脚本は阿井文瓶。監督は山本正孝。特撮監督は矢島信男。今回は「狐がくれた子」という話をモチーフにしているそうですが、私はこの話を知りません。


下町のある神社でトオル、カオル、百子はウリー(清水啓司)という男の子と知り合いました。彼は不思議な術を使って暴れました。念動力で神社の灯籠や鳥居も動かしてしまいます。その事件を察知したダンとゲンは出動し、ウリーと遭遇しました。トオルからウリーが宇宙人かもしれないと聞いたダンはウリーを追跡しました。ダンのうしろで「中央区子供の遊び場」という文字がかかれたものが浮いていたので、中央区でロケーションをしたのでしょう。ウリーが念動力を使って暴れるのでダンもウルトラ念力で対抗しました。ウリーよりもダンの方が力は上でした。そしてダンは下町(おそらく佃か月島のあたり)の長屋で思わぬ人物(ひし見ゆり子)と出会いました。


ダン「アンヌ!」


少年が「ママ」と呼ぶ女性はウルトラ警備隊のアンヌとそっくりでした。ここでウルトラセブン最終回でダンが自分の正体をアンヌに告げる場面が流れますが、BGMはウルトラセブンのものを使ってはいるもののなぜかオリジナルとは別物の牧歌的なものです。微妙に合っていないのでここはオリジナルと合わせるか別の曲を使ってほしかったなあと思います。


ここで場面がセピア調に変わりました。ダンは河原の葦が茂るところで女性と会っていました。ダンは「君はアンヌなんだろ」と聞きましたが、女性は答えず、ウリーを呼びました。やってきたウリーは女性に甘えました。ダンは「その子は宇宙人なんだ。君も宇宙人なのか。」と尋ねましたが、女性はウリーと一緒に去ってしまいました。


ダンがいろいろ夢想していると、ゲンがやってきて被害の状況を報告しました。しかし、ダンは上の空。


ダン「しかし、なぜアンヌが…」


ゲンが怪訝に思って聞き返したので我に返ったダンは「なんでもないんだ」と言って誤魔化しました。


MACステーションでもダンは物思いにふけっていました。そして意を決して出て行きました。ダンはスーツに着替えて女性のところへ行ったのです。ダンは女性に言いました。


ダン「また地球に住むことになって、まず君を訪ねた。しかし、君はいなかった。誰も君の行方を知らなかった。あちこち探したよ。必ずどこかに元気でいてくれるに違いないと思って。会えてよかった。アンヌ。」


しかし、ダンの思いとはうらはらに女性はダンと目を合わせようともしませんでした。そして言いました。


女性「あたしは、アンヌじゃありません。」

ダン「しかし。」


ここで女性は振り返って言いました。


女性「アンヌじゃないんです。」


女性は立ち去ろうとしました。そこへゲンからの通信が。ウリーのせいで異常事態が発生しているというのです。その通信は女性にも聞こえ、思わず女性は立ち止まりました。不安な表情の女性を見てダンは言いました。


ダン「大丈夫だ。私に任せておけ。」


CMがあけるとウリーが遊園地で遊んでいる様子が映ります。しかし、ただの遊びではありません。観覧車は宙に浮き、ウリーはジェットコースターに乗りこんで、勝手に動かしています。ウリーに発砲しようとした MAC の隊員をダンは止めました。


ダン「相手は子供じゃないか!」

ゲン「違います。相手は宇宙人です。」

ダン「違う。俺の知り合いの人の子供だ。」


今回のダンは私情が入りまくりです。まるでゲンと立ち位置が逆になったかのようです。ゲン達はそのことを知りませんが、深く愛した人が絡んだ事件ですから、仕方のないことかもしれません。ウリーはジェットコースターに飽きたのか、今度はジェットコースターを念力で破壊しました。それを見てゲンは発砲しようとしましたが、ダンは止めました。


