こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

いよいよ12月最初の休日となっています。

師走(しわす)を迎え、何かと慌ただしい(あわただしく)と感じる方も多いのではないでしょうか?

 

暦を見ますと・・・明日12月2日からの七十二候は「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」となりますね。

 

「橘(たちばな)」は柑橘類(かんきつるい)を指し、金柑(きんかん)や橙(だいだい)などを指すようです。

 

橙(だいだい)は、ビターオレンジ、サワーオレンジなどを指し、

香りが良いのですが、そのまま食べるのには適さず(てきさず)

万葉の時代から風邪の薬として知られていたそうです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

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(AIを用いて画像を作成)

 

今回の話題は・・・「サーカディアンリズム(概日リズム)」の乱れは、「肥満」につながるのか?・・・を検討してみたいと思います。

 

もちろん、答えは「Yes(イエス)」となるわけですが・・・ね。

 

「サーカディアンリズム」は、体内時計によって調節される約24時間周期の生理リズムを指しましたよね。

 

このリズムは、地球の「自転周期(じてんしゅうき)に同期し、生命活動を効率的に行うために重要な役割を果たします。

 

この「サーカディアンリズム」によって、以下の生理機能が調整されていることがわかっています・

 

1)睡眠・覚醒(すいみん・かくせい)サイクル

 

メラトニン(睡眠を促進するホルモン)とコルチゾール(覚醒を促進するホルモン)の分泌が調整され、昼間の活動と夜間の休息が可能になります。

 

2)体温調節

 

体温は1日周期で変動し、代謝効率やエネルギー消費に影響を及ぼします。例えば、夜間に体温が低下することで、休息に適した状態が作られます。

 

3)ホルモン分泌の調整

 

「レプチン(満腹ホルモン)」、「グレリン(空腹ホルモン)」、「インスリン」など、食欲や血糖値を調節するホルモンの分泌などが、「サーカディアンリズム(概日リズム)」に依存(いぞん)していることが知られています。

 

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           (AIを用いて画像を作成)

 

4)代謝の制御

 

「サーカディアンリズム」が、エネルギー消費と脂肪蓄積のバランスを保つことで、全身の代謝機能をサポートします。

 

以上のことをふまえて、もう少しだけ、詳しく(くわしく)、「サーカディアンリズム」の乱れが「肥満」を起こすメカニズムを考えてみたいと思います。

「サーカディアンリズム」が乱れますと・・・次のようなことが起きてくると考えられています。

 

1. ホルモンバランスの崩れ

 

体内時計の乱れにより、「インスリン感受性の低下」が生じこれにより、血糖値のコントロールが不安定になり、インスリン抵抗性が発生します。この結果、脂肪の蓄積が進行します。(Scheer FAら., 2009)

 

さらにレプチンの減少グレリンの増加が起こるとされています。

 

満腹感を伝える「レプチン」の分泌が減少し、空腹感を引き起こす「グレリン」の分泌が増加します。

これにより食欲が増大し、過食(かしょく)の傾向が強くなります。

 

さらに「サーカディアンリズム」の乱れは、ストレスホルモンである「コルチゾール」の過剰分泌は、特に「内臓脂肪」の蓄積を引き起こすと考えられています。

2. 代謝機能の低下

「サーカディアンリズム」の乱れは、基礎代謝の低下や脂肪燃焼効率の悪化を引き起こし、摂取エネルギーが消費されずに「脂肪」として蓄積される傾向を強めると考えられています。

 

3. 腸内細菌叢の乱れ

「サーカディアンリズム」は、「腸内環境(ちょうないかんきょう)とも密接に関連していることが知られており、リズムの乱れは「腸内細菌叢」のバランスを崩すことが知られています。

 

これが代謝機能の低下や「肥満」リスクの増大に繋がり(つながり)ます。(Thaiss CA ら,2016)

 

上記に挙げた(あげた)ような「サーカディアンリズム」の性質を考えますと・・・これをまったく無視(むし)をして、肥満を改善していくのは、ちょっと難しい可能性がありますね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>12月3日

 

今回は、「サーカディアンリズム」の乱れが「肥満」を生じる可能性があるというお話をさせていただきました。

 

では、「サーカディアンリズム」の乱れが生じている場合、どのような方法があるのでしょうか?

 

「サーカディアンリズム」は、主に以下の「同調因子」によって24時間周期に調整されると考えられています。

 

日常生活において、体内時計を外界の周期に同調させる刺激のことを

「同調因子」と呼びますが、以下のようなものがあります。

 

1. 光

 

最も強力な同調因子は光です。特に以下の特徴があります:

• 朝の日光は体内時計を早める

• 夕方の光は体内時計を遅らせる

• 朝15〜30分の日光浴が理想的

などと考えられています。

 

朝の太陽光を浴びます(浴びます)と次のような変化が起こると考えられています。

 

1)網膜の特殊な神経節細胞に含まれる「光受容タンパク質(メラノプシン)」が、特に青色光(460-480nm)を感知します。

 

2)この光情報が、脳内の視床下部にあたる「視交叉上核(SCN)」に伝達されますと、以下の変化が起こると考えられています。

 

体内時計の中枢は、「視交叉上核(SCN)」ということになります。

 

話を戻しますと・・・その変化とは、「時計遺伝子」の発現調整, 「メラトニン」分泌の抑制, 「コルチゾール」分泌の促進などです。

興味深いことに・・・この光ストップにより、体温が上昇するとともに「覚醒度(かくせい)が向上するというのですね。

そして、24時間周期のリズムが環境の「明暗サイクル」に同調して行くというのですね。

 

