ほたる (出会い)後
本を読んだり
自分の事、俺の事、多少フィクションをちりばめた話しが受けていたらしい
付き添いのお母さん達にお礼を言われた
本当は…自分の寂しさ隠し
着替えを渡すと
『別に来なくても良かったのに
それとも、父さんと二人だけっていうのがつまらなくて疲れた?
俺が居ないと二人共暗いからなぁ…話しが上手く無いといつまで経っても彼女出来ないよ』
確かに言う通りで笑って聞き流していたが
調子に乗り言い出した最後
『痛ッ!…く、ないです…』
さりげなく俺の右手拳が祐紀の頭にヒット
笑顔のままの俺の睨みに言い過ぎた事に気付いたらしい
ボソッと
『ごめんなさい…』
周りに居た子供達が静止していた慌てて二人で笑ってごまかしたが…
『みんな部屋に戻ろうか
また、明日本読んで貰おうね』
手際良く子供達を誘導する女の子
『あっ!あの子か…お前の良い出会いをしたっていう
同じ小4には見え無いな…』
『まぁね…石野夏美っていうんだ幼稚園の先生になるのが夢なんだってさ』
『へ~…可愛いじゃん』
『へへェ~まぁね』
照る祐紀をヘットロックしながらからかってやった
戻って来た夏美ちゃんとも話してみた
しっかりと受け答えをする大人っぽい子だった
両親が仕事をしている為付き添いが無く、祐紀と気が合ったのかもしれない
一人っ子の彼女は俺の存在がかなり羨ましいらしい
『なっちゃん居る?』
優しいとはちょっと違う
もっと自然で身体を通り抜けるような
柔らかく、静かに、穏やかに…
そしてか細く、消えそうな…
そう…風のよいな声だった
振り向くと
真っ白な服が風に微かに揺れ
透けるような白い肌で
笑顔が眩しかった
夏美ちゃんと家が近くで、一人っ子同士の二人は歳の離れた姉妹のように育ったらしい
『私のお姉ちゃん
花園楓香(はなぞのふうか)
そして、この人は祐紀君の』
『裕紀君。新田裕紀君…』
なんで?
三人の不思議そうな顔に
ちょっと慌てる彼女
『祐紀君がいつも話しているから知ってても当たり前だよね』
そっか…簡単に納得
でも、どこか納得仕切れない。
あの言い方 何処で会った事があるような気がするのは何故だろう
7歳の頃から入退院を繰り返し
13歳から入院生活している
学校生活の経験もろくに無く
友達も居無く
夏美ちゃんが唯一外の事を知らせてくれる友達、妹だったらしい
会っている訳無いよな
でも
母さんの入院の時とかに
小児科には初めて来たし
元気ならば高2
俺よりひとつ上
ある意味、大人に見え
ある意味、純粋な少女
そんな君の
優しく穏やかに
俺を包むような眼差しが
何故だろう
心地良いと思う何処かで
不安のような
不思議な気持ちになった
自分の事、俺の事、多少フィクションをちりばめた話しが受けていたらしい
付き添いのお母さん達にお礼を言われた
本当は…自分の寂しさ隠し
着替えを渡すと
『別に来なくても良かったのに
それとも、父さんと二人だけっていうのがつまらなくて疲れた?
俺が居ないと二人共暗いからなぁ…話しが上手く無いといつまで経っても彼女出来ないよ』
確かに言う通りで笑って聞き流していたが
調子に乗り言い出した最後
『痛ッ!…く、ないです…』
さりげなく俺の右手拳が祐紀の頭にヒット
笑顔のままの俺の睨みに言い過ぎた事に気付いたらしい
ボソッと
『ごめんなさい…』
周りに居た子供達が静止していた慌てて二人で笑ってごまかしたが…
『みんな部屋に戻ろうか
また、明日本読んで貰おうね』
手際良く子供達を誘導する女の子
『あっ!あの子か…お前の良い出会いをしたっていう
同じ小4には見え無いな…』
『まぁね…石野夏美っていうんだ幼稚園の先生になるのが夢なんだってさ』
『へ~…可愛いじゃん』
『へへェ~まぁね』
照る祐紀をヘットロックしながらからかってやった
戻って来た夏美ちゃんとも話してみた
しっかりと受け答えをする大人っぽい子だった
両親が仕事をしている為付き添いが無く、祐紀と気が合ったのかもしれない
一人っ子の彼女は俺の存在がかなり羨ましいらしい
『なっちゃん居る?』
優しいとはちょっと違う
もっと自然で身体を通り抜けるような
柔らかく、静かに、穏やかに…
そしてか細く、消えそうな…
そう…風のよいな声だった
振り向くと
真っ白な服が風に微かに揺れ
透けるような白い肌で
笑顔が眩しかった
夏美ちゃんと家が近くで、一人っ子同士の二人は歳の離れた姉妹のように育ったらしい
『私のお姉ちゃん
花園楓香(はなぞのふうか)
そして、この人は祐紀君の』
『裕紀君。新田裕紀君…』
なんで?
