~From.裕~ -106ページ目

ピンチ? 完

メイを幸せそうに見つめる理人。だったが、背後に怪しい気配を感じ微笑みが消え振り向いた。
現れた時より不穏な空気を一段と濃くした神田が立っていた。
『Sランク執事も、所詮はただの男…ってことだよな』
怪しい威圧感に言葉を飲み、  肩に乗せられた手に視線を向けたすると反対の肩にポンと手が乗り視線を移すと
『Sランク執事も、大変やなぁ』
タミが現れた。
『誰にも言わへん』
『安心しろ。同寮のよしみだ』
二人で肩を叩きながら楽しそうに怪しく笑った。そんな二人を悪霊払いするかのように振り払う理人に
『愛しいお嬢様が、呼んでるで』
視線を向けると、確かに。   そのうち視線を下げ目を閉じると口元が緩んだ。今度は凛とした理人が怪しく微笑み近づいた。
『注意をしなければいけないのは月灯りではなく、あなた方お二人のようですね』
『いやぁ。そこ迄言って貰うほどじゃないけどな』
『相手に不足はありません…わたしにとって失いたくない時間ですので…では、失礼致します』
堂々とした態度で話すとメイの元へ向かった。
               《タミと神田》        『本気なんや』
『見ないふりしてやるか。同僚の…男同士のよしみでな』
大きく頷くタミ。
『でもまあ、何とかごまかせたか』
『相変わらずメイは単純やな』
『あいつに聞こえたら怒られるぞ…《メイ様は単純なのではありません。純粋なのです》てな』
『そうやな。言いそうやな…でも神田、全然似てへんで』
ガッカリしたような態度をちょっと見せたあと
『俺達も行くか』
『そやな』

全身を使うかのように呼ぶメイに近ずきながら
「優しく純粋で無邪気なメイ様…そんなあなたに想いを向け、失うような事は仕度無い!だから、想いのままに心を解き放つあの時間(とき)を、失う訳にはいかない…」
いつものように微笑む理人に
『遅い…タミと何話してたの』
『遅くなりまして申し訳ありません…たいしたことではありません。今後メイ様の好奇心を刺激するような事は謹んで頂くよう、少々ご忠告をさせて頂いただけでございます』
一段と優しく微笑む理人に
『そう…』
何故か精一杯のメイ
『さあ、参りましょう…メイ様…』
真っ直ぐに伸ばす理人の右手に導かれるように、軽く頷き笑顔で歩き出すメイ。
そんな安心仕切ったメイの後ろを優しく包むような微笑で歩き出す理人。

手を伸ばせばそこに…
声掛ければ直ぐに…
その笑顔をこの腕に…
そっと瞳を閉じ
立ち止まる理人

「メイ様をお守りする
全てのものから、守り抜いてみせる
この想いを…
いつか、いつの日か
伝える日まで…
メイ…あなたを守る
必ず…」

優しさの中に厳しさを
穏やかな中に激しさを
凛々しい中に閉じ込めた想い

歩き出す理人の後ろ姿に
執事として
男性(おとこ)としての
覚悟があった

柴田理人として
本郷メイと
向き合える日は来るのだろうか


      完

ピンチ? その3

「それに命と引き換えに助けられてもそのあと、あんたが居なかったら意味ないじゃない」』
思わず呟いてしまったあと、  ごまかすように
『本当、いい天気。気持ちいいよねぇ~』
わざとらしく背伸びをしながら、もう一度チラッと見てみた。  変わらず眩しい微笑みの理人。 流石に聞こえていなかったよねとゆっくり腕を下ろしながら何かの気配を感じるのと同時に、耳元で
『決してそのような事が起こりませんように、お守り致します… あの日お約束いたしましたから、わたしはメイ様の傍におります…いつまでも』
そっと囁く理人の言葉に、   胸がときめき頬を紅くするメイ。どんな顔で言ったのかちょっと気になり理人の足元に視線を向け、気持ちを落ち着かせながらゆっくり見上げた。
『本当に気持ちのいい天気ですね』
何も無かったように      空を見上げていた。      自分だけドキドキさせられ何?とガッカリと照れ臭さでちょっと膨れ顔のメイをさりげなく見ながら微笑みを浮かべ
『今日のランチは外でお召しあがりになってはいかがですか? 泉様やリカ様方をお誘いして』
ご機嫌直りますか?      そんな微笑みでメイを見た。
『外でランチね…いいね。   泉とも久しぶりに話したいし。 早速連絡しないとね!行くよ』
楽しそうに歩き出し
『何にしよう…イタリアン?  フレンチ?う~ん…和食っていうのもいいかな』
つい今までの感情はどちらへ? 食べ物には弱いメイ。     流石執事、メイの取り扱いには慣れたもの?
そんなメイを幸せそうに見つめる理人。

                              想いのまま心を解き放つひと時…そんな時間を守る為の理人の決意それは男としての想い……         《ピンチ?完》

ビンチ? その2

(何を言い出す気だ…)
警戒する理人を楽しむように顔を覗き込むタミ。軽く息を飲む二人に、笑顔で気が抜けるほどあっさり
『それがな、雲が月を隠して、見えんかった』
倒れるような勢いで二人は…こけた。
ガッカリしたようなメイ。
気が抜けたことを気づかれないように、改めて二人を警戒する理人。
『まっ。そんな事はどうでもいいんだけどね』
空き缶でポンポンと手の平を叩きながら
『自分で飲んだ物くらいキチンと捨ててほしいんですけど!』
メイから空き缶を受け取ると、思わず
『申し訳ありませんでした』
頭を下げてしまった。
 不思議な顔で何で謝るのかと聞かれ、いつもと違い焦ったように缶を落としかけ手の中で踊らせている、そんな理人が心配になり
『何か今日変なんだけど、体調でも悪いんじゃないの?』
『…ご心配していただきありがとうございます。…申し訳ありません。メイ様が見つける前に気づきませんで。明日の朝からは外の見回りも』
『だからそこ迄しなくてもいいって…朝は何かとあんたも忙しいんだし』
『おそれいります』
『それに…何かあったとしても…』
『あったとしても…?』
次の言葉を待つ理人。
次の言葉が照れ臭くて言えないメイ。
『メイ様?』
『だから…何かあったとしても……あんたが傍に居れば大丈夫なんでしょ!』
目を閉じ早口で言い捨てると背中を向けた。
(言っちゃった)と息を吐き、ゆっくり振り向いてみた。嬉しさを全身で表すような微笑みの理人が朝陽に反射しているように眩しく、また背を向けた。
『はい。この命に換えましてもお守り致します』
胸に手を当て一礼する理人をチラッと見ると
『そこ迄言わなくても…
「それに命と引き換えに助けられてもそのあと、あんたが居なかったら意味ないじゃない」』
思わず呟いてしまった。
  
                                             「聞こえてないよね」それはどうかな、相手は理人。      何かきっと甘~い
ことを予感させるような微笑みが怪しい(;¬_¬)             《ピンチ?その3》へ