「明暗サイクル」とは。外界の環境である昼間、夜の繰り返しの24時間周期という子よになります。

 

最適な効果を得るには、起床後30分以内に15-30分間、2,000-10,000ルクスの明るい光が推奨されています。

 

2. 食事

 

食事のタイミングも重要な同調因子でして、

• 決まった時間に食事を摂ることでリズムを調整

• 朝食は特に重要で、タンパク質を多めに摂取

などと考えられています。

 

3. 運動

 

運動も体内時計に影響を与えると考えられています。

• 朝〜昼の運動は体の朝方化を促進

• 夜遅い運動は体の夜型化を招く可能性がある

などと考えられています。

 

まだまだ、薬物療法(クロノセラピー、薬理学的介入)などもあるのですが・・・またの機会にしたいと思います。

 

サプリ等の扱いになってしまうのですが・・・「NMN」や「NAD+」の投与はどうか?・・・と言いますと・・・

 

NMN/NAD+による「サーカディアンリズム」調整のメカニズムは、次のようになります。

 

1)サーチュイン1遺伝子(SIRT1)の活性化

  • NAD+はSIRT1の補酵素としての機能
  • 活性化したSIRT1が時計遺伝子(BMAL1/CLOCK)の発現を制御
  • PER2タンパク質の脱アセチル化を促進する

2)サーカディアンリズムの転写因子への影響

  • BMAL1/CLOCKヘテロ二量体の形成を促進
  • E-boxを介した時計遺伝子の転写を調整
  • PER/CRYのネガティブフィードバックループを制御

3)代謝系への作用

  • ミトコンドリア機能の改善
  • エネルギー代謝の日内変動を最適化
  • 末梢時計への影響
  • 肝臓や骨格筋などの末梢組織の時計遺伝子発現を調整
  • 組織特異的な代謝リズムを同調

などとなるわけですが・・・この話をすると長くなりますので、またも機会にしたいと思います。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

(恵比寿ガーデンプレイスのバカラシャンデリア)
(筆者撮影)

 

 

(恵比寿ガーデンプレイスのクリスマスツリー)
(筆者撮影)

 

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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(新潟大医学部卒)

 

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<今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

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◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

11月の最後の休日となっています。

週末はお天気が悪いと聞いていたような気もするもですが、気持ちのよい青空が広がりました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか。

 

 

(AIを用いて画像を作成)

 

今回は、「高濃度ビタミンC点滴」のお話をしてみたいと思います。

 

「高濃度ビタミンC点滴」と「ビタミンCのサプリ」の効果は違いがあるのですか?・・・という質問をよくされます。

 

サプリメントとして、毎日「ビタミンC」を摂取しているのに「高濃度ビタミンC点滴」を施行する意味はあるのか?・・・というわけですね。

 

その違いは、次のようなことにあります。

 

まずは、それぞれの「ビタミンC」の「吸収率」に違いがあります。

 

「高濃度ビタミンC点滴」は、直接血管に投与されるため、ほぼ100%吸収されるといえます。

 

それに対して、「ビタミンC」の経口サプリメントは、腸での吸収過程があり、その「吸収率」は一般的に70-80%程度とされています

 

次に「血中濃度」ですが・・・「高濃度ビタミンC点滴」短時間で高濃度を達成できます- 点滴では短時間で高濃度を達成できます。

 

それに対して、「ビタミンC」の経口サプリメント、腸での吸収に時間がかかり、また一度に大量摂取しても吸収量には限界があると考えられます。

 

具体的には、「ビタミンC」の経口摂取後の吸収過程はどのようになっているのか・・・というと、主に以下のような流れであると考えられています。

吸収は、 小腸(主に上部小腸)での吸収になると考えられ、その際に「ナトリウム依存性輸送体(SVCT1、SVCT2)」というものを介して吸収されます。

その際に・・・「ビタミンC」の用量が増えると吸収率は低下することが知られています。

 

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(AIを用いて画像を作成)
   

例えば・・・ 低用量(100-200mg)では約80-90%が吸収されるのですが・・・高用量(1000mg以上)では30-40%程度まで吸収率が低下してしまうのですね。

もちろん、余分な「ビタミンC」は尿中に排出されるとされています。

 

もし。 吸収を高めるとすれば・・・-食事と一緒に摂取することや、何回かに分割して摂取する(例:1日2-3回に分ける)こと、そして、徐放性のサプリメントを選ぶなどのコツがあるとされるのですが・・・それでも「ビタミンC」が持つ「抗老化採用」、「抗酸化作用」などの「アンチエイジング効果」を引き出すのは、難易度が高い可能性もありますね。

 

では、「高濃度ビタミンC点滴」には、どのような効果が期待できるのでしょうか?

