こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

夏の暑い日が続いていますね。

もう、7月最後の休日となっています。

 

暦を見ますと二十四節気の「大暑」を迎えていることに気がつきました。

「大暑」と言えば、1年で最も暑い時期ということで、毎日うだるような暑さが続いていることも、納得できるというものでしょうか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(筆者が人工知能A Iで作成)

 

今回は、「陽射し(ひざし)、つまり、太陽からの紫外線が、DNAに傷害を与えるというお話をしてみたいと思います。

 

紫外線は波長によって「UV-A」(320-400 nm)、「UV-B」(280-320 nm)、「UV-C」(100-280 nm)に分類されます。

 

地球の大気圏は、「UV-C」をほとんど吸収するため、地表に届くのは主に「UV-A」と「UV-B」となりますね。

 

このうち、「UV-B 」は細胞内 DNA に 直接吸収され、DNA の損傷を引き起こします。

そして、UV-Aは生体内の様々な分子に吸収され、その結果生じる「活性酸素」を介して細胞の膜脂質や蛋白質、DNAなどに酸化的損傷を与えるとされています。

 

ここまでは、以前のブログ内でもご紹介しましたよね。

 

では、紫外線によるDNA傷害には、どのようなものがあるのでしょうか?

 

紫外線によるDNA傷害には、主に以下のような変化があります:

 

1. シクロブタン型ピリミジンダイマー (CPD) の形成

隣接するピリミジン塩基(チミンまたはシトシン)間に共有結合が生じます。これはDNA変異の主要な原因となります。

 

2. (6-4)光産物の生成

これも隣接するピリミジン塩基間で起こりますが、CPDとは異なる構造を持ちます。

 

3. 一本鎖切断

DNAの骨格が切断され、一本鎖が断裂することがあります。

 

4. 酸化的損傷

紫外線によって生成された「活性酸素種(フリーラジカル)」がDNA塩基を酸化することがあります。8-オキソグアニンなどが生成されます。

 

5. 塩基の脱離

紫外線の影響でDNAから塩基が外れることがあります。

 

これらの損傷は、細胞の修復機構によって修復されることが多いですが、修復できないと、次世代の細胞に持ち越さないよう「アポトーシス」という機序で自ら壊れてしまうとされています。

 

 

では、「紫外線」によって傷害を受けたDNAを修復するメカニズムには、どのようなものがあるのでしょうか?

 

1. ヌクレオチド除去修復 (NER)

紫外線による主要な損傷(CPDや(6-4)光産物)を修復する主要な経路です。

損傷部位を認識し、その周辺の一連のヌクレオチドを切り出します。

そして、 健全なDNA鎖を鋳型として、切り出された部分を新しく合成します。

 

2. 塩基除去修復 (BER)

 主に酸化的損傷や脱塩基部位の修復に関与します。

  損傷した塩基を除去し、正しい塩基に置換します。

 

3.ミスマッチ修復 (MMR)

 紫外線損傷の直接修復ではありませんが、複製エラーの修正に重要です。

 紫外線損傷の修復過程で生じた誤った塩基対合を修正します。

 

5. 組換え修復

  重度の損傷や二本鎖切断の修復に関与します。

  相同組換えや非相同末端結合などの経路があります。

 

6. トランスレージョン合成 (TLS)

  損傷を乗り越えて複製を続行する機構です。

  損傷を修復するわけではありませんが、細胞生存に重要です。

 

・・・などがあり、これらのメカニズムは相互に補完し合い、様々な種類のDNA損傷に対応しています。

 

 

紫外線によるDNAの傷害は、多くの種類があるものの、それを修復するメカニズムが多く存在するため、DNAの損傷が残らないのですね。

 

メデタシ、メデタシ・・・というお話であれば・・・

わざわざ、こんな内容を紹介することは、ありません。

 

実は・・・こうしたDNA損傷を修復する能力が「加齢」により、低下してしまうのが問題になってくるわけですね。

 

例えば・・・この現象には複数の要因が関与しています。主な理由とは、どのようなものなのでしょうか?

 

要因(よういん)とされるものを挙げてみたいと思います。

 

1)修復酵素の機能低下、2)DNAのメチル化パターンの変化などによるエピジェネティックな変化、3)テロメアの短縮・・・

 

そして、4)ミトコンドリア機能低下 、5) 幹細胞の枯渇、6)長年にわたる環境ストレスやDNA複製エラーの蓄積

7)「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」の低下、8)「老化細胞」の増加・・・などにより・・・紫外線によるDNAの損傷部位の修復が追いつかず、損傷を残したまま、細胞分裂を続けていく・・・というわけです。

 

DNAの傷害部位を複数残したまま、次世代の細胞を作り・・・を繰り返せば・・・いったい、どうなっていくのか?

 

これは、解説は不要だと思います。

 

この「加齢によりDNA損傷を修復する能力が低下する問題」をどう解決していくのか?・・・ということは、

決して、「紫外線」による影響に限ったものでなく・・・「健康長寿」を実現していくためには、これを確実にクリアしなければいけない問題なのですね。

 

なぜなら、「紫外線」の照射を受けないとしても・・・日々、DNAの傷害が起きている可能性が高いわけですので・・・ね。

 

ならば・・・どこから、その対策を始めてみるか?

 

続きは、次回のテーマにしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記> 7月30日

 

7月も残り1日となりましたね。蒸し暑い日が続き、疲れを感じている方も多いのではないでしょうか?

 

今回は「紫外線」がDNAに傷害(しょうがい)を与えるというお話をさせていただきました。

 

DNAの障害を起こすものというと、真っ先に「放射線」が浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。
 

確かに程度の差こそはあれ、「紫外線」も「放射線」同様にDNAを障害することになります。


そして、「紫外線」と「放射線」とも長期的にわたる暴露が続けば、どちらも癌の発のリスクを増加させる可能性があります。

では、「紫外線」と「放射線」の相違点(そういてん)とは、どのようなことでしょうか?

