こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

気持ちの良い青空が広がり、季節を先取りしたような陽気となっています。

春の陽気は、長い間、待ち望んでいたことで、なんとなく嬉しくなりますね。

『トム・ソーヤーの冒険』の作者である19世紀の小説家「マーク・トウェイン」は、次のような言葉を残しています。

 

"In the spring, I have counted 136 different kinds of weather inside of 24 hours." 

 

春には、24時間の中に136種類もの異なる天気を数えたことがある

 

彼は、米国のニューイングランド地方の気候が変わりやすいことを

スピーチの中で揶揄(やゆ)したそうです。

 

春の気候が不安定であることを誇張して強調する際に引用される言葉かもしれませんね。

 

確かに明日の夕方からは寒くなりまして 、雪がちらつくとか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

今回は「線維筋痛症」などの痛みの治療にもつながる可能性があるかもしれない「慢性疼痛のメカニズム」について、お話をしてみたいと思います。

 

「痛み」は本来、体を守るための警告システムです。

 

しかし「慢性痛」では、痛み自体が病気となり、患者さんの生活の質を著しく低下させます。

 

最近の研究により、「痛みの増幅(ぞうふく)」には、末梢神経系と中枢神経系における免疫反応と、アストロサイトなどの「グリア細胞」の異常な活性化が深く関わっていることが分かってきました。

 

まず、末梢神経ですが・・. ・組織が損傷したり炎症が起きると、その場所で「免疫細胞」が活性化し、様々なサイトカインやケモカインを作り出します。

 

この免疫反応は本来、組織を修復するために必要なものですが、同時に痛みの感じ方を大きく変化させます。

マクロファージや肥満細胞などの「免疫細胞」は、損傷部位に素早く集まり、TNF-α、IL-1β、IL-6などの「炎症性サイトカイン」を放出します(参考1)。

 

 

これらの「炎症性サイトカイン」は、痛みを感じる神経線維に直接作用し、神経を興奮しやすい状態にします。

特に「TNF-α」は、神経細胞の表面にある「TNFR1(TNF受容体1型、CD120a)という受容体を通じて信号を伝え、ナトリウムチャネルやTRPV1チャネルの数を増やすとされています(参考2)。

 

 

TRPV1(トリップ・ブイワン)は、唐辛子(とうがらし)の辛み(からみ)の成分カプサイシンや43℃以上の熱、酸などを感知し、「熱い・痛い」という信号(侵害受容)に変換する細胞膜上のイオンチャンネルです。

 

侵害性刺激を「痛み」として感じる主要な感覚センサーであるので「TRPV1チャネル」の数を増やす結果、神経が反応する閾値が下がり、通常では痛みを感じないような弱い刺激でも痛みを感じるようになります。これが「アロディニア(異痛症)」と呼ばれる現象です。

 

風が吹くなどの些細な刺激で、ヒリヒリ・ピリピリとした激しい痛みを感じるという症状が、この「アロディニア(異痛症)」と呼ばれる状態となります。

 

さらに「IL-1β」も強力な痛み増強作用を持っています。「IL-1β」は、IL-1受容体を通じてp38 MAPキナーゼ経路というものを活性化し、「プロスタグランジンE2(PGE2)」の産生を促進します(参考3)。

 

 

「PGE2」は痛みを感じる神経を敏感にし、痛覚過敏を引き起こします。さらにIL-1βは神経成長因子(NGF)の産生も増やし、これが長期的な「痛みの感作」に寄与します。

「痛みの感作」とは、長引く痛みや炎症により神経系(末梢または中枢)が過敏になり、通常なら「痛み」を感じにない弱い刺激でも痛みを感じたり、実際の組織損傷以上に強い痛みを感じたりする現象を指します。

 

(AIを用いて画像を作成)

 

次に神経障害性疼痛における免疫応答についてのお話をさせていただきたいと思います。

神経が損傷されると、より複雑な免疫反応が起こります。損傷された神経組織からは、「DAMPs(ダンプス:ダメージ関連分子パターン)」と呼ばれる内因性の危険信号が放出されます。

 

この、「DAMPs」は、細胞の損傷や細胞死に伴って細胞内から放出される分子群の総称ですが、これにはATP、HMGB1、熱ショックタンパク質などが含まれます(参考4)。

 

これらの「DAMPs」は、免疫細胞にある「パターン認識受容体(特にToll様受容体)」を活性化し、炎症反応を開始させます。

とくに「TLR4(Toll様受容体4)」の活性化は、神経障害性疼痛の発症と維持に重要な役割を果たすことが複数の研究で示されています

(参考5)。

 

神経損傷部位では、マクロファージの浸潤が顕著に認められます。

マクロファージはM1型(炎症促進型)とM2型(抗炎症型)に分類されますが、神経障害性疼痛の初期にはM1型マクロファージが優位となり、炎症性メディエーターを大量に産生します(参考6)。

 

この炎症環境が、損傷を免れた隣の神経線維まで敏感にし、痛みの範囲を広げると考えられています。

 

最近、このメカニズムに、獲得免疫、とくにT細胞が「慢性痛」に関わることが注目されています。神経損傷後、脊髄後角や後根神経節にT細胞が入り込むことが観察されています。

 

実際に「CD4陽性T細胞」と「CD8陽性T細胞」の両方が、痛覚過敏の維持に関与していることが動物実験で示されています(参考7)。

 

「T細胞」はIFN-γなどのサイトカインを産生し、これが「ミクログリア」や「アストロサイト」の活性化を促します。

 

また、T細胞由来のサイトカインは直接的に神経細胞の興奮性を調節することも報告されています。このように、自然免疫と適応免疫の両方が協力して、「痛み」を慢性化させる複雑なネットワークを形成します。

 

次にやっと「ミクログリア」や「アストロサイト」の話が出てくるわけですが・・・続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>2月17日

 

今回は、神経障害疼痛のお話をさせていただきました。

「痛み」は本来、体を守るための警告システムであるというお話を本文内でさせていただきましたが・・・

 

やはり、「痛み」が絶え間なく続いている「慢性の痛み(慢性疼痛)」は、「痛み」そのもの自体が病気となり、患者さんの生活の質を著しく低下させます。

 

ひとつの例が「線維筋痛症」であったりするわけです。

風があたってもガラスが刺さったような痛みに感じるというのは、まさに痛みの大きさが増幅されているように思います。

 

本文では、「末梢神経系」の領域の異常についての話であるわけですが、

損傷部位で発生するTNF-α、IL-1β、IL-6などのサイトカイン、また、

マクロファージ、CD4+T細胞(ヘルパーT細胞)、CD8+T細胞(細胞障害性T細胞)などと並べられますと・・・これは、何らかの「異常な免疫反応」が起きているのではないか?・・・と思えてきますよね。

 

多くの新しい用語にうんざりする方も多かったと思いますが、末梢神経では、炎症性サイトカインが放出され、何らかの「自己免疫反応(?)

