こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

7月7日 「七夕(たなばた)」となっています。

 

七夕は一年に一度、織姫と彦星が天の川を渡って会うことを許された日ともいわれ、星に願い事をする風習がありますね。

 

「七夕」は古代、中国から伝わった伝説や「乞巧奠(きっこうでん)」という行事に、もともと日本にあった風習が結びついて誕生したといわれます。

 

古代中国の伝説では、彼らはめでたく結婚したものの、互いに夢中になりすぎて、仕事を怠けるようになってしまったのだそうです。

 

怒った天帝は二人を引き離しますが、嘆き悲しむ二人を憐れみ、年に一度、7月7日だけ、天の川を渡って会うことを許した・・・ということだそうです。
 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

        (筆者が人工知能 A Iで作成)

 

今回は「幹細胞」から放出される「エクソソーム(exosome)」の話題にしてみたいと思います。
 

「幹細胞」から放出される「エクソソーム」とは、どのようなものであったでしょうか?少し復習(ふくしゅう)をしておきたいと思います。

 

「エクソソーム」とは、幹細胞が分泌する小さな袋状の構造体でして、細胞外小胞(EVs)の一種です。

 

これらの「エクソソーム」は、直径が約30〜150ナノメートル程度と非常に小さく、リポ蛋白質、RNA、DNA、その他の生物活性分子を含んでいます。

 

「エクソソーム」とは、「幹細胞」からのみ放出されるわけでなく、さまざまな種類の細胞から放出されます。これには、免疫細胞、がん細胞、さらには神経細胞などが含まれます。

 

これらの「エクソソーム」は、細胞間のコミュニケーションに重要な役割を果たし、タンパク質、リポイド、RNAなどの分子を運ぶ手段として機能します。

 

そして、「エクソソーム」は・・・情報伝達の役割を持ち、他の細胞へ情報やシグナルを伝達することで組織の再生や修復、免疫応答の調節などに関与していることが分かっているのですね。

 

この中で、特に「幹細胞」から放出される「エクソソーム」は、その再生能力や多様な機能性因子を運搬する能力があることが分かっておっり、「再生医療」などへの潜在的な応用が注目されているのですね

 

例えば・・・幹細胞の「エクソソーム」は、炎症を抑える効果、組織修復を促進する効果があることが示されており、心筋梗塞や皮膚損傷、神経障害などの治療に利用される可能性が研究されているのですね。

 

こうした「エクソソーム」の歴史を見てみますと・・・次のようになります。

 

 

幹細胞からの「エクソソーム」の研究は、2000年代初頭にその重要性が認識され始めた比較的新しい分野です。

その発展の大まかな歴史は、次のようになります。

 

1980年代末〜1990年代初め

細胞が「エクソソーム」と呼ばれる小さな小胞を放出することが確認され、初期には主にリンパ球や腫瘍細胞からの放出が研究されました。

 

2000年代初め

研究者たちは、「エクソソーム」が単なる細胞の「ゴミ」としてではなく、細胞間コミュニケーションに重要な役割を果たしていることを発見しました。

 

この頃、特に間葉系幹細胞からの「エクソソーム」が、組織修復や再生において重要な役割を果たす可能性があるという認識が高まりました。

 

2010年代

幹細胞由来の「エクソソーム」が疾患モデルにおいて治療的効果を示すことが報告され、幹細胞療法の代替または補完としての潜在的な価値が注目されるようになりました。

 

この時期には、「エクソソーム」の生物学的特性、分泌機構、そしてその治療応用に関する研究が加速したとされています。

 

2020年代

「エクソソーム」は再生医療、がん治療、免疫療法など、さまざまな医療分野での応用が進められています。エクソソームの分離、特性評価、機能性の最適化など、さらに詳細な理解と技術の発展が進んできています。

 

現在、幹細胞由来の「エクソソーム」の分野で、研究が進んでいるのは「間葉系幹細胞(MSC)」であるとされています。

 

「間葉系幹細胞(MSC)」多能性幹細胞の一種で、さまざまな生物学的な特性と機能を持つことが知られています。

 

「間葉系幹細胞(MSC)」から放出される「エクソソーム」の応用は再生医療の分野で拡大を続けており、神経疾患、虚血性心疾患、糖尿病、整形外科疾患への利用に多くの研究が集中しているそうです。

 

では、こ「間葉系幹細胞(MSC)」から放出される「エクソソーム」には、どの程度、その内容物が確認されているのでしょうか?