三人の不思議そうな顔に
ちょっと慌てる彼女
『祐紀君がいつも話しているから知ってても当たり前だよね』
そっか…簡単に納得
でも、どこか納得仕切れない。
あの言い方 何処で会った事があるような気がするのは何故だろう
7歳の頃から入退院を繰り返し
13歳から入院生活している
学校生活の経験もろくに無く
友達も居無く
夏美ちゃんが唯一外の事を知らせてくれる友達、妹だったらしい
会っている訳無いよな
でも
母さんの入院の時とかに
小児科には初めて来たし
元気ならば高2
俺よりひとつ上
ある意味、大人に見え
ある意味、純粋な少女
そんな君の
優しく穏やかに
俺を包むような眼差しが
何故だろう
心地良いと思う何処かで
不安のような
不思議な気持ちになった
ほたる (出会い)
静かだった
家に帰ると必ず母さんがいて
『お帰り』
何処からともなく明るい声がした
ついでに
『お帰りなさ~い』
何処からともなく体当たりをしてくる奴がいた
この何年かは体当たりは無くなってたか…
無言で家に入り
キッチンに立ち夕食の用意をする
母親の検査入院で慣れてはいるし
おかずにうるさい奴が居なくて楽だが、無口な父親とまあ俺もかな?二人きりは流石に暗い
父さんは毎日二人の所へ顔を出していた
たかが盲腸…
いつもの検査入院…
なのに
『母さんも祐紀も、裕紀が来ない。そう言ってたぞ』
『行っただろ』
『行ったんじゃないだろ、あれは連れてったんだろ
顔を出してやれば、気が済むんだ
母さんの元気の源だからなお前は
明日の用意は父さんがするから
寄って来い』
『分かったよ』
病院…
母親のことで良く行っていたけど
行っていたからか
好きに慣れないとこ
まあ、あえて好きな人は居ないだろうけど
何処で母さんを捕られるような 怖さと寂しさを感じていた頃を忘れられないのかもしれない
それに…
部活で疲れた身体に重い気持ち
深呼吸をして踏み出し
自動ドアが開くと
溜め息に変わり
諦めて病室に向かった
検査入院だけあって相変わらず元気な笑い声だ
フッと気が抜けた
やっぱりその声を聞くと安心する
『お母さんに会えて嬉しいのかな?』
後ろから突然話し掛けられ、預かった荷物を落としかけたのを支えてくれながら
『まさかね。もうそんな歳じゃないか…そんな顔しなくても、ごめんごめん』
祐紀が生まれる時新人だった担当看護師の「中田カナ」
ふざけた名前に子供ながら笑ったな…そんな俺に
『素敵な名前でしょ?人に笑顔を挙げられるのよ私の名前…お母さんなら大丈夫!君が笑顔でいれば大丈夫だから』
看護師さんだからだけではない安心感がその笑顔にはあった
いつしか家族のような感覚になっていた
『久しぶりじゃない。裕が顔を出すの…祐の代わりかな?