 

この答えは、DNAの障害の程度が違うということになります。


DNA障害についてをみてみますと、紫外線と放射線はどちらもDNAを傷つけます。そして、DNA構造の変化、突然変異の誘発などを起こすというところは同じです。

 

ただ、そのDNA障害の内容が違っています。


「紫外線」は、同一のDNA鎖内で連続した2個のピリミジン塩基{シトシン(c),または、チミン(T)】が、共有結合によって
二量体を形成する・・・と少し難しいのですが、

簡単に言いますと・・・同じDNA鎖の中で、塩基同士をくっつけてしまいます。

 

DNA内にこのような構造が生じると、DNAの複製や転写の妨げとなり、突然変異などを生じやすいとされています。


これに対して、「放射線」は、DNA鎖を切断することが多いと考えられています。

 

これは、「紫外線」によるDNA損傷よりも深刻な損傷といえます。

 

なぜなら、「放射線」で生じるものは、2本鎖で構成されるDNAの

1本鎖が切断されてしまったり、また、2本とも
同時に切断されるようなDNA損傷が生じることが多いとされます。
 

このような損傷を修復するのは難しいとされており、特に2本鎖切断の修復は複雑で、エラーが発生しやすいとされているのですね。

 

これらのDNA障害に対して、それに対処する方法は、ほぼ共通です。

この修復プロセスの詳細は、まさに神がかりな精密機械のようなプロセスであり、いくつかの修復のメカニズムが、しばしば重複して機能し、相互に補完し合うものであり、

DNA損傷の種類や細胞周期の段階に応じて、正しい修復方法が自然に選択されていくことになるのですね。

 

まさに神の為せる(なせる)技だと思うのは、私だけではないはずです。

 

これらの修復プロセスには、「NAD+」や「サーチュイン遺伝子」も重要な役割を果たしています

 

例えば、「NAD+」は、PARP酵素の活性化DNA損傷の検出と修復の開始に関与し、サーチュイン遺伝子・・・とくにサーチュイン1遺伝子(SIRT1)は様々な修復過程を促進していることが分かっています。

 

DNAは、「紫外線」や「放射線」ばかりでなく、さまざまな問題で傷つくわけですが、この問題を解決する複雑な「修復システム」があるのですね。

 

「NAD+」や「サーチュイン遺伝子」は、この修復システムの重要な部分で、これらの研究は将来の医療応用にもつながる可能性があると考えられているのですね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い



参考)
1. Cell Metab. 2015 Jul 7;22(1):31-53.
NAD(+) Metabolism and the Control of Energy Homeostasis: A Balancing Act between Mitochondria and the Nucleus
Carles Cantó ら

2.Cell Metab. 2014 Nov 4;20(5):706-707. 
Linking DNA damage, NAD(+)/SIRT1, and aging
Leonard Guarente ら

 

 

 

 

 

    (ザ・ペニンシュラ東京のシャンデリア:筆者撮影)
 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

昨夜の雨が嘘(うそ)のようによく晴れた休日の午後になっています。

 

このような夏の日の午後には、よく冷えたビールを呑みたくなるという方は多いかもしれませんね。

 

英国には、次のような言葉があるそうです。

 

Let a man walk ten miles steadily on a hot summer’s day along a dusty English road, and he will soon discover why beer was invented.

 

<暑い夏の日に、ほこりっぽいイギリスの道を10マイル続けて歩かせてみなさい。そうすれば、彼はビールが発明された理由がすぐに分かるだろう>という意味になりますね。

 

イギリスの作家、ギルバート・キース・チェスタトンの名言です。

ブラウン神父の推理小説シリーズや「正統とは何か」などの著書がありますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(筆者が人工知能A Iで作成)

 

今回の話題は・・・「テロメア」のお話をしてみたいと思います。

 

私たちの体は、日々刻々と変化し、年齢を重ねていきますね。

残念ながら、この変化は「老化のプロセス」を辿って(たどって)いく変化ということになります。。

 

20世紀後半から21世紀にかけて、「テロメア」という染色体の末端構造が、老化プロセスの鍵を握っていることが明らかになってきたのですね。

 

では、「テロメア」とは、どのようなものであったでしょうか?

少しだけ復習をしておきたいと思います。

 

「テロメア」は、真核生物の染色体末端に存在する特殊な構造でしたよね。

 

ヒトの場合、「TTAGGG」 という塩基配列が数千回繰り返されており、その長さは通常10〜15キロベース(kb)程度とされています。

 

「テロメア」が持つ本来の機能とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

 

「テロメア」の主な役割は以下のとおりとなります。

 

1) 染色体の保護

「テロメア」は染色体の末端を保護し、DNAの損傷や不安定化を防ぎます。

 

2) 細胞分裂の制御

「テロメア」の長さは細胞分裂の回数を制限する「生物学的時計」として機能します。

 

3) 遺伝情報の保護

「テロメア」は重要な遺伝情報を含む領域を末端から守る役割を果たします。

 

そして、「テロメア」は次のような運命をたどります。

 

細胞が分裂するたびに、「テロメア」は少しずつ短くなっていくのですね。残念なことですが・・・これを伸ばすことは(正常の細胞では)不可能である・・・ということになります。

 

DNAポリメラーゼ(DNAを複製する酵素)は、DNA鎖の5'→3'方向にしか新しい鎖を合成できないため、染色体の末端部分は完全に複製されないから・・・というのが、その理由ということになります。

 

そして、通常のヒトの体細胞は、「テロメア」が臨界長(約4kb)まで短くなりますと、それ以上分裂できなくなります。

 

つまり、細胞の分裂回数は有限であり、「テロメア」が約4kbまで短くなると・・・静かに分裂をやめていく・・・ということになります。

 

これが「ヘイフリック限界」と呼ばれ、分裂することをやめた細胞が「老化細胞」と呼ばれるものになるというわけです。

 

実は・・・「テロメア」の短縮と「老化」には密接な関係があるとされています。

では、「テロメア」が短縮するにつれて、どのようなことが起きてくるとされているのでしょうか?