 

この中には、194種類の脂質、4400種類のタンパク質、764種類のmiRNA(マイクロ・アールエヌエー)、1639種類のmRNA(メッセンジャー・アールエヌエー)、さらにヒートショックタンパク質(HSP70 および HSP90)が含まれているのだそうです。

 

image

         (図はお借りしました)

 

これを用いて、「老化のプロセス」を逆行させられないか?・・・と私は考えてきたわけですが・・・すでにそのような報告もされておりまして、完全な夢物語であるとは限らない・・・のかもしれませんね。

 

続きは・・・後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

参考)

1. Int J Mol Sci. 2024 Mar 21;25(6):3562. 

Therapeutic Applications of Stem Cell-Derived Exosomes

Omar AbduhakeenAhmed Yusuf Abdulmalekら

 

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<ブログ後記>7月9日


「高齢化」は、日本だけでの問題ではなく、世界各国でも同様の傾向があるそうです。
2019年から2050年の間に、64歳以上の人口は15億人を超えると予測されており、これは現在の2倍程度に当たるそうです。
 

言い換えれば、30年以内に世界中で6人に1人が「高齢者」と見なされることになるそうで、世界各国で「抗老化研究」に多額の研究費があてられている背景には、このような各国の事情があるそうです。

では、「老化」の特徴とは、どのようなことであると考えられているのでしょうか?無数の言葉が並ぶ(ならぶ)のか?・・・と思いますが・・・そうでもないことに気がつきます。

ゲノム不安定性、エピジェネティックな変化、テロメア短縮、代謝機能不全、、ミトコンドリア機能不全、幹細胞の枯渇、細胞周期の永久的な停止、NAD+の減少、老化に伴う炎症性サイトカインの分泌

 

・・・などの見覚えのある言葉が並びます。
そして、もうひとつ追加するとすれば、「活性酸素」などによるDNAとタンパク質の損傷となります。

こうした問題は、当初、「幹細胞治療」によって解決されるのではないかと期待され、その期待は続いています。。

しかしながら、2015年にTrounson and McDonaldらにより報告されているような「幹細胞治療」や奇形の発生のリスクがあるとされる
問題は、まだ、解決されてはいません。

これに対し、これに対し、幹細胞から放出される「エクソソーム」は、タンパク質、核酸、その他の生理活性分子を豊富に含んでいます。免疫原性が低く、組織浸透性が高いという特徴があり、医療美容への応用に最適と考えられているのですね。

免疫原性が低いとは・・・アレルギーなどの免疫反応が起こりにくいことを意味しています。

では、幹細胞からの「エクソソーム」には、どのようなアンチエイジング効果が、これまでに報告されているのでしょうか?

いくつかの海外の論文を挙げてみたいと思います。

 

※( 〜 et al, 20◯◯)というのは、〜らの研究チームが20◯◯年に

論文として、報告した・・・ということになります。。


「エクソソーム」に含まれるmiRNA(マイクロアールエヌエー)(Zhai et al., 2020)や関連活性因子(Yoshida et al., 2019)が、抗老化(Han et al., 2022)、色素沈着抑制(Liu et al., 2019)、脱毛抑制(Bae and Kim, 2021)などの作用を示すことが確認されています。

「エクソソームは、関連老化因子βガラクトシダーゼ(SA-β-Gal)の合成を抑制し(Kim et al., 2021)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の合成を促進する(McReynolds et al., 2021)ことで、細胞の老化を遅らせることができると報告されています。

光損傷を受けたヒト真皮線維芽細胞(HDFs)への影響についても研究されており、脂肪由来間葉系幹細胞エクソソーム(ADSCs-Exo)が、紫外線照射によるMMP-1、2、3、9の過剰発現を大幅に抑制し、
コラーゲンとエラスチンの発現を増加させることが明らかになっています。(Choi et al., 2019)

また、「エクソソーム」は、メラニンの生成を抑制することで、色素沈着を軽減する効果があるかもしれないとも報告されています。(Lo Cicero et al., 2015)。

まだまだ、「エクソソーム」の効果として報告されているものをあげれば、キリがありません。


・・・現時点では、「老化のプロセス」を逆行までは実現していない可能性が高いわけですが、老化スピードを遅らせることまでは可能になっている印象があります。

もちろん、「幹細胞」の利用も否定するものではなく、老化細胞やそこから放出される老化関連分泌現象(SASP)因子の影響を排除できれば、有望な治療になるでしょうし、「幹細胞移植後」に精密な「血中腫瘍細胞検査(CTC検査)を施行していくことで、癌の発生のリスクを十分に回避できるものと考える研究者もいます。

 

まだ、「老化」のプロセスを逆行させるのは難しいのかもしれませんが・・・克服(こくふく)すべき問題は明らかになっているわけですので、近い将来、実現する可能性もあるかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

参考)

2.Biology (Basel). 2022 Nov 18;11(11):1678.

Aging and Mesenchymal Stem Cells: Basic Concepts, Challenges and Strategies

Maria Fraileら

 

3.Front Bioeng Biotechnol. 2022 Dec 20:10:1083640. 

Exosomes based advancements for application in medical aesthetics

Bin Zhangら

 

4.Front Immunol. 2023 May 18:14:1181308.

Mechanism of mesenchymal stem cells and exosomes in the treatment of age-related diseases

Jia Liら

(丸の内 仲通り:筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング治療>

 

 

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