こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

10月も最後の休日となりましたね。

暦を見ますと明日10月28日からも七十二候(しちじゅうにこう)は

霎時施(こさめときどきふる)」となることに気がつきました。

 

さあっと雨が降ったかと思えば、すぐにやみ、青空が顔をのぞかせるような季節なのだとか。
 

秋から冬にかけて降るこのような雨を「時雨(しぐれ)」といい、この時期の空模様のひとつです。

 

文学の世界では、「時雨(しぐれ)」は、涙や悲しみ、侘しさ(わびしさ)の比喩(ひゆ)として用いられることが多いとされますね・

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか。

 

 

(AIを用いて画像を作成)

 

今回は、「珈琲(コーヒー)」は、「サーカディアンリズム」に影響を

与えるか?・・・というお話をしてみたいと思います。

 

ちなみに「珈琲」よいう漢字は、江戸時代末期に幕末の蘭学者(らんがくしゃ)である宇田川榕菴(うだがわようあん)という方が考えたのだそうです。

 

「サーカディアンリズム」とは、どのようなものであったでしょうか? 少しだけ復習(ふくしゅう)をしてみたいと思います。

 

 

「サーカディアンリズム(概日リズム)」とは、生体が持つ約24時間周期の生体リズムのことを言いますね。

 

このリズムは、「体内時計」によって制御されており、睡眠と覚醒、ホルモン分泌、体温調節など様々な生理活動に影響を与えます。

 

サーカディアンリズムは、日光といった外部の環境によって調整されることが一般的で、これにより生物は環境の変化に適応しやすくなっています。

 

もう少し詳しくお話をしますと・・・

「サーカディアンリズム」は、目から入る光に大きく影響を受けます。

 

この光は、網膜(もうまく)に存在する、特殊な神経節細胞で感知されると考えられています。

とくに青い光(約460-480nm)に特に敏感であるとされています。

 

この特殊(とくしゅ)な細胞は、「視交叉上核(しこうさじょうかく)(SCN)」に直接信号を送ります。

 

image

           (図はお借りしました)

 

「視交叉上核(SCN)」は、ヒトを含めた哺乳類(ほにゅうルイ)動物の睡眠や行動、内分泌などの生理的現象の概日リズムを支配する中枢的な役割を担って(になって)いると考えられています。

 

「視交叉上核(SCN)」に存在する神経細胞ネットワークが、オーケストラの指揮者のように全身のリズムを束ねているとも言えますね・

 

          (AIを用いて画像を作成)

 

そして、「サーカディアンリズム」は、次のような性質があることが知られています。

 

朝の太陽の光は、体内時計をリセットし、覚醒(かくせい)を促し(うながし)ます。

 

そして、夜の光(特にブルーライト)は、睡眠ホルモンである「メラトニン」分泌を抑制し、短期的(たんきてき)には、寝つきが悪くなったり、深い睡眠が得られなくなったりするとされるのですが・・・

 

長期的な健康への影響をみますと・・・

  • 免疫機能の低下
  • 体温調節の乱れ
  • ホルモンバランスの崩れ

が生じるということが知られています。

 

では、「コーヒー」を飲むことは、「サーカディアンリズム」に影響を与えるのでしょうか?

「コーヒー」には、通常の場合は「カフェイン」が含まれていますよね。

 

もちろん、「ノンカフェインコーヒー」、今の時代は「ディカフェ」と呼ぶのでしょうか。カフェインを除いた(もぞいた)コーヒーなら問題はないと思いますが・・・、

 

実は、「カフェイン」の摂取により、「サーカディアン リズム」に影響が出たことを詳細に述べた論文があります。

 

「カフェイン」を就寝時刻の3時間前に摂取することで、人間の「メラトニン」のリズムが平均約40分遅れることを報告しています。

 

「メラトニン」は、睡眠と体内時計の調節に重要な役割ホルモンです。このホルモンは、脳内の「松果体(しょうかたい)と呼ばれる部分で自然に生成され、日中は低レベルで夜間に増加し、健康的な睡眠を促進する作用があります。

 

夜間に強い光に晒されることやカフェインの摂取は、メラトニンの生成を阻害し、睡眠への悪影響を与える可能性があるのだそうです。

 

秋の夜、温かい(あたたかい)コーヒーでも飲みたいな〜と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり、睡眠には影響しそうですね。

 

夜にコーヒーを飲むと眠れない・・・は、気のせいではなさそうですね。

 

参考)

1.Sci Transl Med. 2015 Sep 16;7(305)

Effects of caffeine on the human circadian clock in vivo and in vitro

Tina M Burkeら

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<ブログ後記 > 10月29日

今朝から冷たい北東の風が吹いていて、音もなく雨も降っておりまして、まさに「時雨(しぐれ)」ということになるもかと思っていたのですが、夜になると雨が激しく(はげしく)なっているようです。

1杯の「珈琲(コーヒー)」を夜更け(よふけ)に飲み、そのカフェインで眠れなく(ねむれなく)なった経験は、誰でも経験のあることではないでしょうか。

「カフェイン」の化学名は「1,3,7-トリメチルキサンチン」ですが、さまざまな清涼飲料水や食品に一般的に含まれる化合物です。、もともとはコーヒーに由来するものであるとされており、 1907年に発表された最初の研究にさかのぼると、「カフェイン」のパフォーマンス向上効果は、1世紀以上にわたって幅広く研究されてきた歴史があるそうです。

栄養を補完するだけでなく、通常の状態を超えたパフォーマンスを引き出す物質や手段による効果を「エルゴジェニック効果」と呼ばれていますが。「カフェイン」もそのひとつということになりますね。

一方、「サーカディアンリズム(概日リズム)」とは、生体が持つ約24時間周期の生体リズムのことを言います。このリズムは、「体内時計」によって制御(せいぎょ)されており、睡眠と覚醒、ホルモン分泌、体温調節など様々な生理活動に影響を与えることが知られています。

これまでのブログ内でも度々(たびたび)話題にさせていただきましたが、「サーカディアンリズム」は、太陽光といった外部の環境(かんきょう)によって調整されることが一般的です。

太陽光など環境から入る光刺激が弱まると、脳内の松果体で分泌される「メラトニン」の量が増えます。そうしますと「睡眠」が誘発(ゆうはつ)されます

「メラトニン」は、上に示したように約24時間周期で、その産生量が変動し、夜間・暗所では分泌が促進されるなど、「サーカディアンリズム」の影響を強く受けていると考えられます。

ところで、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)とNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)などが「サーカディアンリズム」の調整機能を持つことは、以前のブログ内でもご紹介したかもしれません。