 

1) 組織の再生能力低下

「テロメア」が短縮すると、幹細胞の分裂能力が低下し、組織の再生能力が減少します。

 

2) 老化細胞の蓄積

老化細胞は炎症性因子を分泌し、周囲の健康な細胞にも悪影響を及ぼします。

 

3) DNA損傷の増加

「テロメア」が短くなると、染色体が不安定化し、DNA損傷が増加します。

4) ミトコンドリア機能の低下

「テロメア」の短縮は、ミトコンドリアの機能障害を起こすとされています。

 

じゃあ、どうしようもないよねムキー・・・と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

いやいや・・・そうでもないのですね。

 

もちろん、「テロメア」は、細胞の分裂とともに短縮していくため、完全に短縮を防ぐことは難しいかもしれません。

 

しかしながら・・・「テロメア」の短縮していくスピードを抑制していくことは可能であり、これにより「老化」のスピードを遅くできる

と考えられているのですね、

 

その方法は・・・「適切な生活習慣」を心がけることということになります。

では、その「適切な生活習慣」とは、どのようなものなのでしょうか?

続きは・・・後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>7月23日
 

今回は、細胞の分裂回数を決定しているとも言える「テロメア(Telomeres)」についてのお話をさせていただきました。

 

「テロメア」を温存する生活スタイルは、次のように考えられています。

1)生活習慣の改善:運動、健康的な食事、ストレス管理などがテロメアの短縮を抑制する可能性があります

 

2)抗酸化物質:酸化ストレスはテロメア短縮を促進するため、抗酸化物質の摂取が有効かもしれません

 

これにエクソソームやサーチュイン遺伝子の活性化・・・などが挙げられるのですが、こちらは別の機会にしたいと思います。

 

では、例えば「老化細胞」のテロメアを伸ばすことはできるのか?

・・・というお話をしてみたいと思います。

 

 

本文内でご紹介したようにヒトの体細胞において、「テロメア」がある程度(約4kb程度)まで短くなると・・・それ以上は、細胞分裂 ができなくなる「老化細胞」になっていくわけですね。

分裂ができなくなった細胞のうち、一部のものは、プログラムされた細胞死(アポトーシス)を起こし、破壊されるわけです。
 

しかしながら、アポトーシスを起こさなかった細胞は、ゾンビ細胞とも呼ばれる「老化細胞」になることは、以前のブログ内でもご紹介したとおりです。


「老化細胞」からは、「細胞老化関連分泌形質(SASP)」が分泌されることになります。
「SASP」は、炎症性サイトカインやケモカイン、増殖因子などから構成されていまして、周囲の正常な細胞を「老化」させてしまうという厄介な性質を持つことも、以前のブログ内でもご紹介したとおりですね。


これらの変化の根本的な原因の多くは、「テロメア」の短縮にあると言っても過言(かごん)ではないかもしれません。

しかしながら、例外もあるわけです。

その例外というのは「癌細胞」ということになります。


「癌細胞」では、多くの場合に「テロメラーゼ(telomerase)」と呼ばれる「テロメア合成酵素」というものが活性化しています。


この酵素の働きによって「テロメア」の長さが安定に維持されます。

つまり、「テロメア」の長さが短くなることはなく、「癌細胞」が無限に分裂・増殖できるのは、この理由にあります。

 

 

ならば・・・分裂できなくなった「老化細胞」に「テロメラーゼ合成酵素」を投与すれば・・・細胞は、また分裂を再開していき、また、「老化細胞」の数も減少し、その結果として、「若返り」が実現できるのではないか?・・・と考える方がいても不思議ではありません。

 

しかしながら・・・次のようなリスクが生じる可能性が高いと考えられています。

 

1)癌のリスク増加

テロメアの延長は細胞の分裂能力を高めるため、癌細胞の増殖を促進する可能性がある。

 

2)機能不全の細胞の出現・増殖

 細胞の老化は通常、体内から排除されますが、この過程が阻害されると、機能不全の細胞が出現する可能性がある。

 

これらのリスクに共通することは、次のようなことになります。

「老化細胞」となった細胞の中には、ヘイフッリックの限界まで分裂をして、「テロメア」が短くなった細胞と・・・

もうひとつ、まだ、ヘイフッリックの限界まで分裂しないうちに

なんらかの要因で、DNAが損傷を受け、これが修復できなかった

場合に「老化細胞」になって、それ以上の分裂を停止してしまうというのですね。

 

これをDNA損傷による細胞老化のメカニズムは、「テロメア非依存性の細胞老化」と呼ばれたりもします。

 

そして、DNA損傷による老化状態が一旦続くと、時間の経過とともに「テロメア」が徐々に短縮していく可能性が高いというのですね。

 

つまり、実際の生体内で認められる「老化細胞」を詳細に確認できたとすると、2種類のものがあるということになります。

 

ひとつは、ヘイフッリックの限界まで分裂し、それ以上は分裂できなくなり「老化細胞」になったもの、もうひとつは、なんらかの原因で

DNAの損傷を受け、修復メカニズムが働いたにも関わらず、修復できないことから「テロメア非依存性の細胞老化」を起こし、「老化細胞」なったもの・・・が混在していることになります。

 

これらの2つの「老化細胞」は、現時点では区別できないとされていますので・・後者のタイプの「老化細胞」に「テロメア合成酵素」を投与し、細胞分裂を再開させれば・・・DNAに損傷のある細胞が増加していくことが予想され、その結果として・・・癌細胞や機能不全の細胞を増殖させてしまう・・・というリスクがあるというわけですね。

 

「あなたの細胞のテロメアを伸ばします」という貼り紙(はりがみ)

を見たら・・・少し疑ってみてもよいかもしれませんね爆  笑

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1.  Proceedings of the National Academy of Sciences, 85(18), 6622-6626.