たまには顔出してよ、ちょっと大人になった裕を見たいじゃない』
変わらない笑顔で肩を叩いてきた
『そういう軽さで来る所じゃないだろが』
『そうかもね。でもねお見舞いに来てくれるひとはいいの軽い気持ちで
色々な人が頑張っているけど
だからこそ明るく元気なパワーが、私達のパワーにもなるのよ
お母さんの自慢の息子!みんな会いたがってるから。ほらっ』
背中を押され強引に押し出された
『裕紀…』
軽く同室の人に挨拶して
預かってきた荷物を渡した
『皆さん、彼が新田さんご自慢の裕紀君です。見た目も良いでしょ?』
『カナ姉(ねえ)あのさぁ』
母さんと二人周りの反応に戸惑う俺を見て、笑っていた
顔を出さない罰よ、というかのように楽しんでいるようだ。
俺が来たくない理由のひとつでもある
仕事を済ませカナ姉が出て行くと落ち着きを取り戻し、椅子に座った
父さんと二人だけの生活を色々聞いてきた。心配してというよりも面白がっているようだ
『裕紀には助けられてばっかりだね。いつの間にか料理も上手になって』
『今回は楽だよ。面倒くさい奴が居なくて。父さんの料理食べなくなるし好き嫌いあるし…』
『でも結局は許してくれて…
祐紀にとって、憧れの存在で大好きなお兄ちゃんは、それなりになんでもこなしてしまって。 だから彼女いらないのかな?』
『そんな訳ねぇだろ
そのうち会わせてやるよ』
『あら。そんな娘(こ)居たの?』
顔を覗き込むように身を乗り出す好奇心に満ちた顔
『祐紀も良い出会があったみたいだし。楽しみだな裕紀の彼女に会うの』
彼女が出来たら…だったのに
さりげなくごまかしたが
祐紀に彼女とはビックリだ
同室の同じ盲腸入院で同級生か
『ちゃんと話してる?』
突然現れるたカナ姉にもしかしてと、思う間もなく早速話すと似たようなリアクション。 長い追求になりそうな事を予感させる二人の顔
『…ったくもう分かったよ。
まだいないです。 俺が出会ったら会わせます たぶん…そう言えばいんだろ』
バックを手にしながら話す俺を
顔を見合わせながら笑っている
『正直で宜しい…裕は良い意味でマザコンだからね』
意気なりの言葉に、立ち上がりながらかなりの勢いで椅子を倒したが、体はどうにか踏み留めた
『そうなの裕紀?…お母さんのせいね』
驚いた後かなり業とらしい母親
同室の人に謝りながら元に戻し
『良い意味とか無いだろうが
母さん…嘘くさい』
ニタッと笑うのを溜め息混じりに見た
『大切な人でしょ?』
『それはそうだけど、マザコンとも彼女がいないこととも、関係ないだろうが…
作ろうと思って作るものじゃないと、俺が思ってんだからいいだろ
出会ったらでいいんだ…俺はそう思ってるから
この事に関しては口出ししないこと!…
分かったら返事』
少し真顔で話す俺に釣られるように思わず返事をする二人に
笑うのを抑え
『分かればそれでよし!
じゃー祐のとこ寄って帰るから
お邪魔しました』
一礼して病室を出た。
3階小児科…まだ小児科かよ
独り言を言いながら真っ白な壁の廊下を歩く
消毒液の臭い…薬剤の臭い…
車椅子…松葉杖…
点滴を付けゆっくりと歩く人…
すれ違いながら
追い越しながら
場違いな速さで歩く俺
やっぱりここは苦手な場所だ
小児科が近づくとだいぶ感じがかわり
壁も明るい色で絵や写真
子供達の作品で飾られ、同じような姿でも笑顔と笑い声が…
同じくらい看護師さんの怒っているような声もして
ちょっと救われたような気がした
病人かよと思うほどの祐紀の声に、足を止めて様子を伺っていると
『新田祐紀君のお兄さんですか』
優しい声にドキッとしてしまった『お母さんも入院していらして、お兄さんも色々大変かと思いますが、顔を見せてあげてください。どんな軽い病気でもここに居ると不安なんです
いつもお兄さんの話をして
大好きなんですね
祐紀君頑張ってますよ』
人が居ると眠れないくせに一人だと不安で
自分より弱い人、辛い人がいると空元気出して
後で落ち込んだりする
気を使って我慢する
妙な奴だったっけ
ちょと反省しながら病室へ入った
『兄(にい)ちゃん!』
デカイ声
子供だけでなく全員に振り向かれ
エッ!?硬い笑顔で固まった。
次々と俺の事を話す祐紀
