和の会メンバー観能体験記【7月13日・銕仙会】
初めまして、和の会スタッフYです
普段は出版社に勤めています。
大学でフラッと能のクラブに入って以来、
大事な趣味になっています。
能は観るのも楽しいですが、
実は自分でやるのもすごく楽しいですよ!
和の習いごとに興味のある方にはオススメです
(※習いごととしてやる場合は、能の「謡」と、
舞の見せ場を演じる「仕舞」が中心となります)
さて、前置きが長くなっちゃいました
今回私が鑑賞したのは、7月13日の
銕仙会(てっせんかい)の定期公演です。
月に1度の公演で、金曜18時開始にも関わらず、
客席はとても賑やかでした。
演目は、能「浮舟」、狂言「蚊相撲」、能「天鼓」。
中でも印象に残ったのは、「浮舟」です。
この演目、ご存じの方はタイトルで
ピンとくるのではないでしょうか?
そう、源氏物語の「宇治十帖」に出てくる
ヒロイン・浮舟の物語がモチーフになっているのです。
(他にも能には「葵の上」「玉葛」「半蔀」など、
源氏物語からとられた演目がたくさんあります!)
浮舟は、宮家の血筋である実の父親から認知されず、
不遇な身の上だったのですが、一転、穏やかな薫中将と情熱的な匂宮、
今をときめく2人の貴公子から寵愛を受けることになります
しかし! 2人のどちらを選ぶこともできず悩んだ挙句、
ついには入水してしまうという、まさに悲劇のヒロイン
今回の能では、浮舟の霊が自らの過去を語りながら、
自らの名の如く、流される舟のように後方へと身を漂わせる型があって、浮舟の苦悩の深さがすごく伝わってきました。
その一方で、横に垂らした髪をつかむ型からは、
湧き上がる女性の「情念」や「執心」のようなものを感じて
ドキッとしてしまいました
抑えた動きが多い能だからこそ、
逆に、抑えきれない「激情」を鮮烈に感じられるのかもしれません。実は、初めて源氏物語を読んだ(すいません、マンガの「あさきゆめみし」で、ですが…)
高校時代から、
“浮舟も何でそんなもったいないことするんだろう~
うじうじ悩んでないでちゃっかり幸せになればいいのに!”と、
常々思っていたのです(笑)が、
今日の舞台を観て、
何だか色々分かった気分になったのでした
物語の舞台となった、宇治。
橋のたもとには紫式部の像が。
浮舟が飛び込んだ宇治川。
流れも速く、かーなーり勇気がいりそうな川でした・・・
和の会メンバー観能体験記【7/21 五雲会】
本日行なわれた五雲会に行ってきました、和の会メンバーのCWです。
普段、演奏会や演劇等には、開演直前に会場に到着することが多いのですが、今回はレポートしなくちゃ、と開場早々から見慣れたロビーをウロウロしていたところ、五雲会の五雲は、五色の雲が輝く様を表すところに元々の由来があるのだと知りました。収穫あり。
さて本題。舞台裏に興味があって、自由席ですが、脇正面の左の隅っこに陣取りました。
人力で幕が開くので、せーのとか、12の3とか小声が聞こえるのかと期待し、左耳に集中してみましたが何もなし。でも、能楽師の登場退場の足運びをこんなにじっくり観察したのは、じつは初めてです。立ち振る舞いがプロですね~。
それからいつも思うのは、能楽師の皆さん、あれだけ声を出していて年中喉をつぶさないのもすごいなーと思います。私は職業柄声を使いますが、年に1~2回は必ずガラガラです。
では演目別にいきましょう。
「氷室」で印象に残っていることは、冷蔵庫のようなセット(と思ったら丹波の山に見立てたものだったらしい)の中で、翁から神様に着替えたときの、後見さんが大変そうだったところ。←澤田さん汗だくでした。
と、雪乞いのシーンでの「ゆ~き~こ~~♪こ~~こ~~こ~~♪うすゆ~き~こ~~♪こ~~こ~~」と狂言のような踊りとうた。←真似できるかな。
「藤」で印象的だったことは、気づいたら家元の宝生和英さんが地謡の「ふじのぉ~~」の中にいらしたことと、藤の花の精が消え失せる(退場)ときの、笛のソロ演奏と憲正さんのつま先の動きが絶妙だったこと。
4つの楽器の奏者の皆さんは、楽器を置いているときは、地謡の方と同じように素手を隠していることも新たな発見でした。へぇー(でもなんでだろう)。
お能は奥が深いですね。歴史が長いぶん深いのでしょう。まだまだ和の会を通じて勉強したいと思っています。
最後に、近隣に香川県にまつわるスポットが二か所ありますので、ご紹介しておわりにしましょう。観劇の際にぜひお立ち寄りください。いずれも宝生能楽堂を出て、右にちょびっと歩くだけ。
1.こんぴらさん
では今回はこの辺りで。おやすみなさい。
和の会メンバー観能体験記(7月7日)
今回鑑賞したのは7月7日に宝生能楽堂にて催された「文月能」という公演です。
私は演劇関係の仕事に就いていることもあって普段から色々な劇場に行くのですが、
能楽堂は他とは違った雰囲気を持った劇場です

自然と背筋が伸びてしまうような程よい緊張感が漂っていて、「凛とした空気」に包まれています。
劇場に入った瞬間から、まさに能の世界観を肌で感じることができます。
能に詳しくない方も、劇場の雰囲気、空気感を楽しんでいただけるのではないでしょうか。
客席に座っていると、「能の培ってきた歴史が、この独特の空間をつくっているんだな・・・」などと、ついつい感慨に浸ってしまいます


さて、今回鑑賞した「文月能」は女流能楽師による公演でした。
能楽師=男性というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、女性の能楽師も大勢いらっしゃいます。そんな女流能楽師がメインになった公演です。
今回の公演も客席はほぼ満席

女流能楽師公演ということもあって若いお客様も多くいらっしゃってました。
開演は12時で終演は18時です。
その中に4つの能、間に2つの狂言が入っています。
なんと1日中、能が満喫できるのです

いくつもの曲を楽しむことができるのも今回の公演の魅力ですね。
特に印象に残ったのが最後に上演された「殺生石」という曲でした。
怨念により人を殺す石となった狐が、僧により供養をうけて成仏するといった内容です。
前半部分は動きは少ないのですが、後半になると打って変わって激しい動きに変わります。
その静と動の切り替えの落差がますます観客を引き込んでいきます。
注目は僧による供養で石から狐の獣が出てくる場面。大きな石の舞台セットが割れて狐が現れるといったダイナミックな演出がされていて、迫力のある舞台でした。
私はまだまだ能について詳しくないのですが、本当に奥が深くて面白い芸術だと思います。
まだ能を観たことがない方。百聞は一見に如かずです。是非、一度能楽堂に足を運んでみてください。