続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>11月26日

 

先ほどまで、冷たい小雨(こさめ)が降っていたのですが、今は止んだ(やんだ)ようです。

 

今回は「高濃度ビタミンC点滴」のお話をさせていただきました。

 

「高濃度ビタミンC点滴」の老化防止メカニズムは、以前にもお話をしたようにコラーゲン生成やエラスチン生成の促進(そくしん)や

 

表皮層と真皮層間にある「メラノサイト」で産生する「メラニン」の産生の抑制や「メラニンカッコの無色化などを行い、皮膚細胞のターンオーバー(新陳代謝)をよくすることが大きいとされています・

 

少しだけ補足しますと・・・

 

「メラニン」は、肌の色を決める色素であり、その生成が過剰に行われるとシミやそばかすができやすくなります。

 

「高濃度ビタミンC点滴」には、「メラニン」の前駆体であるチロシンへの作用を阻害することで、「メラニン」の生成を抑える効果があ流と報告されています。

 

さらに、「高濃度ビタミンC点滴」は、強力な「抗酸化作用」を持ち、紫外線などの外的要因によって生成される「活性酸素」から肌を守ることができます。これにより、肌の老化を遅らせたり、既存の「メラニン」がさらに黒化するのを防ぐ助けとなると考えられています。

 

「活性酸素」という言葉が出てきましたので、さらにお話を進めますと・・・

 

「高濃度ビタミンC点滴」は、「活性酸素種(ROS)」を強力に中和することで細胞を「酸化ストレス」から保護します。

 

これにより、「テロメア」の短縮を防ぎ、細胞の寿命を延ばす効果があるとも報告されています。さらに注目すべきことに「高濃度ビタミンC点滴も持つ「抗炎症作用(こうえんしょうさよう)」があります。

 

あまり、強調されることが少ないかもしれませんが・・・そのメカニズムは、次のように考えられているようです。

 

抗炎症性のマイクロRNAの発現を調節し、「炎症反応」を抑制するというものが考えられています。

 

もうひとつは、「高濃度ビタミンC点滴」の持つ「免疫力」の向上(こうじょう)ということになります。

 

例えば・・・「ナチュラルキラー(NK)細胞」には、NK細胞の活性化と増殖促進、NK細胞からのサイトカイン産生の増加、そして、NK細胞の生存率向上や細胞障害活性の増強作用があることが知られ稚ます。

 

また、「細胞障害性T細胞(CTL)」への効果としては、T細胞の分化・増殖の促進などが報告されています。

 

これらの「免疫細胞」に作用メカニズムとして、以下の経路を通じて免疫細胞に影響を与えると考えられています。

 

1)エピジェネティック制御を介した免疫関連遺伝子の発現調節

 

2)ミトコンドリア機能の改善による細胞エネルギー代謝の向上

 

3)過剰伝達経路の調節による免疫応答の正常化

 

このように、「高濃度ビタミンC点滴」は、NK細胞や細胞障害性T細胞の機能を多面的に強化し、「抗腫瘍免疫」および、「感染防御能力」を高めると考えられているのですね。

 

感染症が猛威(もうい)が予想されているわけですが・・・「免疫力」の低下することが多い高齢者にも有効ということは、アタマの片隅(かたすみ)に置いておいてもよいかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

(東京ミッドタウン六本木

      イルミネーション2024)

 ( 筆者撮影)

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

11月も半ば(なかば)を過ぎ、明日からは冬の寒さになっていくのだとか。

 

本格的な冬を前にして、手足口病、マイコプラズマ肺炎の感染者の数は、例年の同時期と比べてかなり多い状況(厚生労働省のホームページより)になっているようです。

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか。

 

 

(AIを用いて画像を作成)

 

今回は、「血中腫瘍細胞(Circulating Tumor Cells;CTC)」について、どのような検査であるのかについて、お話をしてみたいと思います。

 

Circulating Tumor Cellsの大文字部分から「CTC検査」と呼ばれています。

 

「CTC検査」は、血液中を循環する癌細胞(循環腫瘍細胞:Circulating Tumor Cells)を検出する先進的な検査方法です。

 

この検査は、がんの早期発見や治療効果のモニタリング、再発リスクの評価などに活用される重要なツールとなっています。

 

なぜ、治療効果や再発リスクを評価できると言えるのでしょうか?

 

「CTC検査」の基本的な考え方は、以下のようになります。

 

癌の病巣(原発巣・転移巣)が体内のどこかにあると・・・必ず、「癌細胞」は、血液中に漏れ出し、全身を循環しているという事実に基づいて(もとづいて)います。

 

その理由は、癌組織を構成する「癌細胞」どうしの結合が弱いせいがあります。この理由は、「癌細胞」は、接着分子が減少していたり、E-カドヘリンなどの細胞どうしを結びつける分子の発現が低下しているなどの理由によるものです。

 

さらに癌細胞の増殖が起こり、癌の組織自体のサイズが大きくなってくると・・・酸素や栄養の需要が増加し、癌組織は「低酸素」の状態

になります。

「低酸素状態」になると、「HIF-1α(低酸素誘導因子)」が活性化します。

「HIF-1α(低酸素誘導因子)」は、癌組織に次のような影響を与えます。VEGF(血管内皮増殖因子)の増殖やPDGF(血小板由来増殖因子)の産生を促進するなどして、癌組織に酸素や栄養を運ぶための

新しい血管を作るのですね。

 

この現象を「血管新生(けっかんしんせい)」と呼びます。

 

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                            (AIを用いて画像を作成)

 

さらに「癌組織」が1.5〜2mm程度の大きさに成長すると、栄養や酸素を求めて血管内に浸潤し始めます。

 

この過程で、「癌細胞」の一部が血液中に放出され、「CTC(循環腫瘍細胞)」となるわけです。

 

そして、血液中の「CTC(循環腫瘍細胞)」は3つのタイプのパターン

に分類することができます。それは、以下のようなものになります。

 

ひとつは、「A」のタイプでして、血管の中をグルグルを回っている

癌細胞でして、「上皮系がん細胞(Type1 細胞)」と呼ばれています。

 

癌細胞自体が、寿命が来たからとかある程度の時間が経った(たった)ために自ら(みずから)壊れていくことはありませんので、血液にのって、ヒトの血管の中をグルグルと巡って(めぐって)いくことになります。こうした癌細胞の性質を「アポトーシス回避(かいひ)」 と呼びます。