」が起きている可能性があるわけです。

 

次に「中枢神経系」の領域に話を移しまして・・・「アストロサイト」が活性化して、痛みの増幅を起こすというお話をしてみたいと思います。

脳内(中枢神経系)に存在する最大のグリア細胞が「アストロサイト」というものになります。ギリシャ語で「星の細胞」を意味でして、多数の細い突起を広げ、脳全体に網目状に展開しています。

 

この「アストロサイト」は、以前のブログ内でもお話をしたことがあるかもしれません。

アストロサイトは、「神経細胞とは異なり電気信号を発生しないため、脳が働くために必要な情報伝達には関わっていない」と考えられ、その重要性が見過ごされてきた細胞となります。

 

その後、「アストロサイト」の四方八方に伸ばし突起は先端がシート状で、神経細胞同士の接合部位である「シナプス」と「脳血管」を覆っています。ヒトの「アストロサイト」は、1個あたり推定200万個以上のシナプスに関わっていると考えられているのですね。

 

また、「アストロサイト」は、「血管」と「神経細胞」の間を橋渡しし、血管からグルコースなどを取り込んで神経細胞へ渡す役割を持つとされます。

 

こうした多彩な機能を持つことから・・「アストロサイト」は、「脳内の環境調整役」などと呼ばれているわけです。

 

しかしながら、「神経損傷」がある状態では、「アストロサイト」は反応性の状態に変化し、「痛み」の増幅(ぞうふく)に積極的に関わるようになります。


とくに脊髄後角の「アストロサイト」は、末梢からの痛み刺激や炎症性メディエーターに反応して活性化します。

この活性化は「GFAP」というタンパク質の発現増加を特徴とし、形態的には細胞体が大きくなり突起が増えます(参考8)。

 

活性化したアストロサイトは、神経伝達の調節、炎症性メディエーターの産生、細胞外環境の変化など、複数の仕組みを通じて「痛覚伝達」を強めてしまうのだそうです。

 

・・・とここまでが、導入部分で、さらに「アストロサイト」の活性化は、しばしば「ミクログリア」の活性化と並行して起こります。実際、これらのグリア細胞間には密接なクロストークが存在し、互いに活性化を促進する・・・とい話になり、それは治療するには、どのような薬剤が最適か?・・・となっていくわけですが、

続きは、次週の話題にしたいと思います。

 

「難攻不落(なんこうふらく)の城を攻めて、完全に落とすには・・

・それなりの理論武装が必要なわけでして〜〜〜と言いながら、難しい用語に もう、ここでやめようかな〜〜〜とも思うわけですが、もう少しだけ話を進めたいと思います(本当は、ヘトヘトです笑い泣き

 

今回も最後までお付き合いいただき

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Trends Neurosci. 2001 Aug;24(8):450-5. 

Glial activation: a driving force for pathological pain  

LR watkinsら

 

2)J Neurosci. 2003 Apr 1;23(7):2517-21. 

Tumor necrosis factor-alpha induces mechanical allodynia after spinal nerve ligation by activation of p38 MAPK in primary sensory neurons  

Maria Schhafersら

 

3)Nature. 2001 Mar 22;410(6827):471-5. 

Interleukin-1beta-mediated induction of Cox-2 in the CNS contributes to inflammatory pain hypersensitivity   

T A Samedら

 

4)Sultan Qaboos Univ Med J. 2015 May;15(2)

The Role of Damage-Associated Molecular Patterns (DAMPs) in Human Diseases: Part II: DAMPs as diagnostics, prognostics and therapeutics in clinical medicine  

Walter G Land

 

5)Brain Behav Immun. 2010 Jan;24(1):83-95. 

Evidence that opioids may have toll-like receptor 4 and MD-2 effects

Mark R Hutchosonら

 

6)Nat Commun. 2020 Jan 14;11(1):264. 

Dorsal root ganglion macrophages contribute to both the initiation and persistence of neuropathic pain 

Xiaobing Yuら

 

7)J Neurosci. 2009 Nov 18;29(46):14415-22. 

T-cell infiltration and signaling in the adult dorsal spinal cord is a major contributor to neuropathic pain-like hypersensitivity

Michael Costiganら

 

8)Acta Neuropathol. 2010 Jan;119(1):7-35. 

Astrocytes: biology and pathology   

 Michael V sofroniewら

 

(ミッドタウン東京:水の湧き出る風景)

(筆者撮影)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

先ほどまでは、雪が散らついておりました。

 

「立春」を過ぎてもなお舞い降りる雪を見ながら、冬の名残(なごり)と捉える(とらえる)べきか、それとも、春への序章なのだろうか・・・などと窓の外をぼんやりと見ておりました。

 

春になっても降る、あるいは消えずに残っている雪を「名残雪(なごりゆき)」と呼ぶわけですが、冬から春への移行を感じさせる季語として扱われます。 

 

2月の雪にはまさに、終わりと始まりが一つに溶け合う「境界の美」があるということでしょうか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(AIで画像を作成)

 

さて、以前にもお話をしたことがある話題なのですが・・・

 

「活性型ビタミンD」による「老化細胞」を抑制するメリットについて、再度、お話をしてみたいと思います。少し復習をぢてみますと、次のようなものになります。

 

「細胞老化」は、様々なストレス応答の結果として生じる不可逆的な「増殖停止」の状態でしたね。

 

「テロメア」の長さがそれ以上は分裂できなくなる「ヘイフリックの限界」に達することや、そこまで達しなくても、なんらかの遺伝子異常が生じることにより、細胞分裂を停止することで「老化細胞」になるというケースもありましたよね。

 

老化した細胞は単に機能を停止するだけでなく、

「SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype:老化関連分泌表現型)」と呼ばれる、炎症性サイトカインやマトリックス分解酵素を分泌する形質を獲得します(参考1)。

 

 

加齢に伴う「老化細胞」の蓄積(ちくせき)は、組織の「慢性炎症(Inflammaging)」を誘発し、動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症、神経変性疾患などの多岐にわたる加齢関連疾患の共通基盤となります (参考2)。

 

先に述べたとうに「細胞老化」は、テロメアの短縮、DNA損傷応答、酸化ストレス、発がんストレスなどによって誘導されます。

 

これらの反応をもう少し詳しくみてみると、「p53/p21CIP1経路」、および「 p16INK4A/pRb経路」が活性化しますと、「細胞周期」を恒久的に停止させます。

 

p53/p21CIP1経路」活性化は、 DNA損傷やストレスにより活性化され、細胞周期を停止させますし、「 p16INK4A/pRb経路」が活性化しますと、「細胞周期」を恒久的に停止させます。

 

こうして生じた「老化細胞」は、IL-6、IL-1β、TNF-α、および MMP 群を分泌し、「パラクライン」作用によって周囲の正常細胞へも老化を「伝播」させます(参考2)。

 

「パラクライン作用」とは、細胞が分泌する「成長因子」、「サイトカイン」、「エクソソーム」などが血液などを経由せず、隣接する細胞や

局所的な細胞に直接作用するシグナル伝達機構のことでしたね。

 

つまり、「老化細胞」が1つ生じますと、周囲の細胞は次から次へと

「老化細胞」が生じ、最終的には、ヒトの内臓、皮膚などを加速度的に「老化」させ、最終的にはヒトの寿命そのものを短くしていくとも考えられます。

 

(AIを用いて画像を作成)

 

では、この絶望的とも言える状況で「活性型ビタミンD」は、どのようにして、「老化細胞」を抑制していくのでしょうか?


