リピート中のメイちゃんの執事(第6話のある部分の妄想) | ~From.裕~

リピート中のメイちゃんの執事(第6話のある部分の妄想)

【11日再放送予定】
   想い (根津編)
謹慎を受け礼拝堂?で一人考え込むように座る理人に、謹慎を受けたもう一人の根津が声をかけた
『後悔してんのか?』
反応が無く一点を見つめる理人
『…やっちまったもんは、しょうがねぇだろ』
根津らしい軽い口調で言いながら背を向けると、何か言いたそうに振り返る理人に静かに話し出した。
『あの時…お前はある意味命を賭けてここを出て行った。少なくとも、執事を辞める覚悟でな…そんな思いで助けに行った女が無事で居たんだ。それだけでも十分な理由だろ』
考え込むような理人を見ながら
『…で、お前の顔を見るなり、安心したように優しい言葉でも掛けられ涙でも見せられたか』
あの時のメイを思い出し穏やかな顔になる理人
『当たらずとも遠からずってとこか…そのくらいの事、予想は着く…まっ、あたり前の行動だな、男として』
根津の言葉に思わず立ち上がり言い返すように
『でも、俺は』
『そう、お前は彼女の執事だ。しかもSランクのな』
言葉を飲み込む理人
『だから…かもな…最高ランクの英才教育を幼い頃から受け、最高の成績でクリアしてきたSランクのお前だから…男のここが素直に反応しちまったんだろうな』
拳で胸を軽く叩きながら言った。
『つまりだ…どんな優れた教授が解いた恋愛論の講義を何回聞こうが、本を何冊読もうが、男と女の恋愛は現実の体験には勝てないって事だ』
動揺したような顔の理人
『お前がそんなでどうすんだ。彼女はもっと戸惑ってんじゃねぇのか』
『…メイ様…』
微かな声で囁いた
『ほとんどのお嬢達は、何かしらのしがらみと計算。全てを純粋に反応することを許されない中で生きて来てる。たが、違うだろ彼女は』
『…』
『純粋に素直な心で見て、触れて感じて来た。そしてようやくお嬢と執事の関係に慣れた時に、お前の行動だからな』
『…』
胸に漂う想いと向き合っているのか、何も言わず一点を見つめる理人。悩む後輩を見るような根津、人生の先輩としての余裕なのか微かに微笑み
『惚れた女を不安にさせない…最低限の事だろ』
『俺はただ』
二人の間の机に手を付き、迷いながらも訴えるような理人を宥めるように            『…お嬢と執事も似たようなものだろ。いつ何が起こったとしても、お嬢に不安感を持たせず、悟られることなく、どんな事をしても護る…』
違うか?と言うような根津に、その通りだと無言で見つめ返す理人。受け止めたように軽く笑い
『例えそれが自分に嘘をついてでもな』
両手をズボンのポケットに入れ、机に軽く座りうつ向いた。   『…根津さん…』
自分よりも強い意思で想いを伏せているように感じ
『根津さん…あなたは、いつから』
自然に言葉がでてしまった。素直に見つめるそんな理人を、上目視線でみると真面目な口調で
『その問い掛けは執事としてか、それとも柴田理人としてか』
思いもよらない根津の返しにかなり戸惑う理人。しばらくすると笑いながら
『お前みたいに完璧な奴の弱みかと思うとつい、な…悪い悪い』
肩を何度か叩きながら通り過ぎた。キョトンとした顔のまま根津を目で追った。
上着の胸ポケットから煙草を出し一本口にくわえながら。
『それなりに解いてきたからな。受け止め方かわし方、想いの向け方逸らし方…自然に身についてな…。執事になってからは自分でも気付かないうちにブレーキまでもな』
『…不二子様のお気持ちのことも』
マッチを擦り煙草に火を付けるところで動きを止め、マッチが燃えきる直前で消し、煙草を箱に戻しながら
『お前なら分かるだろ。ここを出た、たいていのお嬢達がどんな道を進むのか』
『では、もう不二子様にも決まった方が…』
再び両手をポケットに入れ肩を落としながら
『不二子には幸せになって貰いたいからな…せめてここに居るうちは、あいつの好きなように…幸せそうに笑っててもらいてぇからな』
『では、ここを出た後は…いいのか』
さりげなく痛い所を追求してくる理人に、笑うように視線を向け
『いい訳ねぇだろ…だけどな…俺は執事だ…あいつがここに居る間の単なる執事だ…ただの男、いやそれ以下の俺に…何が出来る』
真っ直ぐに見つめる根津の瞳の奥で、無力さが辛く、虚しく寂しいと訴えているように感じ目を閉じた。そんな理人に、お前がそんな顔すんなと言うように話しを続けた。
『俺はいつか元の世界に戻る。お前達とは違う闇の世界にな…』
『根津さん…』
だから仕方ない分かるだろと、背を向け掛けると
『それで、諦めると嘘をつく…』
『やけに、食い下がるじゃねぇか…』
ステンドグラスから差し込む光が真顔になった根津を映し、声が低く響いた。
『…出来る訳ねぇだろ』
うつ向き怪しく笑みを浮かべながら理人に向き合うと、
『…俺はとっくに覚悟はしてる…けどな』
いきなり鋭い目で理人の胸元を掴み
『出来る訳ねぇだろ!命を狙われるような毎日に、引っ張り込む訳にいくかよ』
威圧的な根津に怯むことなく、見つめ返し
『それでも、彼女が望んだら』
負けず見つめ返した後、気が抜けたように手を離しうつ向いた
『出来ねぇよ』
背中を向け、机に両手をつき
『少なくとも、こんな俺に惚れてくれた女だ…出来る訳ねぇだろ…今のお前なら少しは分かんだろ』
真っ直ぐなまでの想いと覚悟を知り、何も言えずに根津の後ろ姿を見つめた。時間(とき)の流れが静かに二人を通り過ぎた。
落ち着きを取り戻し、理人をゆっくり見ながら
『悪かったな。どうでもいい事に熱くなっちまった』
『いいえ、俺の方こそ』
軽く頭を下げる理人。気にするなと笑顔でポンッと肩を叩いた
『お前の弟が正しいのかもな』
『剣人が?…』
『惚れた女を護りたい、だから執事になる…だか、執事になっちまった…俺も、お前も…な』
どこか寂しげな笑顔で話しながら、理人に視線を向け
『知りたいんじゃないのか…なぜ、抱きしめたのか。話してやればいいじゃねぇか』
驚き戸惑う理人。
『あの時の男としてのお前の想いを…正しだ、執事として彼女の前に立ち執事としてのお前でな』
困惑する態度を見ながら続けた。
『まだハッキリ定まらない想いのまま、離れたくねぇだろ。せめて執事としてでも傍に居いたいなら、今は執事としてのお前で居ることだ』
微笑みを浮かべ、少しからかうように見ながら。        『根津さんのように、自分に嘘を…』
一瞬苦笑いすると
『お前なら簡単な事だろ、Sランク執事さんよ』
軽く拳で肩にパンチを入れながら笑った。
思わず知った根津の深く強い想い。いつもの行動と言葉は、根津らしい護り方であり、隠し方なのかもしれない。