こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

6月に入りまして、最初の休日となっています。

暦に目をやりますと・・・その七十二候は「麦秋至(むぎのときいたる)」となっています。

 

この時期にもう「秋」とは、なんとも不思議な気がして、調べて見ますと・・・

 

その意味は、麦が実り、たわわに黄金色に穂をつける、麦にとっての「秋」なのだそうです。

そして、この「秋」とは、百穀(ひゃっこく)が成熟するとき・・・ということになるようです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(筆者がAIで作成)

 

今回は、「サーカディアンリズム」に関連するお話をしてみたいと思います。

 

「サーカディアンリズム」とは、どのようなものですか?・・・という質問をされることが、最近は多くなりました。

 

「サーカディアンリズム」とは、どのようなものであったでしょうか?

 

あらためて、整理をしてみたいと思います。

 

「サーカディアンリズム」とは・・・

 

ヒトの体内時計が、生成する約24時間周期の生理的リズムですね。

もちろん、ヒトだけでなく、地球上の動物もこのリズムを持っています。

 

これは、地球の自転周期に合わせて進化した「内部的なメカニズム」で、生物が日々の環境の変化に適応できるようにしています。

 

そして、この「サーカディアンリズム」は、「睡眠」と「覚醒(かくせい)」のサイクル、「ホルモン分泌」、「体温調節」、「食欲」などの多くの生理活動を調節することが知られています。

 

サーカディアンリズムの乱れは、睡眠障害、うつ病、肥満、糖尿病などの健康問題につながることがあると考えられていましたよね。

 

このように重要な機能を持つ「サーカディアンリズム」ですが・・・

実は「免疫力」の強化作用を持つことも報告されています。

 

話は少し脱線しますが・・・一般的な話として、「免疫力」が高い・・・といった場合、どのようなことを指しているのでしょうか?

 

そうですね。これは、生まれつき備わって(そなわって)いる「自然免疫」のなかのひとつである「NK(ナチュラル・キラー)細胞」の活性が高いこと・・・でしたよね。

 

「NK細胞」の数が多いこと・・・と言いたいところですが・・・

高齢者では「NK細胞」の数は、むしろ増加していることが多いのですが、その活性は低下しており、「免疫力」は低下する・・・というお話は、以前のブログでご紹介させていただきましたよね。

 

「NK細胞」は免疫系の重要な一部であり、がん細胞やウイルスに感染した細胞を早期に認識して破壊する役割を担っています。

 

「NK細胞」と「サーカディアンリズム」の関係に話を戻しますと・・・いくつかの研究では、次のようなことが報告されています。

 

例えば・・・「サーカディアンリズム」は、「NK細胞」の活性に周期的な影響を与えることが示されています。

 

例えば、ヒトの「NK細胞」の活性は夜間に高まり、日中に低下する傾向があります。

 

このリズムは、個体の免疫反応効率を高めるために重要であると考えられているのですね。

 

また、こんなことも報告されています。

 

アルコール摂取の影響による「NK細胞」のリズムの変動も観察され、エタノール摂取は「NK細胞」の活性にマイナスの影響を及ぼすことが確認されているのですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

参考)

1)Sleep, Vol.24(7),October 2001

Total Sleep Deprivation Induces an Acute and Transient Increase in NK Cell Activity in Healthy Young Volunteers 

Yasuhiro Matumoto ら

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<ブログ後記>6月4日

 

今回は「サーカディアンリズム」が「免疫」のシステムにどのような影響を与える可能性があるか?・・・というお話をさせていただきました。

 

「サーカディアンリズム」、概日(きじつ)リズムとも呼ばれ、およそ24時間の周期で体内で調整される生物学的リズムのことを指します。

 

そして、このリズムは、本文内でもご紹介したとおり、「睡眠」と「覚醒」のサイクル、ホルモンの分泌、体温の調節、食欲など、多くの生理的プロセスに影響を与えることが知られています。  

 

そして、このリズムが乱れると、睡眠障害、気分障害、代謝異常などの健康問題を引き起こす可能性があると考えられています。

 

以前のブログでもご紹介したと思いますが・・・

 

「サーカディアンリズム」を主に調整するのは、「時計遺伝子」でしたよね。

image

(図はお借りしました)

 