いつもならばうるさいだけなのに父さんと二人静か過ぎる日々
嬉しそうなあいつが愛おしく思えた
『お兄ちゃんなかなかカッコイイじゃん』
『そりゃどうも』
ちょっと生意気そうに俺を見上げ
もしかしてウィンクのつもりなのか
両目で軽く瞬きをする女の子
何処か悪いとこがあるんだよな
不安、寂しさを見せ掛けの明るい元気な姿に隠して居るのか…
『だから言ってんだろ。
見た目もカッコイイって』
自慢げに話す祐紀の回りには小さな子供達が居た
本を読んだり
自分の事、俺の事、多少フィクションをちりばめた話しが受けていたらしい
付き添いのお母さん達にお礼を言われた
家に帰ると必ず母さんがいて
『お帰り』
何処からともなく明るい声がした
ついでに
『お帰りなさ~い』
何処からともなく体当たりをしてくる奴がいた
この何年かは体当たりは無くなってたか…
無言で家に入り
キッチンに立ち夕食の用意をする
母親の検査入院で慣れてはいるし
おかずにうるさい奴が居なくて楽だが、無口な父親とまあ俺もかな?二人きりは流石に暗い
父さんは毎日二人の所へ顔を出していた
たかが盲腸…
いつもの検査入院…
なのに
『母さんも祐紀も、裕紀が来ない。そう言ってたぞ』
『行っただろ』
『行ったんじゃないだろ、あれは連れてったんだろ
顔を出してやれば、気が済むんだ
母さんの元気の源だからなお前は
明日の用意は父さんがするから
寄って来い』
『分かったよ』
病院…
母親のことで良く行っていたけど
行っていたからか
好きに慣れないとこ
まあ、あえて好きな人は居ないだろうけど
何処で母さんを捕られるような 怖さと寂しさを感じていた頃を忘れられないのかもしれない
それに…
部活で疲れた身体に重い気持ち
深呼吸をして踏み出し
自動ドアが開くと
溜め息に変わり
諦めて病室に向かった
検査入院だけあって相変わらず元気な笑い声だ
フッと気が抜けた
やっぱりその声を聞くと安心する
『お母さんに会えて嬉しいのかな?』
後ろから突然話し掛けられ、預かった荷物を落としかけたのを支えてくれながら
『まさかね。もうそんな歳じゃないか…そんな顔しなくても、ごめんごめん』
祐紀が生まれる時新人だった担当看護師の「中田カナ」
ふざけた名前に子供ながら笑ったな…そんな俺に
『素敵な名前でしょ?人に笑顔を挙げられるのよ私の名前…お母さんなら大丈夫!君が笑顔でいれば大丈夫だから』
看護師さんだからだけではない安心感がその笑顔にはあった
いつしか家族のような感覚になっていた
『久しぶりじゃない。裕が顔を出すの…祐の代わりかな?
たまには顔出してよ、ちょっと大人になった裕を見たいじゃない』
変わらない笑顔で肩を叩いてきた
『そういう軽さで来る所じゃないだろが』
『そうかもね。でもねお見舞いに来てくれるひとはいいの軽い気持ちで
色々な人が頑張っているけど
だからこそ明るく元気なパワーが、私達のパワーにもなるのよ
お母さんの自慢の息子!みんな会いたがってるから。ほらっ』
背中を押され強引に押し出された
『裕紀…』
軽く同室の人に挨拶して
預かってきた荷物を渡した
『皆さん、彼が新田さんご自慢の裕紀君です。見た目も良いでしょ?』
『カナ姉(ねえ)あのさぁ』
母さんと二人周りの反応に戸惑う俺を見て、笑っていた
顔を出さない罰よ、というかのように楽しんでいるようだ。
俺が来たくない理由のひとつでもある
仕事を済ませカナ姉が出て行くと落ち着きを取り戻し、椅子に座った
父さんと二人だけの生活を色々聞いてきた。心配してというよりも面白がっているようだ
『裕紀には助けられてばっかりだね。いつの間にか料理も上手になって』
『今回は楽だよ。面倒くさい奴が居なくて。父さんの料理食べなくなるし好き嫌いあるし…』
『でも結局は許してくれて…
祐紀にとって、憧れの存在で大好きなお兄ちゃんは、それなりになんでもこなしてしまって。 だから彼女いらないのかな?』
『そんな訳ねぇだろ
そのうち会わせてやるよ』
『あら。そんな娘(こ)居たの?』
顔を覗き込むように身を乗り出す好奇心に満ちた顔
『祐紀も良い出会があったみたいだし。楽しみだな裕紀の彼女に会うの』
彼女が出来たら…だったのに
さりげなくごまかしたが
祐紀に彼女とはビックリだ
同室の同じ盲腸入院で同級生か
