「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない

の第7話です。


7. 医学科合格への道

では、具体的にどのような心構えでIBDPに臨めば医学科合格の道が開けるのでしょうか。ここでは、先輩たちの経験から三つのポイントを整理します。

【ポイント1:科目選択は「興味」と「適性」を軸に】

医学科志望だからといって、無理に嫌いな科目をHLに詰め込む必要は必ずしもありません。むしろ、自分の得意や興味がある分野でHLを選択し、深く学ぶ姿勢を大切にしたほうが、結果として高スコアにもつながりやすいです。高スコアであることが条件ではないですが、各大学のIBDP入試基準得点を超える必要は絶対にありますから、そこを目標にします。また、大学によってかなり幅が広いため、柔軟に目標大学を考えます。

嫌いな物理を選択するより、生物を選択するほうが良いということも同じです。嫌いな科目を勉強することでモチベーションも落ち、成績も上がらず、必要な最終得点に達しない。これが一番問題になります。ただし、医学科や一部学科・学部では、募集要項で必須科目とその得点が指定されています。必須科目を選択していない場合は受験すらできません。また、その内容は毎年変更される可能性があります。

医学科の場合は数学をHLで選択することで受験可能な大学数が増えることは間違いありません。また、実際入学してから勉強を始めても単位取得に問題がない物理は、指定科目ではないので化学や生物でも問題ありません。化学は好き嫌いがありますが、医学科ではかなり必要な科目なので、これを嫌いと言う場合は適正に疑問があると言われることがあります。

 

 

【ポイント2:CASは「やりたいこと」を正直に】

CASの記録や振り返りは、後から「面接で使えそう」と飾る必要はありません。むしろ、本当に自分が熱中できる活動を、深く、多少長く続けることの方が価値があります。

「医療系ボランティアをやらなければ」と焦るよりも、「子どもと関わるのが好き」「スポーツを通じて地域とつながりたい」といった素直な興味を追求した結果、そこから「健康」「命」「人と社会のつながり」といったテーマに自然と気づき、それが医学への入り口になる、これが理想のCASです。

 

ただし、病院見学やシャドーイングなどを行うことはやはり重要です。親が医師ではない家庭では非常に難関ですが、実際いろんな側面から多くの問い合わせを入れることや、親も協力することでかならず短期間の体験はできるものです。その努力ができない場合は、やはり面接などで見抜かれ、不合格につながります。

 

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【ポイント3:EEや自主的な研究で「自分の問い」を大切に】

拡張論文(EE)や自主的な科学研究とそのまとめは、医学科志望者にとって格好の「実践トレーニング」の場です。

科学に関して問いを立て調査・実験を行い、それを論文形式にまとめる。こうした科学について深く考える経験はそのまま志望理由書や面接での言葉の重みになります。ここでも、「医学部に出願するからこのテーマにしよう」ではなく、純粋に気になる問いを追求することが、結果的に大きな武器となるのです。医療関係に絞って研究をすることは、あまりにも困難なことが多いため、大きな意味で医療につながるという程度の関連で問題ありません。実際、医療は非常に幅広く、科学であればほぼ全てが医療につながると言ってもよいでしょう。解釈の仕方や説明の仕方次第ですから、科学であればその内容に関わらず研究とその論文作成は必須といえます。

次回は
8. 受験の注意点
で、注意点を説明します。

「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない

の第6話です。

医学科に合格した生徒を読み解きます。

 

6. 不確実性の中で、確かなものを積み上げる

IBから医学部を目指す道は、偏差値という指標が通用せず、倍率も実質的な意味を持たない不確実性の高い世界です。

でも、不確実性が高いからこそ医学科を目指す受験生が2年間でできることは明確だと思います。

まずは、確かな学力という土台を、コツコツと積み上げること。それは、一般入試対策ではなく、IBDPの中で必要な学力です。しっかり授業を受け、宿題や課題をこなしていく。課題は何度も見直し、書き直していく。IBDPでの学びを合格のためではなく自分自身の成長のために誠実に向き合って学習すること。同時に、総合型や帰国生・海外生枠、海外大学など複数のルートを視野に入れ、柔軟に受験に必要な戦略を立てること。ここに一般入試対策を入れる必要はありません。

