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ぶらんこ乗り

いしいしんじ・著

cocomiさんのブログhttp://ameblo.jp/co-co-mi/entry-10099090941.htmlで記事を拝見し、初めて読みました。

物語は回想として進行するため、あらかじめ「弟の不在」が読み手側にインプットされた状態で、弟がいなくなるまでの日々の出来事を時系列順に追っていく形になっています。

その過程で、姉である「わたし」が弟よりも先に失うことになってしまう、とてつもなく大きなものがあるのですが、これが予想外でした。

予定調和の中に含まれないこの大きな喪失を、「わたし」が「いずれ失う弟」と共にそれを乗り越えるという構図はあまりに哀しく、つらいものではありますが、天才である弟がここで姉にさしのべた救いの手が本当に美しく見事で、胸をうちます。

また、場面場面で挿入される弟の綴った寓話のような物語も、幼く孤独な天才を描くうえで効果的でした。

cocomiさんには、素敵な作品に出会うきっかけをいただきました。ありがとうございました。

ふたりのイーダ

松谷みよ子・著

児童文学です。

夏休み、広島にある祖母の家に、母親の仕事の都合で預けられた兄妹。ふたりは森の奥の廃屋となった家で、話をし、歩き回るイスと出会う。
そのイスは、まだ幼い妹と同じく『イーダ』と呼ばれる女の子を長い間ずっと待っていたと言うが…。

ラストで明らかになる真実、イスの壮絶な最期(=エンターテイメント性)、全体に流れる戦争に対する静かな怒りの感情(=テーマ性)などだけ見ても、児童文学の最高峰にあたる作品だと思います。

加えて、作中で唯一ファンタジー的存在であるイスの描写が、もっとも人間的なものになっているところが素晴らしいです。

足を引きずり呟きながら、夕暮れに『イーダ』を探して回るイスの、その圧倒的な嘆き/悲しみに、読み手が打ちのめされてしまうほどです。

「イナイ…イナイ、ドコニモ…イナイ」

余談ですがこの兄妹の話、続編があるそうですので、そちらも是非読んでみたいと思います。

李歐

高村薫・著

高村さんの作品の中で、最初に出会った本です。

ジャンルを固定するのが困難な物語というものがありますが、この作品もそのひとつだと思います。

ですが、もしも敢えて自分なりに枠組みを決めてみることが許されるならば、私にとってこの物語は『青春小説』です。
それも、とても美しく壮大な。

高村さんの比較的初期の作品においては、『女』という性が冷遇される傾向にあると思うのですが、この作品ではその傾向がもっとも顕著にあらわれています。

ただ、だからこそかえって女性である自分には到底たどり着けそうにない、李歐と主人公の時や場所をも越える心のつながりに、ある種の嫉妬じみた感情/羨望を抱かせるのだろうと思います。

また、帯のあおりにもとても引力がありました。

読みすすめて、本文でこの言葉に再会したとき、たとえ何読目であっても、どうしようもなく心が震えます。

“李歐よ、君は大陸の覇者となれ。
僕は君の夢を見るから―”