リピート中のメイちゃんの執事 (最終回ラストの妄想))
約束
剣人とメイの別れの挨拶が終わったあと…
一瞬の間そこに、理人と剣人の兄弟、いや男同士の会話があった
『あいつのこと頼んだからな。泣かすようなまねすんなよな』
『そのつもりだと言ったはずだ。お前じゃあるまいし、それにお前に言われる筋合いはない』
むかつく言われ方だが、気持ちを落ち着かせ言い掛けると
『心配するな』
優しい口調に戸惑う剣人
『お前と違って俺はSランクだからな』
『何だよ!ここまできて嫌みかよ』
軽く微笑む理人
『早く俺の所まで上がって来い』
『兄貴…』
素直に受け止める剣人だったが、男としての理人が気になり
『俺が居ないからって、あいつに手、出すなよな』
『手…ね…どんな手だか』
『あのなぁー』
『そうむきになるな!安心しろ…手は…な。』
何処か怪しさのある言い方が気になる剣人は 『手は?…嫌な言い方しやがって…』
ボソッと呟いた言葉をメイに問い掛けられ慌てて理人に拳を突き出し
『首洗って待ってろよ……ありがとう…な』 左手で拳を高く上げながら剣人は立ち去った。
『あいつはいい執事になります』 理人の言葉に微笑むメイが何見つめ合っていたのかと聞くと
『兄弟…いえ男同士のたわいもない会話です』
『そう…やっぱり兄弟なんだ… 羨ましい』
言いながら通り過ぎるメイを不思議そうに見つめる理人が声を掛けると
『心でわかりあえて兄弟っていいなと思って』
『兄弟がよろしいのですか?… 我々執事はお嬢様のお幸せを願いながら、想いを受け止められるよう日々見ております… 《言い合える喧嘩相手の剣人が居なくなるのは寂しい》とか…』
いかがですかと微笑む理人に、心を読まれ慌てて言い訳をするメイに顔を近づけ、胸に手を当て
『あとはメイ様がお受け取り下さるだけでございます。 …出来れば剣人が執事として戻る前にお気付き頂きたいのですが』
心がわかりあえる人がいることを改めて気付いたが、そんな事言われてもと戸惑うメイ。 瞳を反らさず微笑む理人に背をむけた。 ふと…剣人が見習いでなく執事として帰って来たらどう呼べばいいのだろうと呟いた。
『お嬢様の心で呼んで頂けるのなら、たとえ「ねぇ。ちょっと。あんた…」だとしても』
メイの言い方を真似するように言われ、酷い呼び方しかしていなかったことを反省するメイに
『どんな呼ばれ方をされたとしても…メイ様の心のある言葉ですから』
『でも…』
きちんと呼んでいないことを少しも責めることなく、適当な呼ばれ方を愛しむような理人に少し罪悪感を感じた。
泉、リカ、不二子…達の呼び方を思い出していると
「待ってようケンちゃん」「遅いよリツちゃん」
『ケンちゃん?…リツちゃん?…剣…人』
呟くメイの言葉が理人の顔を少しくもらせ、思わず
『メイ様…』
その微かな切ない声に反応するように理人を見つめると
『理…人…』
『メイ様』
優しく呼ぶ声に停止状態になり理人を見ているメイに 『今、なんとおっしゃたのですか?』
『べつに…たいしたことじゃないから…気にしないで』
たどたどしい言い方のメイを嬉しそうに見つめ
『二度目でございますね…名前を呼んで頂いたのは』
『…聞こえてたんじゃない』
さらに笑顔になりながら
『しっかり…ここに刻ませて頂きます』
胸に手を当て軽く瞳を閉じ頭を下げた。
そんな理人の姿が嬉しく思う自分を隠すように
『刻まなくていいから!そんな事より』
優しくしっかり見つめる理人に言葉が続かないメイ。
『メイ様が、望まれるのでしたらいつでも柴田理人として、メイ様のお傍に』