ダン「俺がやる。」


女性も駆けつけました。それでもウリーは念力を使い続けます。


ダン「こら。いたずらはいい加減にしなさい。」

女性「ウリー、いけません。」


ゲンは女性に尋ねました。


ゲン「あなたですね。隊長の知り合いというのは。」


女性は何も答えませんでした。河原でウリーとダンは念力で勝負。今度はダンにも疲労の色が濃くなってきました。倒れそうになったダンを見かねたゲンはついに発砲してしまいましたが、弾はウリーをかばったダンに当たってしまいました。


ゲン「隊長、すいません。隊長、僕は…」

ダン「いいんだ。あの子は?」


これを見た女性はついに今までのことを話しました。


女性「あたしの子じゃないんです。宇宙人の捨て子なんです。みんながあの子を育てることに反対しました。でも、とってもいたずらな子だけど、あたし、ほっておけなかったんです。」

ダン「やっぱり、君は…」

女性「アンヌじゃありません。隊長さん、あたしはあの子をあなたのような立派な人に育てたいと思っていたんです。


しかし、ウリーの念力は女性に被害をもたらしました。そしてウリーは巨大化し、ウリンガに変貌。ゲンはウルトラマンレオに変身しました。初めの方こそ念力で善戦したウリンガでしたが、所詮はレオの敵ではありません。パラボラアンテナでウリンガの念力を跳ね返して形勢逆転。ウルトラマントでウリンガをウリーに戻し、ウリーを宇宙に返すことにしました。ウリーが「ママー」と叫びながら女性のところへ駆け寄る場面では「ノンマルトの死者」でも使われた曲が流れます。女性はウリーと一緒に宇宙へ去ることを決意しました。気がついたダンは何度も「アンヌ」と叫びましたが、ウリーと女性はレオの手に乗り、宇宙へ去って行きました。ダンにはそれを見送ることしかできなかったのです。ナレーションがこう締めくくります。


ナレーター「あれはアンヌだったのか、それもと別人だったのか。永久に確かめる術はなくなってしまった。どこまでも晴れ上がった美しい秋空の中を二人を手にしたウルトラマンレオが行く。」


脚本では女性の正体はやはりアンヌで、ちゃんと名乗っていたそうです。なぜこのような形にしたのかは知りません。私は脚本通り名乗ってもよかったのではないかと思います。


この話が放送されてから9年と半年後、「ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦」が日本テレビで放送されました。この作品でアンヌはウルトラセブンと再会しました。アンヌは息子に「ダン」と名づけているというのが泣かせてくれました。アンヌだけではなくてフルハシも登場し、やはりセブンと再会しました。ピット星人に倒されて倒れているセブンを見て、フルハシが「地球のためにボロボロになって、ダン、おまえは馬鹿野郎だ。」と叫ぶ場面は感動しました。このような旧作を尊重した作りは当時は研究者の間で普及していたインターネット上でも話題になりました。しかし、残念ながら完璧ではありませんでした。アンヌはセブンに話しかける時、「セブン」と呼んだのです。もともと脚本では「ダン」と呼びかけることになっていましたが、ひし見さんの意見で撮影現場で「セブン」に変更したのです。ここは「ダン」のままにしてほしかった。後でひし見さんはファンにがっかりしたと言われ、反省したそうです。


今回は阿井文瓶が脚本を書きました。私は田口成光よりは阿井文瓶の方が若干力が上だったのではないかと思っています。実際、ロンの話やノーバの話は佳作になっています。ただ、前にも述べたとおり、それまでのシリーズに参加した作家陣(金城哲夫、千束北男、藤川桂介、佐々木守、山浦弘靖、山田正弘、南川竜、上原正三、市川森一、若槻文三、小山内美江子など)や師匠の石堂淑朗に比べると数段落ちることは否めないと思います。


また今回演出した山本正孝はウルトラセブンの時は助監督でした。ウルトラセブンへのこだわりはその時の経験から来ているのかなあと思います。

昨日のヤッターマン第27話の視聴率?が判明しました。7.7%で先週の8.8%よりも減少しました。内容の方は相変わらずの酷さ。お笑い芸人のエド・はるみを出しても「グー」とはならなかったようです。マニアは「ヤッターよこづなが出た」と喜んでいましたが、一般人は注目しなかったのでしょう。ちなみに私は旧作ではヤッターワンが一番好きでした。旧作でヤッターペリカンが出た時はヤッターワンの出番が激減したのでがっかりしました。にもかかわらず、ヤッターワンが大破した回は夕食の時間と重なって肝心な場面を見ることができませんでした。食堂にはテレビがなかったからです。夕食が終わってテレビをつけたら、ヤッターワンが大破していたので「え!」と思いました。