それらができたとき、はじめて「IBDPから日本の医学部医学科へ」という挑戦は、単なる「絵に描いた餅」ではなく、確かな手応えのある現実になります。

「国際バカロレアから医学部医学科入学」これは、実際に実績があるから説明する話です。

海外の高校を卒業して医学科へ入学した学生も言っていますが、受験の最大の敵は「モチベーション」です。

受験は長丁場です。IBDPだけでも2年間のハードなプログラムであり、その先に医学部入試(面接、小論文、場合によっては共通テストや二次試験)が待っています。

 

 

「IBDPコースに入らなければ医学部に行けない」という焦りや、「特別選抜枠に入らなければ」というプレッシャー。単純に、成績がよいから医学科へ進学したいというだけでは、この長い道のりを乗り越えるのは容易ではありません。逆に、IBの授業そのものに没頭する中で「もっと深く学びたい」「この興味を突き詰めた先に医学がある」と自然に思えたとき、そのモチベーションは何ものにも代えがたい原動力になります。

IBDP1年目で「結果として医学科を目指した」という人の共通点

「高校でIBDPコースに進み、結果として医学科を目指した」という人たちは、どのような道を歩んできたのでしょうか。

【共通点1:IBの授業そのものが“きっかけ”になっている】

ある現役のIB生(現在医学部を目指して準備中)は、こう話します。

「最初は医学部なんて考えていませんでした。でも、Biology HLで扱う遺伝子疾患の単元がきっかけで、『なぜまだ治療法のない病気があるのか』『医療の現場ではどのように研究と治療が結びついているのか』と調べるうちに、自分もこの分野で貢献したいと思うようになりました。夢物語のようですが、自分で遺伝子に関していろいろ調べていく中で、それはあまりに難しく、そのようなことを研究して実際に治療に役立てることができた例があることを知ると、自分のやっているこの勉強の先にあるものが見えてきました。つまり、不可能ではなく、自分でもできると感じました」

 

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IBの理科や数学は、単なる知識の詰め込みではなく、「科学は社会とどう関わるのか」「倫理的な判断が求められる場面で、私たちはどう考えるべきか」といった深い問いを投げかけます。そうした学びの中で、「知りたい」が「なりたい」に変わっていく。それが、自然な進路選択の姿です。

【共通点2:CASやTOKが「医師としての在り方」を考えさせてくれる】

IBの核となるCAS(創造性・活動・奉仕)やTOK(知識の理論)は、医学部志望者にとって想像以上に大きな影響を与えます。

例えば、ある卒業生はCASの活動として地域の高齢者施設でのボランティアを続ける中で、「医療技術だけでなく、患者さんの生活全体を理解する姿勢が大切だ」と実感し、それが総合診療医を志す原点になったと語ります。幼稚な言葉で話しかける現在の高齢者施設での対応。それは、医学的に正しいのかと感じたと話します。海外有名大学心理学部への受験と合わせて、国内医学科を受験し合格しています。

また、TOKでは「知識とは何か」「科学は客観的なのか」といった哲学的議論を通じて、医学という学問の前提や限界について批判的に考える力が養われます。こうした視点は、面接で「なぜ医師になりたいのか」を問われたときにも、単なる「人を助けたい」ではない、深みのある言葉として表れてきます。

 

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【共通点3:結果として、出願の選択肢が広がっている】

「医学部ありき」でIBを選んだわけではない生徒は、医学科と他の学部を併願し、結果的には医学科ではない学部へ進学する生徒が多くいます。もちろん、医学科に合格しなかったことが主因にはなりますが、医学科に絶対に合格するとは限らないこと、医学科以外に興味があり、その学科へ満足して進学している傾向があります。IBDPコース卒業生の場合は浪人してまで医学科を目指すことはしません。また、IBDPコース卒業後の浪人は多少難しく、現役で大学を選び、進学し、もしコースに不満があればそこから学部編入の道を模索します。

IBDPで培ったスキル(批判的思考、リサーチ力、プレゼンテーション能力)を武器に、医学部医学科特別選抜だけでなく、他の学部の総合型選抜、あるいは海外大学理系学部など、複数のルートから自分に合った進路を選んでいます。

