子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

本会の著作物をご利用される場合は、「子どもヤマビル研究会」の著作物から引用した旨、明示いただくようお願いします。

またも快挙。今度は、ヤマビルの脱皮を動画で撮影に成功。

 

 ヤマビルは脱皮することを実証しました。

 

やっぱりヒルは脱皮する。世界初の実証結果だ。僕たちの粘り勝ちだね。興奮冷めやらず、嬉しさが研究所内あふれていました。

今日の研究会の様子を順を追って説明します。

 

まず、最初は身体測定からです。

1番の瓶を覗いていて産卵しているのを発見(写真中央小石の下側)。

続いて、脱皮した抜け殻を見つけました。(本日は9本採取)

卵の観察をして、重さは0.10gでした。(本日4個採卵)

続いて、ヒルから出てきた糞を確認しました。血の塊のような黒い色をしたものです。今まであまり意識してみていなかったのですが、ヒルもウンチをします。中指についている黒い塊が糞です。掌は糞をしたヒルです。

そのあと、身体測定にかかりました。瓶から取り出して測ろうとしていたら、皮がむけかかっているのに気づきました。

さすがF研究員。早速大声で私を呼びました。急いでカメラの準備をしました。その間、10分ほどですが、どんどん皮がはがれていきました。

中央のくびれの所に皮がしわになっています。頭(左上が頭)の方からお尻の側(右下)にむけて来ています。

3年前から発表会で、この皮がここから剥けて行かないので、体が締まってしまい死亡するというヒルを何匹も見つけたと発表していましたが、ヒルは脱皮しないと片づけられてしまいました。今回は、その部分をしっかりとらえられました。大発見です。

3分ほどの休憩の後、体をグネグネさせピストンのような動きをしました。そして、皮が後ろ吸盤の方に剥けていきました。

そして、最後一瞬でつるっと皮が剥がれました。脱皮です。

後ろ吸盤(左下)のところに皮が集まっています。

見にくいですが、左側中央に脱皮がらの吸盤部分が見えます。

動画は、長尺のためここには掲載できませんが、藤原岳自然科学館の発表会の後、機会を見てユーチューブにアップする予定です。

 

さて、脱皮がなぜそんなに大きな発見なのかということについては、次回にお伝えします。今日は、脱皮の動画が撮れたということを報告します。
 

 

 

 

4年生でヒル研メンバーになった時、落ち着きがなくお銚子乗りだったF研究員。5年の中頃、あることがきっかけで、

これではいけないと気づき自ら大変身を宣言した。

 

彼は、先輩のお手伝いをしながらヒルをしっかり観察していた。毎回大した変化のないヒルの飼育瓶を眺めていた。

F研究員は、Y研究員が鶏から吸血させ産卵させる実験のお手伝いをしていた。そして産卵までヒルを飼育する世話係をしていた。

 

ある日、飼育瓶の中に一本の白い糸のようなものがあるのを見つけた。何だろうと思ってピンセットでつまんでみたが、特に何も考えずにそっと戻しておいた。それがやがて大きな発見につながるとは、思ってもいなかった。

 

昨年の発表会で、この糸のようなものはヒルの脱皮の抜け殻ではないかと発表した。未だ沢山その資料がなく、環形動物は脱皮しないと審査員の先生から指摘を受けた。

それならあの糸は何や。彼の中には、あの正体を突き止めてやろうという強い思いが芽生えた。

 

5年生の彼なら、そういう思いだけで掛け声倒れしてしまうところだったが、今年の彼は違っている。この研究に打ち込むようになりその集中力は素晴らしいものになってきた。1時間半以上、黙々とヒルの身体測定を続けている。ふにゃふにゃ動き回るヒルの身長と体重を40匹以上計測するのは並たいていのことではない。調子に乗ってふざけている訳にはいかない。