 

ある程度の時間が経ちますと・・・「上皮間葉転換 (Epithelial-Mesenchymal Transition, EMT) 」という現象が生じ、「B」のタイプの細胞になります。

 

上皮細胞がその細胞極性や周囲細胞との細胞接

着機能を失い、 遊走、 浸潤能を得ることで間葉系様の細胞へと変化するプロセスです。

こうした癌細胞は、「間葉系(かんようけい)がん細胞(Type2細胞)」と呼ばれています。

 

この「間葉系がん細胞」は、血管の壁をすり抜けて、血管の外に出ることができます。つまり、新たな「転移巣」を作ることができます。

 

なぜ、血管をすり抜ける(血管外遊出する)ことができるのでしょうか?

 

それは、次のような理由が考えられています。

 

「EMT(上皮間葉転換)」による形態変化が起こると、癌細胞が扁平で柔軟な形態になり、アメーバ様の運動が可能になります。

 

さらに結合分子の発現変化やインテグリンという物資の発現パターン変化、そして、血管内皮細胞との結合ができるなどの現象が起こり、最終的には、基底膜タンパク質の分解が可能になると言われています。

 

それに対する血管側の変化としては、血管内皮細胞間の結合が緩み

​​VEGFなどの影響で透過性が亢進(こうしん)し、血管内皮細胞間隙(かんげき)が開くなどして、基質膜の脆弱性(ぜいじゃく)性が

出てしまうということになります。

 

以前にブログ内でもお話した「癌幹細胞(がんかんさいぼう)」は、

この「間葉系(かんようけい)がん細胞」のタイプになりますし、悪性度の高い癌が存在すると同様の現象が起こるとされています。

 

しかしながら、単独で「間葉系(かんようけい)がん細胞」のみが存在することは、あまりないのではないか・・・とも考えられています。

 

なぜなら、時間的な経過から「CTC(循環腫瘍細胞)」を見ますと「上皮系がん細胞」→「中間型(Metastable Cell)」( Type1 と Type2 の両方の性質を有する細胞) →「間葉系(かんようけい)がん細胞」という順に進行するわけです。

 

よく、「間葉系(かんようけい)がん細胞」だけを確認すればいいのではないか?・・・と疑問を持つ方が多いのですが・・癌がある場合には、「間葉系(かんようけい)がん細胞」のみを認めることは少ない・・・「上皮系がん細胞」「中間型(Metastable Cell)」が同時に出ているからこそ、「間葉系(かんようけい)がん細胞」と思われる細胞は、癌細胞であり、早急な対応が必要であると考えることができるわけです。

 

では、「癌」以外で、「間葉系がん細胞」の細胞が認められることはあるのでしょうか?

 

答えは「Yes (イエス)」ということになります、それは、手術後や怪我(けが)、そして、「胃潰瘍の治療後」などと組織が修復過程にあるときには、「間葉系がん細胞」様の細胞が出現してしまうとされています。

 

手術などのあとであると・・・約4〜6ケ月程度は、Type2の「間葉系がん細胞」様の細胞が血液中に出現する可能性があるとされています。

 

ならば、どうするか?・・・ということになるのですが・・・JTKクリニックでは、「Cell Free DNA(セル フリー ディエヌエー)」「量」とその「長さ」を同時に測定し、CTC検査の結果と併せ、総合的に「癌」が存在するかを判断しています。

 

続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>11月19日

 

今回は、「血中腫瘍細胞検査(CTC検査)について、お話をさせていただきました。通常の癌検査といえば、X線レントゲン検査、

内視鏡検査、CT検査、PET-CT検査などと多くの検査がありますし、

腫瘍マーカー検査と多くの検査がありますよね。

 

これに対して、血液中に「癌細胞」が存在する可動化によって、

上記の検査よりも早く、癌の発生した可能性や再発が生じてくる可能性をみるものになります。

 

ただし、本文内でもお話をしたように「上皮系癌細胞」を疑う「Type1細胞」や「 間葉系癌細胞」を疑う「type2細胞」があるだけで、癌があるとか、ないとか・・・を断言するのは難しいような気がします。

 

ただし、癌の増殖スピードが早く、遺伝子の変異スピードが速い(はやい)とされる「癌幹細胞(がんかんさいぼう)」が、 間葉系癌細胞」を疑う「type2細胞」となっているわけですから、のんびりと様子をみようか・・・と判断を先送りにするのもなあ〜と考えるわけです。

 

そこで、「CTC検査」のデータ解釈を助けるデータが必要になってくるのですね。

 

そのひとつが「Cell Free DNA(セルフリーDNA)」となります。

 

「癌細胞」の壊れ方には、2とおりあります。

 

 

ひとつは、放射線治療などで生じる「ネクローシス(細胞壊死;さいぼうえし)」となります。

 

もうひとつは「NK細胞」などの免疫細胞で破壊される「アポトーシス」です。抗がん剤投与でも一部は、この「アポトーシス」は起こるとされています。

 

本文内でお話をしたように「癌細胞」は自ら(みずから)壊れることは、ありません。多くは「免疫細胞」などによって攻撃された場合に「アポトーシス」を起こすわけですね。

 

この時に「癌細胞」の中にあるタンパク質やDNAなどの遺伝子を血液中にばらまくようなイメージになるわけです。

 

そして、このばら巻かれたDNAには特徴があって、「メチル化」という修飾(しゅうしょく)がされているのですね。

 

