音響・映像・電気設備が好き

音響・映像・電気設備が好き

「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

ヤフオクでNTiのマイクが出品されており、落札しました。

正直、この価格のマイクがヤフオクに流れる経緯が分かりませんが、たぶん完全動作品ではないだろう、と分かった上での記念購入です。

※本記事ではマイクロフォンはマイクロホン表記とします。(音響計測分野においては、マイクホロンが標準表記の為)

 

 

2023年2月現在、NTiでノイズフロア16dB(A)で最高級品の一体型マイク

 

 

M2230のみ、木箱に収められているとの事

 

 

かなり良い精度で化粧箱が作られている

 

 

ハンディでは最高金額の組合せであるNTi XL2 & M2230

 

 

Twitter始めたころからずっとNTiのBrüel & Kjær(B&K、ブリュエル・ケアー)っぽいグリルのマイクが欲しいと連呼してきました。とりあえず、形だけでも手に入れました。

 

このM2230はマイクロホンプリアンプMA220 + マイクロホンカプセルMC230の組合せで成り立っており、MA220の部分にASD電子データ(IEEE P1451.4 V1.0, Class 2, Template 27)が工場出荷時に記録されている一体型・自由音場型マイクロホンです。プリアンプのMA220だけでもかなり高価で、先端の1/2インチマイクロホンカプセルは他社製計測用マイクロホンと互換性があるようです。

ちなみに、MA220単体で他社製の1/2インチマイクロホンカプセルを取り付ける際はXL2コントロールソフトウェアのXL2 Projector経由でファクトリィ値の書き込みが可能です。

(XL2 Projectorを表示させた状態でCtrl + Shift + F5、またはCtrl + Alt + F5でMicrophone Serviceを起動する)

 

 

XL2 ProjectorでのMA220へのASD書き込み(ファクトリィ値)

 

 

Brüel & Kjær(B&K、ブリュエル・ケアー)っぽいグリル。もともと4006はB&Kのマイクであるが、派生会社であるDPAに受け継がれている

 

 

このグリルは排水溝や吸排気口のデザインと酷似しており、上記の写真は虎ノ門ヒルズビジネスタワーで撮影したもの。非常に良く似ている

 

 

マイクカプセル接続部

 

 

マイクロホンカプセルMC230。B&KまたはDPA製と酷似しているが同様の形状のマイクを製作する会社は数あるようだ(検索してみると数点ヒットする)

 

 

マイクロホンカプセルの背面

 

 

個人で構築している検査体制で一連の検査を行いましたが、周波数特性が10kHzから上のスペック通り出ませんでした。この辺りの性能差は想定内です。

 

 

手持ちのM4260とM2230の比較。対象音源はiLoud MTM。上記のM4260は他の測定マイクと比較しても10kHz以上もフラットに近い事が分かっている

 

 

NTiマイクロホンの代表的な周波数特性。クラス1であっても、10kHzで+2、-3dBが範囲内であることが分かる

 

 

修理後、ASDの書き換えを確認した

 

 

通常、ASDのファクトリィ値の書き込みまでがサービス内容に含まれるのか不明だが助かった

 

 

性能差をNTiジャパンに質問したところ、修理が必要と考えられると判断されたことから、本国のリヒテンシュタインに送ってもらい修理を依頼しました。あらかじめ金額を聞いてはいましたが、結果的には修理が必要な性能差ではないとの判断が下され、返ってきました。その際、検査課程でのルーチンなのかマイク内蔵のASDの値が書き換えられているのが確認できました。試しにおもちゃとして購入してみたマイクロホンキャリブレータと合わせて見たところ、0.2dB差でなかなか優秀な成績でした。(M2230は139.9dBで合わせる)

 

単なる趣味なのですが、これを皮切りにM2230でしか行えない音響計測を勉強してみようと思います。どうしても道具が無いと分からない事がありますね・・・

 

(周波数特性を理解した上で)とにかく、手に入れる目標は達成できましたので、夢は叶いました。

※とてもじゃないですが、これを定価で購入することはできない・・・XL2も私物ですよ

 

 

おまけ

 

Brüel & Kjær Type 4231を @magicarchtec さんが来社した際に持ってきていて合体させた写真。113.5dBと良い値

 

カナレ電気 4S8をNL4レセプタクルに接続する端末処理を考える話です。

 