「名探偵コナン」の数字がわからないので何とも言えませんが、「ヤッターマン」単独ではかなり下がったのではないでしょうか。脚本を書いた武上純希の師匠の藤川桂介さんに御感想を伺いたいです。この制作体制だったら、藤川さんなら降りてしまっているでしょう。なにしろ、藤川さんは「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」で活躍したものの、橋本洋二プロデューサーの方針にはついていけないという理由で第二期ウルトラシリーズには参加せず、「ミラーマン」に参加したものの、こちらもドラマ重視の方針にはついていけないと言って途中で降板。さらには日本のアニメ界や特撮界の現状に絶望して「宇宙皇子」を書いたという人ですから。先週紹介した話はまた聞きなのですが、藤川さんなら言いそうなことだと思いました。藤川さんは決して無能な人ではありません。「宇宙戦艦ヤマト」や「マジンガーZ」などを手掛けた実績がそれを物語っています。


ところで、来週は小林幸子と美川憲一が出るそうです。なんでも紅白歌合戦が近いということなので二人を起用したらしいです。でも子供が紅白歌合戦なんて見るんでしょうかねえ。紅白自体も視聴率が下がっていますからねえ。もっと子供になじみのある人を起用すべきだと思います。これでは子供が楽しめないでしょう。子供に媚びるのはよくないですが、かといって子供を無視した作りはよくないと思います。


ところで、私は親の教育方針で夜9時には寝かせられていましたので、小学生の時は紅白歌合戦は見たことがありませんでした。実を言うと高校生になっても11時には寝ていたので、大学受験の時も深夜まで勉強したことがありません。高校時代で深夜まで起きたのはたったの二回で、いずれも物理のレポートを書いた時でした。そして二回ともTBSラジオのコサキンを聞いた記憶があるので、なぜか水曜日しか深夜まで起きたことがなかったです。その時は関根勤の意味ねえ替え歌で名曲「有川」(「神田川」の替え歌で放送作家の有川周一のことを歌ったもの)が流れていました。余談ついでに書いてしまいますが、小学校時代の友人は「ビートたけしのオールナイトニッポン」を聞いていましたが、彼は放送に備えて木曜日の夕方は何時間か寝ていたそうです。いずれにしろ、私が子供の頃は夜更かしはしなかったですし、周りもそういう人は少なかったです。


最後に諏訪プロデューサーの総括 を載せておきましょう。


それにしても11月、12月の今クール「ヤッターマン」は面白く楽しくかなり暴れましたねえ。本当に大勢のゲストの方々に作品を盛り上げていただき、改めてその方々の実力に感動しますとともに、作画チームや声優チームはじめヤッターマンスタッフ全員が作り上げている「ヤッターマン」そのものの懐の深さというか、器の大きさとでも言いましょうか、その本質に驚きます。素直にこの作品に携われていることに感謝いたします。

もはや何も言う気がしません。本気でそう思っているのだとしたら、今後もあのようなトホホな作りは続くことでしょう。

脚本は若槻文三。監督は山本正孝。特撮監督は矢島信男。今回のモチーフは浦島太郎です。


正体不明の潜水艇と思われる物体が海上でレーダーから姿を消しました。


さてトオルとカオルが海辺で釣りをしていてヒゲの船長(岡田英次)と知りあいました。しばらくして、村人達(上田忠好、阿藤快など)が集団で星人の子供をいじめ始めました。ところで村人の一人(上田忠好)は「化物だ。殺しちまえ、殺しちまえ、殺しちまえ。」と言っていましたが、自分の顔の方が化物みたいです。そこへヒゲ船長がかけつけ、リンチを止めました。船長はお守りとしているバロック真珠の塊を懐から取り出し、これをやるから許してやれと言いました。なんでも、「二年前、インド洋でハリケーンに遭った時も、このお守りのおかげで助かったんだ。」うーん、残念。インド洋に出るのはサイクロンと言い、ハリケーンとは言いません。それはとにかく、村人は星人の子供を許してやることにしました。