「活性型ビタミンD」は、以下の5つの主要な経路を通じて「老化」を制御すると考えられています。

1 )Nrf2-抗酸化経路の活性化

「活性型ビタミンD」は、VDR(ビタミンD受容体)を介して細胞内の

「抗酸化スイッチ」である Nrf2 の転写を促進します(参考3)。

 

「Nrf2 」は「転写因子」なのですが、核内で「Nrf2」は、抗酸化酵素(SOD、カタラーゼなど)やグルタチオン合成酵素、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)などの抗酸化・解毒遺伝子の発現を誘導し、細胞内の抗酸化力を高めるとされているのですね。

 

マウスモデルにおいて、「ビタミンD活性化酵素」の欠損は著しい酸化ストレスと早期老化を招きますが、外因性の「活性型ビタミンD」を補充により、「Nrf2 」を介してこれらの症状が劇的に改善されることが証明されています(参考3)。

2 )エピジェネティック制御:VDR-Ezh2-p16軸

老化マーカーである「 p16(p16INK4a)」の発現抑制において、「ビタミンD」は、エピジェネティックな「蓋(ふた)」の役割を果たします。

これは、ちょっと、難しいのですが・・・

「活性型ビタミンD」は、「ヒストンメチル化酵素 Ezh2 」の発現を誘導します。「ヒストンメチル化酵素 Ezh2 」は、遺伝子の発現を抑制する働きがあります。これが、「 p16 遺伝子」の存在する部分を抑制するようなヒストン修飾(H3K27me3)を促進します (参考4)。

 

 

これにより、幹細胞の増殖能が維持され、組織の再生能低下が防がれます。

3)抗老化タンパク質Klotho(クロソ)の誘導

「Klotho(クロソ/クロトー)」 Kは、主に腎臓や脳で生成される「抗老化タンパク質(ホルモン)」です。1997年に日本人の研究者(黒尾誠氏ら)によって発見され、寿命や老化のメカニズムに深く関与する物質として、現在世界中で研究が進行しています。 、

 

この「Klotho(クロソ/クロトー)タンパク」が欠損すると「早期老化」を呈し、過剰発現すると寿命が延長する「長寿遺伝子」のひとつです(参考5)。

 

「活性型ビタミンD」は、「Klotho 遺伝子」のプロモーター領域にあるビタミンD応答配列(VDRE)に直接結合し、その発現を強力にブーストします (参考6)。

 

Klotho はインスリン/IGF-1シグナル伝達経路(IIS経路)の抑制やWntシグナルの制御を通じて、全身性の「抗老化作用」を発揮するとされています。


4 )ミトコンドリア恒常性の維持

「VDR(ビタミンD受容体)」は、核内だけでなく「ミトコンドリア」にも局在し、「マイトファジー(損傷したミトコンドリアの分解)」や呼吸鎖機能の調節に関与します(参考7)。

 

 

「VDR(ビタミンD受容体)」が、機能不全に陥ると、ミトコンドリアからの「活性酸素(ROS)産生」が増大し、DNA損傷を介して細胞老化が加速します。

ビタミンD補充は、ミトコンドリアの「質」を維持することで、老化の源流を断つ役割を果たします。

5)「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化

長寿遺伝子として知られる「サーチュイン1遺伝子( SIRT1 )」も、

ビタミンDの制御下にあります。「活性型ビタミンD」は 

「サーチュイン1遺伝子( SIRT1 )」の発現を増強し、p53 や NF-\kappa B の脱アセチル化を通じて、アポトーシス抑制と抗炎症作用を同時に発揮することが報告されています。

 

いかがでしょうか?「活性型ビタミンD」というのは、「骨粗鬆症」の治療薬のひとつで、既に製剤化されています。

もちろん、「骨粗鬆症」の状態になければ、保険診療では処方できないわけですが、「抗老化医療」においても期待できそうですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>2月10日

「活性型ビタミンD」は、既に「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」の治療薬として、製剤化されています。


臨床の現場では、活性型ビタミンD3製剤として、「アルフカルシドール(商品名:ワンアルファ,アルファロール」や「カルシトリオール(ロカルトロール)」などの薬剤があります。


これらの薬剤は、骨吸収を抑制することで、「骨密度」を増加させます。骨粗鬆の治療薬としては、ポピュラーであり、よく処方される薬剤になると思います。

このような「活性型ビタミンD」が「骨密度」の改善ばかりでなく、

「老化細胞」の蓄積を蓄積を抑制するというのですから驚きますね。

実際にそれを裏づけるようななデータが集まりつつあるようです。

どのようなデータかと言いますと、以下のようなものになります。

A.「テロメア長」の維持
大規模試験「VITAL trial」のサブ解析(2025年報告)において、5年間にわたるビタミンD3の補充は、プラセボ群と比較して白血球テロメア長の短縮を有意に抑制し、生物学的老化を約2〜3年分遅らせる可能性が示されました(参考8)。

B. 「免疫老化」の改善

高齢者を対象とした最新の研究では、高用量ビタミンDの投与が末梢血中の老化マーカー(SA-\beta-gal活性やp16発現)を低下させ、免疫機能を若返らせることが報告されています(参考9)
 

しかしながら、「活性型ビタミンD」の製剤(カルシトリオール、アルファカルシドール等)は、「抗老化作用」という「光」を持つ一方で、厳格な管理を要する「影」も併せ持ちます。


その「影」とは、どのようなことなのでしょうか?

それは、「高カルシウム血症」と、それによる「血管」の石灰化ということになります。「血管」の石灰化とは、「動脈硬化」ということになりますね。
 

それは、次のようなメカニズムによって引き起こされます。

実は、「活性型ビタミンD」は、腸管からの「Ca(カルシウム)」の

吸収を強力に促進(そくしん)します。

 

このため、「活性型ビタミンD」の製剤を過剰に投与しますと、血清Ca濃度を上昇させ、軟部組織や血管の石灰化を招くリスクがあるというわけです(参考10)。

 

これは本来の目的である「心血管系の老化抑制」と矛盾する結果を引き起こしかねないというわけです。組織の「老化」スピードを抑制するには、「動脈硬化」のスピードをできるだけ抑制することが重要でしたよね。

 

なぜなら、以前のブログでもお話をしましたが・・・1人のヒトの持つ血管のトータルの長さは、地球を2周半する長さを持ち、あらゆる組織に血液を供給しているわけですから・・・仮に「老化細胞」を抑えられても、「動脈硬化」が進行してしまっては、あらゆる臓器の「老化」は進行してしまいますよね。

 

今回も最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Nat Rev Mol Cell Biol. 2024 Dec;25(12):958-978. 

The senescence-associated secretory phenotype and its physiological and pathological implications 

Boshi Wangら

 

2)Endocr Rev.. 2024 Sep 12;45(5):655-675. 

Targeting Cell Senescence and Senolytics: Novel Interventions for Age-Related Endocrine Dysfunction.

Masayosi Sudaら

 

3)Agibg Cell. 2019 Jun;18(3):e12951. 

1,25-Dihydroxyvitamin D exerts an antiaging role by activation of Nrf2-antioxidant signaling and inactivation of p16/p53-senescence signaling 

Lulu Chenら

 

4)Aging Cell. 2020 Feb;19(2):e13095. 

1,25-Dihydroxyvitamin D protects against age-related osteoporosis by a novel VDR-Ezh2-p16 signal axis 

Renlel Yangら

 

5)Kidney Int. 2007 Apr;71(8):730-7. 

Klotho: an antiaging protein involved in mineral and vitamin D metabolism 

P-Erena Torressら

 

6)Biochem Biophys Res Commn. 2011 Oct 28;414(3):557-62. 