『ちゃんと話してる?』
突然現れるたカナ姉にもしかしてと、思う間もなく早速話すと似たようなリアクション。 長い追求になりそうな事を予感させる二人の顔
『…ったくもう分かったよ。
まだいないです。 俺が出会ったら会わせます たぶん…そう言えばいんだろ』
バックを手にしながら話す俺を
顔を見合わせながら笑っている
『正直で宜しい…裕は良い意味でマザコンだからね』
意気なりの言葉に、立ち上がりながらかなりの勢いで椅子を倒したが、体はどうにか踏み留めた
『そうなの裕紀?…お母さんのせいね』
驚いた後かなり業とらしい母親
同室の人に謝りながら元に戻し
『良い意味とか無いだろうが
母さん…嘘くさい』
ニタッと笑うのを溜め息混じりに見た
『大切な人でしょ?』
『それはそうだけど、マザコンとも彼女がいないこととも、関係ないだろうが…
作ろうと思って作るものじゃないと、俺が思ってんだからいいだろ
出会ったらでいいんだ…俺はそう思ってるから
この事に関しては口出ししないこと!…
分かったら返事』
少し真顔で話す俺に釣られるように思わず返事をする二人に
笑うのを抑え
『分かればそれでよし!
じゃー祐のとこ寄って帰るから
お邪魔しました』
一礼して病室を出た。
3階小児科…まだ小児科かよ
独り言を言いながら真っ白な壁の廊下を歩く
消毒液の臭い…薬剤の臭い…
車椅子…松葉杖…
点滴を付けゆっくりと歩く人…
すれ違いながら
追い越しながら
場違いな速さで歩く俺
やっぱりここは苦手な場所だ
小児科が近づくとだいぶ感じがかわり
壁も明るい色で絵や写真
子供達の作品で飾られ、同じような姿でも笑顔と笑い声が…
同じくらい看護師さんの怒っているような声もして
ちょっと救われたような気がした
病人かよと思うほどの祐紀の声に、足を止めて様子を伺っていると
『新田祐紀君のお兄さんですか』
優しい声にドキッとしてしまった『お母さんも入院していらして、お兄さんも色々大変かと思いますが、顔を見せてあげてください。どんな軽い病気でもここに居ると不安なんです
いつもお兄さんの話をして
大好きなんですね
祐紀君頑張ってますよ』
人が居ると眠れないくせに一人だと不安で
自分より弱い人、辛い人がいると空元気出して
後で落ち込んだりする
気を使って我慢する
妙な奴だったっけ
ちょと反省しながら病室へ入った
『兄(にい)ちゃん!』
デカイ声
子供だけでなく全員に振り向かれ
エッ!?硬い笑顔で固まった。
次々と俺の事を話す祐紀
いつもならばうるさいだけなのに父さんと二人静か過ぎる日々
嬉しそうなあいつが愛おしく思えた
『お兄ちゃんなかなかカッコイイじゃん』
『そりゃどうも』
ちょっと生意気そうに俺を見上げ
もしかしてウィンクのつもりなのか
両目で軽く瞬きをする女の子
何処か悪いとこがあるんだよな
不安、寂しさを見せ掛けの明るい元気な姿に隠して居るのか…
『だから言ってんだろ。
見た目もカッコイイって』
自慢げに話す祐紀の回りには小さな子供達が居た
本を読んだり
自分の事、俺の事、多少フィクションをちりばめた話しが受けていたらしい
付き添いのお母さん達にお礼を言われた
ほたる (家族)
今年もまた相変わらずあるんだよな
毎年欠かさず
街中がひとつになり熱くなる
「夏祭り」
一年の内で一番楽しみにしている父親
子供と一緒に、できれば息子と楽しむ事が小さな夢の一つだった
俺の母親
つまりは奥さんである母さんは
身体があまり丈夫ではなく
周囲に心配される中俺を産んだ
待望の子供
しかも男の子…
心配した身体は人一倍丈夫で元気に育だった…が
人混みが苦手な母親に育てられたからか、そんな体質は受け継いだ
分かってはいたのだろうが半強制的に祭りに連れ出された
ただの人混みと訳が違う
知らないオッサン達が威勢良く騒いでいる中に入れられた俺は
泣く事も出来ずヒキツケを起こしたらしい
俺自身は覚えていない
それとも
余りの怖さに封印したのかな
息子を怖がらせてしまって
祭りを嫌いになったらと反省と後悔の父親
そんな姿を見て
一大決心をした母親
それは
父さんの夢を叶えてあげたい
周りの反対を押し切って
『そんな顔しないで、元気を分けて
お母さんなら大丈夫!