トオルから事件のことを聞いたゲンが村へやってきた頃、船長は星人の子供が海からやってきたことを知りました。船長はゲンの目を盗んで星人の子供を逃がしてやりました。星人はパラダイ星からやってきたのです。


夜。星人の子供は船長に、助けてもらったお礼にいいところへ案内してやる、二時間後に浜辺に来てくれ、と言いました。星人の子供が去った後、ゲンがやってきました。船長から星人の恩返しの話を聞いたゲンは危険だと警告しましたが、船長は人間の方がよっぽど危険だと言いました。そして、不漁続きで船から降りろと言われていることを船長はさびしそうに話しました。船長はよその国で他国の権利を侵して魚をとることが嫌になっていたのです。そこへ村人(阿藤快)がやってきました。星人の子供と似た大きなものに襲われたというのです。


約束の時間。海辺で待っていた船長の目の前にパラダイ星人の円盤が現われました。そして船長は円盤に乗り、海の中を航行しました。星人の女王が船長をもてなしました。星人はバロック真珠を取り返しており、船長に渡しました。


その頃、船長からバロック真珠を受け取った村人A(上田忠好)は真珠が無いと騒いでいました。村人B(阿藤快)が、独り占めにしようとしているのだろう、というと、パラダイ星人二人が登場。二人を襲いました。星人はゲンが現われたので逃げました。カオルは二人が昨日の子供の親だろうと考えました。先ほど村人Bを襲ったのも、彼らだったようです。復讐に来たのかもしれません。村人Aは前の夜に大きなカメのような物が海上に浮かびあがるのを見たとゲンに言いました。ゲンはそれが円盤だということを悟りました。


CMがあけて海岸を調べたゲンは船長のパイプを拾いました。相変わらず船長は歓待を受けていました。料理のおいしさに船長は御満悦。ワインのような飲み物を飲み干しても自動的にグラスが満杯になります。その時、船長はパイプを無くしたことに気がつきました。すると黄金のパイプがテーブルの上に出てきました。


パラダイ星人の女王「でも黄金のパイプでタバコは吸わないでください。」


船長は自分がパラダイ星人の子供を助けたから歓待を受けていることを知りましたが、地球の人間なら誰だって救うさ、と謙遜しました。女王は、地球の人間の中にも子供を殺そうとした者がいる、地球には心の中に悪魔の住んでいる人間もいる、と怒りに燃えていました。


村人Aと村人Bの前に星人が現われ、村人Aを倒してしまいました。村人Bからそのことを聞いたゲン達 MAC の隊員達は村人Aを救いだしました。皮肉なことに、村人Aは家にいる自分の子供を助けてくれとゲンに頼みこみました。ゲンは村人Aが星人の子供を殺そうとしたことを責めると、村人Aはそのことを反省しました。しかし、後の祭りです。二人のパラダイ星人はウルトラマンAで北斗と南がウルトラタッチで変身する時のように空中で回転して合体。キングパラダイになりました。キングパラダイの猛攻に MAC はかないません。あっという間に撃墜されてしまいました。キングパラダイの猛攻を見たゲンはウルトラマンレオに変身。キングパラダイはレオの敵ではなく、レオクロスビームで倒されました。


船長は海へは出ませんでした。そして黄金のパイプを吸ってしまい、老人になってしまいました。しかし、船長はそのことを気にも留めていません。新宿の街でパラダイ星人とのことを子供達に楽しそうに話すのでした。ナレーションがこう締めくくります。