つまり、「Cell Free DNA(セルフリーDNA)」とは、簡単に言いますと・・・「癌細胞」が破裂(はれつ)することで、血液中にばら撒かれれた(まかれた)メチル化されているDNAの断片ということになりますね、

 

実は、この「Cell Free DNA(セルフリーDNA)」の濃度が、癌を持つ方と正常な群では、差があることが知られています。

 

 

健常者(癌のない方)の647人の「Cell Free DNA(セルフリーDNA)」の濃度の分布は「青いグラフ」

癌のある方 631人の「Cell Free DNA(セルフリーDNA)」の濃度の分布は「赤いグラフ」」になるわけです。

 

健常者(癌のない方)でも「Cell Free DNA(セルフリーDNA)」は出現するのか?・・・と思われるかもしれませんが、ヒトの組織には

1日3000個程度の「癌細胞」が出現し、その日のうちに破壊される癌細胞がありますので、ある程度の濃度は、発生することになります。

 

そして、「CTC検査」と同時に「Cell Free DNA(セルフリーDNA)」の濃度をみることにより、癌の存在する可能性が高いか?を同時に見るわけです。

 

下の左のグラフの黄色い星印の部分が、検査を受けた方本人のデータとなるわけですね。

 

さらに下の右のグラフは、「Cell Free DNA(セルフリーDNA)」の断片の長さを示すのですが、これも癌の有無を推測(すいそく)するのに有用なのですが・・・その詳細は、またの機会にお話をしたいと思います。

 

  

 

このような研究成果は、宮城県仙台市にある「日本遺伝子研究所」の

代表取締役である「中川原 寛一 先生」の研究実績をもとに施行されている検査であり、近い将来、「血中腫瘍細胞(CTC)」から、癌の原発巣がどこであるかも判明するかもしれない・・・「中川原 先生」はおっしゃっておられます。

 

「CTC検査」は、欧米やアジア各国で施行される検査なのですが、私自身は、他の国々の「CTC検査」は、ここまでの情報量はないのではないか・・・と思っています。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

 

(六本木けやき坂イルミネーション2024の風景)

( 筆者撮影)

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(恵比寿ガーデンプレスイルミネーション2023の風景)

             ( 筆者撮影)

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

街の風景は、イルミネーションで彩られ(いろどられ)、はやくもクリスマスモードとなっています。

 

暦の七十二候では、あと2日もすれば「地始凍(ちはじめてこおる)」となります。

 

意味は、寒さで大地が凍り始める頃ということで、夜は冷え込みが

いっそう厳しくなり、冬の訪れがはっきり肌で感じられる季節だとか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか。

 

 

(AIを用いて画像を作成)

 

さて、2024年も終わろうとしているわけですが・・・

「肥満」の余分(よぶん)な脂肪まで、来年に持ちこそうとは思っていないでしょうか?

 

今回は、とくに「免疫」の機能を悪化させる「内臓脂肪型肥満」について、お話をしてみようと思います。

 

「内臓脂肪型肥満」を再度、まとめてみますと、次のようになります。

  • おなかの内側、内臓の周りに脂肪が残る
  • 見た目は上半身、特にお腹周りが軽い
  • メタボリックシンドロームのリスクが高い
  • 生活習慣病(糖尿病、高血圧、動脈硬化など)になりやすい
  • 主に男性に多い

となりますね。男性に多いのが特徴ですが、女性にもこのタイプもあるとされています。ちなみに、本来、女性に多いとされる肥満が、

 

です。

このタイプは、生活習慣病(糖尿病、高血圧、動脈硬化など)のリスクは低いとされていますが、ゼロではありません。

 

 (AIを用いて画像を作成)

 

これからの冬の季節は、空気が乾燥します。

このためにインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスばかりでなく、多くのウイルス感染症を患う(わずらう)可能性が高くなります。

 

「内臓脂肪型肥満」がありますと、こうした感染症への抵抗力が弱くなることが知られています。その理由とは、どのようなものなのでしょうか?

 

それは、次のような理由となります。

 

内臓脂肪組織は、単なる脂肪の貯蔵組織ではなく、活発な内分泌器官として機能することが明らかになっています。過剰な内臓脂肪の蓄積は、慢性的な炎症状態を引き起こすことが、複数の研究で示されています(Green ら, 2014; Nature Reviews Immunology)。

 

1,炎症性サイトカインの産生増加

 

  • 内臓脂肪細胞からのTNF-α(腫瘍壊死因子α)の過剰産生
  •  IL-6(インターロイキン6)などの炎症性メディエーターの増加

これらの炎症性物質が全身性の免疫応答を撹乱(かくらん)すると考えられています。

 

2.マクロファージの異常活性化

 

研究によると、内臓脂肪組織には炎症性M1マクロファージが集積し、慢性炎症を持続させることが示されています(Martinez et al., 2017; Journal of Immunology)。

 

3.ウイルスの侵入・増殖促進メカニズム

 

  •  ACE2受容体の発現増加

COVID-19パンデミックにおいて特に注目された知見として、内臓脂肪細胞における「ACE2受容体」の高発現が挙げられます(Zhang et al., 2020; Cell Metabolism)。

 

  • 内臓脂肪細胞でのACE2受容体発現量が多い

この結果、内臓脂肪がウイルスの侵入門戸として機能し、感染リスクの増大を引き起こすとも考えられています。

 

4.脂質環境による影響

 

内臓脂肪細胞内の特殊な脂質環境が、ウイルスの複製を促進する可能性が指摘されています(Wang et al., 2021; Nature Communications)。