次回は
7. 医学科合格への道
で、合格者の実例から、どうすればよいのかを考えます。

あの日、高校2年生の知華さんは「お友達と綺麗な珊瑚礁を見たかった」だけだった。
こんにちは。今日は重い話題を書かせてください。

すでにみなさんご存じでしょう。

下は、父親が立ち上げたnoteです。事実を書いていらっしゃいます。

 

 

2026年3月16日、沖縄・名護市の辺野古沖。修学旅行で訪れていた京都の同志社国際高校2年生の生徒たちが乗った小型船2隻が転覆しました。18人の生徒が海に投げ出され、2年生の武石知華さん(当時17歳)が亡くなりました。

知華さんは、事故の前日、家族にこんなLINEを送っていたそうです。「お友達と綺麗な珊瑚礁を見たい」。辺野古のコースを選んだ理由を、「美術館で怖い絵を見るよりかは、お友達と綺麗な珊瑚礁を見る方が楽しそうじゃん」と話していたといいます。

ただ彼女は、自分が乗る船が「抗議活動用の船」だとは十分に知らされていませんでした。

この事故で、知華さんと同時に、14人の生徒が重軽傷を負いました。約10名の生徒が重症を負い、今も心身に深い傷を抱えています。

「知華さんのご冥福を心よりお祈りします」
 

知華さんは2008年生まれ。3歳から11歳までインドネシアのインターナショナルスクールに通い、その後、京都の同志社国際学校へ入学しました。

そんな彼女がなぜ観光船ではなく、安全装備も十分にない、安全意識のかけらもない「抗議船」に乗せられなければならなかったのか。

 

なぜ学校は修学旅行で事業登録もない非旅客船に生徒を乗せ、波浪注意報が出ている中で出航させたのか。

 

引率の教師はあえて一緒に乗らなかった理由は。

 

そしてなぜ、保護者に「抗議船に乗る」、ライフジャケットも肩にかける程度で普通の人から見ると荒れた海に多くの生徒を詰め込んで出港するようなことがあると説明しなかったのか。

今も、その答えは出ていません。学校側、校長は、下見すらしていない、内容は把握していないとコメント。

 

つまり、知っていると責任問題が大きくなる。知らなければ、それでも責任問題はあるが、危険なことを無理やりさせたという状況よりはましな小さな責任問題ですむという考えからの発言のようではありませんか。

【悲しみを乗り越えて、発信を続けるご家族】


この痛ましい事故を受け、知華さんのご家族はインターネットの投稿サイト「note」で情報発信を続けています。

「本当に、どうしてこうなってしまったのか」
「初めて会った取引先の人にも2人の娘の自慢をしてしまうくらい、明るく、優しく、聡明な子でした」

「家族4人で過ごせる幸せな時間はずっと続くものと思っていました」

ご家族がnoteで綴る言葉の一つ一つが胸を打ちます。
ご家族は「誤情報を訂正する機会」「事実解明につながる情報収集」のために発信を決めたといいます。

どうか、一人でも多くの方に読んでいただきたいです。

【これを読んでいるすべての親御さんへ。これが日本の「修学旅行」の現実です。】
 

ここからは、私がどうしても伝えたいことです。

この事故は、決して「あの学校がたまたま悪かった」で終わらせられる話ではありません。日本の教育システムが抱える大きな問題を暴き出しているのです。

あなたは、子どもの修学旅行に「疑問」を持ったことはありませんか?
「あの行程、安全なの?」
「なぜこんな遠くまで行く必要があるの?」
「この時期にこの場所って、大丈夫なの?」

もしあなたがそう思ったとして……それを学校に言えますか?

言えないでしょう。なぜなら、「わがままな親」「面倒なクレーマー」と思われたくないから。そして最も大きな理由は——

子どもの内申書や成績、大学への推薦状を学校に握られているから。

これが日本の教育の「当たり前」です。修学旅行への「参加拒否」や「疑問の申し立て」が、後に子どもの進路にあからさまな影響を及ぼすことを、多くの親は「なんとなく」知っています。学校評価の重要な材料である調査書には、単なる欠席記録だけでなく「集団行動への適応状況」なども記載されるからです。

結果として私たち親は、子どもの将来を人質に取られた状態で、納得いかない行事に「仕方なく」参加させています。

「知華さんが乗った船が「抗議船」だったと、事前に知っていれば」
保護者の誰かが「ちょっと待ってください」と言えていたかもしれない。

しかし学校は「抗議船に乗る」という情報を保護者にも生徒にも伝えませんでした。「生徒はその部分に関して理解していると思う」と校長は当時の説明会で答えました。実際には、知華さんのご家族は「全く知らなかった」と言っています。