A highly conserved repetitive DNA sequence, (TTAGGG)n, present at the telomeres of human chromosomes.

R K Moyzisら

 

2.PLos Biol. 2008 Dec 2;6(12):2853-68. 

Senescence-associated secretory phenotypes reveal cell-nonautonomous functions of oncogenic RAS and the p53 tumor suppressor

Jean-Philippe Coppeら

 

3.Nature. 2011 Feb 17;470(7334):359-65.

Telomere dysfunction induces metabolic and mitochondrial compromise

Ergun Sahinら

 

4.Cells.2019 Jan; 8(1): 73.

Telomere Biology and Human Phenotype

Kara J Turnerら

           など

         (雨上がりの散歩道:筆者撮影)

 

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

3連休の中日(なかび)となっています。

「梅雨」の季節は、まだ続きそうですね。

 

暦の七十二候(しちじゅうにこう)を見ますと、「蓮始開(はすはじめてひらく)」になっていることに気がつきました。

 

蓮(はす)は英語で ’lotus’ですが・・・

 

The flower of a lotus in muddy water is like a myrtle flower.

 

意味は・・・蓮(はす)はどろ沼の中にあっても泥に汚されず美しい花を咲かす。このことから周囲に毒されず清く正しく生きる

 

 

という格言が有名ですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 (筆者が人工知能 A Iで作成)

 

今回の話題は・・・「エピジェネティック時計」のお話をしてみたいと思います。

 

「エピジェネティック時計」・・・「エピジェネティック クロック

(epigenetic clock)」とも呼ばれるものですが・・・

どのようなものなのでしょうか?

 

 

誕生してからの時間経過で規定される「chronological age(=暦年齢)」は,個人間での差異はなく,同じ日に誕生すれば同じ暦年齢となりますよね。
 
しかしながら,同じ暦年齢の人間が皆同様の老化を呈するわけではないのは・・・なんとなくですが・・・私たちの経験上、明らかですよね。
 
例えば・・・ある人は年齢に比して若く見えることもあるし,その逆もありますよね。
 
実際の「biological age(=生物学的年齢)」に近く,暦年齢よりも実際の老化の指標となる可能性が高いと考えられているもののひとつが

「エピジェネティック時計」となるわけです。

 

「エピジェネティック時計」は、どのような仕組みで導き出せるのでしょうか?

 

これは、「DNAメチル化」の程度が使われます。

 

そもそもDNAとは、4種類の塩基配列「A(アデニン)」「T(チミン)」「C(シトシン)」「G(グアニン)」を基本としています。その中の「C(シトシン)」にメチル基(-CH3)が付加され、5メチルシトシンになるのが「DNAのメチル化」です。

 

近年、さまざまな研究から「DNAのメチル化」と「生物学的年齢」は相関していることが明らかになってきました。

 

このように「DNAのメチル化」のレベルによって予測される年齢を「エピジェネティクス的年齢」と呼ぶのですね。

 

もう少し正確に言いますと・・・DNAをタグ付けするメチル基などのタグ付けパターンは人生の過程で変化することが知られており、ヒトの生物学的年齢の非常に正確な分子バイオマーカーになると言った方がよいかもしれませんね。

 

問題は、なんらかの方法を用いて、このプロセスを逆転させられるか?・・・ということにあるのですが・・・

どうやら・・・完全に「NO」とは言えない報告も出できているのですね。

 

お話の続きは・・・後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>7月16日

 

連休明けの今日は、なんとも言えない蒸し暑い梅雨空でしたが・・・18日(木)以降、梅雨明けの可能性があるなど・・・嬉しく(?)思うニュースもありました。

 

人間というのは勝手なもので・・・梅雨が明けたら、明けたで、照りつける夏の灼熱(しゃくねつ)の太陽を見上げながら・・・梅雨の時期はよかったなあ〜などと思うのではないか・・・とも思います。
 

今回は「エピジェネティック時計」について、お話をさせていただきました。DNAの「エピジェネティックス」というお話を以前のブログでもお話をさせていただいたことがありましたね。。

 

DNAの配列は同じであるのに異なる mRNA遺伝子が出現し、異なるタンパク質が産生される。

 

例えば受精卵のDNA配列は同じものですが・・・あるものは、肺組織の細胞となり、あるものは眼の組織をつくるなど、同じDNA配列から、違うmRNA,そして、タンパク質ができて、異なる臓器が形成されるといった具合でしたよね。

 

これを「エピジェネティック」な変化と言いまして、大きくはメチル化、アセチル化、ユビキチン化、リン酸化などがあります。これっらは,DNAの塩基配列は同じであっても、これらを修飾(しゅうしょく)する方法ということになっります。

 

前置きが長くなりましたが・・・「エピジェネティック時計」とは、これらのなかのメチル化を用いて、年齢を割り出していく方法ということになります。

 

もう少し詳細に述べますと・・・「エピジェネティック時計」は、特定の遺伝子の近くの DNA メチル化パターンを調べます。これらのメチル化パターンは、加齢に伴い変化し、特定のパターンは特定の年齢に関連付けられることが報告されている・・・ということになります。

 