どのようなものであったかと言いますと・・・「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」を介した調整でして、「時計遺伝子」の転写調節が生じることがその理由でしたね。
「サーチュイン1遺伝子睡眠-覚醒リズムの調整が起こるわけですが、加齢に伴う「NAD+」の低下により、加齢に伴う機能低下が生じるわけですね。

このために加齢にともなって、「睡眠」の不調を感じる方が多くなると考えられているのですね。
「メラトニン」も、「NAD+」からのサーチュイン1遺伝子(SIRT1)」を介した調整も、「サーカディアンリズム」が大きく関係してくるのですね。

問題は、「珈琲(コーヒー)」の「カフェイン」は、この規則正しい「サーカディアンリズム」を本当に乱して(みだして)しまう可能性はあるのか?・・・ということになります。
そこで、参考になるのが、本文内でもご紹介した論文ということになるのですが、この論文には、次のようなことが報告されています。

「カフェイン」が眠気の影響の一部をなくし、「覚醒(かくせい)」した状態を維持するは常識となっていたのですが、「サーカディアンリズム」に影響があるかどうかは、この論文が出るまで、誰(だれ)も調べたことがなかったそうです。

この研究グループは、「体内時計」を観察できるように、被験者(ひけんしゃ)を実験室環境に置くという生体実験を行ったそうです。被験者はそれぞれ 49 日間実験室で生活したそうなのですが、その実験室に 時計はなく、外部の昼夜をまったく知ることができない状態にされたそうです。

このような状態で「カフェイン」投与後の夜間のメラトニン急増のタイミングを観察(かんさつ)することなどの実験がされたようです。

この結果、ダブルエスプレッソに含まれるものと同量の「カフェイン」を就寝の 3 時間前に摂取すると、「メラトニン」の通常の増加を遅らせ、時差ボケを約 1 時間引き起こすことがわかったそうです。

さらに「カフェイン」がどのようにその効果を引き出すかを理解するために、ヒト細胞を用いた試験管内実験を行ったのだそうです。
その結果は、驚くことに「カフェイン」は、試験管内で培養されたヒト細胞の「細胞時計」を数時間遅らせることを発見したそうです。
「細胞時計」とは、細胞レベルでの「サーカディアンリズム」となりますね。

秋の夜長(よなが)、音楽でも聴きながら「珈琲(コーヒー)」を1杯(いっぱい)飲んで過ごしたい・・・と思ったりもするわけですが・・・
この習慣が続きますと・・・「NMN」サプリなどの服用で、せっかく規則正し区なった「サーカディアンリズム」が、ボロボロに乱れてしまう可能性は、大いにあるということになりますね。

 

まあ、そうわかっていても寒い季節には

夜更け(よふけ)に飲む1杯の「珈琲(コーヒー)」は

美味しい(おいしい)わけですが・・・ね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 




 

(お台場の自由の女神とレインボーブリッジ)

( 筆者撮影)

 

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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よく晴れた休日となっていますね。

今朝は早起きをして、窓を開けて(あけて)いたのですが、鳥の鳴き声とともにヒンヤリとした空気を感じることができました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(AIを用いて画像を作成)

 

前々回、そして、前回のブログでは、「癌」の治療に関して幾つかの大きな問題が残っていることをお話しました。

 

その問題とは、どのようなものか?・・・と言いますと・・・

 

【A】癌細胞における「ATP産生の増加」

  「癌細胞の細胞周期」の回転スピードが増加   

 

【B】癌関連線維芽細胞(CAFs)」の増加

 

【C】癌幹細胞

 

というものでしたね。

 

今回は、上の【B】について、お話をしてみたいと思います。

 

癌に関連する線維芽細胞は、

「癌関連線維芽細胞(がんかんれんせんいがさいぼう)

 Cancer-Associated Fibroblasts、CAFs)」と呼ばれますが、

「腫瘍微小環境(しゅようびしょうかんきょう)」において重要な役割細胞の一種であるとされています。

 

「腫瘍微小環境」とは、腫瘍組織やその周囲に存在する細胞や分子、血管などの環境を指します。腫瘍は、この微小環境を変化させる能力があり、腫瘍の増殖や転移に大きな影響を及ぼすとされています。

 

つまり、癌組織は、孤立(こりつ)して存在するわけではなく、その周囲に「癌関連線維芽細胞」や他の細胞や分子、血管などの環境を作り出し、癌細胞が増殖しやすくなるような環境を作り出しているということにもなりますね。

 

 

          (図はお借りしました)

 

癌細胞の周囲に「線維芽細胞」や「血管内皮細胞」、そして、免疫細胞が混在しているのがわかりますよね。

 

「癌細胞」と「線維芽細胞」だけに注目しますと以下のようになります。癌組織を保護しているようにも見えますよね。

           (図はお借りしました)

 

では、「癌関連線維芽細胞CAFs)」について、もう少しだけ詳細にみてみたいと思います。

 

その起源ですが・・・正常な線維芽細胞が、癌細胞からの刺激を受けて変化したもの、または骨髄由来細胞から分化したものなどと考えられています。

 

では、どのような特徴を持つのかというと・・・次のようなものになります。

 

1)活性化された状態にあり、α-SMA(α-平滑筋アクチン)などのマーカーを発現している。

 

2)通常の線維芽細胞と比べて、増殖能力や遊走能力が高くなっているとされる。

 

image

         (AIを用いて画像を作成)

 

では、「癌関連線維芽細胞CAFs)」の持つ機能とは、どのようなものがあるのでしょうか?

 

<機能>

  • 細胞外マトリックの産生と再構築
  • 成長因子やサイトカインの秘密
  • 血管新生の促進
  • がん細胞の増殖、浸潤、転移の支援
癌の増殖、転移を助けていることが理解できますよね。
 
では、癌の進行に与える影響には、どのようなことが考えられるのでしょうか?
 

<癌進行への影響>

  • 腫瘍の増大を促進する
  • 薬剤耐久性の獲得に最適
  • 免疫抑制環境の形成に関与

ここに「癌細胞」と「免疫細胞の接触を阻害(そがい)するということや「癌細胞」を破壊する「免疫細胞」の能力を低下させるメカニズムが存在するのではないか?・・・と考えています。

 

例えば・・・「免疫細胞」が「癌細胞」に十分に接触できない・・・

なんてこともあるかもしれませんね

 

もちろん、現在、「癌関連線維芽細胞CAFs)」+「癌細胞」を同時に治療していく方法も検討されています。

 

言い方を変えますと・・・「癌関連線維芽細胞CAFs)」をコントロールしながらの「癌細胞」の破壊が可能になった時に初めて、

癌を克服(こくふく)できる可能性があるということになりますよね。

 

では・・・その治療法が確立するまで、私たちは現状のまま、待たなければいけないのでしょうか?