例えば、ヒトでは「CLOCK」や「BMAL1」などの時計遺伝子が、体内時計の主要な部分を形成しており、これらの遺伝子が相互作用してタンパク質を生産し、そのタンパク質の濃度の変動が体内時計の周期を決定するのでしたね。

 

これにより、生物は自然の光暗周期に適応し、効率的に生活することが可能になります。

 

目から光が入ると時計遺伝子がリセットされる仕組みもありましたよね。

 

この時計遺伝子のリセットは、主に視交叉上核(SCN)と呼ばれる脳内の領域を通じて行われます。

SCNは体内時計の中心的役割を担っており、外界の光の情報を受け取って体内のリズムを調整します。その過程は以下のように進行します。

image

(図はお借りしました)

 

詳細は、またの機会にいたしますが・・・

 

このように、外界からの光の情報は目を通じて脳に伝わり、「時計遺伝子」を介して、「体内時計」がリセットされ、生物が環境に適応できるように生理的リズムが調整されるわけですね。

 

 

この「サーカディアンリズム」は、NK細胞の活性を高めるのではないか?・・・と考えられているわけです。

 

「NK細胞」の数よりも、「NK細胞」の活性が重要である・・・ということは、以前のブログ内でも強調させていただきましたよね。

 

例えば、ある論文ではラットの動物での検証なのですが・・・

 

ラットの脾臓から濃縮した「NK細胞」における時計遺伝子(Per1、Per2、Bmal1、Clock)、Dbp(時計制御出力遺伝子)、CREB(クロックシグナル伝達に関与)、細胞溶解因子(グランザイムBおよびパーフォリン)、サイトカイン(IFN-γおよびTNF-α)の発現の概日変化を測定しました。

 

この研究で得られた結果は、「NK細胞」に機能的な分子時計機構が存在し、「サーカディアンリズム」に連動する形で、細胞溶解因子(グランザイムBおよびパーフォリン)、サイトカイン(IFN-γおよびTNF-α)の発現の概日変化が認められたと報告されています。

 

「サーカディアンリズム」が、「NK細胞」に及ぼす変化については、g現在、さまざまな形で検証されているようです。次のように考えられているようです。一部を紹介しますと・・・

 

1. 機能的な変化:

   a. 殺傷能力の日内変動

      夜間から早朝にかけてNK細胞の細胞傷害活性が最大化する

      

      →結果として、癌細胞や感染細胞の排除効率が上昇する

 

   b. サイトカイン分泌プロファイルの変化

      

 IFN-γ、TNF-α、GM-CSFなどのサイトカイン分泌が夜間に増加。

      他の免疫細胞(T細胞、マクロファージ)を活性化する。

      

   c. 免疫監視能力の時間依存性

      NKG2D、NKp46などの受容体発現が日中よりも夜間に増加。

      異常細胞の認識と排除が、夜間により効率的に行われる可能性。

 

3.  SIRT1(サーチュイン1)-mTOR経路の活性変化

      SIRT1の発現と活性が日内変動を示す。

       夜間に高まり、mTOR経路を活性化する。

      その結果、NK細胞の増殖能、サイトカイン産生、細胞傷害活性が  

  増加する。

 

まだまだ、あるのですが・・・こちらは、またの機会にしたいと思います。

 

諸説さまざまなわけですが・・・「サーカディアンリズム」が作り出す「夜間」に「NK細胞」の活性が高くなり、「癌細胞」、「ウイルス感染細胞」、そして、「老化細胞」を効率よく除去できる仕組みがあるようです。

 

そして、3.のSIRT1(サーチュイン1)-mTOR経路とも関連してくっるのは、興味深いところです。   

 

「mTOR」は、2種類の複合体に存在するのですが・・・

 

「mTOR」のシグナル伝達異常は、がんや心血管疾患、糖尿病など、多くの病態に関与するとされていまして、現在のアンチエイジング医療研究のひとつの柱とされているからです。

 

私には、ただの偶然とは思えないのですが・・・ね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

2.J. Immunol.. 2005 Jun 15;174(12):7618-24. 

Circadian oscillations of clock genes, cytolytic factors, and cytokines in rat NK cells

Alvaro Arjonaら

 

3..J. Immunol. 1997 May 1;158(9):4454-64.

Effects of sleep and circadian rhythm on human circulating immune cells

J Bornら

 

 (筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

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