まず、脱皮を発見して資料とした。

新入りのE研究員にヒルの体重測定を手伝ったもらい、いろいろヒルの話を伝授している。

今回は、卵も1個産まれていて、これもE研究員の担当にしていた。この配慮の仕方も、先輩らしくなってきた。

身長を測るのはちょっとしたコツがあり手加減で差が出るので、F研究員が一人でこなす。

そして、E研究員に脱皮の皮の探し方を教えて、その仕事を分担していた。別に私が指示したのではなく、二人で仲良く観察している中でF研究員が考え出したものだ。

今日も、こんなに沢山脱皮の抜け殻がとれた。

 

E研究員に「一つ一つは大した意味もないことだけど、これがずっと続くとすごい発見になったりする」と言いながら、身体測定をする意味を説いていた。まだ、E研究員にはピンと来てないようだが、やがて分かるときが来るだろう。

 

E研究員は、あまり意味の分からないことより生き物を捕まえる方が向いているようだ。今日も、14時ころからヒルに吸血させるためのカエルとりに出かけることにした。大きなトノサマガエルが欲しいのだけど、なかなか見つからない。見つけても逃げられてしまう。本日の収穫はゼロ、また来週ね。

 

ふと気が付くと、研究所の庭のアセビの木にクモが巣を張っていた。その張り方がとても珍しくきれいだった。さすがの生き物博士のE研究員も今まで見たことがないと言っていた。全体を覆うように蜘蛛の糸が張り巡らされていた。

第1日はここまでで、E研究員は帰宅した。

 

翌日は、朝から大変な仕事が待っていた。今まで沢山とったデータを一度整理してみることにしていたからだ。

代表選手になるヒルのデータを取り出して、これを聞いてくださるかたにどのように示したらわかりやすく見てもらえるかを考えてグラフを使って書いてみた。二度書き直して何とか今日のところは合格というものが出来た。

並べただけで、凄い気づきが見つかる。研究発表までにこのほかのデータも重ね合わせて、考えをまとめていくことになるだろう。

一日一日のデータは、特に何も意味はない。しかし、これを5週間7週間と集めて並べると、その変化が見えてくる。これが研究結果なのだ、このグラフを書くのも、おやつタイムを無視して午前中3時間半、午後2時間集中して作っていた。あの、おちょけていた昨年までとは別人のようだ。この力は一朝一夕に身につくものではない。彼が1年前に決意した変身の成果なのだ。

どんなまとめ方をするのかが楽しみである。

その最中に秦野市のKさんからメールが入った。秦野市のヒルのイベントの報告だった。

F研究員のことも書かれていたので、読ませてやった。彼は、直ぐ返事書いてもいいというので許可をした。10分ほどで書けたので送ってもいいかというので、一通り目を通すことにした。

その文章を見てまたまた驚いた。今まで見たことのないような素敵な文章だった。Fは成長したなあとつくづく思った。褒めた。

 

Fはヒルの成長の研究をしているのだが、本人も確実に成長している。すばらしい。ウインウインの関係で成長できるなんて羨ましいね。

来年はE研究員も、このような姿になることでしょう。しっかりサポートしていこう。

 

 

 

 

姓はフライド 名はチキン。研究員は、チキンちゃんと呼んでいました。

本当にお疲れさまでした。この凛々しい姿の鶏さん。

本日午前中で任務をすべて終了して、お返しに上がることになっています。

 

とあるところから借用し約2か月、研究員の研究に資するために献身的に献血をしてくれました。おおよそ、100匹の大きいヒルに食べ物を供給してくれました。ありがとうございました。

おかげでその成果は上がっています。ヤマビルの産卵も、現在進行中ですが既に6個とれています。幼生も中で動いているようです。ありがとう。

この献血台や飼育ケースなどは、知り合いの猟師さんのご協力で10年前に作っていただき、毎年改良され現在に至っています。もう、10年以上利用させてもらっていることになります。来年も多分借りに来ますのでよろしくお願いします。と研究員はたのんでいました。