 

5.免疫細胞機能の低下

 

1)自然免疫系への影響

内臓脂肪型肥満は、自然免疫系の主要なコンポーネントに影響を与えることが明らかになっています。その内容は以下のようなものになります。

 

  • NK細胞の細胞傷害活性の低下
  • 好中球の走化性および貪食能の減弱
  • マクロファージの貪食能および抗原提示能の低下

 

2)獲得免疫系への影響

T細胞およびB細胞を中心とする獲得免疫系も影響を受けることが報告されています(Brown et al., 2019; Immunity):

 

  • T細胞の増殖能および機能の低下
  • B細胞による抗体産生能の減弱
  • メモリーT細胞の形成障害

 

6.酸化ストレスの増加

過剰な内臓脂肪は酸化ストレスを増加させ、以下のような影響をもたらします:

 

  • 免疫細胞の機能障害
  • DNA損傷の蓄積
  • ミトコンドリア機能の低下

ということになります。

 

「内臓脂肪型肥満」を放置することは、糖尿病や動脈硬化のリスクを増大させることは、よく強調されることですが・・・

感染症のリスクを増大させることは、あまり強調されないかもしれません。

 

「内臓脂肪型肥満」が改善すれば、これらのリスクもなくなっていくことも報告されています。

 

さて、あなたはどう考えますか?

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>11月12日

 

今回は「肥満」のリスク・・・とくに「内臓型肥満」についてのお話をさせていただきました。

 

「内臓脂肪型肥満」に関連する免疫力の低下について、少し感じにくいかもしれませんが、医学的には、重要な影響があります。 

 

とくに・・・冬の季節には「ウイルス感染症」が増えるため、「内臓脂肪型肥満」が免疫細胞、特に「ナチュラルキラー(NK)細胞」に与える影響を理解しておくことは重要かもしれません、

以前にブログ内でも説明させていただきましたが・・・「NK細胞」は、その「数」だけでなく、その「活性」が免疫応答においても重要であることを強調させていただきました。

 

そして、この「NK細胞」の活性が低下すると、「ウイルス」や「癌細胞」への攻撃力が弱くなることが確認されています。

 

このことは、次のような事実からも理解できると思います。

 

高齢者では「NK細胞」の数は多い傾向なのですが・・・「活性」が低下していることが多いので、一旦、なんらかの「ウイルス」に感染すると、その抵抗力がないことから、重症化することが多いわけですね。

 

しかしながら、このような「免疫力」の低下は、高齢者に限った(かぎった)ことではなく、「肥満」、とくに「内臓脂肪型肥満」を持つ者

にも当てはまる可能性があるということになるのですね。


このタイプの「NK細胞」の「活性」の低下」は・・・「内臓脂肪型肥満」において、「アディポネクチン」が減少していることに関連しています。 

 

「アディポネクチン」は、脂肪細胞から分泌されるタンパク質で、糖尿病や動脈硬化などのメタボリック症候群を予防する効果が期待されている物質です。

 

その理由は、「アディポネクチン」は、脂肪分解酵素を活性化し、

糖や脂肪の消費を促進(そくしん)することで、動脈硬化を予防する働きがあるからというのが理由となります。

とてもよい働きを持つタンパク質であるわけですが・・・

糖尿病や高血圧、そして、「内臓脂肪型肥満」などがある場合には、血液中の「アディポネクチン」の値は低下することが多いとされています。

 

この「アディポネクチン」の値の低下により、NK細胞の増殖・分化が抑制されますし、サイトカイン産生能力も低下し、細胞傷害活性・・

・つまり、「NK細胞」の活性が低下してしまうのですね。

 

また、「内臓脂肪型肥満」がある状態では、「活性酸素」の産生が増加し、ミトコンドリア機能の障害や炎症性細胞(主にM1型マクロファージ)の浸潤が原因で免疫細胞の活性が低下します。

さらに、「内臓脂肪型肥満」の脂肪組織からは、「炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6など)」が過剰に産生されるため、「NK細胞」だけでなく、T細胞やB細胞など他の免疫細胞の機能また低下し、ワクチンに対する抗体産生能力も低下する可能性などがあるとされています。

「内臓脂肪型肥満」は、糖尿病や動脈硬化のリスクを高めることは、広く、認識(にんしき)されているわけですが・・・「免疫力」を低下させる可能性が大きいため、健康管理において注意が必要です。

 

これは「皮下脂肪型肥満」なら大丈夫(だいじょうぶ)というわけでなく、「内臓脂肪型肥満よりはマシというぐらいに考えておいた方がよいのかもしれませんね。

 

image

          (図はお借りしました)

 

もちろん、BMIが18.5未満になると「低体重」の状態になり、免疫力の低下とともに筋力低下による転倒などのリスクが高まりが認められるわけですので、体重を減らせばよい・・・というわけでもないのですが・・・ね。

 

やはり、「BMI = 22」程度の体重を維持することが重要なのかも

しれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

 

(六本木けやき坂イルミネーション2024の風景)

( 筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

11月に入りまして、今日3日は「文化の日」となっていますね。

昨日は1日中、雨が降っていたのですが、よい天候に恵まれました。

 

紅葉の見ごろを迎えている(むかえて)いる所も多いそうで、

紅葉狩り(こうようがり)などにお出かけになっていらっしゃる方も多いのかもしれませんね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか。

 

(AIを用いて画像を作成)

 

今回は「自律神経(じりつしんけい)」の乱れからくる「動悸(どうき)を話題にしてみたいと思います。

 