この「伝えない」という選択は、事故を引き起こした最大の要因の一つです。

なぜ伝えられなかったのか。もし「抗議船」という事実を保護者が知れば、クレームが来る。コースを変更しなければならなくなる。

 

金銭面での不都合、政治的活動実績低下、「思想の強要」の目標未達など、反社的な面を想像すれば、それは容易に思いつきます。それらを恐れたからではないでしょうか。

中学校や高校の修学旅行は、もはや「子どものための行事」ではありません。学校側にとっては「計画通りに遂行すること」が最優先のプロジェクトです。日程もコースも予算も、すべて決まったら「後戻りできない」。だから、少しでもクレームの種になる情報は「伝えない」か「薄める」。

そしてその結果が、今回の痛ましい事故です。

あなたが「参加させない」という選択を取ったら、どうなるか。
想像してみてください。

あなたの子どもが「修学旅行に行きたくない」と言ったとします。理由はどうあれ。いじめかもしれない。団体行動が苦手かもしれない。単純に「興味ない」かもしれない。

あなたがそれを承諾したら?

その子どもは「協調性がない」と評価され、内申書に何らかの形で影響が出ます。 多くの学校では、修学旅行を含む学校行事への参加状況が調査書の「特別活動の記録」や「行動の記録」に記載され、推薦入試などで合否を左右します。内申書は成績だけでなく、行動や態度も含めて評価されるものだからです。

そして、それが積み重なって

・志望校の推薦入試の対象から外れる
・「協調性に欠ける」というレッテルで、学校生活の様々な場面で不利になる
・最終的に、子どもが希望する進路への道が狭まる

学校も教師も、意図的にそうしているわけではありません。 しかし「システム」がそうなっているのです。

だから親は黙る。疑問を飲み込む。そして「みんなと同じように」子どもの修学旅行を「送り出す」。

このシステムは変えなければなりません。

知華さんはもう帰ってきません。でも、彼女のご家族が声を上げ続けているのは、同じ悲しみを繰り返さないためです。我々、他の保護者とその子どもを守ってくれることにつながります。

「風化させたくない」という言葉を胸に刻みながら

私たち一人ひとりが、この機会に「修学旅行のあり方」と「親が学校に意見を言えない構造」について、真剣に考えるべきです。

学校教育は、しばしば「絶対」です。絶対に行かなければならない。絶対に参加しなければならない。でも、それは「子どもの安全と成長のため」という大義名分のもとに運営されているにすぎません。

もし今回の記事を読んで、何か感じるものがあったなら

今日、お子さんの学校に「修学旅行の安全対策の資料」を求めてみてください。そして、それが適切かどうか、自分の目で確かめてみてください。

それだけでも、何かが変わるきっかけになるかもしれません。しかし、多くの親はそれすらできません。それが現実です。大好きな子どもを守る行為すら、受験の前ではかすんでしまう。それが現実です。

謹んで、武石知華さんのご冥福をお祈りいたします。そして負傷された生徒の皆さんが一日でも早く心身ともに回復されますよう、心から願っています。

 

そもそも「小船の転覆」と「リーフの浅瀬」がなぜこれほど危険なのか?


ここで、もう一つ絶対に伝えておかなければならないことがあります。それは「辺野古の海」と「転覆したボート」の危険性です。

この事故が起きたのは、リーフ(サンゴ礁)エッジにあたる非常に浅い海でした。リーフの外側から押し寄せる波は、水深が急に浅くなることで一気に高さを増し、砕けるようにして内側に流れ込みます。つまり、普通の場所とは違い、大き目の波が発生する場所なのです。船を出していた人達はその危険を知っています。それでもそんな場所に連れて行っています。意図的だったのかもしれません。投げ出せれた生徒がいれば、ニュースになる。それを基地建設反対につなげ、各所から来る資金の宣伝材料にする。

