連載「海外へ英語留学・インター校留学の落とし穴」失敗例と成功のために

の第2話です。


「教育移住・インター留学で英語がペラペラになる?」
いや、それが落とし穴です(実例付き)


【なぜ思ったようにいかなかった? 3つの大きな理由】

の続きです。

これらの例に共通するのは、親の「外国にいけば、インター校に入学すれば英語はある程度自然に上達する」という過度な楽観です。


理由1:インターナショナルスクールでも、英語は「自然に」身につかない

インターに入学したからといって、放っておいて英語がペラペラになる子は本当にごく一部の生徒です。それこそ、語学の才能がある生徒と言えます。通常ほとんどの日本人生徒はアカデミックな英語力は伸び悩みます。

入学後すぐに放課後は英語・英会話を塾で学ぶか、自宅でオンライン家庭教師により徹底的に英語を学ぶ必要があります。

理由2:日本語の学習ストップ = 帰国後の進路崩壊

多くの親が見落としているのは、子どもが海外にいる間に、日本の同級生が着実に学力を積み上げているという事実です。算数・数学は積み上げ科目。1年でも空白ができれば、取り戻すのは極めて困難です。帰国生入試でも、英語よりも国語や数学で落ちるケースが大半です。

海外に行く場合、日本のカリキュラム維持をはかるのであれば、日本にいる同級生たちの倍の時間をかけて英語の勉強と日本語での勉強を行うことが必要です。そもそも習慣的に勉強時間の長い子どもには対応可能ですが、あまり自宅で勉強をしてこなかった子どもには大きな負担となります。海外生活、転校と非常に困難な時期にかなりの勉強をすることは非常に難しいことです。

 

 

理由3:中途半端な期間(1〜3年)が最も危険

1年未満(実質10カ月まで)なら日本の学習の遅れはまだリカバリー可能です。
2年以上なら、現地に根ざした選択(現地大学や帰国生専用コースなど)を真剣に考えましょう。
1〜3年間という期間は、「日本の学習から取り残され、かつ現地でも良い成績がとれないになれない」というパターンに陥りやすいです。


【もう一度想定を考え直して、インター校の放課後や休日のプランを考えること】

「子どもをインター校に入れれば英語ができるようになる」
「留学すれば将来の選択肢が広がる」
これらの幻想に振り回されて、後悔している家庭が増えています。

教育移住や単身留学は、決して「環境を整えればOK」という話ではありません。子どもの性格、学習習慣、日本語と英語の両方を維持する具体的なプランがなければ、むしろ子どもの将来を壊すことになりかねません。

紹介した「ケース3」のジュンさんは日本の大学に入学できましたから、大学卒業をすれば学歴も大卒です。想定した大学ではなくても、十分な結果と言えます。

この5名と同じような話はいくらでもありますが、なかなか実情を聞く機会はないと思います。皆さん、親が失敗したと感じたことは話すことを避けますから、ブログやnoteでも読める記事が限られています。

今回はあえて「失敗例」として5つの例をお伝えしましたが、そのまま日本で進学し続けていたとして必ずしも思うように進級していったかは分かりません。

 

 

しかし、もちろん海外インター校や海外国際バカロレア校留学に大成功しているケースもあります。特に発信の多い駐在帯同家庭からは受験における成功例も多く聞きます。しかし、それは駐在という断れない海外への出発ですから、実際の生活や想定も大きく異なります。

次回からの記事の趣旨は「英語も日本語も維持して、インター校留学を成功させる方法」です。あくまでも、成功する方法を主に書いていきます。駐在における転校留学とは多少ことなりますが、駐在が予定されている家庭であれば同様に参考になります。

また最後に、駐在員帯同家族(駐在ではない現地雇用などのケースも)の成功例を書いていきます。理想的と感じる方もいらっしゃいますが、会社の駐在からの親子帯同における留学でも、自主的な留学でも、子どもにとっては基本的に同じことです。成功例をマネするのではなく、それらを参考にしつつ、自分たちのスタイルや子どものできるできないことを考えてあげながら、留学プランを組み立てることが重要です。

それでは引き続き次の内容を1つづつ、分かりやすく具体的なノウハウを説明していきます。

・留学成功の秘訣は、短期間の留学
・事前に必要な経験
・日本人コミュニティとの距離の取り方
・オンライン家庭教師と日系塾の活用法
・親子での留学先と留学中の学習計画の立て方
・「帰国後」を見据えた科目選択