カナレ電気の既製品基準では、4S11はNL4に対してはパラ結線です。4S8 + NL4の既製品ケーブルはありませんが、XLR 4ピンになるとパラ結線となります。これはXLRのピンにハンダ付けできる大きさに限界があるためと考えられます。※同様に、NL4に対して4S11の太さは共にしてネジ留めで1ch結線にする事が出来ません。(NL4に対してネジ留めの限界は4.0㎟、ハンダ付けで最大6.0㎟。ハンダでは可能)

従って、カナレ電気 4S8をNL4レセプタクルに接続する場合は、2パターンに分かれます。スターカッド線本来の接続方法である赤・赤透明、白・白透明を共で接続する1ch仕様、それぞれパラで接続する2ch仕様です。

1本あたりの導体面積が0.51㎟である4S6を共にしても実質1.0㎟で、4S8の1本1.27㎟の方が上ですので、今回は4S8をNL4レセプタクルに対してパラ結線を行います

 

 

ポジティブロックマークIIの端子(一部抜粋)。170331-1、170332-1、170334-1、170335-1

 

 

■ノイトリック NLファストン製品別対比表■

 

http://www.holycater.sakura.ne.jp/zip/pdf/Neutrik_NLFaston_jp.pdf

※再配布禁止、商用利用可です。

 

 

AMP ポジティブロックマークII圧着端子と工具の対比表(上記PDFの2ページ目に収録)

 

 

対スピコン・パワコン用圧着端子

 

 

もう何も怖くない(ひとりぼっちじゃないもの)

 

 

Blog内参考リンク:

 

 

 

 

 

NL4レセプタクルはNeutrik NL4MPXXを使用します。順当に行けばNeutrik NLファストン(AMP 170332-1)を使用する所ですが今回は絶縁保護をファストン用の汎用品で行うため、あえて170331-1を使用します。上記リンクの記事でも触れていますが、4S8を170332-1に対してパラ圧着するには絶縁被覆クランプが頼りない為です。

 

作業内容は以前の記事の繰り返しになりますので、写真でだいたいの流れを説明し、詳細な解説は省きます。

 

 

AMP 170331-1とファストン用絶縁保護キャップ(汎用品)

 

 

ファストン用絶縁保護キャップはポジティブロックマークIIの解除ラッチ手前でカットを行う

 

 

旧型の専用圧着工具である753899-1を用意した※現行品は91593-1

 

 

ダイス拡大写真

 

 

カナレ電気 4S8をストリップする

 

 

カットした汎用ファストン絶縁キャップを差し込む

 

 

取付適応規格を参考に規定寸法分シースをはぎ取る

 

 

取付適応規格を参考にダイスに端子をセットする

 

 

圧着を行う

 

 

4端子圧着が終わった状態

 

 

絶縁キャップをかぶせる。この際、強引にはめ込むと被覆クランプの形が変形するため注意

 

 

レセプタクルに接続する

 

 

完成!!

 

 

ノイトリックからNLファストンが販売されていますが正式な端末処理方法の案内が無いため、施工者に判断が委ねられているのが現状です。それならば他の端子を使う余地もきっとあるのだろうと、NLファストンを使用しない同等の施工方法を考えるに至りました。

 

これで、NL4レセプタクルに対してあらゆるスピーカケーブルの端末処理が可能になりました。

 

本記事がどなたかの参考になれば幸いです。

ヤフオクにRaritan PDU PX3-5138JRが大量に出ているとの話を聞き、1台落札しました。

サーバ用・・・ではなく目的は電源制御の際の試験用途です。

 

 

Raritan PDU PX3-5138JR

 

 

本来はサーバラックの遠方監視用途で、このモデルはインレットの1ポートの電圧電流周波数監視、8ポートの電源アウトレット全てが個別にリレー電源制御、電流監視が行えるモデルです。

音響映像設備施工業ですとここまでインテリジェントな機能を持っている電源ディストリビュータはまず使用しません。ですが、近年はネットワーク機器も増え、どの機材を常電にし、どの機材を電源制御の対象とするか?適切な機材立ち上げ(コールドスタート)の順番やインターバルはどれか?など前段階として以前にも増して試験が必要になりました。その試験に使用しよう、との意図です。

 

 

「電源を投入する為の電源ディストリビュータ」ではない為、一括電源ボタンは存在しない。前面パネルの操作画面から、操作を許可すれば個別電源操作が可能

 

 

ポートステータス表示が可能。凄い!!