この「エピジェネティック時計」は、単なる年齢を推測するだけでなく、重要な意味を持っているとされています。

幾つかの「エピジェネティック時計」の意義とは、次のようなものになります。

 

1)生物学的年齢の指標

 

「エピジェネティック時計」は、従来の年齢よりも個人の生物学的年齢をより正確に反映しているとされています。

 

これは、生活習慣や環境要因によって、生物学的年齢が実際の年齢よりも若くなることもあれば、老化している可能性があることを示唆しています。

 

2)病気のリスクの予測

 

いくつかの研究では、「エピジェネティック時計」が、特定の病気のリスクを予測するのに役立つ可能性があることを示しています。たとえば、エピジェネティック時計は、心臓病、がん、認知症などのリスクを予測するために使用されています。

 

3)老化のメカニズムの理解

 

ピジェネティック時計」は、老化の過程を理解するためのツールを提供します。エピジェネティック時計の速度を早める要因を調査することで、老化のプロセスを遅らせ、老齢期に関連する病気のリスクを軽減するための新たな介入を開発できる可能性があるのではないかと考えられているのですね。

 

そして、現時点でいくつかの「エピジェネティック時計」にまつわる話題が注目されています。

 

それは、どのようなことなのでしょうか?

 

ひとつは、「エピジェネティック時計」を"戻す"つまり、老化の進行とは逆に"若返らせていく研究は、過去数年間で大きな注目を集めていっると考えられています。もちろん、この分野はまだ発展途上であると言えます。

 

例えば・・細胞のリプログラミング因子を短期間発現させることで、マウスの組織で若返りの兆候が観察されました(Ocampo ら :2016年 の研究)や

老齢マウスの血漿を若いアルブミン溶液と交換することで、様々な組織で若返りの効果が見られました(Melod Mehdiourら:2020年の研究) さらにヒトでも・・・

成長ホルモンとメトホルミンを含む薬物療法により、ヒトの胸腺組織の若返りと免疫機能の改善が報告されました(Gregory M Fahyら:2019年の研究)といった具合です。

 

これらは、新たな遺伝子やタンパク質などにより、若返りを示したわけでなく、DNAの修飾の状態を変化させただけ・・・と考えられているのですね。

 

もちろん、これらの研究は、「エピジェネティック時計」を"戻す"可能性を示唆していますが、まだ初期段階の研究であり、長期的な効果や安全性については更なる検証が必要であると考えられています。

 

また、これらの研究結果の解釈や再現性については、科学界でも議論が続いていることは、つけ加えておきたいと思います。

 

どうでしょうか・・・心がワクワクしませんか??

 

心がワクワクと言えば・・・今回、新たにブログの下にインターネットラジオを加えたのですが・・・これは私の声をクリアにして合成した人工知能( AI)の声で、医学的な内容をご紹介するものにしようとする予定なのですが・・・人工知能(AI)の声が少し訛って(なまって)しまいまして、苦戦しております。

 

もう少し、お時間をいただけたらと思います爆  笑

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

1.Cell .2016 Dec 15; 147(7) :1719-1733

In Vivo Amelioration of Age-Associated Hallmarks by Partial Reprogramming

Alejandro Ocampoら

 

2.Aging (Albany NY) 2020 May 300; 12(10): 8790--8819

Rejuvenation of three germ layers tissues by exchanging old blood plasma with saline-albumin

Melod Mehdipourら

 

3.Aging Cell .2019 Dec; 18(6): e13028.

Reversal of epigenetic aging and immunosenescent trends in humans

Gregory M Fahyら

 

 

(以前のphoto:筆者撮影)

 

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<今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

7月7日 「七夕(たなばた)」となっています。

 

七夕は一年に一度、織姫と彦星が天の川を渡って会うことを許された日ともいわれ、星に願い事をする風習がありますね。

 

「七夕」は古代、中国から伝わった伝説や「乞巧奠(きっこうでん)」という行事に、もともと日本にあった風習が結びついて誕生したといわれます。

 

古代中国の伝説では、彼らはめでたく結婚したものの、互いに夢中になりすぎて、仕事を怠けるようになってしまったのだそうです。

 

怒った天帝は二人を引き離しますが、嘆き悲しむ二人を憐れみ、年に一度、7月7日だけ、天の川を渡って会うことを許した・・・ということだそうです。
 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

        (筆者が人工知能 A Iで作成)

 

今回は「幹細胞」から放出される「エクソソーム(exosome)」の話題にしてみたいと思います。
 

「幹細胞」から放出される「エクソソーム」とは、どのようなものであったでしょうか?少し復習(ふくしゅう)をしておきたいと思います。

 

「エクソソーム」とは、幹細胞が分泌する小さな袋状の構造体でして、細胞外小胞(EVs)の一種です。

 

これらの「エクソソーム」は、直径が約30〜150ナノメートル程度と非常に小さく、リポ蛋白質、RNA、DNA、その他の生物活性分子を含んでいます。

 

「エクソソーム」とは、「幹細胞」からのみ放出されるわけでなく、さまざまな種類の細胞から放出されます。これには、免疫細胞、がん細胞、さらには神経細胞などが含まれます。

 

これらの「エクソソーム」は、細胞間のコミュニケーションに重要な役割を果たし、タンパク質、リポイド、RNAなどの分子を運ぶ手段として機能します。

 

そして、「エクソソーム」は・・・情報伝達の役割を持ち、他の細胞へ情報やシグナルを伝達することで組織の再生や修復、免疫応答の調節などに関与していることが分かっているのですね。

 

この中で、特に「幹細胞」から放出される「エクソソーム」は、その再生能力や多様な機能性因子を運搬する能力があることが分かっておっり、「再生医療」などへの潜在的な応用が注目されているのですね

 