Vitamin D receptor controls expression of the anti-aging klotho gene in mouse and human renal cells 

Ryan E Forsterら

 

7)Int J Mol Sci. 2018 Jun 5;19(6):1672. 

Vitamin D Receptor Is Necessary for Mitochondrial Function and Cell Health

 Chiara Riccaら

 

8)Am J Clin Nutr. 2025 Jul;122(1):39-47.
Vitamin D3 and marine ω-3 fatty acids supplementation and leukocyte telomere length: 4-year findings from the VITamin D and OmegA-3 TriaL (VITAL) randomized controlled trial
Haidong Zhuら


9)Front Immunol . 2025 May 12:16:1570441.
 Co-administration of vitamin D and N-acetylcysteine to modulate immunosenescence in older adults with vitamin D deficiency: a randomized clinical trial
Samira Rastgooら

 

10)(Case Reports)J Bras Netfrol. 2020 Apr 3;42(2):238-244. 

Vitamin D Toxicity

Kenneth Limら

 

(帝国ホテル 赤い薔薇の装花)

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

2月最初の休日となっています。

2月は「如月」と書いて「きさらぎ」と呼ばれることもありますね。

そのように読むようになったのは、室町時代の頃とされています。

 

「如月」を「じょげつ」と読んでも、2月の異称になるわけですが、これはm中国最古の字書『爾雅(じが)』に「二月を如となす」とあることから生まれました。

「如となす」は、万物が神意に従うように現れ出ることだそうで、

自然がいきいきと動き出す時期といえますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

先週末のことでしたが、米国のオンライン・タブロイド紙『Raw story』の驚くような記事があったそうです。

 

トランプ米大統領による交流サイト(SNS)への執拗な投稿について、専門家から健康状態を懸念する声が上がっている。米国内のある医師は25日、大統領の深夜の連投や感情的な言動は、脳卒中後の一般的な副作用である「激越性(げきえつせい)うつ病」の兆候である可能性があるとし、医療チームによるより適切な介入が必要だと指摘したというニュースがありました。

 

22日にブリュッセルで開かれたEUの臨時首脳会議で、一部首脳らに「アウト・オブ・ヒズ・マインド(正気を失っている)」と評価されたという報道もあります。

 

そこで、今回は「脳卒中後うつ病」とは、どのようなものか?また、「アルツハイマー病」と違いについて、お話をしてみたいと思います。

 

高齢化に伴い、「脳卒中」と「認知症」の患者数は世界的に増加しているそうです。

 

脳卒中を経験した人の約3〜4割が「脳卒中後うつ病(PSD)」を発症するとされ、特にイライラや落ち着きがなくなる「激越(げきえつ)」を伴う場合、リハビリの妨げになるとされています (参考1,2,3)

 

 

一方、「アルツハイマー型認知症(AD)」は認知症の約7割を占める代表的な病気です [4]。「脳卒中後うつ病(PSD)」の認知機能の低下は、うつの治療によって「回復する可能性(可逆性)」があるのに対し、ADはゆっくりと進行する病気です。この違いを正しく理解することが、適切な治療への第一歩となります。

 

(AIを用いて画像を作成)

 

では、「脳卒中後うつ病(PSD)」が起こる仕組みとは、どのようなものになるのでしょうか?

「脳卒中」になると、脳の中では単なる「心の落ち込み」以上の物理的な変化が起こるとされています。

 

1)神経の炎症

 

脳の血管が詰まったり破れたりすると、脳内の免疫細胞(ミクログリアなど)が活性化し、炎症物質を放出します。これが脳の「修理機能」を邪魔し、うつ症状や記憶力の低下を引き起こします(参考5,6,7)

 

2. ストレス反応の暴走

 

脳卒中という大きなストレスにより、体内のホルモンバランス(HPA軸:視床下部-下垂体-副腎系)が崩れます。ストレスホルモンである「コルチゾール」が過剰に出続けると、記憶を司る「海馬」という部分がダメージを受けてしまいます(参考8)。

 

 

3.神経伝達物質の不足

 

意欲や気分に関わるセロトニン、ドパミンといった物質の通り道が脳卒中によって遮断され、回路がうまく働かなくなります (参考9)。

 

続きは、後日の話題にしてみたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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< ブログ後記   >2月3日

 

今日は「節分」ですね。明日からは「立春(りっしゅん)」となり、暦の上では、「春」になるわけですね。

 

今回は「脳卒中後うつ病」について、お話をさせていただきました。

「脳卒中」とは、脳梗塞(約7割)、脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害ということになりますね。

 

実は、「脳卒中後うつ病」と「アルツハイマー病」の鑑別(かんべつ)は難しいとされています。

 

トランプ氏の姪メアリー・トランプ氏は、叔父がアルツハイマー病を患っている可能性があると以前から述べていましたので、ある意味では、トランプ氏にとって、優しい診断(?)であったのかもしれません。

 

彼女は、ユーチューブチャンネルで、トランプ氏が

1999年に93歳で亡くなった祖父 フレッド・トランプ氏に様子が似てきていることから、退行性の病気であるアルツハイマー病の可能性があると述べていたのです。

 

では、「脳卒中後うつ病(PSD)」と「アルツハイマー病(AD)」には、どのような特徴があるのでしょうか?参考文献が多いので、後記の方では省略させていただきたいと思います。

 

「脳卒中後うつ病(PSD)」と「アルツハイマー病(AD)」を比較しながら、お話をしてみたいと思います。

 

「脳卒中」は成人における主要な脳障害の原因であり、生存者の30〜40%が「脳卒中後うつ病(PSD)」を発症するとされています。

 

一方、「アルツハイマー病(AD)」は、認知症の60〜70%を占める進行性疾患である[とされています。

 

両者は症状が、とても似ているわけですが、「脳卒中後うつ病(PSD)」の認知障害は可逆的である可能性が高く、「アルツハイマー病(AD)」は、進行性で不可逆的であるため、正確な鑑別が予後を左右するとされています。

 

つまり、もしも「脳卒中後うつ病(PSD)」によるものであれば、認知症の症状が、治療により改善する可能性がある・・・ということになりますね。

 

鑑別は難しいとされるわけですが・・・脳神経内科などの専門家から見ると、それぞれの疾患の認知障害パターンには明確な差異があるとされています。

まず、機能・行動への影響をみてみますと、以下のようになります。

1)作業の正確性

 

「脳卒中後うつ病(PSD)」では、「処理速度や注意機能の低下が認められるが、治療により、改善が可能であるとされています。

 

「アルツハイマー病(AD)は、「 IADL(買い物、料理など)」は認知機能低下の初期段階で低下しやすい傾向があり、ADL(食事、排泄など)は、不可逆的に悪化していくとされています。

 2.BPSD(行動・心理症状 )

 

「脳卒中後うつ病(PSD)」では「激越(げきえつ)症状」や「易刺激性」が目立つとされています。

 

「激越(げきえつ)症状」とは、強い焦燥感、不安、イライラを伴い、じっとしていられず動き回る(そわそわする、徘徊、手をもみ合わせる等)行動が特徴の精神状態を指します。

 

うつ病特有の「動きが鈍くなる」状態とは異なり、一見活動的に見えるが、内心は「パニック」に近い状態であるとされています 。

 

一方、「アルツハイマー病(AD)」は、「アパシー」から始まり、進行に伴い徘徊や夕暮れ症候群、社会的孤立が生じるとされています。

 

「アパシー(Apathy)」とは、感情の欠如を語源とする、無気力・無関心・自発性の低下した状態を指します。周囲の事象だけでなく、自分の身の回りや日常的な活動への意欲が著しく減少するとされています。

 

認知症や脳血管障害、「パーキンソン病の周辺症状(BPSD)」として多く見られ、本人に自覚が乏しい、または悲哀感を伴わない点が「うつ」とは異なる特徴であるとされています。

 

若年発症例では、いずれも職業的・経済的損失が甚大となると解説されています。

 

では、治療については、どうなのでしょうか?