裕紀(ひろき)に…お兄ちゃんにお腹の中で会えるの待っているんだもん、会いたいじゃない
お父さんも裕紀も大好きだからずっと一緒にいたいから
だから
そんな顔しないで
裕紀の笑顔のバワーがあればお母さんは大丈夫だから』
マザコンという訳ではなかったが
弟であれ妹であれ
代わりに母さんがいなくなるなら
欲しくはなかった…
周りの様子で5歳だった俺にもどんなに大変な事をしようとしているのか分かっていた
そんなある夜
両親の話し声に気付いた
ゆっくり部屋に近づき
そっとドアを開けた
初めて見る父さんの涙だった…
その時の母さんは
大きくて逞しさを感じ
そして
涙が溢れながらも笑顔で
父さんを説得する姿が
絵本に出てくる女神のように見えた
俺のことに気付くと
笑顔を一層、輝かし手招きした
近づくと
慌てて涙を拭き
俺を膝の上に座らせた父親
『こんなにも母さんが頑固だったなんて、初めて知ったよ
裕紀
母さんを信じて応援してやろうな
誰に何を言われようと
父さんと裕紀は味方で助けてやろうな』
『頼もしい応援団ね』
優しい笑顔だった
そして俺の顔を真っ直ぐに見つめ
『裕紀…あなたは、あなたでいてね』
『お前は優しく、強い子だ
人には苦手な物があってもいいんだからな』
『裕紀が人混み苦手なのはお母さんが苦手で連れ出さなかったから。大きくなる頃には大丈夫になるから
お母さんの決めた事で裕紀が自分が悪い子だからって気にすることが心配なの』
『大丈夫だよな。今のままの裕紀が父さんも母さんも
大好きなんだからな』
たかが5歳だったけど自分を責めていたような気がする
俺が一緒に父さんとお祭りを楽しめれば…
両親の想いで救われたんだよな
母さんの言う通りで
人混みが苦手なとこは成長と共に改善されつつある
その時から父さんさんは色んな人に責められる日々だった
母さんの強い想いが、揺るがない心の支えにして
一番心配し不安なはずの母さんを、それ以上に想っている父さんは全て隠し支えた
もちろん俺も
笑顔に隠し支え合った
産まれる頃には
みんなが分かってくれて
まるでお祭りのような盛り上がりの中無事に産まれた
元気な男の子
『祐紀(ゆうき)』
俺と同じで丈夫で元気に育った
そして
俺と違い人混みも、祭り騒ぎも 大好きに育った
母さんの体調は思っていたよりも安定して
一段と賑やかな家になった
成長するごとに
俺の後をついて来て
真似をして
負けず嫌いで泣き虫で
強がるわりに寂しがりやな
面倒の観がいのある奴だ
そんな元気の塊のような祐紀が突然腹が痛いと大騒ぎ
慌てる父親を落ち着かせ運転させ
痛がる弟を抱き抱え
動揺する母親を支えながら
病院へ…
祐紀、10歳の秋
何て言うことはない虫垂炎
盲腸だ
痛かったはずなのに、性格が災いして悪化…覚悟をする暇もなく即、手術
ホッとしたのか
体調を崩した母さんも入院した
半年に一度一週程の検査入院はしているのが
ちょっと早めたくらいのものだ
そこで祐紀は
小さな恋の出会いがあった
そして
その出会いが
俺の運命を変えることになる
毎年欠かさず
街中がひとつになり熱くなる
「夏祭り」
一年の内で一番楽しみにしている父親
子供と一緒に、できれば息子と楽しむ事が小さな夢の一つだった
俺の母親
つまりは奥さんである母さんは
身体があまり丈夫ではなく
周囲に心配される中俺を産んだ
待望の子供
しかも男の子…
心配した身体は人一倍丈夫で元気に育だった…が
人混みが苦手な母親に育てられたからか、そんな体質は受け継いだ
分かってはいたのだろうが半強制的に祭りに連れ出された
ただの人混みと訳が違う
知らないオッサン達が威勢良く騒いでいる中に入れられた俺は
泣く事も出来ずヒキツケを起こしたらしい
俺自身は覚えていない
それとも
余りの怖さに封印したのかな
息子を怖がらせてしまって
祭りを嫌いになったらと反省と後悔の父親
そんな姿を見て
一大決心をした母親
それは
父さんの夢を叶えてあげたい
周りの反対を押し切って
『そんな顔しないで、元気を分けて
お母さんなら大丈夫!