例えば・・・幹細胞の「エクソソーム」は、炎症を抑える効果、組織修復を促進する効果があることが示されており、心筋梗塞や皮膚損傷、神経障害などの治療に利用される可能性が研究されているのですね。

 

こうした「エクソソーム」の歴史を見てみますと・・・次のようになります。

 

 

幹細胞からの「エクソソーム」の研究は、2000年代初頭にその重要性が認識され始めた比較的新しい分野です。

その発展の大まかな歴史は、次のようになります。

 

1980年代末〜1990年代初め

細胞が「エクソソーム」と呼ばれる小さな小胞を放出することが確認され、初期には主にリンパ球や腫瘍細胞からの放出が研究されました。

 

2000年代初め

研究者たちは、「エクソソーム」が単なる細胞の「ゴミ」としてではなく、細胞間コミュニケーションに重要な役割を果たしていることを発見しました。

 

この頃、特に間葉系幹細胞からの「エクソソーム」が、組織修復や再生において重要な役割を果たす可能性があるという認識が高まりました。

 

2010年代

幹細胞由来の「エクソソーム」が疾患モデルにおいて治療的効果を示すことが報告され、幹細胞療法の代替または補完としての潜在的な価値が注目されるようになりました。

 

この時期には、「エクソソーム」の生物学的特性、分泌機構、そしてその治療応用に関する研究が加速したとされています。

 

2020年代

「エクソソーム」は再生医療、がん治療、免疫療法など、さまざまな医療分野での応用が進められています。エクソソームの分離、特性評価、機能性の最適化など、さらに詳細な理解と技術の発展が進んできています。

 

現在、幹細胞由来の「エクソソーム」の分野で、研究が進んでいるのは「間葉系幹細胞(MSC)」であるとされています。

 

「間葉系幹細胞(MSC)」多能性幹細胞の一種で、さまざまな生物学的な特性と機能を持つことが知られています。

 

「間葉系幹細胞(MSC)」から放出される「エクソソーム」の応用は再生医療の分野で拡大を続けており、神経疾患、虚血性心疾患、糖尿病、整形外科疾患への利用に多くの研究が集中しているそうです。

 

では、こ「間葉系幹細胞(MSC)」から放出される「エクソソーム」には、どの程度、その内容物が確認されているのでしょうか?

 

この中には、194種類の脂質、4400種類のタンパク質、764種類のmiRNA(マイクロ・アールエヌエー)、1639種類のmRNA(メッセンジャー・アールエヌエー)、さらにヒートショックタンパク質(HSP70 および HSP90)が含まれているのだそうです。

 

image

         (図はお借りしました)

 

これを用いて、「老化のプロセス」を逆行させられないか?・・・と私は考えてきたわけですが・・・すでにそのような報告もされておりまして、完全な夢物語であるとは限らない・・・のかもしれませんね。

 

続きは・・・後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

参考)

1. Int J Mol Sci. 2024 Mar 21;25(6):3562. 

Therapeutic Applications of Stem Cell-Derived Exosomes

Omar AbduhakeenAhmed Yusuf Abdulmalekら

 

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<ブログ後記>7月9日


「高齢化」は、日本だけでの問題ではなく、世界各国でも同様の傾向があるそうです。
2019年から2050年の間に、64歳以上の人口は15億人を超えると予測されており、これは現在の2倍程度に当たるそうです。
 

言い換えれば、30年以内に世界中で6人に1人が「高齢者」と見なされることになるそうで、世界各国で「抗老化研究」に多額の研究費があてられている背景には、このような各国の事情があるそうです。

では、「老化」の特徴とは、どのようなことであると考えられているのでしょうか?無数の言葉が並ぶ(ならぶ)のか?・・・と思いますが・・・そうでもないことに気がつきます。

ゲノム不安定性、エピジェネティックな変化、テロメア短縮、代謝機能不全、、ミトコンドリア機能不全、幹細胞の枯渇、細胞周期の永久的な停止、NAD+の減少、老化に伴う炎症性サイトカインの分泌

 

・・・などの見覚えのある言葉が並びます。
そして、もうひとつ追加するとすれば、「活性酸素」などによるDNAとタンパク質の損傷となります。

こうした問題は、当初、「幹細胞治療」によって解決されるのではないかと期待され、その期待は続いています。。

しかしながら、2015年にTrounson and McDonaldらにより報告されているような「幹細胞治療」や奇形の発生のリスクがあるとされる
問題は、まだ、解決されてはいません。

これに対し、これに対し、幹細胞から放出される「エクソソーム」は、タンパク質、核酸、その他の生理活性分子を豊富に含んでいます。免疫原性が低く、組織浸透性が高いという特徴があり、医療美容への応用に最適と考えられているのですね。

免疫原性が低いとは・・・アレルギーなどの免疫反応が起こりにくいことを意味しています。

では、幹細胞からの「エクソソーム」には、どのようなアンチエイジング効果が、これまでに報告されているのでしょうか?

