消費社会の仕組みと気分 | 「気づき」と「人間力」の教育 一尾塾

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「幸せ」の戦後史

第三部 第二章

消費社会の仕組みと気分

アメリカの影響が大きいので、まずはアメリカの流れ

1890年代~1900年代初頭

企業の大量生産、大量消費に対応するために、消費者に直接PRする広告戦略

ホワイトカラーが増加(新中産階級)約8倍

年収は労働者階級の2倍。しかし大企業がいるため起業は困難。巨大化する企業のなかで労働に対する満足感低下。

満足感を得るために「消費」へ

1945年(戦後)~ 違う階級の人であっても、「お金さえあれば消費者という同等のステージに立てる。平等になれる」という時代

フォーディズム(大量生産と大量消費を実現する黄金の回路)

レヴィットタウン(郊外化の象徴) 大量消費を動かす「家族のため」という意識

そして、画一主義(オートマティックに商品を買うことがアメリカ国民としてのライフスタイル。開き直りとあきらめの匂い)

日本

第一の戦後(貧困と変革)から神武景気を経て1955年から第二の戦後(豊かさと安定)に

街頭テレビ→生中継による一体感(力道山や白井、皇太子殿下・美智子様ご成婚)

三種の神器から3C テレビは東京オリンピックのころには普及率は9割

年功序列、終身雇用の完成による見通し

郊外化(日本の場合は家ではなく、団地)

これらが相まっての消費社会の形成

ただ、これらはアメリカの消費社会の影響だけではなく、戦後の日本が上昇していくうえでのナショナリズムも相まって消費社会が形成されていったと著者は考えている。

1970年代

3Cも終了し、消費のバックボーンが失われた。

3つの方向へ

1・持ち家(マイホーム幻想)国の大きな物語の終了の次の大きな物語として、最大の消費である持ち家の物語化

2・個体化 コンビニの出現 「いつでも時間を金と自由に交換することができるという概念、労働を金と交換することができるという概念」 これらがカネの万能性を強化。 それまでは家族で買い物にいっていたのが、それぞれが好きなときに好きな物を買えるという利便性によって簡単に家族消費から個体消費に変化

3・消費の虚構化 物をのものをほしいというわけではなく、ファッションや車などの持ち物で自分のライフスタイルを演出するという虚構化。 1973年にパルコが渋谷に進出。公園通りと名前を変え、それぞれの個が相互の視線を交し合うための装置(虚構)を作った。

70年代の不思議

1・日本企業が輸出に力を入れるわりに、人々の意識が「内」にいったこと

欧米をそのまま手に入れるのではなく、一旦日本風にアレンジしてから消費された。

2・3つの方向の2と3に通じる。「個」のライフスタイルが外形によって自由に選択できるものだという観念が出現

これが高度経済成末期の社会意識か。

そして、80年代の本当の「個体消費」1979年ソニーのウォークマン

 

感想

このあと、オタクの出現(画一主義への反抗?) 虚構を越えた過度の熱狂(バブル)、そしてその後の不景気へと流れていく。

国から始まった物語が、家族の物語になり、虚構と個人の物語、分断された個の物語という流れなのかな。

その個の中の内面の物語になり、それがネット時代の内面のつながりにつながっている感じ?

この本もあと1章でメインパートは終了。

「幸せ」の戦後史

「幸せ」の戦後史

  • 著者菊地 史彦
  • 価格¥ 3,024(2016/02/08 23:55時点)
  • 出版日2013/04/05
  • 商品ランキング337,671位
  • 単行本419ページ
  • ISBN-10479870136X
  • ISBN-139784798701363
  • 出版社トランスビュー