ナレーター「広い世の中には不思議な体験をした人がいるものです。この老人のように。」


日本名作民話シリーズの第三弾となった本作は、ご覧のとおり、子供に媚びたナレーションはありません。浦島太郎を無理なく物語に組み込んでいます。この作り方だったら非難はあまり出なかったと思うのですが。今回の脚本を書いた若槻文三さんと田口成光らとの力量の差でしょう。また今回と次回は大木淳さん同様円谷プロ育ちの山本正孝が演出を担当しています。なお若槻文三さんは大阪でも「部長刑事」を手掛けており、東京と大阪を行ったり来たりしていたそうです。


それにしても、特撮ドラマに岡田英次さんが出るとは思いませんでした。円谷プロの作品では「恐怖劇場アンバランス」と「燃えて生きる」に出ていますが、いずれも「ウルトラマンレオ」とは毛色の違う作品です。私が岡田英次さんと言って思い出す役どころと言えば悪の親玉。水戸黄門 第三部では最終回で鹿児島藩の家老島津左京を演じましたが、彼の悪事の目的は藩政を握ることではなく、倒幕でした。未見ですが、柳沢吉保(山形勲)が雇った伊賀忍の成田三樹夫中野征也とともに御老公の命まで狙いました。悪役ではないものの「高原へいらっしゃい」でも重厚な役を演じています。「太陽にほえろ!」では摘発の過程でテキサスが殉職することになった拳銃密売組織の親玉をふてぶてしく演じました。テキサスの仇をテキサスがかわいがっていた警察犬のジュンとボンがとります。余談ですが、ジュンという名は「太陽にほえろ!」で意図的に使われたもので、マカロニ、ジーパン、テキサスの本名はいずれも「ジュン(早見、柴田、三上)」で、ボンを演じた役者の芸名も「宮内」でした。またスニーカーの本名は「五代目のジュン」ということで「五代潤」になり、ラガーの本名は「淳の二代目」ということで「二」になりました。番組のパワーダウンが目立ったのでこの頃私は見なくなってしまいましたが、たぶん、DJの本名の「太宰」も同様の経緯でつけられたのでしょう。

昨日のヤッターマン第26話の視聴率?が判明しました。8.8%でした。先週のヤッターマン単独で記録した8.5%よりも増加しました。しかし、相変わらず裏番組よりも弱く、テレビ朝日の「報道発 ドキュメンタリ宣言」(7.7%)と「月曜時代劇・主水之助 七番勝負~徳川風雲録外伝~」(4.8%)に勝ったのみ。「ネプリーグ」(16.2%)と「東京フレンドパーク」(13.7%)の牙城を崩すところまでは至っておりません。というより、この2番組を見ている層が新作ヤッターマンを見ることはあり得ないでしょう。増加分も、「名探偵コナン」の分が加算されたために記録されたのかもしれないので、ヤッターマンのスタッフが喜ぶことはできないでしょう。いずれにしろ、9%の壁はまだ越えられません。


今回の内容は別の記事 に書いたとおりですが、あまりに酷過ぎる内容に「3悪ドットコム 」でも酷評されておりました。なお「3悪ドットコム」に書かれていた「伴宙太ネタ」というのは、「巨人の星」というアニメに出てくるキャッチャー伴宙太の役を八奈見さんがやっていたことを指します。確かに野球がネタなら言及されてもよかったと思いますが、たぶん、無能な脚本家はそのことを知らなかったのでしょう。昔のスタッフなら当然このような遊びを入れたでしょう。「タイムボカン」でシンドバットの話を取り上げた時は小原さんがシンドバットの役も演じていましたが、これは小原さんが「アラビアンナイト シンドバットの冒険」というアニメでシンドバット役を演じたことにちなんでいます。


当分、あのようなお笑い芸人の芸に頼る作りは続くようです。来週はエドはるみが出ることを、プロデューサーの諏訪氏は得意げに書いておりました 。過去の栄光に泥を塗る行為はまだまだ続くようです。もっとも、来年も放送があるのかどうかまでは私は知りませんし、正直言ってどうでもよいのですが。ただ、来週の脚本担当である武上純希の師匠の藤川桂介さんに、このようなお笑い芸人の芸に頼る脚本を自分の弟子が書いていることについての感想を聞いてみたいなあと思っています。ちなみに藤川さんは漫画原作ばかりのドラマが氾濫する昨今の風潮を苦々しく思っているという話を以前聞きました。