 

私は、そうでもないんじゃないかなあ〜なんて思っています。

続きは・・・後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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< ブログ 後記  >10月22日

癌関連のお話が続いていましたが、今回は最後の難関である「癌線維芽細胞」についてのお話をさせていただきました。

 

本文内でご紹介した「がん微小環境」で増えている線維芽細胞は、、「癌関連線維芽細胞(CAFs)」と呼ばれ、正常上皮細胞の「癌化」を助けたり、癌細胞が移動し遠隔転移できるように間質細胞の性質を持っていたりします。


本来、癌を排除(はいじょ)しようとする「免疫細胞」の力は、非常に強力なわけですが、各種臓器の固形癌では、癌の増大に伴って(ともなって)、その周囲や内部などに「癌線維芽細胞」が増加していくわけですね。

もし、「癌細胞」と接触することができれば、それを壊す(こわす)強い能力を「NK細胞」や「細胞障害性T細胞(CTL)」は備え(そなえ)ているわけですが・・・「癌細胞」に充分に
接触できない状況では、それを破壊できるはずもありませんよね。

「癌関連線維芽細胞(CAFs)」の増殖により、免疫細胞が「癌細胞」に接触することにより妨害される可能性が指摘されているのですね。


この現象は「免疫回避(めんえきかいひ)」と呼ばれ、癌が「進行」し、「治療抵抗性」の性質を獲得していく過程(かてい)に重要な役割を果たしていると考えられています。

実は、「癌関連線維芽細胞(CAFs)」機能は、免疫細胞の癌細胞への接触を妨害(ぼうがい)するだけでなく、免疫細胞の機能を低下させてしまう、さまざまな機能があることが知られています。

その一部を以下にご紹介してみたいと思います。

1) 物理的障壁の形成
「癌関連線維芽細胞(CAFs)」は、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質を過剰に産生し、密な線維性組織を形成します。
この物理的障壁が免疫細胞の腫瘍内への浸潤を妨げると考えられています。

2)化学的障壁の形成
「癌関連線維芽細胞(CAFs)」は、様々な因子(TGF-β, CXCL12など)を分泌し、免疫抑制的な微小環境を作り出します。これにより免疫細胞の活性が抑制されます。

3)血管構造の変化
CAFsは異常な血管新生を促進し、免疫細胞の腫瘍内への浸潤を困難にします。

前回までのブログで「癌幹細胞(がんかんさいぼう)」を高い確率で破壊することができる。現時点では、「抗がん剤」は無効である場合が多いとお話をしたのですが・・・「癌関連線維芽細胞(CAFs)」まで話が及び(および)ますと・・・これは「免疫細胞」単独では難しい・

・・・ということになります。

 

では・・・「抗がん剤」は、「癌関連線維芽細胞(CAFs)」を伴う癌組織になぜ、有効性を示す確立が大きいと言えるのでしょうか?

 

この理由は、次のようなことではないか・・・と考えられています。
「抗がん剤」は、当然ですが、「癌細胞」を破壊します。

このことが、すぐに「癌関連線維芽細胞(CAFs)」をすべて破壊する

わけではありません。

 

しかしながら、長期的には「癌細胞」の減少によって、周囲の「癌関連線維芽細胞(CAFs)」の数や活性が低下するのではないか・・・と

考えられているのですね。

 

この理由は、癌関連線維芽細胞(CAFs)の形成と維持において、「癌細胞」から放出される「ATP」のエネルギーは重要な役割を果たしていると考えられているからなのですね。

 

「抗がん剤」などの投与は、「癌細胞」を破壊しますので、「癌関連線維芽細胞(CAFs)」に供給する「ATP」が減ってしまうというわけですね。

 

「癌関連線維芽細胞(CAFs)」の形成と維持には、癌細胞からの「ATP」によるエネルギー供給が、とても重要な詳細な理由も報告されているのですが、これについては、またの機会の話題にしたいと思います。

もちろん、「ATP」だけの問題ではなく、他の因子(成長因子、サイトカインなど)も複合的に作用していることにも注意は必要とされているわけですが・・・ね。

 

以上のように「癌の免疫治療」は、まったくのイカサマというわけではなく、現時点では「抗がん剤」などを併用していくことで、本来の「免疫細胞」の真の力を発揮(はっき)できる可能性が高い・・・ということになりますね。

 

現時点では・・・ということで、近い将来に、この常識が変わることがあるかもしれないわけですが・・・ね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

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(以前のphoto;真夜中の東京タワー)

( 筆者撮影)

 

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

よく晴れた休日となっていますね。

今朝は早起きをして、窓を開けて(あけて)いたのですが、鳥の鳴き声とともにヒンヤリとした空気を感じることができました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

image
(AIを用いて画像を作成)

 

前回のブログでは、「癌」の治療に関して幾つかの大きな問題が残っていることをお話しました。

 

その大きな問題は、標準治療の「抗がん剤治療」を行うにしても、また、補助的(ほじょてき)に免疫細胞治療を選択(せんたく)するとしても、克服(こくふく)しなければならない問題となるのですね。

 

その問題とは、どのようなものか?・・・と言いますと・・・

 

【A】癌細胞における「ATP産生の増加」

  「癌細胞の細胞周期」の回転スピードが増加   

 

【B】癌関連線維芽細胞(CAFs)」の増加

 

【C】癌幹細胞

 

という問題があると、前回のブログでまとめさせていただきました。

 

今回は、【C】の「癌幹細胞」についてのお話をしてみようと思います。

 

「癌幹細胞」とは、どのような細胞なのか? そして、通常の「癌細胞」との違い(ちがい)はどのようなことがあるのでしょうか?

