以前にも紹介したことがありますが、「進撃の巨人」解説YouTuberのタキチャンネルさんが、サブチャンネルで開催してくれている、ライブ雑談会によく参加しています。

 

 

「進撃の巨人」を構造的に読み解こう!という、文学概論みたいなこともやりましたw

おそらく、進撃ファンでも食いつく人は少ない内容。

でも、面白いんですよ~

新たな気付きもあったので発表します。


わたくし、「パラディ島内紛編」は、正直、ハンジ&アルミンの頭脳性がほぼ無いことが物足りなかったです。

でも、これは意図的な演出なのかも?

 

パラディ島内紛編:レベリオ帰還後から地鳴らし発動までのパートを指します。

 

以前から不思議に思ってたんですが、ジークからヒストリアに子供を産ませろと要求されたとき

私なら、お前が子供を作れ!と要求する。

だって、ヒストリアに子供を産ませるより、嫌な言い方ですがジークが子供を作る方が効率がいいでしょう?

パラディ島から、この要求が挙がるのは自然なのに、諌山先生は、なぜ描かなかったんだろう?

 

進撃の巨人を9つのパートとエピローグに分けて、各パートの役割を考えたときに初めて見えてきたことがあります。

以下のパートに分けて考えました。

 

1章:壁内世界編(ダークファンタジー) 
 1部:超大型巨人来襲1回目からトルスト区防衛戦  

 2部:女型戦  

 3部:獣の巨人登場   

 4部:王政編   

 5部:ウォールマリア最終奪還作戦  

 6部:世界の真実  

2章:マーレ編(現実世界へ:戦争もの) 
 1部:レベリオ強襲まで  

 2部:パラディ島内紛編  

 3部:地均し発動後の最終決戦  

エピローグ 
 ・戦後の世界と主要キャラのその後 
 ・遠い未来 

全体としては、叙事詩という印象。

 

「パラディ島内紛編」は、王政編に似ているように見せて、

王政編では、拷問やヒストリアをつるし上げるなどの暴力的な手段を使っても死に物狂いで戦ったのに、マーレ編では、島の発展と世界との対話で、平和的に問題を解決しようとして徹底的に敗北する調査兵団を描いた。

あの絶望的な状況でも、理想論を捨てれば、微かな打開策はあったと思います。

少なくとも、全面的な地鳴らしを阻止する方法はあった。

これ、諌山先生が意図して描いた展開なのでは?

 

兵長が森で、すぐにエレンを喰わせようとしていると気付いたのも、ハンジさんと事前にその可能性を話したことがあったからかもしれない。

基本的に組織のルールには従う兵長が、兵団の意思は「エレンから力を奪う」だと、気づいた上で、その命令を拒むとしたら、ハンジさんが同意してないと気付いたからではないでしょうか?

ハンジさんがエレンから力を奪う覚悟を決めたなら、兵長に協力を求めるはず。

覚悟を決めたら合図はこれ!って約束があったのでは?

例えば、伝令にはミカサを立てるとか。

そうじゃなかったから、従わなかった。

兵長が簡単にピクシス司令の命令を無視したのは、やや不自然なので。
「パラディ島内紛編」は、理想主義者が完全敗北する姿を描くことが目的だったような気がする。

 

エルヴィンとは違い、仲間であるエレンを捨て駒にできないハンジ率いる調査兵団が完全敗北する姿を描き、現実を突きつける。

それでも尚「おめでたい理想の世界」を求めてあがくラストの天と地の戦いの武力戦が展開を盛り上げた印象です。
力がなければ理想は実現できないという非情な現実

 

私はハンジさんを「切り捨てられない人物」として描かれたと思っています。

「何かを変えるためには、大切な何かを捨てなきゃいけない」のも確かだけれど、「捨ててはいけないもの」も確実にありますよね。

絶対的な「正義」も「悪」も描かず、「被害者」と「加害者」がひっくり返る世界を描いた諌山先生は

「捨てられない人物」も描きたかったんじゃないでしょうか。