当日は波浪注意報が出ており、波高は2メートル以上。小型船(約7メートル、定員12名程度の漁船タイプ)がその波を受ければ、ひとたび横向きに波を被っただけで簡単に転覆します。船のバランスも重要ですが、生徒たちはてきとうに指示され、立ったり座ったり。しっかり座り、何かも持つだけの十分な場所はなかった様子です。投げ出されることが想像できます。

そして最大の恐怖は、転覆した後の「サンゴ」 です。水深はわずか1〜2メートル。船から放り出された生徒たちは、足をつこうとしても岩のように硬く、無数の刃のように鋭いサンゴの上に叩きつけられます。重症を負った10名の生徒の多くは、全身にサンゴで切り裂かれた深い傷を負い、中には頭蓋骨にまで達する裂傷を負った子もいました。

「小船の転覆。リーフにおける波の強さと水深の浅さ。サンゴの鋭利な形状。」

この危険を本当に想像できるのは、自分で海に入って波とサンゴを体験した人だけです。陸の上できれいな海だと思っているだけでは、想像すらできません。それがこの事故の、最も恐ろしい側面なのです。

うちの子、PYP・MYP経験済みだからDPも安心?

いいえ。結論から言います。甘かった…親の本音です


子どもが小学1年からIBのPYP(国際バカロレア小学校)、中学はMYP(国際バカロレア中学校)、そして現在高校でIBDP(ディプロマプログラム)をやっている母親からの投稿記事を編集したものです。

「PYPやMYPをやってきたからDPも大丈夫」という考え、完全に間違っていました。
実際にわが子を通して思い知ったので、同じような立場の親御さんにぜひ知ってほしいんです。

うちの子がDPでいきなりつまづいた5つの現実
 

1. 「探究」しかしてこなかった子に、「暗記と試験」は無理ゲーでした
 

PYPもMYPも、本当に楽しそうでした。自分でテーマを決めて調べて、ポスター作って発表して…「学び方」は身についたと思います。

でもね、DPになったら突然「知識を大量に覚えて、制限時間内に論述しなさい」と言われたんです。うちの子、定期試験のようなものを受けた経験がほとんどなかったから、最初のテストでは「時間配分ミスった」と半分しか解いていない状態で終了。


PYP・MYPは「プロセス」を評価される。DPは「結果と知識の正確さ」を評価される。この違い、親の私でも痛感しました。

 

 

〖注意〗

実は、IBのMYP(中学校)からいきなりDPコース(高校2・3年)に進むわけではありません。多くのIB一貫校では、中学3年~高校1年相当の学年(Grade 10~11あたり)に「Pre-IBDP」や「IGCSE(イギリス式の中級資格試験)」というカリキュラムが挟まれます。このIGCSEは科目ごとに最終試験があり、採点も厳格。つまり、子どもたちはDPに入る前に「試験慣れ」する機会を得られるんです。

 

もしこの期間がしっかりあれば、「探究しかしてこなかった」という問題は少し和らぎます。ただし、IGCSEはあくまで「食いつなぎ」。DPの試験とは問題形式や要求レベルが大きく異なるので、過信は禁物です。「IGCSEでAを多く取れたからDPも大丈夫」と思ったら大間違いです。でも、IGCSEでAを取れないなら勉強方法の見直しが必要です。


2. 「自分で科目を選べ」と言われて、大混乱
 

学校規模が小さいこともあり、MYPまでだいたい決められたカリキュラムをみんなで履修していました。選択科目はあっても「大学を意識して理系・文系を決める」なんて経験はゼロ。

なのにDP前の最初の生徒向け説明会で「HL(高難度)を3つ選びなさい。あなたの将来の進路に合わせて」と。うちの子、「医学に進みたい」なんてぼんやり言ってたけど、実際に化学HLを選べるだけの準備ができていなかったんです。

結果、最初の数週間で「化学HLが重すぎる」とパニック。学校のIBカウンセラーと相談してHLとSL科目変更の手続きのための確認と面談などでバタバタしました。

〖注意〗

ただし、もし最初の選択で間違えても、まだチャンスはあります。DPが始まってから数週間、学校によっては2ヶ月以内であれば、科目やレベル(HL/SL)の変更が認められることが多いんです。最初は「化学HL」を選んだものの、あまりの難しさに担任と相談して「化学SL」に下げてもらう生徒も。オフィシャルな変更の締め切りは大体、DP1の最初のターム内。でも学校によってかなり異なります。先生に遠慮せず「合わない」「重い」と早めに相談することが大事です。「もう決まったから我慢しなさい」は禁物。子どもの負担を減らせる道は、ちゃんとありますから。