 

「癌幹細胞」と「癌細胞」の主な違いは以下のとおりです・・

 

1)自己複製能力

  • 「癌幹細胞」: 無限に自己複製できる
  • 「癌細胞:」::自己複製能力は限定的

2)分化能力

  • 「癌幹細胞」: 様々な種類の癌細胞に分化できる(薬剤耐性の獲得など)
  • 「癌細胞」: 分化能力は限られている

3)腫瘍形成能力

  • 「癌幹細胞」少数でも新たな腫瘍を形成し、転移することができる
  • 「癌細胞」 腫瘍の大きさを維持するために大量の細胞が必要

4)治療抵抗性

  • 「癌幹細胞」「化学療法」や「放射線療法」に対して高い抵抗性を示す=効果が出にくい
  • 「癌細胞」 比較的、「化学療法」や「放射線療法」に感受性がある=効果が出やすい

5)転移能力

  • 「癌幹細胞」 高い転移能力を持つ
  • 「癌細胞:」  転移能力は癌幹細胞ほど高くない

6)細胞周期

  • 「癌幹細胞」 「化学療法」や「放射線療法」の施行中は休眠状態にある
  • 「癌細胞:」活発に分裂している

上に示した特性により、「癌幹細胞」は癌の再発や転移の主な原因となり、治療の重要なターゲットと考えられているのですね。

 

「癌幹細胞」に「化学療法」が効果がない・・・と聞くと、違和感を

感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。

 

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(AIを用いて画像を作成)

 

これは、次のような理由によるものである・・・と考えられています。

 

化学療法施行中の癌幹細胞の細胞周期回転速度について、以下のような特徴が観察されています。

 

化学療法施行中の癌幹細胞は、化学療法に反応して細胞周期をG0期(休眠状態)や G1期で停止させる傾向があります。

 

これは、DNA損傷チェックポイントの活性化や、細胞周期制御因子(p21, p27など)の発現上昇が原因と考えられています。

 

完全に細胞周期を停止させないこともあって、低速な細胞周期になることもあります。通常の癌細胞に比べて非常に遅い速度で細胞周期を回転させるというのです。

これにより、DNA複製や細胞分裂の際に標的となる「化学療法薬」の効果を回避するというのですね。

 

つまり、急速に分裂する「癌細胞」が化学療法により死滅する一方で、ゆっくりと分裂する「癌幹細胞」が選択的に生存し、治療後の腫瘍における「癌幹細胞」の割合が相対的に増加することもあるのですね。

 

image

 (AIを用いて画像を作成)

 

化学療法終了後、生存した「癌幹細胞」は再び活発な細胞分裂を開始し、腫瘍の再増殖や再発の原因となるとされています。

 

そして、この残った「癌幹細胞」は、抗がん剤などの薬物排出ポンプ

高発現しており、これにより細胞内の薬剤濃度を低く保ち、

細胞周期への影響や細胞増殖への影響を最小限に抑えることができるというわけです。

 

では、癌に対して「免疫細胞」を用いる治療は、「癌幹細胞」に対して有効性を示すのでしょうか?

 

「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」「CTL(細胞傷害性T細胞)」は、癌幹細胞を破壊することが可能です。

 

しかし、この過程には複雑な要因が関与していて、完全な排除は困難な場合があります。

 

以下に、これらの免疫細胞が癌幹細胞を攻撃できる理由と、その限界について説明してみたいと思います。

 

「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」による「癌幹細胞」の破壊が可能な理由は、次のようなものです。

 

a) MHC class I分子の発現低下: 癌幹細胞では正常細胞に比べてMHC class I分子の発現が低下していることがあり、これはNK細胞の活性化を促進します。

 

b) ストレス誘導性リガンドの発現: 癌幹細胞はMICA/MICBなどのNK細胞活性化受容体のリガンドを発現することがあり、NK細胞の攻撃を誘導します。

 

c) 抗体依存性細胞傷害(ADCC): 癌幹細胞特異的な抗体が存在する場合、NK細胞はADCCを介して癌幹細胞を攻撃できます。

 

「CTL(細胞傷害性T細胞)」による「癌幹細胞」の破壊が可能な理由は、次のようなものになります。

 

 a) 腫瘍特異抗原の発現: 癌幹細胞も腫瘍特異抗原を発現しており、これらがMHC class I分子を介して「CTL(細胞傷害性T細胞)」に提示されます。

 

b) 共刺激分子の発現: 一部の癌幹細胞では、T細胞活性化に必要な共刺激分子(例:CD80/CD86)を発現していることがあります。

 

しかし、癌幹細胞の完全な排除が難しい理由もあります。それは、次のような理由によります。

 

1)免疫抑制機構

  • PD-L1やCTLA-4などの免疫チェックポイント分子の発現
  • 免疫抑制性サイトカイン(TGF-β、IL-10など)の産生低免疫原性:
  • 一部の癌幹細胞では抗原提示機構が低下している

2)抗原となる遺伝子領域の変化

  • 癌幹細胞は遺伝子をランダムに変化させ、抗原提示される部分の遺伝子やタンパク質を変化させ、免疫認識から逃れる能力がある
3)免疫細胞の疲弊(ひへい)による攻撃力の低下
とくに「CTL(細胞傷害性T細胞)」では、疲弊が顕著であると言われています。
 
4)癌関連線維芽細胞(CAFs)」の増加
 

これらの理由から、「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」「CTL(細胞傷害性T細胞)」などの免疫細胞は、「癌幹細胞」を攻撃できて、破壊できるものの、完全な排除は困難であるとされています。

 

通常の「癌細胞」と「癌幹細胞」の数は、膨大な数に登るため、そっれらのすべてを破壊するのは困難であり、細胞も疲弊してしまうからですね。もし、「免疫細胞」だけで治療を行うとすると長い年月と膨大なコスト(費用)がかかってしまいます。

 

そのため、現在の研究による世界的な常識では、癌に対する「免疫療法」と他の標準治療(化学療法、分子標的治療、放射線治療など)を組み合わせることで、「癌幹細胞」を含む腫瘍全体を効果的に制御する方法が探索されているのですね。

 

JTKクリニックでも、この世界的な常識に併せて、標準治療(化学療法、分子標的治療、放射線治療など)と癌に対する「免疫療法」を交互に行っていく方法をとっているのですが・・・

 

巷(ちまた)で流行(はやり)の「癌免疫治療」は悪(アク)とする

風潮にはタジタジなのですね。

おっと、これは、愚痴(ぐち)になってしまいましたね。

 

イギリスのがん研究団体「キャンサー・リサーチUK」の談話では、癌の遺伝子の変化は無限であることから、末期癌に治療は困難である・・・と結論を出していることは、以前のブログでもご紹介したわけですが・・・通常の「癌細胞」と「癌幹細胞」を同じ細胞群として、考えてはいなかったか?・・・という疑問は残ります。

 

難しいのは「癌幹細胞」を消滅させることであったのではないか・・・ということです。

 

最近の「ビジネスワイヤ」という記事によれば、オーストリアのAOPヘルスは、Leukos・Biotechと連携して実施する第I相臨床試験「SERONCO-1」を開始することが報道されています。

