築30年を超え古くなった自宅を
① リフォームするか?
② 建て替えるか?
こういう相談多いですね。迷ったとき、まずは自宅の『耐震強度』を知ってから検討しましょう。
そりゃ費用を掛ければ、リフォームで見た目を新築同然にすることは簡単ですよ。
だけど、骨組みが古くて地震には到底耐えられない家に、
大金を掛けてお化粧するのはとても勿体ないと思います。
何百万円~壱千万円以上もの貯金を切り崩し、奇麗になった自宅が、その直後大地震に見舞われることを想像したら…
実は、私が経験した震度7の直下地震(阪神大震災のとき)のときは、
こういう家が軒並み倒壊しました。
当時、私の住んでいた家も築4年という比較的新しい木造戸建でしたが、
母に聞くと役所の判定で「全壊」に認定されてしまったそうです。
私の小学4~5年生に掛けての記憶は、まさに震災一色です。
小4での1月17日の激震以降、しばらく余震が続き、通っていた学校の体育館は避難場所になり、
毎日遊んでいた公園の広場には、地震で住宅を失った方々のため、仮設住宅が建設されました。
余震もようやく落ち着いた頃、わが家は大規模なリフォーム工事に入りました。
毎日、夕方過ぎに学校から帰ると真っ暗な家の中は、
一階の居間や台所の壁と床は全部剥がされ、土台や基礎はむき出し、照明器具も取り外され、
工事用のランプが2つか3つ、オレンジ色に光を放っていました。
「この工事いつか終わりがあるのか?」と思うくらい、長いあいだ掛かったように感じました。
聞かないですけど、今考えるとありゃ…結構お金掛かったんじゃないかと思います。
皆さん覚えておいてください 築4年 の家でその状態ですからね。
だから、古い家を見た目だけ奇麗にリフォームしたって
もし命は助かっても、経済損失はかなり大きなものになるでしょうね。
大切な資金を無駄金にすることがないよう、まずは自宅の耐震強度を知り
「ここにあと何年住み続けるのか?」をしっかり考えてください。
ちなみに現在、建築基準法で定める耐震基準を「新・耐震基準」と言います。
ご存知の方も多いと思いますが、この設計基準は
昭和56年に制定されました。
それまでの住宅の耐震性能があまりに脆弱なものであったため、
建築基準の抜本的な見直しが行われました。だから “新”耐震基準 なのです。
私が以前、不動産部にいた頃も「昭和56年以降の物件を紹介してほしい」と、
お客さんによく言われたものです。
マイホーム選びで耐震を判断する際、多くの方が意識している基準ではないでしょうか?
しかし、この判断には一つ大きな誤解があります。
昭和56年当時の新・耐震基準と、
現在の新・耐震基準が、
同じではないということはあまり知られていません。
実は、昭和56年~平成12年の20年間は「空白の20年」と言われます。
これは、車のモデルチェンジのようなものです。
昭和56年にフルモデルチェンジで大改革を発表して以降、
実は隠れた問題や不満が見つかった箇所を、ちょこちょこ20年間かけてマイナーチェンジしたのです。
そしてようやく、現在の新・耐震基準が完成しました。
だから、正確には平成12年(2000年)より前の住宅には耐震に不安があると考えた方が懸命です。
日本木造住宅耐震補強事業者共同組合(木耐協)の発表した資料にこんなことが書いてあります。
「新耐震建物の83%が耐震に問題あり」←クリック!
あちゃちゃ。ちなみに、新耐震基準だって…
地震がきても大丈夫!って基準ではありませんからね。
「震度6~7以上の地震が発生しても、
即座に崩壊しないこと」
う、うーん…。かなり曖昧な表現。じゃあ、その基準も満たさない昭和56年より前の住宅ってどうなの?
・・・・。今、日本の戸建ての持家数は、およそ2700万戸です。
そのうち、昭和56年より前に建てられた家が、その3分の1以上の
1120万戸 だそうです。
あと何年住むのか? その間、大地震が来たときのための備えはやりきったか?僕は26歳までに2度、被災しました。
この計算だと、80まで生きるとしてあと4、5回被災します。
まぁそれは半分冗談ですが、
家に関わる仕事をしているとやっぱり思うところがあります。
一日の半分以上を、家族の誰かが過ごすマイホーム。
僕の場合、最初は神戸。
次の被災は、浦安。
そこに居合せない人には、本当の意味での地震の瞬間の怖さを知ることはありません。
激しい縦揺れによって身体が持ち上げられ、畳に背中を何度も叩き付けられ、
テレビ・タンス・本棚・瓦・マンションの一階部分…と自分のまわりで次々に物が倒れ、破壊されます。
液状化によって、フェンスは倒れ、家は傾き、地面から土砂が吹き上げ、道路は波打ち、車は土に埋まり、電柱が沈み込み、電線が目の前にぶら下がる。
地震を他人事とするのではなく、明日は我が身に襲いかかる
…かもしれないな、と肝に銘じて備えるべきではないかと実感しています。