白昼の始まり
今日から始まる
新しい時代
もしそうなら
宇宙に行く前に
地中に潜り込み
ぼくは裸電球を灯し
座禅でもするだろう
たぶん
それが
パフォーマンスなんていう
欧米のコマーシャリズム
じゃない
数寄者の
芸術なら
もしそうなら
日本に生まれたことを
誇りに思うこともあるかもしれない
それが
崩れそうな瓦屋根の平屋で
その上に青空
電柱もなく
ただ雲が流れていたら
きみの言葉も忘れたけど
もらった手紙の文字がかすれていたのは覚えている
そこに書かれていたのは
あのとき
どんなに
欲したか
新しい時代は始まるだろう
太古の昔のままの時代が
蘇るかもしれないのに
それを新しい思想にしようとしているインテリがいる
歴史の終焉
進化の停止
もしそこにあるのが
人工的な宇宙に浮かぶ金属だったら
暗黒を背景にした
深淵のラプソディーだったら
きっとそれはフィクションにちがいない
だから
きっと東洋に生まれたことを誇りに思う日が来るかもしれない
何も持たず
豊かに
木の庵に住まい
水を汲んで
火を焚き
たった一人で風に吹かれていたら
白昼
誰もいない太陽光線
静寂
無言
つまりはそういうこと
こんばんわ!
もう1時だから寝る時間だけど、起きてるの?
そう言えば今日、ずっときみはぼくについてきたね。
免許の書き換えに行って、講習の教室も一緒
帰りの電車も一緒
電車を降りてからも一緒
ぼくはマックに寄ってハンバーガーを齧り
コーラを飲みながら道を歩いていた
きみはコージーコーナーで立ち止まってケーキを買っていた
そこできみと一度はぐれた
そのあと裏道を選んで歩いていたら
またきみがいた
声を掛けようと思ったけどやめた
きみは知らないだろ?
ぼくはきみが思っているほど孤独じゃない
あのときのように孤独じゃない
あの頃は孤独だった
でもきみには声を掛けなかっただろう、絶対に
だから、今のぼくは
きみに声を掛けたりはしない
それがぼくのポリシーだ
つまり
きみの胸はセクシーだったし
脚も長くて腰もくびれていた
長い髪は濡れていたし
Gパンのヒップはかっこよかった
だから
素通りした
空気のように
興味がないみたいに
きみのこと見もしないで追い越した
そうしたら、きみはついてきた
ブーツを履いたぼくの歩く道
それは町の中の誰もいない昼間の死角
声も掛けずに
抱き合って
唇に舌を入れて
腰を抱き
そのまま走って
アパートの階段を駆け上り
部屋に入って
裸になって
抱き合う
つまりはそういうことだから
自由はアメリカのイデオロギーか?
きみがもうなんて言おうと
ぼくはなにも感じなくなってしまったみたいだ
だって昨日のこともその前のことも
もう思い出したくないのに
同じように明日を迎えなければならないなんて
太陽は残酷だ
月は姿を変えるけど
やっぱり同じようにぼくを照らす
隠れていたいのに
太陽の光、夜まで反射させないでよ
夜の闇に隠れて
絶対に見つからないかくれんぼ
たった一人でしてるのに
足音だけが聞こえてくる
夜の海の波の音
遠い遠い汽笛の音
いつか行った半島の先端への旅
まだ希望があったし
信じる自由もあった
今はもう歌えない
自由の歌なんて
アメリカの国家みたいで歌えない
だれもドリームなんて夢見ないよ
もうだれも
一人勝ちの自由なんて
何十年後かの理想の自分
こんな所が雪国にはあるらしい
谷の端にあって
雪に囲まれているから
外に出られても山からは出られない
夏の川が涸れる
日照り続きのとき以外
天国とはそこに建つたった一戸のボロ屋のこと
障子や襖は破け
クモの巣が張っているのに
八畳の部屋の真ん中に置かれたテーブルで
飯を食っている爺さん
白髪が細長くザンバラで
着物の裾から白い骨のすねを出して
うどんを食っている
それはぼくだ
何十年後かの
理想の姿
たった一人で
もう言葉も忘れてしまった
目を瞑って感じる自由の形
自由がなんだか知らないが
きっと今日は自由だったような気がする
雨が降っていたけど
なんだか太陽を感じていた
ひとりでに楽しい想像をしていたのかもしれない
人間は未来も考えられるし、「もし」も考えられるから
もし、なになにしたらって考えたり
もし、なになにしなかったらって考えたり
でもそんなこと考えない猫や犬も生きてるんだよね
通りすがりの猫がぼくを見て逃げて行った
じっと眼を見つめてから
さっと逃げて行ったから
そんなに慌てなくてもいいんじゃないって思った
ぼくは自分のことをあれこれ考えてるけど
ぼくってそんなに大した存在じゃないのかもしれない
つまりそこら辺に生えている雑草や明日死ぬかもしれない虫のように
この世に生を受けた理由すら考えない生命と同じように
だって人間の価値って他のどの生物に通用する?