脚本は阿井文瓶。監督は大木淳。特撮監督は東条昭平。前回のショッキングな内容には「困ったねえ」と思ってしまいましたが、今回もそれほど内容に変わりはありません。なにしろ、演出するのは前回と同じ大木淳。題名を見てわかるとおり、題材は桃太郎。主人公の名も桃太郎。ご丁寧にも劇中では桃太郎の歌がかかります。しかも怪獣はオニオンと来たら、もう大体の内容は想像がつくでしょう。この話に取り掛かるのにはちょっと時間がかかりました。


さて冒頭のナレーションは次の通り。


ナレーター「宇宙には何千億という星があります。(ここでリンゴの形をした星が映る)その中の一つ、これは惑星アップル。事件はこの果物いっぱいの星から始まったのです。これぞ怪獣オニオン。おっかない顔に似合わず大好物は果物という変なやつ。(しばらくオニオンはリンゴを木からもいで食べている)泥棒! オニオンに果物畑を荒らされてばかりいる惑星アップルの人々は畑に番人を置いているのですが…おかしいなあ。番人は何をしているんだろう。」


しばらくオニオンがリンゴの木の下をうろうろしている様子が映った後、木の枝が映ります。するとたくさんの鶏が止まっているのがわかります。なんと本物の鶏をそのまま使っています。鶏が鳴くとオニオンは両手を挙げて驚いた顔。これが非常に間抜けな面構えです。すってんころりと倒れてしまいました。地上に降りた鶏に追いかけられ、右往左往するオニオン。


ナレーター「ハ、ハ、ハ、ハ。愉快だねえ。オニオンの苦手は何と鶏なんだ。」


しばらくオニオンと鶏を映した後


ナレーター「お話変わってここはおなじみの惑星我が地球。あれえ、ここにもオニオン、あ、いや違った。この子は確か、桃太郎という名前。」


このナレーションは本当に何とかならなかったのでしょうか。今回登場する桃太郎(吉田友紀)はお伽話と違って弱虫なのか、悪ガキどもにいじめられています。しかし、桃太郎は抵抗しようとしません。桃太郎の両親はすでに亡くなってもういませんが、それを「桃から生まれたんだろう!」とからかわれる始末。そこへダンとゲンがやってきて、悪ガキどもをたしなめました。すると悪ガキどもは退散しました。百子と梅田兄妹もいます。桃太郎は喧嘩が嫌いだと言いました。


桃太郎「でも、みんなを苦しめる鬼みたいな奴が出てきたら、きっとやっつけてやるんだ。」


このセリフと、さらに田口成光とともに「ウルトラマンタロウ」では一般人が怪獣に特攻する話ばかり書いて「僕にもタロウの脚本は書ける」と揶揄されてきた阿井文瓶が脚本と言うことで、もうお話の見当がついたと思います。そう。この桃太郎少年がオニオンに向かっていくというのが今回のお話です。それが証拠にダンへはオニオンが地球に現われたという通信が入り、直後のナレーションはと言うと


ナレーター「惑星アップルから鶏に追われて逃げてきた怪獣オニオンは果物が豊富な秋の地球を襲ってきたのです。」


話に工夫が無さすぎです。桃太郎の祖父母が営む八百屋もつぶされてしまいました。例によって MAC も歯が立ちません。どうでもいいけどマッキー2号にはゲンとダンも含めて3人も乗っています。オニオンは変な煙を吐きましたが、この煙が目にしみて MAC の隊員達は右往左往。