この試験は、充実性癌やリンパ腫の患者を対象として、これまでがん治療の中心ではなかった「癌幹細胞」をターゲットにするものであり、「癌幹細胞」の細胞膜上にある受容体を標的とする新たな化合物を評価するもので、がん領域ではファースト・イン・クラスの薬剤開発といえる・・・と報道されています。

 

なので・・・英国の医療者は知りませんが、まだまだ、その他(ほか)は、まだまだ、諦めて(あきらめて)はいないのですね。

 

私自身もこの「臨床試験」の結果を楽しみにしています。

 

もちろん・・・この「臨床試験」の結果がうまくいけば・・・「癌の免疫細胞治療」という言葉は「死語(しご)」になってしまうのだと

思いますが・・・多くの癌を患う患者さん方が喜ぶなら、そちらの方がよいかな・・・と思っています。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

--------------------------------------------------------------------

 

<ブログ後記  >

 

夜の空気は、かつての蒸し暑さはなくなっていますね。

来週の後半には、冬の寒気が訪れそうだというニュースもありました。

 

ヒトの体内では、1日に3000個の癌細胞が発生すると言われています。しかし、その日のうちに「免疫細胞」によって、すべての癌細胞が破壊されます。

この「免疫細胞」は、ヒトが生まれつき持つ「ナチュラル・キラー細胞(NK細胞)」などであるとされています。

しかし、加齢(かれい)とともに「NK細胞」の活性(かっせい)が低下していきます。

 

このタイミングで・・・各種の臓器の「癌の発症」が増えていくというデータもあります。

当初は、自分自身の「免疫細胞」を採取して、大量に増加させたうえで、サイトカインなどを加え、その「活性」を高めて、再度、自分の血管内に投与する方法は、とても理論的であり、その効果は期待できるのではないか・・・と期待をしていました。

 

しかしながら、「延命治療」にはなっても、すべての方が「完治」とはならないことが多かったわけです。

「癌の免疫治療」のゴールは、標準治療のように各種の画像で確認できなくなった時ではなく、細胞レベルで癌の存在がない時となるので

・・・もちろん、ハードルが高いわけですが・・・ね。

 

その「障壁(しょうへき)」は、どのようなことが考えられるのか?

・・・ということです。

 

前置きが長くなりましたが、今回はその「障壁(しょうへき)」のひとつである「癌幹細胞」についてのお話をさせていただきました。
なんとも厄介(やっかい)な性質が「癌幹細胞」にあることは、
ご理解いただけたことと思います。

「癌幹細胞」と通常の「癌細胞」には、いくつかの重要な違いがあります。


1)自己複製(コピー)能力
「癌幹細胞」は、自己複製能力が高く、長期間にわたって継続し続けることができます。一方、通常の「癌細胞」の自己複製能力は限定的であると考えられています。

2.)腫瘍形成能
少数の「癌幹細胞」でも新しい腫瘍、つまり、再発巣(さいはつそう)や転移巣(てんいそう)を形成することができます。

これに対して、通常の「癌細胞」では、新たな病巣を形成するには、多くの細胞が必要であると考えられています。

3)治療抵抗性
「癌幹細胞」は、化学療法や放射線療法など従来の治療に対して高い「抵抗性」を示すことが多いとされています。

4)休眠状態
「癌幹細胞」は、一時休眠状態を維持できる場合があり、これが再発の原因となることがあります。

これらの違いにより、「癌幹細胞」は癌の再発や転移において重要な役割を行っていると考えられています。

この中でも、抗がん剤や分子標的約などの薬剤の効果がなくなる「治療抵抗性」を示すことは、大きな問題となります。
この「治療抵抗性」について、もう少し詳細にみてみますと、次のようになります。

「癌幹細胞」の治療抵抗性メカニズムは複雑で、薬物排出ポンプの過剰発現 以外にも複数の要因の関与が関与しているとされています。


これらのポンプが「抗癌剤」を細胞外に排出し、細胞内薬物濃度を低下させるとされていますが、これは、癌幹細胞内で
ATP産生が増加していることも関連していると考えられています。
 

また、「解毒酵素の活性化」や「DNA修復能力」の向上がDNA修復遺伝子(MGMT、ERCC1など)の発現上昇し、「癌幹細胞」のDNA損傷を迅速に修復し、アポトーシスを回避する能力もあります。

抗アポトーシスタンパク質(Bcl-2、Survivinなど)の過剰発現したり
して「アポトーシス」を回避することも知られてますし、
また、「癌幹細胞」の多くが、抗がん剤などの薬剤投与中には、休眠状態(G0期)になり、細胞周期依存性の薬剤に対して抵抗性を示すことも知られています。

DNAメチル化やヒストン修飾の変化による遺伝子発現の調節
薬剤耐性関連遺伝子の発現上昇や抑制遺伝子活性化


解糖系やミトコンドリア機能の変化による適応力が増加したり、過剰伝達経路の活性化により、自己コピー能力と生存を促進するなど・・

・・これは、「癌幹細胞」は、「化け物(ばけもの)」のような細胞であるわけです。


これらの考え方が複合的に作用することで、「癌幹細胞」は高度な治療抵抗性を獲得します。この抵抗性が、治療後の再発や転移の主要な原因となっています。

 

これだけの高いハードルを持つ「癌幹細胞」がある条件下では、「免疫細胞」では破壊できるわけですので・・・ね。

 

癌組織の大半を占める、通常の「癌細胞」を「標準治療」で破壊した後に「免疫細胞」を用いて「癌幹細胞」を破壊するという考え方が、

大きく的外れ(まとはずれ)ではない可能性もありますよね。

 

もちろん、抗がん剤などの薬剤投与前に自分自身の免疫細胞を採取しておく必要がありますが・・・。

骨髄の抑制が起きてしまうと・・「免疫細胞」の数や質が低下してしまいますからね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

(東京タワーと麻布台ヒルズ)

( 筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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(総合内科、リウマチ専門医)

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

暑かった夏が少しだけ懐かしくなるほど、気温は少しだけ低くなりまして、朝や晩はヒンヤリと感じますね。

 

快適といえば、まあ、そうなのですが・・・。

暦に目をやりますともうすぐ、七十二候が

鴻雁来(こうがんきたる)」となることに気がつきました。

 

雁(がん)や白鳥(はくちょう)は、冬の寒い時期に日本に飛来するわけですが・・・約4000Kmの距離を飛んでくると聞いたことがあります。

 

とくに雁(がん)は、一羽の雁(がん)を先頭に隊列(たいれつ)を組んで飛ぶそうです。

 

If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together. 