3. 分厚い教科書に、白目をむいた


小中学校では日本語のサポートが手厚かったんです。授業は日本語と英語のバイリンガルで、わからない単語は先生が教えてくれる。

 

 

でもDPの理科の教科書のようなIBDPの書籍は分厚い巨大な英語の本。専門用語だらけで、読み解くだけで一苦労。「この単語、何て発音するの?」と聞かれても、私もわかりませんでした。

MYPで英語に触れていても、アカデミックな英語の読み書きは別物なんだと痛感しました。

〖注意〗
とはいえ、この「分厚い英語の教科書問題」にもいくつか救いはあります。まず、IBDPの理科や数学の教科書は確かに巨大ですが、試験で問われるのは全ページの内容ではなく、シラバス(学習指導要領)に沿った限られたトピックです。学校の先生は「この章は飛ばす」「ここは読まなくていい」と指示してくれることがほとんど。オンライン教材を使っている学校なら、紙の教科書より読みやすく、用語の定義もすぐに引けます。さらに、日本語で書かれたIBDPの参考書(翻訳版や解説本)も増えています。「英語の本文を読む前に、まず日本語の解説で全体像をつかむ」という作戦に切り替えて、かなり楽になりました。教科書の厚さに最初は泣いても、工夫次第で乗り越えられますから、諦めないでくださいね。

4. 「自分の子どもはできる」という親の驕り


正直に告白します。私は「うちの子はPYP・MYPで優秀だったから、DPも自然とこなせるだろう」とタカをくくっていました。

でも実際は「高校からIBに編入してきた子」のほうが、机に向かう習慣や試験対策のノウハウを持っていて、うちの子より成績が良かったんです。

PYP・MYPの成績が良かったからといって、DPの成績は一切保証されません。むしろ、「自由な学び」に慣れすぎたわが子は、DPの厳しさに適応できずにメンタルを病みかけました。

 

〖注意〗

IBDPの高校では、高校からの入学ができる学校も多くあります。受験は必要ですが、受験に際して英検2級程度を条件にしている学校もあり、決して難易度は高すぎることはありません。

 

 

5. 「DPってこんなに大変なの?」と親のほうが驚いている

 

授業、課題、EE(4000字の論文)、TOK(知識の理論)、CAS(活動)…もうとにかく量が多い。毎日深夜まで勉強しているのに「終わらない」と泣く息子。

MYPのときは「宿題はほとんどない」「遊びながら学ぶ」という感じでした。そのギャップに、子どもも親も対応できていません。
 

これからDPを目指すなら、ぜひ次のことをやってください。

DPの公式ガイドを親子で読む。「どう変わるのか」を具体的にイメージさせる。

英語のアカデミックリーディングを中学生時期から習慣に。

「PYP・MYPができていたから大丈夫」と思わない。むしろ、心機一転、リセットするつもりで。

まとめ

国際バカロレアは素晴らしい教育です。でも、IBDPはその素晴らしさすら忘れるほどの学習が必要。もし最初にこのことを知っていたら、もう少し準備ができたのに…と。
 

IBDPを始める前に読んでおきたい英語の本5選


「IBDP、難しそう…でも何から準備すればいいの?」
「英語の本を読む習慣、つけておいた方がいいって聞くけど…」

そんな不安を抱えたまま新学期を迎えるのはもったいない。Pre-IBからDP1に進む夏休みは、「DPの内容を先取りする時期」ではなく、「IBDPで求められる思考法と学習習慣を身につける準備期間」だと言われている。

そこで今回は、IBDPを控えた皆さんにぜひ読んでおいてほしい英語の本を5冊、選んでみた。どれも「知っていれば楽になる」「読んでおけば後の苦労が減る」ものばかり。1冊ずつ、なぜその本なのか、IBDPのどこに効くのかを解説していく。

1. 『Thinking, Fast and Slow』by Daniel Kahneman
(思考、速くそして遅く/ダニエル・カーネマン)

IBDPの核となるTOK(知の理論)で最初にぶつかる壁、それが「人間の思考には偏りがある」という事実。この本を読めば、「なぜ私たちは非合理な判断をしてしまうのか」が脳科学&行動経済学の視点から理解できる。