まず、「自律神経」とは、どのようなものかをご説明したいと思います。

 

まず・・・「自律神経」は、ヒトの身体のさまざまな機能を

無意識のうちにコントロールするシステムです。

 

無意識のうちにコントロールするというのは、逆に言えば・・・

自分の意識で変化させようとしても、コントロールするのは難しいということにもなりますね。

 

こうした性質を持つものが「自律神経」であり、2つの神経から構成

されています。

その2つの神経が「交感神経(こうかんしんけい)」と「副交感神経(ふくこうかんしんけい)ということになります。

 

このうち、「交感神経(こうかんしんけい)」は、体を活動的な状態にするために働くとされています。

 

例えば、「危険」を感じたときや運動するときに前向きになり、「心拍数(しんぱくすう)」を上げたり、「呼吸」を速くしたり、「筋肉」に血液を送ったりなど、まさに「戦うか逃げるか」ということを決断しようとする・・・「臨戦態勢(りんせんたいせい)」をとるような状態に「交感神経」が活発になった時には、なるわけですね。

 

その反対に「副交感神経(ふくこうかんしんけい)」が活発化してきますと・・・リラックスした気持ちが優位になり、心拍数や血圧は、下がっていくということになります。

 

このような「交感神経」と「副交感神経」の神経系は常にバランスを取りながら、24時間 休みなく働き続け、私たちの生命維持(せいめいいじ)に向けた役割を行っているとされています。

 

そして、この「自律神経」の乱れは、様々な体調不良の原因となることがあるのですね。

 

 (AIを用いて画像を作成)

 

この「交感神経」と「副交感神経」の2つのバランスが崩れた(くずれた)状態を「自律神経障害(じりつしんけいしょうがい)」と呼ぶのですが・・・

 

この時に出現(しゅつげん)する症状のなかに・・・「動悸(どうき)」があります。

 

自律神経障害が起こると、このバランスが崩れて以下のようなメカニズムで動悸が生じると考えられています。

 

「交感神経」が過剰に活性化すると、以下の作用により「心拍数」が増加し、動悸を感じやすくなると考えられています。

 

• 心拍数の増加

• 心臓の収縮力の増強

• 血管の収縮による血圧上昇

 

しかしながら、「自律神経障害」により、「副交感神経」の機能低下がありますと、

心拍数を適切に抑制できなくなると考えられています。

 

なぜなら、「副交感神経」は「心拍数」を抑制する働きがありますので、その機能が低下すると・・・その症状が緩和(かんわ)できない

・・・ということになります。

 

さらに次のようなメカニズムも働いているとも考えられています。

 

1)ストレスによる影響

 

「自律神経障害」では、「ストレス」に対する反応が過剰になりやすく、「ストレス」時に分泌されるアドレナリンなどのホルモンが心拍数を増加させると考えられています。

 

2) 筋肉の緊張

 

「自律神経」の乱れにより筋肉が緊張すると、それに伴って脈拍が速くなり、「動悸」を感じやすくなるとされています。

 

 

3)呼吸の変化

 

「自律神経障害」により呼吸が浅く速くなると、それに伴って「心拍数」も増加すると考えられています。

 

4)血圧の変動

 

「自律神経障害」により血圧が不安定になると、それを補うために「心拍数」が変動し動悸を感じやすくなると考えられています・

 

通常の場合は、これらの症状に対して、漢方薬や西洋薬が多く使用されることが多いですが、効果はまちまちです。

 

 

最近、「自律神経障害」などの症状が、「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」の低下や「ミトコンドリア」の機能低下と関連があることを示す研究結果が多く示されています。

 

「心臓細胞」においては、「NAD+」は酸化還元反応を介してエネルギー生産を助け、心臓筋の収縮とリラクゼーションのサイクルを正常に保つのに役立つものであり、

「心臓病」や「自律神経障害」の状態では、ミトコンドリアの機能不全が見られることがあり、NAD+のレベルが低下すると報告されているというのですね。

 

私自身は、若干(じゃっかん)の懐疑的(かいぎてき)な視点(してん)で、こうした報告を見ているのですが・・・

考えようによっては、「ごもっとも」と納得できる点もありまして・・・

「もし、本当であったらよいな〜」と思っています。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記  >11月5日

今回は「自律神経」についての話題にさせていただきました。
とくに自律神経障害で生じる「動悸(どうき)」について、「NAD+」や「ミトコンドリア」が関与しているのではないかというお話をさせていただきました。

 

「動悸」とは、自分の心臓の拍動(心拍、ドキドキという動き)に敏感になって、不快感や違和感を自覚する状態のことです。

 

脈拍(みゃくはく)が速くても、遅くても、普通であっても、その脈拍がいつもと違うだけで「動悸」と表現されますので、どのようなタイプの症状かが重要である・・・ということになります。

 

とは言っても・・・なかなか、自覚症状だけで判断するのは、とても

難しいことであると思います。

 

この「動悸」は、様々な(さまざまな)原因で起こりますが、大きく分けて「自律神経系」の異常と「心臓の刺激伝導系」(しげきでんどうけい)の異常が挙げられます。

 

心臓の刺激伝導系とは、心臓の拍動をさせるための電気興奮の流れを指します。少し詳しくお話をしますと・・心房から心室へと一気に興奮を伝える特殊心筋であり、その電気的な興奮(こうふん)は、洞房結節(どうぼうけっせつ)というペースメーカーにあたる電気を発生する部位から、結節間路を通って、房室結節(ぼうしつけっせつ)、そして、ヒス束という部分をとおり、左脚・右脚、プルキンエ線維の順で、電気刺激が伝わり、これにより心臓が動くということになります。