穏やかに覚悟を示す理人。 『な、何んなのよ急にまた、妙な事言って…そんな事より帰るよ!』 さりげなく凄い言葉に動揺する自分にも言い聞かせるようにしても、理人に引き付けられるようで、思い切って言葉を出した。 『きっと大変な事になってるだろうから…なんとかしてよ』 理人の微笑みに 『り…ひ…』 見つめ合う二人。振り切るように
『り、り立派なひつじなんだから!』
言い終わらないうちに歩き出すメイを愛しそうに見つめ
『かしこまりました』
そして嬉しそうに追いかけながら
『メイ様!ひつじではなく執事でごさいます』
『ひつじでも羊でもいいでしょ!』
立ち止まるメイに
『それでは言い方が違うだけでごさいます…言いにくいのでしたら、名前がよろしいかと…』
ちょっと怪しい微笑みを浮かべる理人
『名前…?』
軽く頷き顔を近づけ、誘導するように
『り…』
理人の瞳に引き込まれるように繰り返すメイ
『り…』
『ひ…』
『ひ…』
『と』
瞳が一段と輝きが増すと、暗示が解けたようなメイは、今までない優しく微笑む理人の顔に思い切り動揺し
『言いません!…絶対!言わない!…二度と言わな~い…帰るよ!』
ごまかすかのように言い捨てると足早に歩き出した。そんなメイを見つめ
独り言のように
『お待ち申し上げます。 心から呼んで頂ける日を… いつまでも…メイ…様… あなたのお傍で』
【後半へ続く】
剣人とメイの別れの挨拶が終わったあと…
一瞬の間そこに、理人と剣人の兄弟、いや男同士の会話があった
『あいつのこと頼んだからな。泣かすようなまねすんなよな』
『そのつもりだと言ったはずだ。お前じゃあるまいし、それにお前に言われる筋合いはない』
むかつく言われ方だが、気持ちを落ち着かせ言い掛けると
『心配するな』
優しい口調に戸惑う剣人
『お前と違って俺はSランクだからな』
『何だよ!ここまできて嫌みかよ』
軽く微笑む理人
『早く俺の所まで上がって来い』
『兄貴…』
素直に受け止める剣人だったが、男としての理人が気になり
『俺が居ないからって、あいつに手、出すなよな』
『手…ね…どんな手だか』
『あのなぁー』
『そうむきになるな!安心しろ…手は…な。』
何処か怪しさのある言い方が気になる剣人は 『手は?…嫌な言い方しやがって…』
ボソッと呟いた言葉をメイに問い掛けられ慌てて理人に拳を突き出し
『首洗って待ってろよ……ありがとう…な』 左手で拳を高く上げながら剣人は立ち去った。
『あいつはいい執事になります』 理人の言葉に微笑むメイが何見つめ合っていたのかと聞くと
『兄弟…いえ男同士のたわいもない会話です』
『そう…やっぱり兄弟なんだ… 羨ましい』
言いながら通り過ぎるメイを不思議そうに見つめる理人が声を掛けると
『心でわかりあえて兄弟っていいなと思って』
『兄弟がよろしいのですか?… 我々執事はお嬢様のお幸せを願いながら、想いを受け止められるよう日々見ております… 《言い合える喧嘩相手の剣人が居なくなるのは寂しい》とか…』
いかがですかと微笑む理人に、心を読まれ慌てて言い訳をするメイに顔を近づけ、胸に手を当て
『あとはメイ様がお受け取り下さるだけでございます。 …出来れば剣人が執事として戻る前にお気付き頂きたいのですが』
心がわかりあえる人がいることを改めて気付いたが、そんな事言われてもと戸惑うメイ。 瞳を反らさず微笑む理人に背をむけた。 ふと…剣人が見習いでなく執事として帰って来たらどう呼べばいいのだろうと呟いた。
『お嬢様の心で呼んで頂けるのなら、たとえ「ねぇ。ちょっと。あんた…」だとしても』
メイの言い方を真似するように言われ、酷い呼び方しかしていなかったことを反省するメイに
『どんな呼ばれ方をされたとしても…メイ様の心のある言葉ですから』
『でも…』
きちんと呼んでいないことを少しも責めることなく、適当な呼ばれ方を愛しむような理人に少し罪悪感を感じた。