裕紀(ひろき)に…お兄ちゃんにお腹の中で会えるの待っているんだもん、会いたいじゃない
お父さんも裕紀も大好きだからずっと一緒にいたいから
だから
そんな顔しないで
裕紀の笑顔のバワーがあればお母さんは大丈夫だから』
マザコンという訳ではなかったが
弟であれ妹であれ
代わりに母さんがいなくなるなら
欲しくはなかった…
周りの様子で5歳だった俺にもどんなに大変な事をしようとしているのか分かっていた
そんなある夜
両親の話し声に気付いた
ゆっくり部屋に近づき
そっとドアを開けた
初めて見る父さんの涙だった…
その時の母さんは
大きくて逞しさを感じ
そして
涙が溢れながらも笑顔で
父さんを説得する姿が
絵本に出てくる女神のように見えた
俺のことに気付くと
笑顔を一層、輝かし手招きした
近づくと
慌てて涙を拭き
俺を膝の上に座らせた父親
『こんなにも母さんが頑固だったなんて、初めて知ったよ
裕紀
母さんを信じて応援してやろうな
誰に何を言われようと
父さんと裕紀は味方で助けてやろうな』
『頼もしい応援団ね』
優しい笑顔だった
そして俺の顔を真っ直ぐに見つめ
『裕紀…あなたは、あなたでいてね』
『お前は優しく、強い子だ
人には苦手な物があってもいいんだからな』
『裕紀が人混み苦手なのはお母さんが苦手で連れ出さなかったから。大きくなる頃には大丈夫になるから
お母さんの決めた事で裕紀が自分が悪い子だからって気にすることが心配なの』
『大丈夫だよな。今のままの裕紀が父さんも母さんも
大好きなんだからな』
たかが5歳だったけど自分を責めていたような気がする
俺が一緒に父さんとお祭りを楽しめれば…
両親の想いで救われたんだよな
母さんの言う通りで
人混みが苦手なとこは成長と共に改善されつつある
その時から父さんさんは色んな人に責められる日々だった
母さんの強い想いが、揺るがない心の支えにして
一番心配し不安なはずの母さんを、それ以上に想っている父さんは全て隠し支えた
もちろん俺も
笑顔に隠し支え合った
産まれる頃には
みんなが分かってくれて
まるでお祭りのような盛り上がりの中無事に産まれた
元気な男の子
『祐紀(ゆうき)』
俺と同じで丈夫で元気に育った
そして
俺と違い人混みも、祭り騒ぎも 大好きに育った
母さんの体調は思っていたよりも安定して
一段と賑やかな家になった
成長するごとに
俺の後をついて来て
真似をして
負けず嫌いで泣き虫で
強がるわりに寂しがりやな
面倒の観がいのある奴だ
そんな元気の塊のような祐紀が突然腹が痛いと大騒ぎ
慌てる父親を落ち着かせ運転させ
痛がる弟を抱き抱え
動揺する母親を支えながら
病院へ…
祐紀、10歳の秋
何て言うことはない虫垂炎
盲腸だ
痛かったはずなのに、性格が災いして悪化…覚悟をする暇もなく即、手術
ホッとしたのか
体調を崩した母さんも入院した
半年に一度一週程の検査入院はしているのが
ちょっと早めたくらいのものだ
そこで祐紀は
小さな恋の出会いがあった
そして
その出会いが
俺の運命を変えることになる