いくつかの海外の論文を挙げてみたいと思います。

 

※( 〜 et al, 20◯◯)というのは、〜らの研究チームが20◯◯年に

論文として、報告した・・・ということになります。。


「エクソソーム」に含まれるmiRNA(マイクロアールエヌエー)(Zhai et al., 2020)や関連活性因子(Yoshida et al., 2019)が、抗老化(Han et al., 2022)、色素沈着抑制(Liu et al., 2019)、脱毛抑制(Bae and Kim, 2021)などの作用を示すことが確認されています。

「エクソソームは、関連老化因子βガラクトシダーゼ(SA-β-Gal)の合成を抑制し(Kim et al., 2021)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の合成を促進する(McReynolds et al., 2021)ことで、細胞の老化を遅らせることができると報告されています。

光損傷を受けたヒト真皮線維芽細胞(HDFs)への影響についても研究されており、脂肪由来間葉系幹細胞エクソソーム(ADSCs-Exo)が、紫外線照射によるMMP-1、2、3、9の過剰発現を大幅に抑制し、
コラーゲンとエラスチンの発現を増加させることが明らかになっています。(Choi et al., 2019)

また、「エクソソーム」は、メラニンの生成を抑制することで、色素沈着を軽減する効果があるかもしれないとも報告されています。(Lo Cicero et al., 2015)。

まだまだ、「エクソソーム」の効果として報告されているものをあげれば、キリがありません。


・・・現時点では、「老化のプロセス」を逆行までは実現していない可能性が高いわけですが、老化スピードを遅らせることまでは可能になっている印象があります。

もちろん、「幹細胞」の利用も否定するものではなく、老化細胞やそこから放出される老化関連分泌現象(SASP)因子の影響を排除できれば、有望な治療になるでしょうし、「幹細胞移植後」に精密な「血中腫瘍細胞検査(CTC検査)を施行していくことで、癌の発生のリスクを十分に回避できるものと考える研究者もいます。

 

まだ、「老化」のプロセスを逆行させるのは難しいのかもしれませんが・・・克服(こくふく)すべき問題は明らかになっているわけですので、近い将来、実現する可能性もあるかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

参考)

2.Biology (Basel). 2022 Nov 18;11(11):1678.

Aging and Mesenchymal Stem Cells: Basic Concepts, Challenges and Strategies

Maria Fraileら

 

3.Front Bioeng Biotechnol. 2022 Dec 20:10:1083640. 

Exosomes based advancements for application in medical aesthetics

Bin Zhangら

 

4.Front Immunol. 2023 May 18:14:1181308.

Mechanism of mesenchymal stem cells and exosomes in the treatment of age-related diseases

Jia Liら

(丸の内 仲通り:筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

6月最後の休日の午後となっています。そして、明日からは7月になりますね。

 

まさに「光陰矢の如し(こういんやのごとし)」という感じでしょうか。すべての出来事(できごと)がすぐに過去のことになってしまうことに気がつきます。。

 

英語では、’’Time flies like an arrow.”

      「時は矢のように飛ぶ」と言われるようですね。

 

ちなみに弓矢(ゆみや)を使うスポーツ競技に「弓道(きゅうどう)がありますが・・・

弓道の矢の速度は、装備や弓の強さにもよりますが、時速200Kmとされていますので・・・

いかに速いかが、お分かりいただけると思います。

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

         (筆者が人工知能 A Iで作成)

 

今回は、何かと話題の多い「ピロリ菌」に関するお話をしてみたいとと思います。
 
「ピロリ菌」の正式な名称は、正式名は「ヘリコバクター・ピロリ
(Helicobacter pylori)」と言います。
 

ヘリコとは「らせん」とか「旋回」という意味となります。ヘリコプターのヘリコと同じです。ひげの部分も回転させて移動します。

バクターとはバクテリア(細菌)。ピロリとは胃の出口(幽門)をさす「ピロルス」からきています。

 

名前が示すように、この菌は胃の幽門部から初めて見つかったのですね。時は、ロイヤルパース病院の病理医だったウォーレンは1979年、胃炎患者の胃粘膜に小さな曲がった未知の細菌(ピロリ菌)を発見し、その後消化器内科研修医マーシャルとの共同研究により、1982年にはピロリ菌の分離培養に成功し、1983年に報告しています。

 

マーシャル自身がピロリ菌を飲む実験により急性胃炎が起こることを確かめたエピソードは有名な話ですので、ご存知の方もいっらっしゃると思います。

 

西オーストラリア大学の名誉教授になったロビン・ウォーレン氏と同じように同大学教授となったバリー・マーシャル氏は、「ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)」を発見した功績から、 2005年のノーベル医学生理学賞を受賞しています。

 

    (ヘリコバクター ピロリ菌;写真はお借りしました)

 

この「ヘリコバクター・ピロリ菌」が、なぜ重要なのか??・・・と言いますと・・「ヘリコバクター・ピロリ菌」の感染は、「胃がん」の発症リスクを高める主要な要因の一つと考えられているからというのが、そのとなります。

 

 

国際がん研究機関(IARC)と世界保健機関(WHO)は、「ヘリコバクター・ピロリ菌」をグループ1の発がん性物質に分類しており、ヒトにおける発がん性が確実であると認識されているのですね。

 

疫学研究では、「ヘリコバクター・ピロリ菌」感染者は、非感染者と比較して胃がんリスクが約2~6倍高くなると報告されています。

 

では、どのような機序により、「ヘリコバクター・ピロリ菌」は、胃癌病変を発生させていくのでしょうか?

 

それは、次のようなメカニズムが感が考えられています。

 

「ヘリコバクター・ピロリ菌」は、粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。

 

この慢性炎症は、胃粘膜の萎縮、腸上皮化生、異形成といった段階を経て、最終的に「胃癌」へと進行すると考えられています。

 

特に、H. pyloriの中には、細胞毒素関連遺伝子A「CagA(キャグエー)」を持つ菌株が存在し、この菌株はより強い炎症反応を引き起こすことが知られている。「CagA陽性」株は、この菌株はより強い炎症反応を引き起こすことが知られています。

 

「CagA陽性株」は、胃がんリスクをさらに高めるとされているリスクをさらに高めると考えられているのですね。

 

では、菌に感染しているか?・・・は、どのような検査を施行すればよいのでしょうか?