泉、リカ、不二子…達の呼び方を思い出していると
「待ってようケンちゃん」「遅いよリツちゃん」
『ケンちゃん?…リツちゃん?…剣…人』
呟くメイの言葉が理人の顔を少しくもらせ、思わず
『メイ様…』
その微かな切ない声に反応するように理人を見つめると
『理…人…』
『メイ様』
優しく呼ぶ声に停止状態になり理人を見ているメイに 『今、なんとおっしゃたのですか?』
『べつに…たいしたことじゃないから…気にしないで』
たどたどしい言い方のメイを嬉しそうに見つめ
『二度目でございますね…名前を呼んで頂いたのは』
『…聞こえてたんじゃない』
さらに笑顔になりながら
『しっかり…ここに刻ませて頂きます』
胸に手を当て軽く瞳を閉じ頭を下げた。
そんな理人の姿が嬉しく思う自分を隠すように
『刻まなくていいから!そんな事より』
優しくしっかり見つめる理人に言葉が続かないメイ。
『メイ様が、望まれるのでしたらいつでも柴田理人として、メイ様のお傍に』
穏やかに覚悟を示す理人。 『な、何んなのよ急にまた、妙な事言って…そんな事より帰るよ!』 さりげなく凄い言葉に動揺する自分にも言い聞かせるようにしても、理人に引き付けられるようで、思い切って言葉を出した。 『きっと大変な事になってるだろうから…なんとかしてよ』 理人の微笑みに 『り…ひ…』 見つめ合う二人。振り切るように
『り、り立派なひつじなんだから!』
言い終わらないうちに歩き出すメイを愛しそうに見つめ
『かしこまりました』
そして嬉しそうに追いかけながら
『メイ様!ひつじではなく執事でごさいます』
『ひつじでも羊でもいいでしょ!』
立ち止まるメイに
『それでは言い方が違うだけでごさいます…言いにくいのでしたら、名前がよろしいかと…』
ちょっと怪しい微笑みを浮かべる理人
『名前…?』
軽く頷き顔を近づけ、誘導するように
『り…』
理人の瞳に引き込まれるように繰り返すメイ
『り…』
『ひ…』
『ひ…』
『と』
瞳が一段と輝きが増すと、暗示が解けたようなメイは、今までない優しく微笑む理人の顔に思い切り動揺し
『言いません!…絶対!言わない!…二度と言わな~い…帰るよ!』
ごまかすかのように言い捨てると足早に歩き出した。そんなメイを見つめ
独り言のように
『お待ち申し上げます。 心から呼んで頂ける日を… いつまでも…メイ…様… あなたのお傍で』
【後半へ続く】
リピート中のメイちゃんの執事(第8話のある部分の妄想)
剣人のせつない決意 理人と剣人の拳の語り合いに幕が下りた。
『何やってんだ俺…』
倒れたままの剣人に根津が声を掛けた。
『立てるか』
わずかに頷き起き上がろうとする剣人を大門と木場が支えると
『なかなか、やるじゃないか』
大門が肩に拳を当てた。
『大門さん、痛い』
椅子に座らせると、軽く謝った。
『手加減無しでしたね』
『あぁ。男同士の勝負だったんだろうからな』
剣人に確認するように話す根津。その横から腕組みをし上から目線の青山が、冷めた口調で入ってきた。
『相変わらずお前は馬鹿だ。 たかが見習いのくせに、Sランクの彼を相手に、勝負をするなど』
『また嫌みかよ…男の勝負にランクは関係ねぇだろ! それに…やってみなくちゃ分かんねぇだろうが…』
やってみた結果がこの有様。 弱々しい声になる剣人を、可愛い奴と言いたげな笑顔の根津達。
『だから馬鹿だというんだ。 わざわざ眠れる獅子を起こすようなことを』
『そういうお前も、相変わらず素直に認めないね』
根津のからかうような言い方に、頑張ってクールを装う青山をクスッと笑った。
『お前は男だ!』
今度は軽くしたからなと笑顔でパンチ…
『痛いって、大門さん』