 

 

インレット(入力)電圧の監視も可能。監視電圧の上下スレッショルドを設けられる

 

 

Web GUIでの電源制御

 

 

とにかく良く出来ており、想像を超える制御方法があります。一番簡単なのはWeb GUIによる制御で、こちらはユーザ名とパスワードだけでログインできます。

但し、サーバ用途な為、操作は強固なセキュリティで守られています。考えてみれば当たり前ですが、データセンタにクラッキングされてサーバの電源を落とされたらたまったものじゃないですからね。

 

 

SSHによる制御

 

 

SSHによるコマンド制御が可能ですが、音響映像設備施工業としてはかなり難易度の高い方式です・・・。先述の理由から、簡単に遠隔操作が可能な制御コマンドが用意されていません(笑)

※UDPコマンド、RS-232Cなどでの平文制御が無い

※一番簡単な方法はHTTPまたはHTTPSでのjsonコマンド制御だそうです

 

時間をかけてコマンドの解析はしていこうと思います。

 

 

 

ラッキングの方式を変更し、ラックマウント前面にアウトレットコンセントを持ってくることも可能

 

 

デフォルトの配置ではコンセントが奥まっており試験環境としては不便な為、ラックマウント金具を組み替え前面にアウトレットコンセントを持ってきました。

 

ATENで小型の遠隔制御用PDUはInter BEEでの展示があったため知ってはいましたが、このRaritan PDU PX3-5138JRの様なサーバ用の高価なインテリジェントタイプは初めてで、なかなか興味深かったです。

 

新品であれば絶対に手が出ない製品の為、良い経験になりました。

10年以上実績がある、ケーブル銘板をテプラで作る話です。

ハンドホール内やケーブルラックなどに敷設したケーブルに銘板をつけたい・・・といった要望があると思います。建築からの指示や、工事仕様にアクリルプレートで作る事、と明記されていない場合はテプラで作成する事が可能です。

 

本記事はその手順を紹介します。

 

 

用意する材料は以下です。

 

  • パンドウィット PLT80B、またはPLT100B
  • パンドウィット MP350-C
  • テプラ本体(PC接続が好ましい)
  • TEPRA PROテープ スタンダード 幅18mm 透明ラベル(黒文字) ST18K
 
透明テプラを使用するのは、耐久性が白地に比べて長い為です。筆者は以前より、線名札では透明テプラの使用を訴えています。
 
Blog内参考リンク:

 

パンドウィット PLT80B、MP350-C

 

 

写真では分かりづらいが梨地面と光沢面がある。テプラを貼るのは光沢面

 

 

Windows専用テプラソフトのSPC10

 

 

Windows専用テプラソフトのSPC10で定長幅62mm、多段で流し込み枠を作ります。

こちらの表記方法は会社によって作法が様々で、統一性はありませんが、案件名、線種名、どこからどこまでを表記している自→至、敷設会社名や日付を記入するのが一般的です。

情報を詰め込んで可読性を低下させては本末転倒ですので、読みやすいフォント、読みやすいサイズ、分かりやすい表記方法を心がけましょう。

 

 

参考例

 

 

印刷した状態

 

 

中央に張り付ける

 

 

穴に結束バンドを通す。写真ではPLT80BだがPLT100Bが良い場合も多い

 

 

締め付けて完成

 

 

それっぽく見える

 

 

直射日光下での耐久性は確認していませんが、ハンドホール内では10年は問題ありませんでした。室内であればかなり高寿命であると思います。

 

本記事がどなたかの参考になれば幸いです。

 

マイクロホンキャリブレータを使ってみたいがクラス2を買ったところで結局クラス1が欲しくなるだろうし、まずはどんなものなのか安価な中国製の物を買ってみよう、と思い立ちひとつ購入してみました。性能は期待せず、NTi XL2でマイクキャリブレーションの作業をトレースしてみよう、との意図です。

※計測音響分野では「マイクロフォン」ではなく「マイクロホン」表記ですので本記事はそれにならいます。

 

 

中国通販サイトで1/2インチ用のそこそこ安い物(1万円程度)を買った。94dBの他、+10dBの104dB、+20dBの114dBが用意されている

 

 

ゴムパッキンが入っている

 

 

単三電池×2駆動。マイクのサイズに合わせラインナップは4種類

 

 

内部基板。音源発生装置はスピーカのみで自己校正フィードバックは無い

 

 

マイクロホンキャリブレータは気圧と温度湿度に左右され、高品位なものはクラスLS・1適応のピストンホン、簡易的なものでクラス1・2適応の圧電セラミックやダイナミックスピーカによるスピーカタイプ(イヤホンタイプ)と2分されている様です。

※ピストンホンは250Hz、スピーカタイプは1kHzが基準周波数が一般的。

 

