけです。

とても、リスキーです。

しかし、907年に唐が滅んだ後、中国の国内は乱れます。日本を攻め込むような余裕はありません。

こうして、9世紀〜11世紀、平安と呼ばれるような平和な時代が到来しました。

天皇と貴族は、何をしたのか?

文化と宗教です。国内の文化と宗教にお金をつっこんで、政治や軍備を疎かにしていました。

そして、班田収授法は崩壊し、軍備を備えた豪族、つまり武士がつまり台頭するようになったわけです。

 

これが概念的な知識です。

さらに、遣唐使の中止から得られる教訓をまとめてみます。、

 

存続と中止は、それぞれにメリットとデメリットがある。

どちらを選択してもいいが、時代が変わればメリット、デメリットも変わる。

このため、定期的に、存続・中止・改善・再開の検討を行う必要がある。

先進都市で起こったことは、発展途上都市でも発生する。

先進都市とのコアな情報交換は極めて重要である。

 

これが、概念的な知識を、さらに概念化したもの、つまり見識です。

 

昔は、「事実的な知識」のことを知識と呼んでいました。

しかしながら、グーグルで検索すれば、こうした情報は、誰でも入手できます。

このため、情報のキモになる部分の抽出、複数の情報の関係性や事実の因果関係を知っていることが重宝されるようになってきました。

つまり、「概念的な知識」のことを知識と呼ぶようになってきているわけです。

 

学力とは、単純に、テストで得点する能力というわけではありません。自らの知識を使って何かやり遂げる能力です。

昨今、知識という言葉が示す意味が変わっているわけですから、当然、学力のあり様も変わっているわけです。
このため、学力を測定する試験も変わってくるわけです。

 

「知識は変化し、学力は変化する」

そして、こうした変化のなかで、様々な教育機関にとって大切なことは、

生徒に「何を教えたか」ではなく、生徒が「何をできるようになった

なのだろうです。

なるほどですね。

 

 

 

 

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