早く行きたければ一人でいけ、遠くへ行きたければみんなでいけ

 

という諺(ことわざ)を思い出しました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

           (AIを用いて画像を作成)

 

雁(がん)の話題から始まりましたので、今回は「癌」に関連する話題にしてみたいと思います。

 

「癌」に関しては、幾つかの問題が残っています。

 

その大きな問題は、標準治療の抗がん剤を使うにしても、また、補助的(ほじょてき)に免疫細胞を用いる(もちいる)としても、

どうしても克服(こくふく)しなければならない問題となるのですね。

 

では、どのような問題があるのでしょうか?

 

まずは、癌細胞における「ATP産生の増加」「癌細胞の細胞周期」の回転スピードが増加する問題となります。

そして、次に癌関連線維芽細胞(がんかんれんせんいがさいぼう)(CAFs)」の増加となります。

 

そして、最後に「癌幹細胞(がんかんさいぼう)ということになります。

 

癌にも「幹細胞」があるのかと驚かれる方も多いかもしれませんね。

 

image

          (AIを用いて画像を作成)

 

上にあげた4つの問題をグループの分けるとすると、以下のようになります。

 

【A】癌細胞における「ATP産生の増加」

  「癌細胞の細胞周期」の回転スピードが増加   

 

【B】癌関連線維芽細胞(CAFs)」の増加

 

【C】癌幹細胞

 

となるわけです。

 

【A】で癌細胞の「ATP産生」の増加と細胞周期の回転スピードの増加を1つのグループにしたのは、以下の理由からです。

 

癌細胞のATP産生増加と細胞周期の回転スピード増加の関係は、単純な一方向の因果関係ではなく、複雑な相互作用を持つ関係ではないかと考えられているから・・・というのが理由となります。

 

さらに・・・ATP産生増加 → 細胞周期の加速 → さらなるATP需要 → さらなるATP産生増加という「相互強化(そうごょうか)サイクル」が指摘されているのです。

 

そして、この【A】のプロセスが、癌発生の中期以降に【B】や【C】の問題を引き起こしていくと考える研究者が多いわけですね。

 

なので、少なくても【A】のプロセスが何らかの方法によって解決されないと・・・癌、とくに固形癌(肝臓、膵臓、胃癌、大腸癌などの

癌)が完全に制圧できる日が来ない可能性が高いのかもしれません。

 

もちろん、すべてを諦めた(あきらめた)わけではありません。むしろ、多少の希望があるから、癌の進展のプロセスを整理しているのですね。

 

そして、上にあげた理由から、癌の「早期発見」と「予防」が極めて(きわめて)重要であると言えます。

 

生活習慣の改善、定期的な健康診断、そして癌リスクの高い個人に対する積極的なスクリーニングなど、包括的な癌に対する取り組みが重要となるわけですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記>10月8日

 

今宵は、冷たい雨が降り続いています。本文内でもお話をしたように

暦の七十二侯では、「鴻雁来(こうがんきたる)」となりました。

 

聞いた話であるが・・・「雁(がん)」などの渡り鳥は、片道の数千キロを旅して飛来するわけですが・・・目的地までほとんど飲まず食わずで海をわたるわけですが、途中で力つきたり、諦めて(あきらめて)しまったり、てきにおそわれて死んでしまうこともあるそうです。

 

そういう点では、渡り鳥にとって「わたり」はギャンブルのようなものなのだとか。途中で力つきたり、諦めて(あきらめて)しまったりするのは、ヒトも同じだなあ〜なんて、思った次第です。

 

癌に関する話題は、あまりお話をしてこなかったので、「もう、とっくに癌の免疫治療は、諦めて(あきらめて)しまったのか・・・とメッセージが、昨夜ありました。

 

実は、癌の免疫細胞だけによる治療は、難しい(むずかしい)のではないかと考えており、最近は標準治療の補助療法としての「癌免疫治療」を模索(もさく)しておりまして、実際にそのように治療を進めておりました。

 

昨年(2023年4月)に英国のBBCニュースに次のような記事が掲載されました。

Study revveals cancer’s i'nffinite'  ability to evolve

 

がん細胞の進化や生存の能力は「ほぼ無限」だとする、イギリスの研究結果が公表された。

 

この研究は、イギリス国内の13の病院で行われ、400人以上が参加した。肺がんの進行に沿って、腫瘍の異なる部分から生体組織を採取し、検査を行った。

ユニヴァーシティ・コレッジ・ロンドンのフランシス・クリック研究所に勤めるチャールズ・スワントン教授は、「がんの適応能力の高さに驚かされた」

「気が滅入る言い方はしたくないが、がんの進化にはほぼ無限の可能性があり、末期にはがん細胞が数千億個にも増えることを考えると、そうしたステージのがん患者全員に効く治療法の確立は、非常に難しいと言える

 

癌は一つの壊れた細胞から始まるが、少しずつ異なる変異を続け、やがては数百万もの細胞のかたまりになる。

 

「畏怖」には、恐怖を感じているだけでなく、恐れの中にも尊敬や崇拝の気持ちが含まれているという、神仏や自然など、人間の力ではどうにもならない圧倒的な力を持っているものに対して使われる言葉ですね。

 

そして、「万能の」がん治療薬をすぐに開発できる可能性は低いため、がん予防に注力するべきだとイギリスのがん研究団体「キャンサー・リサーチUK」は、結論を出しているわけですね。

 

「トレイサーX」と名付けられた今回の研究は、がんがどのように進化するのか、そして身体に広がる原因は何かについて、最も詳細なデータを提供しています。

 

標準治療や一部の免疫治療で癌を治療した結果の研究結果であるわけですので・・・ね。これは、「免疫治療」だけでは、なかなか難しいだろうと私は考えたわけです。

英国の癌専門の医療従事者たちも「事実上、諦めた(あきらめた)わけですのでね。

 

この時点から、英国の癌専門の医療者たちが、神仏や自然など、人間の力ではどうにもならない圧倒的な力を持っているものと「畏怖」の念を感じた「癌細胞」の問題点を詳細に検討してみると

問題は、以下の4つが大きいのではないか・・・と考えたわけですね。

 

【A】癌細胞における「ATP産生の増加」

  「癌細胞の細胞周期」の回転スピードが増加   

 

【B】癌関連線維芽細胞(CAFs)」の増加

 

【C】癌幹細胞

 

もちろん、そんな簡単なものじゃない・・・とおっしゃっる専門家の方もいらっしゃると思いますが・・・ね。

 

今回は、「癌細胞の細胞周期」の回転スピードが増加することに少しだけ触れて(ふれて)みたいと思います。

   