別れ際、再度チキンちゃんの所に行き声を掛けていました。F研究員の優しさですね。

 

さて、本日の研究会は、前回までに吸血させたヒルの継続観察です。

① 瓶の中に脱皮した皮がないか探す。

見つけたら、ピンセットでつまみ出し黒い板の上に出して標本として、その様子を記録する。

今までに採れた脱皮の抜け殻です。保管に失敗して5個紛失しました。

これが済むと、次は身体測定です。体重と身長を測ります。

それを記録すると元の瓶に戻し、また来週ということの繰り返しです。瓶は、毎週6瓶程度増えていきますので、40瓶以上あります。時々、死亡するヒルがいます。もう、6/30で新しいセットは作らないことになりましたので、この数はこれ以上増えません。

ここの資料までが、この鶏が提供してくれた献血の成果です。

 

折角だからと新会員のE研究員がいろいろ気になる所を調べています。

先輩のやるのを手伝いながら、自分なりの新しい気づきを見つけられたら素晴らしいです。

 

研究員の食糧を確保している畑のキャベツを朝見に行くと、交接中のかたつむりを発見しました。

そのまま、研究室に持ちかえり観察しようと思います。

このかたつむりは、雌雄同体で両方から遣りのようなパイプを出して相手の身体に突き刺して交接するという壮絶な性行為をします。いま、その最中です。その様な激痛(?)に耐えて繋がったのですから簡単に離れることは出来ません。畑から連れて帰って1時間以上このままです。スゴイです。

 

ヤマビルも雌雄同体なので、この様子はとても参考になります。

 

 



 

6月30日日曜日。今年も既に半年たってしまいました。

5月11日に吸血を開始してから本日まで、沢山のヒルに吸血させて、実験サンプルを作ってきました。40組を目標に取り組んできましたが、幾多のトラブルに見舞われ30組しか出来ていませんが、やり直しの効かない研究なので今日で第1段階終了となります。この実験サンプルは本当に貴重品です。
 

トラブルは、吸血中に鶏に食べられたり、羽の中のどこかに潜り込まれて発見出来ずに行方不明で処理したもの。吸血中に鶏の体熱で乾燥して死亡したもの、測定中に脱走して行方をくらませたもの(数日後干物状態で見つかります)など様々です。

でも、今年は吸血させたものが血を吐いて死亡する事故はなくなりました。

 

6月に入ってからは、今までやってない方法に切り替えて飼育観察を始めました。そのせいで飼育瓶がたくさん必要になり、今までいろいろな所からいただいたものを全部使ってサンプルケースにしています。

そのケースも番号をつけて、厳重に管理しています。

 

今年は諸般の事情で毎回研究会に参加できるのはF研究員だけで、一人でとんでもない量の観察記録をとっています。毎週各ヒルの身体計測をして記録し毎週新しいサンプルが作られるので、今では3時間以上集中して実験観察しています。

時々、ふと気が緩んだ時ヒルの脱走を許し精密天秤の皿の下逃げ込まれたりして探すのに余分な時間が要ります。行方不明になることもあります。貴重なデータがここで途切れてしまうので反省しきりです。

 

この研究は、5月当初はヒルは脱皮するかどうかの研究のサンプル集めをしていました。

しかし、1カ月たったころ脱皮の皮も何枚か採取できていろいろ話しあっている中で、過去には吸血後しばらくして血を吐いて死んだり、体の真ん中付近を締め付けられたようにして死んでいくヒルを見てきたが、吸血時間を短くするとそのような死に方をするヒルがいなくなることに気づいたのです。

 

それで吸血時間を1〜1.5時間に短縮すると死ななくなり、それでも産卵はするし脱皮もします。

中央の糸状のものが脱皮した皮です。

6月からはこの方法に変更して吸血させて観察しています。

今日は、産卵があり4個の卵嚢が手に入りました。このうち2個は、先週も産卵を確認しています。

この卵嚢から幼生が出てくる瞬間とその後の様子を動画で撮ろうとカメラをセットしています。

 