戸惑うように手を見ながら首を傾げた。木場がちょっと励ました後
『格好良かったですよ』
『止めてよ。結局はこの有様なんだし』
弱々しい声の剣人を一喝するように
『いいえ!格好良かったです!…勝敗の問題ではなく、剣人君の決意ですよ』
『木場さん…』
いつもの穏やかな笑顔にふと、 心が癒されるようだった。 そんな剣人に静かに
『予想はしてたんだろ。二人があぁなるんじゃねぇかって事… それでもお前は兄貴、柴田理人を引っ張り出した』
『同じ場所に立ち、向き合う為にですよね』
『それに…かなり本気で』
『俺はただ…あんな理人に勝っても意味ねぇし。 それに…あいつが…本当のあいつで笑っていなけりゃ…笑顔の意味がねぇっていうか…』
『つまり、本気で惚れちまったって事だ…それなりに覚悟しての事なんだろが、かなり不利な勝負になるな』
なぜか一人真剣な顔で頷く木場。そしてもう一人熱くなっている大門。
そんな様子にまた来る。 身構える剣人。 『本当の勝負はこれからだってことだ』
出し掛けた拳と、身構える剣人に気付き左手に当て包み込んで、 笑った。
「来ないのかよ…」
カクッとなり座りなおした。 頑張ってクールに見せていた青山がまた
『本当に馬鹿だ。結果がわかっていような勝負を本気で』
『どうせ俺は馬鹿だよ。 馬鹿だから…諦めが悪いんだよ』
少しむきになる剣人
『お前なら起こすかもしれないな、奇跡』
『奇跡?…結局負けるってことじゃねぇかよ』
一息吐くように笑う根津が剣人を慰めるように
『奇跡か…お前なら起こせるかもな、奇跡を。…所詮男と女の恋愛は奇跡みたいなもんだからな』
『根津さん…』
剣人以外は納得したような微笑みで、優しく見つめた。
『お嬢達が騒ぐまで、一人にしてやるか』
それぞれが一言声を掛けて部屋を出た。
いつものようにどころか怠そうにうつ向きながら
『お前は、いい男だ…。 けどな、それだけじゃ手が届かない時が、いつか来る… 今日の涙を無駄にするな』
剣人の肩をポンッと叩き、歩きながら右手を軽く上げ部屋を出て行った。
遠ざかる足音を聞きながら、 にじんで行く根津の姿。 ジンワリと染み込むような根津の言葉と、胸を熱くする想いを噛み締める剣人だった。
『何やってんだ俺…』
倒れたままの剣人に根津が声を掛けた。
『立てるか』
わずかに頷き起き上がろうとする剣人を大門と木場が支えると
『なかなか、やるじゃないか』
大門が肩に拳を当てた。
『大門さん、痛い』
椅子に座らせると、軽く謝った。
『手加減無しでしたね』
『あぁ。男同士の勝負だったんだろうからな』
剣人に確認するように話す根津。その横から腕組みをし上から目線の青山が、冷めた口調で入ってきた。
『相変わらずお前は馬鹿だ。 たかが見習いのくせに、Sランクの彼を相手に、勝負をするなど』
『また嫌みかよ…男の勝負にランクは関係ねぇだろ! それに…やってみなくちゃ分かんねぇだろうが…』
やってみた結果がこの有様。 弱々しい声になる剣人を、可愛い奴と言いたげな笑顔の根津達。
『だから馬鹿だというんだ。 わざわざ眠れる獅子を起こすようなことを』
『そういうお前も、相変わらず素直に認めないね』
根津のからかうような言い方に、頑張ってクールを装う青山をクスッと笑った。
『お前は男だ!』
今度は軽くしたからなと笑顔でパンチ…
『痛いって、大門さん』
戸惑うように手を見ながら首を傾げた。木場がちょっと励ました後
『格好良かったですよ』
『止めてよ。結局はこの有様なんだし』
弱々しい声の剣人を一喝するように
『いいえ!格好良かったです!…勝敗の問題ではなく、剣人君の決意ですよ』
『木場さん…』
いつもの穏やかな笑顔にふと、 心が癒されるようだった。 そんな剣人に静かに