よく行われる検査は、以下のようなものになります。

 

1)血液検査:「ヘリコバクター・ピロリ菌」に対する抗体の有無を調べる。

 

2)呼気テスト:尿素呼気試験で、「ヘリコバクター・ピロリ菌」の有無を判定する。

3)便検査:便中の「ヘリコバクター・ピロリ菌」の有無を検出する。

4)内視鏡検査:胃粘膜の生検を行い、病理組織学的に「ヘリコバクター・ピロリ菌」を確認する。

 

しかしながら、日本へリコバクター学会は、上記の1)の抗体検査について、「血清抗体価は、現在のピロリ菌感染状態を反映するものではない」としており、「除菌治療前には、血清抗体法だけではなく現感染診断に適した検査を実施し、陽性であることを確認する」ことが必要であるとしています。

 

つまり、H. pyloriに対する抗体が陽性だったからといって除菌治療を行うことは推奨されない・・・という見解を出していますので、実際には、上記2)〜4)の検査が必要になってくるということになりますね。

 

 

JTKクリニックでは、主に2)の「呼気テスト」を施行しています。

 

さらに胃癌ばかりでなく、「ヘリコバクター・ピロリ菌」の感染が原因になることがあると分かっている疾患には、次のようなものがあります。

  • 慢性胃炎

  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍

  • 胃ポリープ

  • 胃MALT(マルト)リンパ腫

  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

  • 機能性ディスぺジア

  • 鉄欠乏性貧血

「ピロリ菌」などとカワイイ名前をしているわけですが・・・なかなかのものですよね。
 
100歳〜120歳までの健康長寿を目指す「ウェル ビーイング」という考え方は、とても人気があるものです。
 
そして、その実現のために「幹細胞治療」、「幹細胞エクソソーム治療」、そして、「NMN」などといった「アンチエイジング」医療があり、これからも大いに発展していくことが予想されるわけです。
 
しかしながら、前回のブログ内でもふれた「内蔵型脂肪性肥満」からの2型糖尿病や脳血管障害の発症、そして、今回の「ヘリコバクター・ピロリ菌」感染からの胃癌や各種疾患の発症などのリスクを細かく避けていくことができなければ・・・
 
「ウェル ビーイング」という言葉どおりのことは、到底(とうてい)、夢のまた夢のこととなり、実現は難しい・・・と思ったりするのは、考えすぎなのでしょうか?・・・ね爆  笑
 
素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ
 
それでは、またバイバイ
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<ブログ後記>7月2日

 

晴れ間が見えるのは良いのですが、なんとも蒸し暑い1日となりましたね。

今回は、主に胃癌の原因となる「ヘリコバクターピロリ菌(以下はピロリ菌)」に関連するお話をさせていただきました。
 

「ピロリ菌」は、グラム陰性微好気性細菌といったものでありまして、正真正銘(しょうしんしょうめい)の「細菌」ということになります。

 

細菌が胃酸の中で育つのか?・・・と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「ピロリ菌」は、胃のなかで生存するために

尿素をアンモニアに変換する酵素である「ウレアーゼ」を産生し、胃の過酷な酸性環境で生き延びていくことが可能になっているのですね。

さらに「ピロリ菌」は、免疫応答を回避して排除を防ぐためのさまざまなメカニズムを進化させています。

「細菌」の感染で、癌病変が生じる・・・と言いますと、そんなことがあり得るのかと思われるかもしれませんが、「細菌感染」もDNAに障害を起こす外因的な要因のひとつと考えられています。

ほとんどの「発癌物質」は、DNA損傷や突然変異を誘発することによって作用するものであることが知られているわけですが・・・


「ピロリ菌」感染は、一般的な「発癌物質」と同様に・・・DNA損傷変化を及ぼすとされています。

では、「ピロリ菌」感染は、どのようなメカニズムで、ヒトのDNAにどのような変化を及ぼす(およぼす)のでしょうか?

そのメカニズム的は、次のようなものであると考えられています。

「ピロリ菌」が感染しますと・・・局所的な炎症を引き起こし、ヒト細胞において「酸化的損傷」や「二本鎖切断(DSB)」などのDNA損傷が引きおこされると考えられています。
「酸化的損傷」とは、「活性酸素」の関与する組織の傷害ですね。

さらに、各種の遺伝子発現に関与するプロモーターという部分のメチル化やヒストン修飾の阻害など(エピジェネティクス)、さまざまなメカニズムを通じて、DNA修復機構の連携が損なわれ、この修復機構にも障害などを起こしたりして、不正確なDNA修復を生じさせます。

 

また、「ピロリ菌」は胃の表面細胞に感染するだけでなく、胃腺の奥深くまで侵入し、幹細胞領域にまで達することが知られています。

 

これにより、幹細胞を活性化し、幹細胞を異常に増加させたりもします。


上記にあげた、さまざまな要因により、「ピロリ菌」感染後には、DNA修復経路の障害やゲノムの不安定性が増したり、染色体異常が容易に生じるなどの異常が蓄積して、最終的には「胃癌」の発生につながっていくというわけです。

「ピロリ菌」が誘発する胃がんにより、世界の中では2018年には約783,000人が死亡していると報告されています。
 このような状況から、国際がん研究機関(IARC)は、ピロリ菌をクラスI 「発がん物質」に分類しているというわけです。

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           (図はお借りしました)


上の図に示すように・・・日本国内では「ピロリ菌」は幼年期に衛生環境が良くなかった年代に感染している人が多く、環境の整った現代では、感染している人の数が低下しています。

 

しかしながら、まだ一定の数の「ピロリ菌」の感染者もいることが予想されているために・・・健康診断などで「ピロリ菌」感染の有無をチェックする検査が含まれているのも、このためということになりますね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)
1.Genome Instability & Disease (2020) 1:129–142 
REVIEW ARTICLE
Helicobacter pylori infection induced genome instability and gastric cancer

Xiangyu Luiら など

 
 

 

     ( 赤坂プリンス クラシックハウス:筆者撮影)

 

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