IBDPで求められる批判的思考の土台を築いてくれる1冊。TOKのエッセイで「認知バイアス」をテーマに議論する際にも、この本で得た知識がそのまま武器になる。

おすすめの読み方:1日1章、考えながらゆっくり進めるのがベター。一気読みしようとすると逆に頭がパンクするので注意。

 

 

英語版と翻訳版です。

 

2. 『How to Read a Book』by Mortimer J. Adler
(いかに本を読むか/モーティマー・J・アドラー)

「本の読み方なんて、誰でも知ってるでしょ?」と思った人、ちょっと待って。この本が言っているのは「ただ文字を追うこと」ではなく、「分析的に読み、論点を抽出し、批判的に評価する」というレベルの読書術だ。

IBDPではEnglish Aの文学分析はもちろん、EE(拡張エッセイ)の文献レビュー、各科目のIAに至るまで「読む → 理解する → 自分の言葉で論じる」という工程が永遠に続く。この本のメソッドを身につけておけば、読む効率が桁違いになる。

おすすめの読み方:実際に少し難しい英語の本を1冊選び、本書で紹介されている「分析的読書」の4ステップを実践してみる。

 

 

3. 『The Extended Essay for the IB Diploma: Skills for Success』
IB Diploma Programme (Paul Hoang)

EEは多くのIB生にとって最大の難関。「4000字の英語論文なんて書ける気がしない…」という人にこそ手に取ってほしい。

この本は、テーマの選び方からリサーチクエスチョンの立て方、文献の探し方、引用のルール、構成の組み立て方まで、EEの全工程をステップ・バイ・ステップで解説している。しかも、IBの新しいガイドラインに対応した最新版なので、学校の先生に「その情報はもう古いよ」と言われる心配もない。

おすすめの読み方:EEのテーマがまだ決まっていなくても大丈夫。まずは「どうやってテーマを絞るか」の章だけ読んで、頭の整理から始めてみよう。

 

 

4. 『The 7 Habits of Highly Effective People』by Stephen R. Covey
(7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー)

「なぜ今さら『7つの習慣』?」と思うかもしれない。でもよく考えてほしい。IBDPでは同時に6科目の授業に加え、EE、TOK、CASの3つのコアプログラムをこなさなければならない。優先順位をつけ、先延ばしをせず、長期的な視点で計画的に動く力がなければ、あっという間に溺れてしまう。

本書で紹介されている「重要だが緊急でないことに集中する」という習慣は、IAの締め切りや試験勉強に追われる日々の中で、自分の軸を保つための羅針盤になる。

おすすめの読み方:「P/PCバランス」「Win-Win」「まず理解に徹する」といったキーコンセプトを、自分のIBDP生活にどう落とし込むか考えながら読むと効果的。

 

 

5. 『Oxford IB Diploma Programme: IB Theory of Knowledge Course Book』
by Marija Uzunova-Dang and Arvin Singh Uzunov

TOK専用のコースブック。この教科書はIBO(国際バカロレア機構)と共同開発された公式教材で、カリキュラムの隅々まで網羅している。

学校で配られる場合もあるが、もし配られないなら迷わず自費で購入する価値がある。なぜなら、TOKは「曖昧でつかみどころがない」と言われる科目だからだ。この本を先に読んでおけば「そもそもTOKって何をすればいいのか」という根本的な疑問が解決され、授業に入る前から他の生徒より1歩リードできる。

おすすめの読み方:全てを完璧に理解しようとしなくていい。まず「知識の領域(AOK)」と「知識の方法(WOK)」の全体像をざっくりつかむことが目標。

 

ほぼ、教科書参考書の代わりです。

 

 

まとめ:本を読むことは「先行投資」
 

「こんなにたくさん読めないよ」と思った人もいるかもしれない。しかし、これらは「宿題」ではない。むしろ、IBDPの2年間であらゆる場面で返ってくる先行投資だと考えてほしい。

読み終えた後に感じるのは、おそらく「ああ、IBDPってこういうことを求めているのか」という納得感。そして、その納得感は何よりの自信になる。

まずは気になる1冊から、手に取ってみてほしい。あなたのIBDPライフが少しでもスムーズで実りあるものになりますように。