これらの刺激が伝わる要所(ようしょ)を心臓の筋肉にまんべんなく、栄養を運んでいる冠動脈(かんどうみゃく)という血管がありまして、この血管の閉塞(へいそく)などでも、脈拍(みゃくはく)の異常が生じることもありますし、「刺激伝導系」の電気の流れに異常が生じても、「動悸」を自覚することがあります。

 

なので、「動悸」を自覚するときには、まず、心電図検査や24時間の

脈拍を観察する「ホルター心電図検査」、そして、心臓超音波検査など、循環器(じゅんかんき)的な検査や胸部レントゲン検査などが

まず、優先する必要がある・・・ということが重要です。

 

「心臓の刺激伝導系」の異常や「不整脈(ふせいみゃく)」、そして

心不全や甲状腺機能異常などが、一切(いっさい)見つからないのに・・・それでも「動悸」がある場合にやっと・・「自律神経系」の異常かもしれない・・・となるのですね。

 

長くなりましたが・・「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」や「ミトコンドリア」の機能低下が、自律神経障害で生じる「動悸(どうき)」に関連するのではないか・・・

という説は、次のようなものになります。

 

「NAD+」は、細胞内のエネルギー代謝やシグナル伝達に重要な役割を果たします。そして、「ミトコンドリア」は細胞のエネルギー産生の中心であり、「NAD+」と「ミトコンドリア」は密接に関連していることは、あらためて強調するまでもありませんね。

 

「NAD+」は、サーチュイン1タンパクの産生を介して、心筋細胞の機能維持に重要な役割を果たし、そして、エネルギー代謝の面でも

「NAD+」は、「ミトコンドリア」でのATP産生に必須であり、「心筋細胞」の収縮・弛緩サイクルをサポートします。

 

そして、「 NAD+依存性酵素」の一部は、心筋細胞内のカルシウム動態調節に関与し、「心筋細胞」の興奮を調節します。

 

そして、「ミトコンドリア」の機能異常が、以下のメカニズムを通じて刺激伝導系にも影響を与える可能性があるというのですね。

 

• イオンチャネル機能障害: ミトコンドリア由来のROSがイオンチャネルの機能を修飾し、不整脈のリスクを高めます。

 

• ATP産生低下: エネルギー不足により、Na+/K+-ATPaseなどのイオンポンプの機能が低下し、細胞膜の興奮性が変化します。

 

• カルシウムホメオスタシスの乱れ: ミトコンドリア機能障害により細胞内カルシウム動態が乱れ、不整脈の原因となります。

 

なので、「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」サプリの服用や

「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」の点滴は、自律神経障害で生じる「動悸(どうき)」に有効な可能性がある・・・

のではないか・・・というのですが・・・

 

私は、これは〜どうかなぁ〜と思います。ストーリーが実にクリアなのですが・・・「老化」に伴う「炎症」の存在が考慮(こうりょ)されていないのですね。

 

実は、自律神経の障害には、「交感神経」と「副交感神経」のアンバランスが存在する可能性があることは、本文内でもご紹介しました。

 

実は、加齢に伴う「自律神経系」の機能に関する研究では、「交感神経」系の過剰な緊張が「炎症」を促進を促し、「副交感神経系」の活動が低下して、いわゆる「コリン作動性抗炎症経路(CAP)」を介した抗炎症作用が発揮されるというアンバランスが存在することが分かっているのですね。

 

 分子レベルでは、「コリン作動性抗炎症経路(CAP)」」は、迷走神経という神経を介して、「アセチルコリン」という物質を放出を介して伝達されるシグナルによって特徴づけられ、

これが、「炎症」の主要な担い手であるマクロファージの炎症作用を抑制するというのですね。

 

「なんのこっちゃ〜」・・・と思う方も多くいらっしゃるかもしれませんね。

 

私も同様に「なんのこっちゃ〜」と思います。

 

しかしながら、「交感神経」と「副交感神経」からなる「自律神経」が、「老化」に伴う「炎症」の影響を受け、「マクロファージ」の抗炎症作用まで抑制することは、注目に値するのではないか・・・なんて、思ったりもします。

 

「自律神経」の障害に「マクロファージ」という免疫細胞まで、関与してくるわけですからね。

 

なので・・・「自律神経」の障害による「動悸」やその他の症状が

「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」サプリの服用や

「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」の点滴で、すっかりなくなればよいのですが・・・

 

完全に症状を消失させるものとするには・・・もう少しだけ、話は複雑で、さらに研究が必要なのかもしれないなあ・・・と考えたりもします。

 

もちろん、「自律神経」の障害による「動悸」やその他の症状には、西洋薬ばかりでなく、漢方薬でも有効なものが報告されているわけですが・・・

 

「NMN」サプリの服用や「NAD+点滴」が、完全に症状を消失させないまでも、「自律神経」の障害による「動悸」などの症状を緩和(かんわ)する可能性もあり、そうであればいいなあ〜と、思います。

 

ほんとうに「自律神経」は難しいですね。これからも勉強していきたいと思います。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうどざいましたお願い

 

 

参考)

1GeroScience . 2023 Oct 11;46(1):113–127

Autonomic nervous system imbalance during aging contributes to impair endogenous anti-inflammaging strategies

Sergio Giuntaら

 

(マンダリン オリエンタル 東京のBarからの風景)

( 筆者撮影)

 

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