『予想はしてたんだろ。二人があぁなるんじゃねぇかって事… それでもお前は兄貴、柴田理人を引っ張り出した』
『同じ場所に立ち、向き合う為にですよね』
『それに…かなり本気で』
『俺はただ…あんな理人に勝っても意味ねぇし。 それに…あいつが…本当のあいつで笑っていなけりゃ…笑顔の意味がねぇっていうか…』
『つまり、本気で惚れちまったって事だ…それなりに覚悟しての事なんだろが、かなり不利な勝負になるな』
なぜか一人真剣な顔で頷く木場。そしてもう一人熱くなっている大門。
そんな様子にまた来る。 身構える剣人。 『本当の勝負はこれからだってことだ』
出し掛けた拳と、身構える剣人に気付き左手に当て包み込んで、 笑った。
「来ないのかよ…」
カクッとなり座りなおした。 頑張ってクールに見せていた青山がまた
『本当に馬鹿だ。結果がわかっていような勝負を本気で』
『どうせ俺は馬鹿だよ。 馬鹿だから…諦めが悪いんだよ』
少しむきになる剣人
『お前なら起こすかもしれないな、奇跡』
『奇跡?…結局負けるってことじゃねぇかよ』
一息吐くように笑う根津が剣人を慰めるように
『奇跡か…お前なら起こせるかもな、奇跡を。…所詮男と女の恋愛は奇跡みたいなもんだからな』
『根津さん…』
剣人以外は納得したような微笑みで、優しく見つめた。
『お嬢達が騒ぐまで、一人にしてやるか』
それぞれが一言声を掛けて部屋を出た。
いつものようにどころか怠そうにうつ向きながら
『お前は、いい男だ…。 けどな、それだけじゃ手が届かない時が、いつか来る… 今日の涙を無駄にするな』
剣人の肩をポンッと叩き、歩きながら右手を軽く上げ部屋を出て行った。
遠ざかる足音を聞きながら、 にじんで行く根津の姿。 ジンワリと染み込むような根津の言葉と、胸を熱くする想いを噛み締める剣人だった。
リピート中のメイちゃんの執事(第6話のある部分の妄想)
【11日再放送予定】
想い (根津編)
謹慎を受け礼拝堂?で一人考え込むように座る理人に、謹慎を受けたもう一人の根津が声をかけた
『後悔してんのか?』
反応が無く一点を見つめる理人
『…やっちまったもんは、しょうがねぇだろ』
根津らしい軽い口調で言いながら背を向けると、何か言いたそうに振り返る理人に静かに話し出した。
『あの時…お前はある意味命を賭けてここを出て行った。少なくとも、執事を辞める覚悟でな…そんな思いで助けに行った女が無事で居たんだ。それだけでも十分な理由だろ』
考え込むような理人を見ながら
『…で、お前の顔を見るなり、安心したように優しい言葉でも掛けられ涙でも見せられたか』
あの時のメイを思い出し穏やかな顔になる理人
『当たらずとも遠からずってとこか…そのくらいの事、予想は着く…まっ、あたり前の行動だな、男として』
根津の言葉に思わず立ち上がり言い返すように
『でも、俺は』
『そう、お前は彼女の執事だ。しかもSランクのな』
言葉を飲み込む理人
『だから…かもな…最高ランクの英才教育を幼い頃から受け、最高の成績でクリアしてきたSランクのお前だから…男のここが素直に反応しちまったんだろうな』
拳で胸を軽く叩きながら言った。
『つまりだ…どんな優れた教授が解いた恋愛論の講義を何回聞こうが、本を何冊読もうが、男と女の恋愛は現実の体験には勝てないって事だ』
動揺したような顔の理人
『お前がそんなでどうすんだ。彼女はもっと戸惑ってんじゃねぇのか』
『…メイ様…』
微かな声で囁いた
『ほとんどのお嬢達は、何かしらのしがらみと計算。全てを純粋に反応することを許されない中で生きて来てる。たが、違うだろ彼女は』
『…』