 

「脳卒中後うつ病(PSD)」では、の抗うつ剤「SSRI」などの薬剤投与が有効であり、「感情」のみならず、「認知機能」や「ADL」の改善させることが示されています。

 

ADL(Activities of Daily Living)とは、日常の生活動作を指しますね。

 

「アルツハイマー病(AD)」については、「ChE(コリンエステラーぜ)阻害薬」や「NMDA受容体拮抗薬」による対症療法に加え[、「レカネマブ,ドマネマブ」等の抗抗アミロイドβ(ベータ)抗体薬により進行を抑制する新しい段階に治療も進みつつあるようです。

 

いずれにしても、「認知症」を早期に見つけ出すことが重要であると

考えますので、JTKクリニックでは、通常の「長谷川式認知症スケール」や AIによる「認知症判断のためのプログラム」を試験的に運用しながら、早期の「認知症」をいち早く見つけ出し、専門医に紹介していく体制を始めています。

 

なかなか、難しい分野の医療ということになりますね。

 

少なくとも「脳卒中後うつ病(PSD)」を見つけ出し、専門医による抗うつ剤「SSRI」などの投与を行い、症状が改善できれば嬉しいと、

今は、思っています。

 

また、後記の方は、参考文献が多数のため、割愛させていただきました。

 

今回も最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

1)Lancet Neuol. 2021 Oct;20(10):795-820. 

Global, regional, and national burden of stroke and its risk factors, 1990-2019: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019 

GBD 2019 Stroke Collaborators

 

2)Stroke. 2017 Feb;48(2):e30-e43. 

Poststroke Depression: A Scientific Statement for Healthcare Professionals From the American Heart Association/American Stroke Association

Amytis Towfghiら

 

3)J Neuropsychiatry Cjin Neurosci.. 2024 Winter;36(1):22-35 Poststroke Depression: An Update

Robert G Robinsonら

 

4)Neurobiol Agin. 1997 Jul-Aug;18(4 Suppl):S27-32.

The neuropathological diagnosis of Alzheimer's disease: clinical-pathological studies 

BT Hyman

 

5)Aging Dis. 2024 Feb 28;16(1):394-407. 

Neuroinflammation and Post-Stroke Depression: Focus on the Microglia and Astrocytes 

Weizhuo Luら

 

6)Mol Neurobiol. 2024 Jan;61(1):132-147. 

Investigating the Potential Mechanisms and Therapeutic Targets of Inflammatory Cytokines in Post-stroke Depression 

Yutong Zhangら

 

7)Aging Dis. 2024 Feb 9;16(1):209-238. 

Inflammatory Pathogenesis of Post-stroke Depression

Xinyu fengら

 

8)Nat Rev Immunol. 2016 Jan;16(1):22-34. 

The role of inflammation in depression: from evolutionary imperative to modern treatment target  

Andrew H Millerら

 

9)Mol Psychiatry. 2006 Nov;11(11):984-91. 

The etiology of poststroke depression: a review of the literature and a new hypothesis involving inflammatory cytokines  

GSpallettaら

 

(梅の花とメジロ)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

(業績)

 

 

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自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

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電話 03-6261-6386

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

強い寒波の影響で、日本海側では大雪になっているようです。

それに対して、太平洋側は寒いのには変わりがないのですが、雲ひとつない青空が広がるわけですね

 

このことは、1968年 日本人初のノーベル文学賞を受賞した

「川端康成(かわばた やすなり)」氏が「雪国」の冒頭の文章

 

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

 

という一文に表現されています。

今でもこの感覚は、かつての自民党総裁「田中角栄(たなか かくえい)」 氏の時代に作られた「上越新幹線」で東京から新潟まで

向かう時に体験できますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

さて、今回は「JTKクリニック」の「メディカルダイエット」がバージョンアップをしたというお話をさせていただきたいと思います。

 

明治時代から120年以上の歴史を持つ「えのきや相談薬舗」さんと

共同で開発をした「ダイエット漢方」を用いて治療を行なってきました。

この漢方は「煎じ薬(せんじぐすり)」でして、生薬を減量にしており、「皮下脂肪型」と「内臓脂肪型」に分かれており、服用しますと

食欲が低下し、脂肪組織が燃焼されるようにメカニズムになっています。

もちろん、この間に自分に適したカロリーの食事内容になるような

食事療法も行っていただき、多くの方がBMI 20~22まで体重を減量することが可能であり、リバウンドや副作用がありませんので、

とても優れたダイエット方法であると自信を持っていたわけです。

 

(AIを用いて画像を作成)

 

それに対して、世界の医療の中では「肥満」は悪である・・・という考え方が、とても早いスピードで広がってきたのですね。

さらに単なるダイエットの方ばかりでなく、「糖尿病境界域(HbAic

6.0~6.4)」の方も多くなりました。

 

それで、「メディカルダイエット」の内容に「マンジャロ(注射薬)」

と「リベルサス(経口薬)」を加えたわけです。

 

もちろん、「ダイエット漢方」は残して、これまでのように中心となることに変わりはありません。

 

では、なぜ、「マンジャロ(注射薬)」や「リベルサス(経口薬)」が必要であると考えたのか?・・・というお話をしてみたいと思います。

 

それは「肥満治療」の新時代が到来(とうらい)したのではないか?

・・・という考え方があります。

 

現在、「肥満」は、世界的な公衆衛生上の「重大な課題」であると認識されるようになってきているのですね。

 

その理由は・・・「心血管疾患」、「2型糖尿病」、特定の「悪性腫瘍」など、多くの慢性疾患のリスク因子として認識されているからなのですね。

 

特定の悪性腫瘍とは「脂肪肝」でして、以前のブログ内でもお話をしていたわけですが・・・「脂肪肝」は「肝硬変」に発展し、その一部

が「肝臓癌」に発展することもあるわけですね。

 

「国際糖尿病連合(IDF)」によれば、2021年時点で世界の「糖尿病患者数」は、5億3700万人に達し、その約90%が「2型糖尿病」であると報告されているのですね(参考1)。

 

「肥満」と「2型糖尿病」の密接な関連性を考慮すると、効果的な「体重管理戦略」の確立は、現代医療における最重要の課題である・・・ということになるわけです。

 

では、なぜ、これまでの「肥満治療」ではダメなのか?・・・ということになります。それは、次のような理由になるのかもしれません。

 

従来の「肥満治療」は、「食事療法」と「運動療法」を基盤として、

「薬物療法」は、補助的な位置づけにとどまっていたと言えると思います。

 

しかし、「GLP-1受容体作動薬」の登場により、この治療パラダイムは大きく変化したと言われています、

 