折角たくさんの雨が降ったので、ヒルの出現調査に再度山を見に行くことにしました。

麓では結構降ったのに山はそれほど沢山降った形跡はありません。谷筋には水が流れた跡はあります。

向かって左側の斜面で獣道の下りてきたところを探すと大きめのヒルが見つかります。

途中谷川が流れ出ているところに行くと、道も湿っていて水が流れた跡があります。ここは、昔ほどはいませんが大きいものをかなりゲットしました。

流れの跡を調べると、腐葉土や落ち葉がたまっている所にヒルはいます。

この林道のカーブしている下に駐車場があます。5年前にT研究員の考察で、山の上から林道を水とともに流れてきたヒルは、最終この下の駐車場に溜まると考えました。調べてみるとヒルはちゃんといました。それでこの場所を今日も調べてみると、いるいるかなりたくさんの大きいヒルが見つかりました。先週は一匹もいなかったのに、タクシのヒル捕り場は健在です。

 

梅雨の大雨を利用して、ヒルの山での拡がり方を調べ発表してきました。今日も、その確認に出掛けたのです。T先輩の考えは合っています。シカが走り回らなくても、ヒルはちゃんと拡がります。

 

今回(第14〜15回)の研究会は無茶苦茶密度が高く、休憩時間もほとんどとれずに集中した実験観察。入浴時間は22時を回っていてベッドインは23時30分でした。こんなことはヒルが落ちてこないを実証研究していた時以来のことです。宿題タイムもとれなくて、2日目の昼食後大急ぎで仕上げました

充実した研究会でしたが、疲れました。子ども達よく頑張ったね。お疲れさん。

 

7月から吸血実験は終了して、第二ステージに進みます。実験方法にミスがでると、すべてが無駄に終わります。緊張が続きます。
 

 

 




 

[その1]

 落花生の思い入れ

 昨年、秦野市で交流研究会を実施した時、おやつにいただいた「うでぴー」がとってもおいしく、とくにF研究員が独り占めしたエピソードがあります。

それでは、今年は研究所食料を作っている畑で、ピーナッツに挑戦しようと5月初めから準備していました。みんなで種まきもしました。

ネットで下調べをして、栽培開始となりました。

落花生は発芽率が悪いので播種前に水やぬるま湯につけた方が良いとか、豆類は水をやりすぎると種が腐るので水に浸してはいけないとかいろいろ書いてあるので、種を3つに分けていろいろ試してみました。

6月1日水には浸けずに蒔いたものは、発芽率50%で現在こんなものになっています。今週のお天気を見て畑に移植予定です。

一番先に芽を出したのが

沢山実を付けてほしいですね。カラスにやられずに第1段階は成功です。ハイ。

10日後に、ぬるま湯につけて発芽を試みました。こんな感じです。発芽率60%です。

落花生の発芽は、普通のマメ科とはちょっと違うんですね。初めて知りました。

普通は、豆の本体は緑色の双葉になって出て来るのですが、落花生は皮をかぶったまま開いて玉手箱の様なものをつくり、その中から本葉が出てくるのです。ちょっとびっくりです。

最後に残っていた種を昨日まきました。

 

[その2]

ヒル研の食料畑で、今、キャベツが大きく育っていますが、今朝たくさんのカタツムリが集まって葉を食べていました。たくさんの穴をあけていました。それで、数個とって献血の仕事をしてくれている鶏にあげることにしました。そうしたら、次のような場面に出会いました。

 

カタツムリの種の保存の営みです。急いでカメラを取りに戻って撮りました。

こんな感じなんですね。いつ産卵するのでしょう。ケースに入れて観察しようかな。

 

1時間後にケースを持って捕りにいったら、もういませんでした。残念。