こんにちは、内科医ひとちゃんです
曇りのお天気の寒空を見上げ、本格的な春の季節は遠いと思っていたのですが、天気予報では、明日20日からは東京でもスギ花粉が飛ぶのだとか。
しかも。今年のスギ花粉の飛散量は、例年の2倍以上が予想されるのだとか。
早めの準備が必要かもしれませんね。
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
今回は、皮膚の「コラーゲン」のお話をさせていただきたいと思います。
皮膚の真皮層(しんぴそう)にある「コラーゲン」ですが、「エラスチン」や「ヒアルロン酸」とともに
同じ真皮層にある「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」で産生されるのでしたよね。
もっと詳しく説明しますと。次のようになるでしょうか。
「線維芽細胞」は真皮層の健康を維持する中心的な役割を果たし、「コラーゲン」を合成して肌の土台を形成し、「エラスチン」を通じて弾力性を維持します。
また、「ヒアルロン酸」の産生により、真皮内の水分を保ち、しっとりとした肌をサポートしているとされています。
(図はお借りしました)
(AIを用いて画像を作成)
この「線維芽細胞」も一定の時間が経ちます(たちます)と「老化細胞化」していきます。「線維芽細胞」が少なくなれば、そこから産生される「コラーゲン」や「エラスチン」も減少していくことが知られています。
では、「線維芽細胞」を活性化する可能性のある治療法は、どのようなものが報告されているのでしょうか?
近年、以下のような治療法が線維芽細胞の活性化をサポートする可能性があるとされています。
1)高濃度ビタミンC点滴
ビタミンCは強力な「抗酸化作用」を持ち、「線維芽細胞」を活性化させる可能性があると考えられています。
ビタミンCはコラーゲンの生成を促進する重要な栄養素であり、真皮層の健康を直接的にサポートします。高濃度ビタミンC点滴は、経口摂取よりも高い血中濃度を実現できるため、効果が期待される治療法です。
2)NAD+点滴
NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、細胞内エネルギー代謝や老化プロセスに関与する補酵素です。これが補充されることで細胞の若返りが期待され、「線維芽細胞」の働きを支える可能性があります。NAD+点滴は、エネルギー代謝を最適化し、細胞の再生能力を高めるアプローチとして注目されています。
3)幹細胞エクソソーム点滴
エクソソームは、幹細胞から分泌されるナノ粒子で、細胞間のシグナル伝達を担います。これには成長因子やタンパク質が豊富に含まれており、「線維芽細胞」の活性を直接刺激することで、コラーゲンやエラスチンの産生を促進する可能性があります。幹細胞エクソソーム点滴は、再生医療の一環として、肌の若返りを目指す最先端治療の一つとされています。
4)ビタミンサプリメントの活用
日々の生活の中で、「線維芽細胞」の機能をサポートするビタミンの摂取も有効です。特に、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンAなどは抗酸化作用や細胞再生を助ける効果があるため、食事やサプリメントを通じてこれらの栄養素を取り入れることは、肌の健康維持に寄与します。
また、「亜鉛」や「コエンザイムQ10」などの補助成分も、「線維芽細胞」の働きを間接的に支えるとされています。
「亜鉛」は、ちょっと意外に思うかもしれませんね。
この報告の詳細は、後日の話題にしたいと思います。
素敵な1週間をお過ごしください
それでは、また
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<ブログ後記>1月21日
今回は、皮膚のハリや柔軟性を保つことに重要な働きをしている「線維芽細胞」について、お話をさせていただきました。
「線維維芽細胞」の存在する「真皮層」の特徴は、血流が豊富であることです。
これに対して、「表皮層」には、あまり血管が存在しないため、直接的な血流は極めて少ないとされています。
「表皮層」に到達した薬剤が、そこで代謝されることなく目的の場所へ届く必要がありますが、薬剤が「表皮層」内で分解されたり、変化したりすることがあり、効果が減少することがあると考えられています。
このため、栄養素や酸素は、「真皮層」から拡散によって「表皮層」に供給(きょうきゅう)されます。血管網があり、「真皮層」に薬剤などを投与したほうが、皮膚全体の状態を良好にたもつことができると考えられているのですね。
ところで、本文の中に「亜鉛(あえん)」があげられていることに違和感を感じた方もいらっしゃるかもしれません。
「亜鉛」というと「滋養強壮」などという言葉が浮かんでくるわけですが、「亜鉛」は、皮膚の健康や免疫システムの機能にとって非常に重要な微量元素と考えられています。
その「亜鉛」の効果や影響を見てみますと、皮膚の「修復」と「維持」ということになります。
「亜鉛」は、細胞の「成長」と「分裂」に関わっているため、傷の治癒プロセスに重要な役割を果たしてもいるのだそうです。
徳島大学が以前に発表した論文(Jounal of Investigative Dermatology 2017)では、皮膚の「コラーゲン」を維持するためには、
細胞内の亜鉛の量を制御する「亜鉛トランスポーター(ZIP7など)」という構造が重要であると報告しています。
「亜鉛トラスポーター」という構造が、細胞の生体膜上にありまして、細胞内の亜鉛濃度を高めるために機能するのですが・・・
この「亜鉛トラスポーター」が減少してしまうと、真皮層の「コラーゲン」の量が減少してしまうわけです。
真皮層の構造を支えているのが、「コラーゲン」や「エラスチン」であるわけですが、このうち、「コラーゲン」が減少してしまうと・・・
皮膚全体が薄くなり、また、弾力(だんりょく)がなくなってしまうのだそうです。
また、「炎 症VOL.4 NO.4 AUTUMN 1984 」の科学雑誌の中では、
「亜鉛」が「線維芽細胞」の増殖や「コラーゲン」の合成に必要であるとの報告もありますし、
また、ポーラ化成工業の研究では、「コウキエキス」と「シナノキエキス」の混合物が、「線維芽細胞」における「亜鉛トランスポーター」の遺伝子発現を増加させ、「コラーゲン」の産生を助ける可能性が示されています。
もちろん、いくつかの報告もありますが、細胞内の亜鉛濃度を高めるためには、血液中の「亜鉛」濃度を適正に保っておくことも重要であることは、当然のことですよね。
どうでしょうか?・・・「亜鉛」はサプリなどでも摂取できますので、「肌」のよい状態を保つために有用(ゆうよう)かもしれませんね。
今回も最後までお付き合いいただきまして
誠にありがとうございました
参考)
1.Journal of Trace Elements in Medicine and Biology. Vol 68.2021
Intracellular zinc during cell activation and zinc deficiency.
Benjamin Rollesら
2.Journal of Investigative Dermatology 2017.
Requirement of zinc transporter SLC39A7/Zip7 for dermal development to fine-tune endoplasmic reticulum function by regulating protein disulfide isomerase.
Bum-Ho Bin, Toshiyuki Fukadaら
(筆者撮影)
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理事長、院長
小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士, 内科医
(総合内科、リウマチ専門医)
(新潟大医学部卒)
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