とくに、2021年に肥満治療薬として承認された「セマグルチド(オゼンピック)」は2.4mg 週1回の投与をする皮下注射製剤ですが・・・

 

プラセボ対照試験において「15-17%の平均体重減少」を達成し、これまでの薬物療法では到達困難であった領域に到達したことが確認

されています。

 

この効果は、胃の内容を縮小する外科的治療(減量手術)に匹敵する効果を示したことが報告されています。(参考2)。


 

もちろん、世界の医療が目指した徹底的な「ダイエット療法」は、なかなか厳しいものであるのかもしれませんね、

 

「マンジャロ(注射薬)」や「リベルサス(経口薬)」の実際の効果や

心臓血管の保護作用などの話題は、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>1月27日

 

相変わらず、寒い夜になっていますね。

 

昨夜は、柄にもなく、哲学のエッセンスのようなものを眺めておりました。

ひとつ、ご紹介させていただきますと・・・

 

「ジム・ローン」という哲学者の言葉がありました。

ご存知の方も多いと思いますが・・・

 

彼の言葉は、環境に甘んじず、自分自身で未来をデザインするための本質的な行動を促しているとされています。

 

その言葉のひとつに

 

 "Discipline is the bridge between goals and accomplishment." 

「規律とは、目標と達成の間にかかる橋である」

 

内面の「秩序」と「安定」が、外面的な「成功」や「繁栄(はんえい)の基盤となるという思想なのだそうです。

 

現在のなんとも騒がしい世の中の出来事は、横に置いておくとして、

 

将来の健康のためには、やはり、BMI 22程度まで体重を落とす必要が

あるわけで・・・

 

これを達成するためには、食生活や日常生活の運動などの「秩序」を守り、決して、「絶対に目標を達成するという、ブレない意識の「安定」が必要であろう・・・夜中にひとり、思ったりもしました。

 

さて、今回は、薬剤を用いたダイエット(メディカルダイエット)について、お話をさせていただきました。

 

JTKクリニックのメディカルダイエットは、基本的には血糖値の指標

である「HbA1c 6.0~6.4)」のいわゆる「2型糖尿病の境界域」の方を

BMI 22程度まで体重を減量し、正常範囲に戻すことを目標にしています。

 

私自身もHbA1c 6.3 → 5.6 程度まで「ダイエット漢方」を用いて、正常範囲に戻り、その後は食生活にも気をつけていますので、「ムリすじ」な話ではないと確信も持っているわけです。

 

では、どのような薬剤を用いるのか?・・・というと、ひとつは

「GLP-1受容体作動薬」である「リベルサス」という内服薬となります。

 

また、さらに強力である「マンジャロ」は、「GIP/GLP-1受容体作動薬」という注射薬となり、これらの薬剤は、「インクレチン関連薬」と呼ばれるものであり、体重の減量が期待できます。

 

ここでは、後者の「マンジャロ」に焦点を当ててみたいと思います。


繰り返しになりますが、「肥満」は「慢性疾患」であり、「2型糖尿病」を含む多くの病気の「前段階」になり得ることが知られています。

 

そうした背景の中で、「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」は、

世界初の「GIP/GLP-1受容体作動薬」であり、もともとは、「2型糖尿病」治療に使われる「週1回の皮下注射薬」となります。

 

この薬剤は、食欲を抑え、血糖値も改善するため、体重減少効果が

期待でき、「メディカルダイエット」に用いられる薬剤のなかでも

注目されています。

では、どの程度までの体重減少が期待できるのでしょうか?

1.体重減少(肥満・糖尿病なしの例:SURMOUNT-1試験)

「肥満(糖尿病なし)」で、176週時点の平均体重変化率は  
5mg投与で−12.3%、10mg投与で、−18.7%、15mg投与で

−19.7%と報告されています。


一方、プラセボ群では、−1.3%であったと報告されていますので、かなりの効果が期待できそうです(参考5)。

また、40〜52週の投与継続では、体重が約 −5.4〜−11.7 kgの体重減少が期待できて、減量達成が20.7〜68.4%とされています(参考3)。

さらに体重だけでなく、脂肪が減ることも報告されています。

2.「脂肪」が減る(体組成:DXAサブ解析)

SURMOUNT-1のDXAサブ解析という報告では、72週で体重−21.3%に対して、脂肪量−33.9%/除脂肪量−10.9%で、

減量の約75%が脂肪量の減少であったことが報告されています(参考3,4)。  
つまり「体重が落ちる」だけでなく、「脂肪がしっかりと落ちる」ことが示されているわけですね。

では、なぜ食欲が低下し、体重が減るのでしょうか?

GLP-1とGIPはいずれも食後に分泌される「インクレチン」というものになります(参考5)。

「GLP-1」は、満腹感を高め、胃の動きを遅くし、食欲を抑えます。  
また、胃排出遅延、脳(視床下部)への作用、迷走神経を介した満腹シグナルが関わります。

さらにGLP-1受容体作動薬は、中枢神経(視床下部・脳幹など)のGLP-1受容体を活性化することが、体重減少の主要な経路とされています(参考5)。

そして「おいしい物を見たとき・考えたときの反応(報酬系)」にも作用し、食への"ごほうび感"を弱めて過食を減らす方向に働く可能性があります(参考6,7)。

これに対して、「 GIP」は主に血糖調節(インスリン分泌促進)に関与し、満腹感への影響は付随的と考えられていますが、GLP-1と組み合わせることで、食欲抑制や代謝改善が相乗的に働く可能性が指摘されています(参考3)。

3.血糖改善(糖尿病の例:SURPASS)

大規模SURPASS試験というものでは、週1回5〜15 mgでHbA1cが平均約1.9〜2.6%低下し、単剤・併用療法ともに強力だったと報告されています(参考6)。

また、大規模試験(SURMOUNT-2)では、「肥満+2型糖尿病」でも体重が落ちることも示されています。

この試験では、「2型糖尿病」を伴う「肥満」の成人で−12.8〜−14.7%の体重減少が示され、肥満症薬としての適応を裏付ける結果とされています(参考10)。

では、副作用には、どのようなものがあるのでしょうか?


◉ 副作用(よくあるもの/注意が必要なもの)

 

GLP-1受容体作動薬となっていますが、「GIP/GLP-1受容体作動薬」の

「マンジャロ」にも共通するものとなります。

 

 A)消化器症状(最も多い)

GLP-1受容体作動薬で最、も多いのは消化器症状です。

 

45件の無作為化比較試験(27,729例)のベイジアンネットワークメタ解析というものでは、消化器系有害事象の全体発生率は11.66%で、

症状は悪心(21.49%)が最多、続いて嘔吐、下痢、便秘、消化不良などが報告されています(参考11)。  

また、別の大規模な解析(FAERS解析)では、消化器症状の77.44%が開始30日以内出て、発症までの中央値は1日であったと報告されています(参考12)。


多くは軽度〜中等度で、続けるうちに軽減する傾向があるとされています。
その対策としては、低用量から開始してゆっくり増量することや、食事は少量頻回、脂っこい物や辛い物を控えるなどが推奨されています(参考13)。

B)膵炎(まれだが重症化する可能性あり)

急性膵炎は「まれだが重い」副作用として注意されています。

もちろん、大規模解析の中には、GLP-1関連薬で膵炎リスクが明確に上がるとは限らない結果もあります(参考14)。


ただし、肥満や2型糖尿病そのものが、「膵炎のリスク因子」なので、強い腹痛(背中まで痛む)、嘔吐が続くなどの症状があれば早めの受診が重要であるとされています。
「膵炎」の既往がある方では一般に慎重に判断する必要があります。