温度と湿度に関してはしばらく放置することで対応できる様ですが、気圧に関しては気圧計が無いと補正する事が出来ず、校正にはかなりの手間がかかり、広く使われているのはフィードバック回路が内蔵されているスピーカタイプと聞きます。但し、このスピーカタイプでも内部フィードバック回路検出に基準マイクロホンが採用されているクラス1の物は存在し、出所が確かなものを買おうとすると大変高価である、と言うところまでが前知識です。

 

外部参考リンク:

 

【PDF】音響計測とキャリブレーション 森川昌登(リオン)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/76/6/76_351/_pdf

 

 

騒音計とは(page4) 7-3 校正について 株式会社小野測器

 

 

 

 

1/4インチ → 1/2インチ変換アダプタを自作

 

 

マイクロホンキャリブレータを2時間計測環境に置き、マイクロホンを差し込んだ状態で起動し、自己校正シーケンス(実際はフィードバック素子がないためフェイク)が終了してから計測を行う

 

 

案外近似値が出る

 

 

今回、マイクロホンキャリブレーションに使用する機材はNTi XL2とM4260で、M4260は1/4インチマイクロホンです。マイクロホンキャリブレータは1/2インチの物を買っている為、サイズの補正をしなければなりません。とりあえずシリコンチューブで適当に作ってみました。

その結果が上写真ですが、ファクトリィ値との差分が0.8dBで案外近似値が出ています。とりあえずは機能しそうとの結果が出ました。

 

まともな1/4インチ → 1/2インチ変換アダプタが無いものかと探し、サトテック 1/4インチ変換アダプタを試しに購入してみました。

 

 

1/4インチ → 1/2インチ変換アダプタ。アルミニウムの切削、2パーツ構成で先端部にOリングのパッキンが入っている

 

 

NTi M4260は先端が1/4インチだが段差が付いている

 

 

Φ8mmの追加工を行った

 

 

マイクロホンのネット面にレベルを合わせた

 

 

嵌めた状態

 

 

ひとつ問題が発生しました。購入した1/4インチ変換アダプタは胴長で均一の太さのマイクロホンを差し込む設計になっており、先端1/4インチ、段差Φ7.8mmのM4260では奥まで差し込めないことが分かりました。先端部の機密性だけ確保出来ていれば良いため、ボール盤でΦ8mmの追加工を行いました。一発勝負のため、かなり神経を使いました・・・

 

最終的にはかなりの気密性を維持できる状態になりました。

マイクロホンキャリブレータの取扱説明書にも書いてありますが、気密性が高い状態で挿抜をするためマイクロホンのダイアフラム面に負荷が掛かり、かなり慎重に取り扱いを行う必要があります

 

 

 

XL2マイクロホンキャリブレートの結果を反映した状態。通常、書き換える必要はない

 

 

ユーザキャリブレーションの値を任意に変更した状態

 

 

NTi XL2ではマイクロホンのキャリブレータデータはマイク本体へASD通信で行われ、これはTEDS IEEE P1451.4に準じているトレーサビリティ情報の記憶領域です。

書き込まれた結果は、XL2が計測したデータに反映され、マイクロホンのファクトリィ値からユーザが書き換えた旨が追記されます。この操作はすぐに消去可能です。

※±0.7dB以上の補正が必要な場合、マイクロホンが故障している可能性がありますので校正・修理に出しましょう。

※通常であればマイクロホン本体は年1回(騒音計としては3年周期目安)メーカ校正を行っているはずですので、出荷時の値が変更されているものと思います。筆者の物は個人で趣味で持っている為、校正していません。

 

 

参考外部リンク:

 

 

 

騒音に係る環境基準の評価マニュアル(平成27年10月)

騒音計の表示値と取扱説明書に記載されている値との差が±0.7 dB 以上異なっている場合、故障している可能性があるため騒音計の点検修理が必要である。

 

 

 

 

一通り体験してみましたが、これはやはりクラス1のマイクロホンキャリブレータが欲しくなりますね・・・。手にしたことがない機器でも、品質を求めなければ中国通販で手に入る世の中ですので、とりあえずそれっぽい物を買ってみるという行動に出れるのが素晴らしいですね。

 

趣味の環境や、トレーサビリティを求めない環境であれば、複数のマイクロホンと複数のマイクロホンキャリブレータで相互に信用を保つ事が可能であると思いました。(スピーカタイプの校正器はそもそも同様の仕組み)

 

本記事がどなたかの参考になれば幸いです。