『純粋に素直な心で見て、触れて感じて来た。そしてようやくお嬢と執事の関係に慣れた時に、お前の行動だからな』
『…』
胸に漂う想いと向き合っているのか、何も言わず一点を見つめる理人。悩む後輩を見るような根津、人生の先輩としての余裕なのか微かに微笑み
『惚れた女を不安にさせない…最低限の事だろ』
『俺はただ』
二人の間の机に手を付き、迷いながらも訴えるような理人を宥めるように 『…お嬢と執事も似たようなものだろ。いつ何が起こったとしても、お嬢に不安感を持たせず、悟られることなく、どんな事をしても護る…』
違うか?と言うような根津に、その通りだと無言で見つめ返す理人。受け止めたように軽く笑い
『例えそれが自分に嘘をついてでもな』
両手をズボンのポケットに入れ、机に軽く座りうつ向いた。 『…根津さん…』
自分よりも強い意思で想いを伏せているように感じ
『根津さん…あなたは、いつから』
自然に言葉がでてしまった。素直に見つめるそんな理人を、上目視線でみると真面目な口調で
『その問い掛けは執事としてか、それとも柴田理人としてか』
思いもよらない根津の返しにかなり戸惑う理人。しばらくすると笑いながら
『お前みたいに完璧な奴の弱みかと思うとつい、な…悪い悪い』
肩を何度か叩きながら通り過ぎた。キョトンとした顔のまま根津を目で追った。
上着の胸ポケットから煙草を出し一本口にくわえながら。
『それなりに解いてきたからな。受け止め方かわし方、想いの向け方逸らし方…自然に身についてな…。執事になってからは自分でも気付かないうちにブレーキまでもな』
『…不二子様のお気持ちのことも』
マッチを擦り煙草に火を付けるところで動きを止め、マッチが燃えきる直前で消し、煙草を箱に戻しながら
『お前なら分かるだろ。ここを出た、たいていのお嬢達がどんな道を進むのか』
『では、もう不二子様にも決まった方が…』
再び両手をポケットに入れ肩を落としながら
『不二子には幸せになって貰いたいからな…せめてここに居るうちは、あいつの好きなように…幸せそうに笑っててもらいてぇからな』
『では、ここを出た後は…いいのか』
さりげなく痛い所を追求してくる理人に、笑うように視線を向け
『いい訳ねぇだろ…だけどな…俺は執事だ…あいつがここに居る間の単なる執事だ…ただの男、いやそれ以下の俺に…何が出来る』
真っ直ぐに見つめる根津の瞳の奥で、無力さが辛く、虚しく寂しいと訴えているように感じ目を閉じた。そんな理人に、お前がそんな顔すんなと言うように話しを続けた。
『俺はいつか元の世界に戻る。お前達とは違う闇の世界にな…』
『根津さん…』
だから仕方ない分かるだろと、背を向け掛けると
『それで、諦めると嘘をつく…』
『やけに、食い下がるじゃねぇか…』
ステンドグラスから差し込む光が真顔になった根津を映し、声が低く響いた。
『…出来る訳ねぇだろ』
うつ向き怪しく笑みを浮かべながら理人に向き合うと、
『…俺はとっくに覚悟はしてる…けどな』
いきなり鋭い目で理人の胸元を掴み
『出来る訳ねぇだろ!命を狙われるような毎日に、引っ張り込む訳にいくかよ』
威圧的な根津に怯むことなく、見つめ返し
『それでも、彼女が望んだら』
負けず見つめ返した後、気が抜けたように手を離しうつ向いた
『出来ねぇよ』
背中を向け、机に両手をつき
『少なくとも、こんな俺に惚れてくれた女だ…出来る訳ねぇだろ…今のお前なら少しは分かんだろ』
真っ直ぐなまでの想いと覚悟を知り、何も言えずに根津の後ろ姿を見つめた。時間(とき)の流れが静かに二人を通り過ぎた。
落ち着きを取り戻し、理人をゆっくり見ながら
『悪かったな。どうでもいい事に熱くなっちまった』
『いいえ、俺の方こそ』
軽く頭を下げる理人。気にするなと笑顔でポンッと肩を叩いた