 C)甲状腺腫瘍(特に髄様癌)

げっ歯類の前臨床試験で、GLP-1受容体作動薬がC細胞過形成や甲状腺髄様癌を誘発した報告があります(参考13)。  


また、フランスの大規模観察研究では、GLP-1受容体作動薬の使用(1--3年)と甲状腺癌リスク上昇の関連が報告されています(参考16)。


このため、この点は引き続き注意深い監視が必要とされています。  
一般的に、甲状腺髄様癌の既往・家族歴がある方は禁忌・慎重対応の対象になるとされています。

 D)胆嚢・胆道系(胆石、胆嚢炎)

胆石や胆嚢炎は、GLP-1受容体作動薬でリスク上昇が示されている有害事象の一つです(参考17)
 

急速な体重減少そのものも胆石リスクになり得るとされ、ゆっくりと体重を減量する方がよいとされています。 

E)筋肉量の減少

研究によっては、総体重減少の15〜40%が筋肉量の減少だったとされ(参考18)、特に高齢者やフレイル傾向の方では注意が必要です。  

対策として、たんぱく質摂取(体重1kgあたり1.0〜1.2g以上)などが推奨されています(参考19)。

中止後のリバウンド(体重再増加)については、またの機会にお話をしてみたいと思います。

 

いかがでしょうか?副作用もそれなりのものがありまして・・・

「ニンニク注射」や「プラセンタ注射」のように軽く打っておこうかなどと投与できるものではないことがお分かりいただけたと思います。

 

JTKクリニックは、初診時は来院していただき、定期的な採血による

検査もしながら、慎重に「メディカルダイエット」を行っていきたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただき

誠にありがとうございましたお願い


参考)

1)Lancet. 2022 Nov 19;400(10365):1803-1820.

Type 2 diabetes 

Entasham Armed

 

2)N Engl J Med. 2021 Mar 18;384(11):989-1002.  John P H Wilding

Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity

John P H Wilding


3)N Engl J Med 2025 Mar 6;392(10):958-971.  
Tirzepatide for Obesity Treatment and Diabetes Prevention  
Ania M Jastreboffら

4)Diabetes Obes Metab . 2025 May;27(5):2720-2729.  
Body composition changes during weight reduction with tirzepatide in the SURMOUNT-1 study of adults with obesity or overweight  
Michelle Lookら

5)Gastroenterology. 2007 May;132(6):2131-57.  
Biology of incretins: GLP-1 and GIP  
Laurie L Baggioら

6)Cardiovasc Diabetol . 2022 Sep 1;21(1):169.  
Tirzepatide, a dual GIP/GLP-1 receptor co-agonist for the treatment of type 2 diabetes with unmatched effectiveness regrading glycaemic control and body weight reduction  
Michael A Nauckら

7)Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2016 May 15;310(10):R885-95.  
GLP-1 and weight loss: unraveling the diverse neural circuitry  
Scott E Kanoskiら

8)Endocrinology. 2012 Feb;153(2):647-58.  
GLP-1 neurons in the nucleus of the solitary tract project directly to the ventral tegmental area and nucleus accumbens to control for food intake  
Amber L Alhadeffら

9)Diabetes. 2014 Dec;63(12):4186-96.  
GLP-1 receptor activation modulates appetite- and reward-related brain areas in humans  
Liselotte van Bloemendaalら

10)Lancet. 2023 Aug 19;402(10402):613-626.  
Tirzepatide once weekly for the treatment of obesity in people with type 2 diabetes (SURMOUNT-2): a double-blind, randomised, multicentre, placebo-controlled, phase 3 trial  
W Timothy Garveyら-

11)Front Pharmacol. 2025 Sep 19:16:1613610.  
Comparative gastrointestinal adverse effects of GLP-1 receptor agonists and multi-target analogs in type 2 diabetes: a Bayesian network meta-analysis  
Xingmiao Xieら

12)Front Endocrinol (Lausanne). 2022 Dec 7:13:1043789.  
Association between different GLP-1 receptor agonists and gastrointestinal adverse reactions: A real-world disproportionality study based on FDA adverse event reporting system database  
Lulu Liuら

13)J Clin Med. 2022 Dec 24;12(1):145.  
Clinical Recommendations to Manage Gastrointestinal Adverse Events in Patients Treated with Glp-1 Receptor Agonists: A Multidisciplinary Expert Consensus  
Juan J Gorgojo-Martínezら

14)JAMA Intern Med . 2013 Apr 8;173(7):534-9.  
Glucagonlike peptide 1-based therapies and risk of hospitalization for acute pancreatitis in type 2 diabetes mellitus: a population-based matched case-control study  
Sonal Singhら

15)Endocrinology . 2010 Apr;151(4):1473-86.  
Glucagon-like Peptide-1 receptor agonists activate rodent thyroid C-cells causing calcitonin release and C-cell proliferation  
Lotte Bjerre Knudsenら

16)Diabetes Care . 2023 Feb 1;46(2):384-390.  
GLP-1 Receptor Agonists and the Risk of Thyroid Cancer  
Julien Bezinら

17)JAMA Intern Med 2016 Oct 1;176(10):1474-1481.  
Association of Bile Duct and Gallbladder Diseases With the Use of Incretin-Based Drugs in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus  
Jean-Luc Faillieら

18)Curr Nutr Rep. 2025 Apr 28;14(1):63.  
Impact of GLP- 1 Receptor Agonist Therapy in Patients High Risk for Sarcopenia  
Zoe Memelら

19)Diabetes Obes Metab . 2024 Sep:26 Suppl 4:16-27.  
Changes in lean body mass with glucagon-like peptide-1-based therapies and mitigation strategies  
Ian J Neelandら

 

(筆者撮影)

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

新しい年を迎えて半月が過ぎました。

 

普段どおりの日常の生活の中に戻り、忙しい日々のなかで

常識に流されてしまいがちになりますね。

アップル創業者スティーブ・ジョブズが残した、こんな言葉があります。

"Your time is limited, so don't waste it living someone else's life."

「時間は限られているのだから、他人の人生を生きることに浪費してはいけない」という意味になります。

 

自分らしい選択、自分の心が本当に望む道を歩むことが重要であることを教えてくれるような気がしますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

美容・抗老化医療において、「高濃度ビタミンC(IVC)」の点滴療法は、皮膚の若返りや美白を目的として日常的に活用されています。

 

今回は、最新の知見に基づき、その作用機序と安全性について、お話をしてみたいと思います。

ビタミンC(アスコルビン酸)

まずは、高濃度ビタミンCについてのお話をしてみたいと思います。

よくある疑問から、お話をしてみたいと思います。

 

「ビタミンC」は、すぐに尿として体外に出てしまう・・・と思ってらっしゃる方は、多いかもしれませんね。

 

それは、本当なのでしょうか?