ナレーター「鬼の目にも涙と言うが、この鬼みたいな怪獣オニオンは玉ねぎの匂いのする霧を吐いて人間に涙を流させるんだから、ちょっとふざけてるねえ。」


ふざけているのは脚本を書いた阿井文瓶の方です。ゲンの進言で新兵器が使われることになりました。


ナレーター「MACが開発したばかりの新兵器麻酔弾が今使われようとしています。(変な溜息をついた後)でも、効くのかねえ。


このナレーションは何とかならなかったのでしょうか。麻酔弾は命中しましたが、この直後にまた珍妙なナレーションが入ります。


ナレーター「君、注射好き?この怪獣オニオンも注射は大嫌いなんだ。だからものすごく怒ってしまったんだよ。」


もはや何も言う気が起きません。オニオンが倒れてしまったのでゲンは浮かれていますが、ダンは「効果が早すぎる」と浮かぬ顔。そのダンの懸念は的中。オニオンは不意に立ち上がり、マッキーを撃墜してしまいました。とここでCMに入ります。


CMがあけるとオニオンが地上に降りたゲン達を襲っています。万事休すか、と思ったらオニオンは仰向けに倒れてしまいました。


ダン「そうか。やっと効いてきたなあ。」

梶田「よーし、腐った玉ねぎみたいにぶっ殺してやる。」


隊員達は MAC ガンで攻撃を始めましたが、オニオンは起き上がり、またあの霧を噴射しました。しまったというゲン。しかし


ナレーター「どうしたことか、その効果が半分しか現われなかったんだねえ。」


麻酔弾の効き目はあったようです。その様子を桃太郎は凝視。店を潰されて泣く祖父母を見て桃太郎は鬼退治を決意しました。さっき桃太郎をいじめていた悪ガキ達も合流し、鬼退治へと向かいましたが、あの霧にやられてしまいました。悔しがる桃太郎。一度は「MACに任せるんだ!」というゲン。桃太郎の歌が流れる中、桃太郎は鬼退治へ行くために犬(他人の家のものか?)とペットショップのサルを連れて行こうとしましたが、失敗。ここで桃太郎の歌が鳴りやみ、桃太郎は雉の代わりの鶏を抱いて歩いていました。それを見て、ゲンは桃太郎に協力することにしました。


ゲンはヘリコプターを手配し、大きな桃をつるしオニオンの近くへと飛ばしました。


ダン「ゲン、まさか。大丈夫か?」


オニオンは桃をつかむことに成功しましたが、鶏の鳴き声がしたので桃を離してしまいました。地上に落ちた桃が割れると中からは桃太郎が桃太郎の格好をして登場です。このとき、いつもウルトラマンレオが登場する時に流れるファンファーレが流れます。桃太郎は弓矢を射ちました。弓が左目に当たるとなぜか矢が爆発。もう一発射ちましたが、今度はオニオンが金棒で防ぎました。ここで麻酔が切れてしまいました。桃太郎はもう一発射ちました。すると


ナレーター「狙いは正確。(ビヨーンという音がしてオニオンのパンツがずり落ちる)さあ、困ったのは怪獣オニオンだ。いやあ、本当に困るよねえ。こういうとき、君も経験ある?」


私はそんな経験無いです。桃太郎に危機が迫ったのを見てゲンはレオに変身。しかし、いつもの勇壮な曲ではなく、のんびりした曲です。だから緊張感がありません。大木淳さん、何とかならなかったのですか。しまいには桃太郎が流れる始末。レオはオニオンの角を切断した後、オニオンを大きなリンゴの木に変えてしまいました。桃太郎はオニオンの角を荷車に載せてひいていきます。


ナレーター「鬼の角はおじいさんやおばあさんの神経痛の薬になるんだよ。こんなにたくさんあれば、たくさんのおじいさん、おばあさんが喜ぶぞう。さあ、犬が後を押すえんやらやー。」


やれやれ。やっと終わりました。民話を題材とするのはよい着眼点だとは思いますが、大木淳演出の二本については失敗だったと思います。あのナレーションは民話の語りを意識したのでしょうが、子供に媚び過ぎです。これではウルトラマンレオなのか民話なのか、よくわかりません。田口成光、阿井文瓶、大木淳の三人の罪は大きいでしょう。大木淳さんは特撮監督ではウルトラセブン第8話「狙われた街」に代表されるように名演出を連発しましたが本編監督としてはそれほど力がなかったように思います。次の話は若槻文三さんが脚本担当。浦島太郎をベースにしていますが、前回と今回よりはマシな作品にはなっていると思います。