『お前の弟が正しいのかもな』
『剣人が?…』
『惚れた女を護りたい、だから執事になる…だか、執事になっちまった…俺も、お前も…な』
どこか寂しげな笑顔で話しながら、理人に視線を向け
『知りたいんじゃないのか…なぜ、抱きしめたのか。話してやればいいじゃねぇか』
驚き戸惑う理人。
『あの時の男としてのお前の想いを…正しだ、執事として彼女の前に立ち執事としてのお前でな』
困惑する態度を見ながら続けた。
『まだハッキリ定まらない想いのまま、離れたくねぇだろ。せめて執事としてでも傍に居いたいなら、今は執事としてのお前で居ることだ』
微笑みを浮かべ、少しからかうように見ながら。 『根津さんのように、自分に嘘を…』
一瞬苦笑いすると
『お前なら簡単な事だろ、Sランク執事さんよ』
軽く拳で肩にパンチを入れながら笑った。
思わず知った根津の深く強い想い。いつもの行動と言葉は、根津らしい護り方であり、隠し方なのかもしれない。
想い (根津編)
謹慎を受け礼拝堂?で一人考え込むように座る理人に、謹慎を受けたもう一人の根津が声をかけた
『後悔してんのか?』
反応が無く一点を見つめる理人
『…やっちまったもんは、しょうがねぇだろ』
根津らしい軽い口調で言いながら背を向けると、何か言いたそうに振り返る理人に静かに話し出した。
『あの時…お前はある意味命を賭けてここを出て行った。少なくとも、執事を辞める覚悟でな…そんな思いで助けに行った女が無事で居たんだ。それだけでも十分な理由だろ』
考え込むような理人を見ながら
『…で、お前の顔を見るなり、安心したように優しい言葉でも掛けられ涙でも見せられたか』
あの時のメイを思い出し穏やかな顔になる理人
『当たらずとも遠からずってとこか…そのくらいの事、予想は着く…まっ、あたり前の行動だな、男として』
根津の言葉に思わず立ち上がり言い返すように
『でも、俺は』
『そう、お前は彼女の執事だ。しかもSランクのな』
言葉を飲み込む理人
『だから…かもな…最高ランクの英才教育を幼い頃から受け、最高の成績でクリアしてきたSランクのお前だから…男のここが素直に反応しちまったんだろうな』
拳で胸を軽く叩きながら言った。
『つまりだ…どんな優れた教授が解いた恋愛論の講義を何回聞こうが、本を何冊読もうが、男と女の恋愛は現実の体験には勝てないって事だ』
動揺したような顔の理人
『お前がそんなでどうすんだ。彼女はもっと戸惑ってんじゃねぇのか』
『…メイ様…』
微かな声で囁いた
『ほとんどのお嬢達は、何かしらのしがらみと計算。全てを純粋に反応することを許されない中で生きて来てる。たが、違うだろ彼女は』
『…』
『純粋に素直な心で見て、触れて感じて来た。そしてようやくお嬢と執事の関係に慣れた時に、お前の行動だからな』
『…』
胸に漂う想いと向き合っているのか、何も言わず一点を見つめる理人。悩む後輩を見るような根津、人生の先輩としての余裕なのか微かに微笑み
『惚れた女を不安にさせない…最低限の事だろ』
『俺はただ』
二人の間の机に手を付き、迷いながらも訴えるような理人を宥めるように 『…お嬢と執事も似たようなものだろ。いつ何が起こったとしても、お嬢に不安感を持たせず、悟られることなく、どんな事をしても護る…』
違うか?と言うような根津に、その通りだと無言で見つめ返す理人。受け止めたように軽く笑い
『例えそれが自分に嘘をついてでもな』
両手をズボンのポケットに入れ、机に軽く座りうつ向いた。 『…根津さん…』
自分よりも強い意思で想いを伏せているように感じ
『根津さん…あなたは、いつから』
自然に言葉がでてしまった。素直に見つめるそんな理人を、上目視線でみると真面目な口調で