 

「ビタミンC」の動態における最大の制約(せいやく)は・・・

「腸管吸収の飽和性(ほうわせい)であると言えます。

 

ある研究によれば、経口摂取による血中濃度は厳密に制御され、最大でも 200μmol/L 程度でプラトーに達することが報告されています(参考1)。

 

つまり、どんなに「経口」から、「ビタミンC」を摂取しても・・・

天井がありまして、200μmol/L 程度よりは濃度が増加しないということになりますね。

 

これに対し、静脈内にビタミンC投与(IVC)をすると、「ナトリウム依存性ビタミンCトランスポーター(SVCT1/2)」による制限を回避し、50gの投与で 13,400 μmol/L を超える超生理学的濃度を達成可能であるとされています(参考2)。

 

Böttgerらのレビュー が示す通り、「高濃度ビタミンC」は薬物の排泄速度が、その時点での体内薬物濃度に比例するわけですが、この一時的な「ビタミンC」の高濃度状態が後述するプロオキシダント作用の鍵となると報告wpされています(参考3)、

 

 

image

                                      (AIを用いて画像を作成)

 

「高濃度ビタミンC」は、単なる抗酸化剤にとどまらず、皮膚の「構造維持」において「補酵素」として不可欠な役割を担うことが知られています。

 

1.コラーゲン合成の最適化


真皮層の弾力性に影響を与える「コラーゲン分子」の生成過程において、プロリル水酸化酵素およびリシル水酸化酵素の活性化に

「ビタミンC」が必要であることが分かっています。

 

「ビタミンC」は、これら酵素の活性中心にある鉄イオン Fe3+

を還元状態 鉄Fe2+ と酵素の活性中心に含まれる金属維持することで、安定した三重らせん構造の形成を促進します(参考4)。

 

 

2)IVC特有のプロオキシダント作用

点滴によって達成される薬理学的濃度では、「ビタミンC」は一時的に過酸化水素(𝐻2𝑂2)を発生させる「酸化促進剤」として機能します。

これはがん細胞への選択的毒性として知られていますが、皮膚組織においても、軽微な「酸化ストレス」が細胞の自己修復能力(ホルミシス効果)を刺激する可能性が示唆されています(参考5,6)。

 

 

軽微な「酸化ストレス」が細胞の自己修復能力(ホルミシス効果)を刺激する・・・などと少し厄介(やっかい)なお話になっているわけですが、続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>1月20日

 

1月20日は、1年のうちで、最も寒いとされる「大寒」だそうで、窓の外では冷たい風が吹き荒れているようです。
ニュースを読んでいて、円安傾向が続いているのに加え、日本の長期国債の金利が史上最高水準になっていることも背筋が寒くなるニュースであると思った次第です。

さて、今回は「高濃度ビタミンC点滴」のお話をさせていただきました。

真皮層は、「線維芽細胞」の作り出すコラーゲンとエラスチンの格子状の構造物からできており、この隙間をヒアルロン酸で埋めていることになります。

加齢により、「線維芽細胞」の機能が低下してくると・・・コラーゲン、エラスチンの構造物が弱っていき、その結果、皮膚表面のシワやタルミが出てしまうわけですね。

真皮層の弾力性に影響を与える「コラーゲン分子」の生成過程において、プロリル水酸化酵素およびリシル水酸化酵素の活性化に「ビタミンC」が必要であるので、

この真皮層のコラーゲンの強化には、とても有効であるのは間違いがないと言ってよいと思います。

本文の中で、「高濃度ビタミンC点滴」には、「ホルミス効果」があると報告されているというお話をしたのですが・・・現時点では、実は賛否両論があるものとなっています。

「高濃度ビタミンC点滴」の持つ「ホルミス効果」というのは、次のような理論となります。
よく強調されるのは、次のようなことになります。

 

「高濃度ビタミンC点滴」は、 「過酸化水素」を発生させる「酸化促進剤」として機能する性質を持つ、これが軽微な「酸化ストレス」

となるというものです。

この軽微な「酸化ストレス」は、癌細胞に対する選択的毒性を持つことが知られています、

今回は「癌」に対する一定の治療効果があるというお話はしませんが、このような新しい知見を報告した論文は多くなっています。

この原理と同様に・・・皮膚組織においても、軽微な「酸化ストレス」が、真皮層の「線維芽細胞」に微小なダメージを一旦与えることで、その「線維芽細胞」の自己修復力(ホルミス効果」を引き出し、
コラーゲン、エラスチンを最強化させるというストーリーになるわけです。

なんとも頼もしい理論ではあるのですが、現時点では「???」となっているわけですね。
現時点では「理論的仮説」の域を出ておらず、直接のヒト皮膚データはほぼ存在しないようです。
 

海外の文献には、実際の臨床応用を考える際には、「抗酸化・保護作用」が主目的であり、「意図的ホルミシス」としての利用には慎重さが必要であると述べられています。

このようなことから、先に述べたような「真皮層のコラーゲンの強化」には、有効とだけお話をすることが多いわけですね。

これと比較しますと、「iPS細胞由来エクソソーム」は、加齢の進んだ「線維芽細胞」内に入ることにより、

「コラーゲン」、「エラスチン」の産生量は、劇的に回復することが報告されているので、「高濃度ビタミンC点滴」よりは効果が期待できるということになります。

次に「メラニン産生」を「高濃度ビタミンC点滴」だ抑制できるかという問題があります。

これは、皮膚の表皮層と真皮層の境界付近に「メラノサイト」があり、このメラノサイトから「メラニン」という色素が分泌され、徐々に表面に浮き上がってくるわけですね。


「メラニン」には、色が付いておりまして、皮膚表面に限局した部位に出れば「シミ」となり
広範囲に出れば「クスミ」ということになりますね。

「高濃度ビタミンC点滴」は、メラノサイトからのメラニン色素の産生を抑制し、さらに皮膚表面のメラニン色素を無色化し、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を活発化させると考えられています。

これは、「ビタミンC」自体にメラノサイトのメラニン産生を抑える明確な機序があり、美白外用剤としては科学的根拠があるとされています。

一方で、「高濃度ビタミンC点滴」が表皮メラニン沈着をどの程度改善するかを示すヒト臨床データは乏しいものの、理論的に充分に可能であると考えてよいとされているのですね。

なかなか、「ビタミンC」の世界は、奥が深いですね、

今回も最後までお付き合いくださり
誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Ann Internal Med. 2004 Apr 6;140(7):533-7.

Vitamin C pharmacokinetics: implications for oral and intravenous use

Sebastian J Padaysttyら

 

2)Ammino Acids. 2008 Apr;34(3):347-55. 

SVCT1 and SVCT2: key proteins for vitamin C uptake  

I Saviniら

 

3)J Exp Clin Caancer Res,. 2021 Oct 30;40(1):343.

High-dose intravenous vitamin C, a promising multi-targeting agent in the treatment of cancer

Fransiska Böttgerrら

 

4)Antioxidants(Basal). 2022 Aug 26;11(9):1663.

Ascorbic Acid (Vitamin C) as a Cosmeceutical to Increase Dermal Collagen for Skin Antiaging Purposes: Emerging Combination Therapies

Yong Chool Booら

 

5)Front Med (Lausanne). 2025 Aug 29:12:1633447.

The dual role of vitamin C in cancer: from antioxidant prevention to prooxidant therapeutic applications

Xiongfeng Caoら

 

6)Nutrients. 2020 May 21;12(5):1501.  

Two Faces of Vitamin C-Antioxidative and Pro-Oxidative Agent

Kaźmierczak-Barańska Jら

 
 

(恵比寿ガーデンプレイス バカラのシャンデリア)

(筆者撮影)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

(業績)

 

 

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