癌細胞の「細胞周期」は、正常細胞と同様に主に4つの段階(フェーズ)に分けられます。

 

G1期→S期→G2期→M期→G1期とグルグルと細胞周期は進行し、M期になると細胞が2倍の数になります⁠。

 

           (図はお借りしました)

 

癌細胞内の「ATP濃度」が高いと、これらの経路がより活発に機能し、細胞周期の進行を促進する可能性があります。つまり、細胞周期の回転速度が増加し、短時間に細胞が増加していくことになります⁠。

 

短時間に細胞が増加していけば、DNAの複製の際にコピーのエラーが生じる可能性が高くなりますよね。

 

「癌は一つの壊れた細胞から始まるが、少しずつ異なる変異を続けて・・・」という先にあげた文章の「遺伝子の変異(いでんしのへんい)」は、このような「DNAの複製の際にコピーのエラー」が生じる

ということになりますね。

 

そして、「ATP」とは、あのミトコンドリアで産生されるエネルギーですね。

 

「癌細胞」の「細胞周期」の特徴として以下が挙げられます:

 

「癌細胞」は、正常細胞よりもブドウ糖を多く取り込み、「解糖系」という経路を利用して、より多くの「ATP」を生成します⁠。

 

そして、「癌細胞」内のATPの量が多いほど、細胞周期の進行が促進されると考えられています⁠。

 

そして、癌の進行に伴い、「癌細胞」の増殖スピードが速くなる可能性が指摘されています。

 

「癌細胞」の増殖スピードが速くなる要因として、以下が挙げられています。

遺伝子変異の蓄積⁠1⁠。

癌細胞の増殖制御システムの喪失⁠1⁠。

血管新生による栄養と酸素の供給増加⁠1⁠。

 

これには、以下のような複数の要因が関係しているとされています。

 

1)遺伝子変異の蓄積

 

時間とともに、癌細胞にはさらなる遺伝子変異が蓄積し、より速い増殖を促進する可能性があります⁠。

 

2)癌細胞の増殖制御システムの喪失

 

癌の進行に伴い、細胞分裂を制御する遺伝子がさらに損傷を受け、無制限の増殖につながる可能性があります⁠。

 

3)血管新生

 

進行した癌は新しい血管の形成を促進し、より多くの栄養と酸素を得ることで増殖を加速させます⁠。

 

上記の1)の癌細胞の遺伝子変異のスピードが速いと、当初のヘルパーT細胞や細胞障害性T細胞(CTL)による癌細胞の破壊が困難になる可能性が高くなります。これは「癌の免疫逃避(めんえきとうひ)」と呼ばれる現象の一つの形態です⁠。

 

かといって、「NK細胞」なら、効果があるというわけでもないのですね。

 

また、癌細胞の細胞周期の回転スピードが速くなることは、「薬剤耐性」を引き起こす可能性を高めるとされています⁠1⁠。

 

この原因として、次のようなことが考えられます。

 

細胞分裂が頻繁になると、DNAの複製エラーや修復ミスが蓄積しやすくなります⁠。

 

頻繁な細胞分裂と遺伝子発現の変化により、「多剤耐性タンパク質(MDR)」などの薬物排出ポンプの発現が増加する可能性があります⁠。

 

これにより、細胞内の薬物濃度が低下し、治療効果が減弱します⁠1⁠。

さらに多様な細胞集団の中に、薬剤耐性を持つ亜集団が存在する可能性が高くなります。

 

続きは・・・まだまだあるのですが、またの機会にしたいとおもいます。

 

今後、【B】や【C】の問題についてもお話をしていきたいと思います。

 

さて、ここまでお読みいただいて、「癌細胞の細胞周期」のトラブルは、どのような状態になれば、少しは正常化するか・・・という検討はつきますでしょうか?

 

 

それとも、あなたは諦め(あきらめ)ますか?

大丈夫です・・・以前の私も、そうでしたからね爆  笑

 

もちろん、現在は違いますが・・・ねウインク

 

そして、ダメなことを説得するための文章ではないことを改めて、

お伝えしておきたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

<東京駅丸の内側駅舎>

( 以前のphoto:筆者撮影)

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

9月最後の休日になっています。

 

気温の方は、随分(ずいぶん)と過ごしやすくなっているのですが、

まだまだ、湿度(しつど)の高さが感じられる曇りのお天気になっています。

 

すっきりと晴れればよいのに・・・と考えていたところ、次のような英語の格言を思い出しました。

 

The mind is easy to change like an autumn sky.

 

秋の天候は移ろいやすく、転じて人の心の変わりやすいことの例え(たとえ)だそうで、秋の空は七度半変わるのだとか。

 

ならば、天気がどうこうと文句(もんく)を言っても仕方がない・・

・ということになりますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

  
<AIで作成>
 

今回は、「糖分」の摂取(せっしゅ)しすぎると・・・健康によくないらしい・・・というお話をしてみたいと思います。

 

秋の季節といえば・・・果物(くだもの)が美味しい(おいしい)季節となりますよね。

 

私自身も果物は、とても好きでして・・・葡萄(ぶどう)、梨(なし)

柿(かき)、リンゴ、栗(くり)・・・などを食べることを楽しみにしているわけですが、果物は、糖分が多く含まれるものが多いのだとか。

 

最初にあげた・・・「糖分」の摂取(せっしゅ)しすぎると・・・健康によくないらしい・・・ではなく・・・完全によくない・・・と断言(だんげん)できるものなのですね。

 

image

            <AIで作成>

 

では、「糖分」についての本題に入っていきたいと思います。

 

実は、添加された「糖類」の摂取は、老化を早める可能性があることを報告する、新たな研究結果が示されているのですね。

 

参考)

1.JAMA Network Open. 2024 Jul; 7(7): e2422749.