『その問い掛けは執事としてか、それとも柴田理人としてか』
思いもよらない根津の返しにかなり戸惑う理人。しばらくすると笑いながら
『お前みたいに完璧な奴の弱みかと思うとつい、な…悪い悪い』
肩を何度か叩きながら通り過ぎた。キョトンとした顔のまま根津を目で追った。
上着の胸ポケットから煙草を出し一本口にくわえながら。
『それなりに解いてきたからな。受け止め方かわし方、想いの向け方逸らし方…自然に身についてな…。執事になってからは自分でも気付かないうちにブレーキまでもな』
『…不二子様のお気持ちのことも』
マッチを擦り煙草に火を付けるところで動きを止め、マッチが燃えきる直前で消し、煙草を箱に戻しながら
『お前なら分かるだろ。ここを出た、たいていのお嬢達がどんな道を進むのか』
『では、もう不二子様にも決まった方が…』
再び両手をポケットに入れ肩を落としながら
『不二子には幸せになって貰いたいからな…せめてここに居るうちは、あいつの好きなように…幸せそうに笑っててもらいてぇからな』
『では、ここを出た後は…いいのか』
さりげなく痛い所を追求してくる理人に、笑うように視線を向け
『いい訳ねぇだろ…だけどな…俺は執事だ…あいつがここに居る間の単なる執事だ…ただの男、いやそれ以下の俺に…何が出来る』
真っ直ぐに見つめる根津の瞳の奥で、無力さが辛く、虚しく寂しいと訴えているように感じ目を閉じた。そんな理人に、お前がそんな顔すんなと言うように話しを続けた。
『俺はいつか元の世界に戻る。お前達とは違う闇の世界にな…』
『根津さん…』
だから仕方ない分かるだろと、背を向け掛けると
『それで、諦めると嘘をつく…』
『やけに、食い下がるじゃねぇか…』
ステンドグラスから差し込む光が真顔になった根津を映し、声が低く響いた。
『…出来る訳ねぇだろ』
うつ向き怪しく笑みを浮かべながら理人に向き合うと、
『…俺はとっくに覚悟はしてる…けどな』
いきなり鋭い目で理人の胸元を掴み
『出来る訳ねぇだろ!命を狙われるような毎日に、引っ張り込む訳にいくかよ』
威圧的な根津に怯むことなく、見つめ返し
『それでも、彼女が望んだら』
負けず見つめ返した後、気が抜けたように手を離しうつ向いた
『出来ねぇよ』
背中を向け、机に両手をつき
『少なくとも、こんな俺に惚れてくれた女だ…出来る訳ねぇだろ…今のお前なら少しは分かんだろ』
真っ直ぐなまでの想いと覚悟を知り、何も言えずに根津の後ろ姿を見つめた。時間(とき)の流れが静かに二人を通り過ぎた。
落ち着きを取り戻し、理人をゆっくり見ながら
『悪かったな。どうでもいい事に熱くなっちまった』
『いいえ、俺の方こそ』
軽く頭を下げる理人。気にするなと笑顔でポンッと肩を叩いた
『お前の弟が正しいのかもな』
『剣人が?…』
『惚れた女を護りたい、だから執事になる…だか、執事になっちまった…俺も、お前も…な』
どこか寂しげな笑顔で話しながら、理人に視線を向け
『知りたいんじゃないのか…なぜ、抱きしめたのか。話してやればいいじゃねぇか』
驚き戸惑う理人。
『あの時の男としてのお前の想いを…正しだ、執事として彼女の前に立ち執事としてのお前でな』
困惑する態度を見ながら続けた。
『まだハッキリ定まらない想いのまま、離れたくねぇだろ。せめて執事としてでも傍に居いたいなら、今は執事としてのお前で居ることだ』
微笑みを浮かべ、少しからかうように見ながら。 『根津さんのように、自分に嘘を…』
一瞬苦笑いすると
『お前なら簡単な事だろ、Sランク執事さんよ』
軽く拳で肩にパンチを入れながら笑った。
思わず知った根津の深く強い想い。いつもの行動と言葉は、根津らしい護り方であり、隠し方なのかもしれない。