人間が築き上げた文明もすばらしいノーベル賞ものの文化も
空中を舞っている蛾や羽虫には全然存在しないも同然だし
どんな小難しい言葉の羅列も
小雨を浴びる八つ手の葉っぱには何の関係もないのだから
それでも言葉を書いたり話したりするのはなぜだろう
なんか意味でもあるのだろうか
ねえ、きみはどう思う?
きみの詩のような答えを聞かせてよ
それでいちころ、まいってしまうから
心を開いて、奥の奥まで扉を開ける
その中に入りたければ入ってもいいよ
だから、きみもぼくを中に入れてよ
外は寒い雪が降っているから
自由がなんだか知らないけど
少なくともそれは誰にも強制されないことであることは確かだ
だから自由に選んだ行為は尊重されなければならない
そしてさらに自由になることを求め続けなければならない
自由にぶちあたる限界などないから
今ある自由で満足してはいけない
さらに思いもつかなかった自由の形が必ずあるから
明日が来ることを知っているのも人間
だから明日のことを想像するのも人間
だからぼくはその能力を活用して
目を瞑って感じる
明日や明後日の自由の形
テレビに映った幽霊
消えたテレビに映る自分の影
裸でベッドに座っている
心霊写真に映っている幽霊のように画面の端っこにいる
昨日食べたマシュマロの味を思い出しながら
明日はじまる快楽の予行演習に励む
つまり海底に沈めておいた地引網を引き揚げると
真珠貝が引っかかって
きみへのペンダントにしようと思っている
そんな夢をみたような気がする
あの幽霊がそんな夢をみたような気がする
きみのことを好きになりそうだ
そう言っている
それが自分だとは思えないけど小さく映っている幽霊のような影
ぼくはそれがぼくだとは思わないけど
きみはどうかな
そんなぼくの姿を見て不気味だと思うだろうか
やってきたよ
黒いガラスに映ったダイヤモンドの光を消して
小さな幻灯機をスクリーンに向けて光を発射
そうしたら大勢の踊り子たちがでてきて
はやしたてる
やれやれって
やってみせてって
だからやってみたら
まだ足りない
そんなこといつまでしてても飽きないの?
飽きないことを探しましょう、一緒に
一緒ならいいね
小さな幻灯機に赤、紫、緑のセロファンを被せて
脳内イメージを幻灯してみれば
たいていはお粗末な映像で笑ってしまうが
さすがに君のはしっかりしていてストーリーもできている
つまり、きみは大人の女の常識をわきまえながら
ちょっとは冒険してみたい
それはぼくだって同じ
きっとTVに映ったぼくの影でさえ
冒険のスリルを味わいたいと思っているのだ
だから、すこし探してみるよ
あの冒険に関する覚書
昔、取り交わした覚えがあるから
たしか、二人でも有効だったね
メンバーが増えてもOKだったような気がするが、間違っていたらごめんなさい
さっそく彼女にも詳しい案内を送ってくれよ
お願いしますよ
実験
まあ、実験だと思えばいい
あまり意味のない実験
というか無意味な実験
続けているとどうなるか
こうした無意味なたわ言書くこと
ほかに何も有益なことをぜずに
寝る前に飲むこと
ハル&ヴァン・ルージュ
ジュテームって初めに言っておくよ
ジュテーム・ボクーって言うと、そんなに好きじゃないことになるらしい
愛の告白はシンプルなほど強いらしい
フランス人のメンタリティーって少し変わってるよね
でもなんかわかるような気がする
せっかくきみとこうして知り合えたのだから
この出会いを大切にしたい
きみはただの普通の凡人じゃないことはぼくには分かる
ぼくもそうだから