Essential Nutrients, Added Sugar Intake, and Epigenetic Age in Midlife Black and White Women

Dorothy T..Chiuら

 

この研究では、食生活が健康的でも、添加物としての「糖類」の摂取が1g増加するごとに「生物学的年齢」が上昇する可能性がある・・・

と報告しているのですね。。

 

もちろん、その一方で、「ビタミン」や「ミネラル」、「抗酸化物質」とされる栄養素が豊富な食事は、「生物学的年齢」の若さを保つ効果があるとも報告はされているわけですが・・・。

 

「へーそうなんだ」・・・と思う方もいらっしゃるかもしれませんが・・・

「 糖 」の摂りすぎが、「生物学的年齢」が上昇する・・・とは、言い換えれば・・・

「 糖 」の摂りすぎが「老化」を早めるということになります。

 

「 糖 」の過剰な摂取(せっしゅ)は、当然ですが・・・摂取するカロリーは多くなるでしょうし、肥満傾向にはなるかも・・・とは考えるわけですが、「老化」のプロセスを早めてしまう・・・と聞くと、

少し驚いて(おどろいて)しまいます。。

 

実は、「糖」の過剰摂取(かじょうせっしゅ)と「老化促進(ろうかそくしん)」の関連性を示唆する研究は多数ある様です。

 

もちろん、「証明した」と断言できる単一の論文はありません。

 

なぜなら・・・「老化」は複雑なプロセスであり、単一の原因によって、影響されるものではないから・・・というのが、その理由となります。

 

しかし、糖の過剰摂取が老化のいくつかの側面を加速させる可能性を示唆する有力な証拠を示した研究はあるようです。

 

では、「過剰な糖」の摂取が、「老化」のプロセスを早めてしまうメカニズムとは、どのようなものであるのでしょうか??

 

そして、その「老化」の進行スピードを遅くする方法には、どのようなものがあるのでしょうか?

 

続きは・・・後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<ブログ後記>10月1日
 

10月になりましたね。
まさに「食欲の秋」の本番とも言える季節になっていますね。

そんな季節に「糖分」をとるのが健康に悪いなどとゴチャゴチャ言われてもね〜と面白くない(おもしろくない)と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

或いは(あるいは)、そんなことは知っていたよ・・・という方もいらっしゃるがるかもしれませんね。

もちろん・・・「糖分」をとることは、健康を維持するために

とても重要なことではあると言えますし、次のようなメリットがあります。
 

例えば・・・「糖分」を身体(からだ)に取り入れれば、脳や筋肉

などの器官に瞬時(しゅんじ)にエネルギーを供給することができます。

では、もしも、糖分を一切(いっさい)摂取(せっしゅ)しないとしたら・・・ヒトは、どうなるのでしょうか

「糖分」がなければ、ひとつの方法として、「タンパク質の分解(アミノ酸代謝)」が起こります。
これは、筋肉などのタンパク質が分解されて「アミノ酸」になる反応で、一部の「アミノ酸」は「グルコース(糖)」に変換されます。

 

もちろん、「アミノ酸」だけからということはないのですが・・・

糖質以外の物質によりグルコースを合成・供給を行う働きのことを

「糖新生(とうしんせい)」と呼びます。

 

「糖新生」は、ヒトの身体にとってストレスとなりまして、運動能力の低下,精神的な疲労感の増加反応時間の遅延などのパフォーマンスの低下がおこることが多いとされています。
 

つまり、「糖」を適正な量のみを摂取(せっしゅ)することは、必要である・・・ということになりますね。

しかしながら、「糖」の過剰な摂取には注意が必要です。

「糖」の過剰摂取は、次のようなリスクがあると考えられています。

1)肥満リスクの増加
2)2型糖尿病の発症リスク上昇
3) 心臓病のリスク増加

そして・・・これらのリスクは、ヒトの寿命にも影響を与える可能性があるとされています。

さらに、「糖」の摂取量を減らすことによる健康改善の効果に関する研究もあります。

 

ある研究によると、過剰な砂糖摂取は、多くの非感染性疾患 (NCD) の一般的な危険因子として十分に文書化されています。

参考)
1. Nutr J. 2024 Jan 17;23(1):11. 
Components in downstream health promotions to reduce sugar intake among adults: a systematic review
Syathirah Hanim Azhar Hilmyら

そして、最近は「加糖飲料」について、健康を維持するうえで、あまり良くないんじゃないか・・・という話題があります。

 

「加糖飲料」とは、砂糖やブドウ糖などの糖類が添加されている飲み物ですね。

 

「加糖飲料」を漫然と摂取するなどの習慣的な摂取は、「体重増加」や「2型糖尿病」、「心血管疾患」などのリスク上昇につながるなどとされているのですね。

参考)
3.Nat Rev Endocrinol. 2022; 18(4): 205–218.
The role of sugar-sweetened beverages in the global epidemics of obesity and chronic diseases
Vasanti S. Malikら

参考)
4.Br J Sports Med. 2016 Apr; 50(8): 496–504.
Consumption of sugar sweetened beverages, artificially sweetened beverages, and fruit juice and incidence of type 2 diabetes: systematic review, meta-analysis, and estimation of population attributable fraction
Fumiaki Imamuraら

まったく、イヤになってしまうな〜と思われた方も多いのではないでしょうか・・・。

 

そして、最後にご紹介する話題は、もっと、イヤ〜な気分にさせてしまうかもしれません。

参考)
5.Biogerontology. 2018 Dec;19(6):447-459. 
Obesity and type-2 diabetes as inducers of premature cellular senescence and ageing
Dominick G A Burtonら

肥満と2型糖尿病は早期細胞老化と老化の誘発因子であるというショッキングな題名ですが、

「細胞老化」は現在、さまざまな疾患の発症と進行における主要なメカニズムと考えられており、「肥満」や「2型糖尿病」などの代謝性疾患も含まれる可能性がある。

 

「肥満」や「2型糖尿病」は、体内の他の組織における「細胞老化」を加速させる環境を作り出す可能性がある。

 

「高血糖値」や「酸化低密度リポタンパク質」などの高値によって早期の細胞老化が誘導されることで老化が加速されるわけですが・・・

 

「肥満」や「糖尿病」などの疾患がありますと・・・

このような状態は、容易に起こりうる・・・というのですね。

 

「低密度リポタンパク質」とは、「LDL-C(悪玉コレステロール)」ですね。

 

そして・・・とくに心血管疾患と発症に関連のある「血管内皮細胞」や「血管平滑筋細胞」における「細胞老化」の加速が示されているというのですね。

 

 

つまり、糖の過剰な摂取は、「体重増加」や「2型糖尿病」などのリスク上昇につながるわけですが・・・

この状態になりますと・・・わりと簡単に(?)「高血糖値」や「酸化低密度リポタンパク質」などの高値の状態になりやすくなり

 

そのことは「血管内皮細胞」や「血管平滑筋細胞」の「老化」へのスピードをさせ、「心筋梗塞」や「脳梗塞」などの心血管疾患を高い頻度で発症させる・・・というのですね。

 

だんだんと中身がヘビーなお話となってしまいましたが・・・

 

そもそものキッカケとなる出来事(できごと)は、どのようなことであったでしょうか?

 

そうですね。「糖」の過剰摂取が・・・キッカケとなる出来事(できごと)でしたね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

 

<東京ポートシティー竹芝付近(港区海岸>

( 以前のphoto:筆者撮影)

 

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