次回、「留学成功の秘訣は、短期間の留学」インター校留学であれば、最初は短期間にすべき理由

 

続きはこのブログで更新していきますが、先に全文を👇のnoteリンクで公開しておきます。

 

連載企画「海外へ英語留学・インター校留学の落とし穴」失敗例と成功のために

です。

 

毎日更新できないかもしれませんが、飛び飛びでも続けて掲載していきます。


今日は、連載企画第2弾「インター校留学の落とし穴」の初回です。

「教育移住・インター留学で英語がペラペラになる?」
いや、それが落とし穴です(実例付き)


最近、マレーシアやフィリピン、タイ、シンガポール、カナダやオーストラリア、ニュージーランドなどへの「教育移住」や、子どもだけをインターナショナルスクールに1〜数年単位で留学させる家庭が急増しています。理由はもちろん「英語を身につけさせたい」「バイリンガルに育てたい」というもの。

しかし、現場のリアルをお伝えすると、かなり実際の状況が理解できます。

思ったように英語は上達しない。日本語もなんだかなまる、それなのにインター校での成績は低いまま、そして日本の学習から取り残され、留学後の帰国後も希望の進路に行けない。そんな家庭が本当にたくさんあります。

わが子に限ってそんなことはない。SNSで言われる「英語も日本語もへたな、ダブルリミテッド」な子どもにはならない、そう考えていると結果的には良い方に向かいません。

まずは、実例をもとにお伝えします。名前はすべて仮名です。失敗だとは言いませんが、思っていたのとは異なる結果になっています。


【ケース1】小学5年からマレーシアのインターへ。中学帰国したマサトさんの場合

マサトさんは、父親の海外駐在に伴い、マレーシアのインターナショナルスクールに小学5年から中学1年までの約3年間通いました。

当時の親の期待:「世界から来た他の駐在員の子たちと一緒に学べば、英語は自然にペラペラになる。帰国後は帰国生枠で有名中高一貫校に合格できる」

現実:

学校では駐在以外の親子留学などの日本人生徒も多く、授業以外は日本人生徒があつまり日本語で過ごす
クラスメイトとして他の国から来た生徒の友達はいるが、深い議論ができるほどの英語力はつかず
学校の成績は中の下
英語の読み書きは小学生低学年からいる生徒においつけない

一方で、日本の算数・国語は全く勉強せず

帰国後、帰国生入試を受けるも不合格
地元の公立中学校に入学
公立中学では英語だけが少しできる「変な子」扱い
あいかわらず数学は平均以下

現在中学3年
「高校はどこに行けばいいのか」と親子で悩んでいる

 

 

【ケース2】カナダに1年間留学したマユさん

マユさんは、日本の高校に入学した直後、「英語を徹底的に鍛えたい」との家庭の方針で高校を休学してカナダのインターに1年間留学しました。寮生活で、親は日本に残っています。

当時の親の期待:「1年本気でやれば、帰国後は英語が武器になる。大学受験も有利に」

現実:

寮には日本人・韓国人・中国人ばかり。授業以外は各自が母国語
夕方からは自由時間
スマホゲームやYouTubeで過ごすことがほとんど

英語の授業も簡単に追いつけるわけはなく、1年後もTOEICは100点しか上がらず

むしろ問題は日本の学習
日系塾は近所になく、オンラインで家庭教師をつけるが、英語の家庭教師と両立が難しく断念
休学中に同級生は高校の重要単元(数学II、物理基礎など)を終了

帰国後は授業に全くついていけない
「英語だけできても、大学入試は5教科7科目。どうしようもない」と担任に言われた

現在は通信制高校に転校
希望の大学は「考え直している」状態

 

👇インター校留学には、インター校受験がありますよ

 

【ケース3】アジアのインターに中学(セカンダリースクール)相当学年で入学したジュンさん

ジュンさんは小学生までは日本の私立校でトップクラスの成績でした。先取り数学もおこない順調。英語も低学年から続け英検2級は5年生になる前に合格。中学からアジアの進学実績が良いインターに編入。親は「将来は海外有名大学か国内一流大学」を夢見ていました。

現実:

中1で編入するも、英語の壁が高すぎてサイエンスの授業が理解できない

多くの子は英語がネイティブで、インター校ではアカデミック英語を鍛えているため、どんなに英語対策家庭教師をつけても、その差は埋まらない

結局、学校の成績は常に最下位層。クラスメイトからもばかにされ、自信をなくし、学校に行きたがらない

日系塾にも通ったが、塾の同学年の生徒はかなり学力高め、英語力もあり、ますます差を感じる

日本の高校受験を行うが、英検1級が最低条件の帰国生枠では太刀打ちできない
そのままインター校在籍
このままでは「海外有名大学も難しいし、国内大学の帰国生枠も厳しいかも」という状態に
なんとかIBDPコースには入ったが、成績は常にぎりぎり
IBDPに専念するために日本語の学習は断念

現在は日本の私立大学の国際学部に進学し、大学生活を楽しんでいる

 

 

【ケース4】親に無理やり連れて行かれ、海外インター校に入学したリョウさんの場合

リョウさんは中学1年生の夏休みが始まった直後、父親の「お前の将来のためにいいチャンスだ」という一方的な決断で、急遽フィリピンのインターナショナルスクールに編入させられました。「子供に英語を身につけさせるのは今しかない」という周囲の帰国子女を持つ親たちの意見に影響された結果でした。

当時の親の期待:「現地に飛び込めばどうにかなる。若いうちは順応性が高い。1年もすれば英語で話せるようになり、たくましくなるはず」

現実:リョウさんは渡航前から英語が得意ではなかった。インターの授業はほぼ理解できず、先生の指示すら聞き取れない

クラスメイトは中国人、韓国人、ベトナム人が多く、彼らはすでに英語でコミュニケーションが取れるレベルで、仲間に入るきっかけすらつかめない

唯一日本語が通じるのは、同じタイミングで来た別の日本人男子1人のみ
しかしその子とは気が合わず、ほとんど話さない

放課後、学校が用意するスポーツやアートのアクティビティには一切参加せず、まっすぐ寮の自室に戻る

寮の部屋でスマホを取り出し、日本時間の夜に合わせてオンラインゲーム
日本の友達と通話しながら、深夜までゲームに没頭

授業中も睡眠不足でボーッとしているか、タブレットでゲームの攻略サイトを読んでいる
親が毎週のビデオ通話で「どう?友達できた?英語話せるようになった?」と聞く度に「別に」「普通」とだけ答え、画面も見ようとしない

学校のカウンセラーからは「適応障害の初期症状」と指摘されるが、父親は「甘え」と一蹛
母親は心配しつつも父親に逆らえない

現在、リョウさんは17歳
渡航から3年半が経過したが、英語力はほぼ渡航前と変わらず、現地の友達はゼロ
日本の友達とのオンラインゲームだけが唯一の生きがい
父親はさすがに状況を認め始めたが、「今さら日本に戻っても高校編入が難しい」と、そのまま通わせ続けている
リョウさんは「大学はどうでもいい。ゲームの配信で食えればそれでいい」と言っている

 

👇国内でも海外でも、国際バカロレアの学校は特殊です

 

【ケース5】親に連れられて来豪、勉強はするが、結果が出ないサキさんの場合

サキさんは中学2年生の時、母親の「グローバルに」という強い希望で、オーストラリアのインターナショナルスクールに転校しました。父親は国内で単身赴任を続け、母親が帯同して現地でサポートする形です。サキさん自身は特に留学したがっていたわけではなく、「ママがそう言うなら」という消極的な承諾でした。

当時の親の期待:「ちゃんと塾にも通わせるし、家庭教師もつける。勉強をしっかりやれば、英語もできるし、帰国後は帰国生入試でトップ校に合格できる」

現実:サキさんは真面目な性格で、言われた通り学校には毎日行き、授業も受ける。宿題も提出する

ただし、授業の理解度は常に平均よりやや下
英語でサイエンスやマスの授業を受けるスピードにどうしてもついていけない

日本人向けの補習塾に週3回通い、さらにネイティブの家庭教師にも週2回みてもらっている費用は月に10万円超

しかし成績は「下」から上がらない
クラスには幼少期から通うバイリンガルの子たちが多く、彼らとの差はまったく埋まらない
母親は「努力が足りない」と叱るが、サキさんは毎日夜遅くまで勉強している

「意味があるのかな」とサキさんが漏らすと、母親は「そんなこと言ってたら何も身につかない!」とさらに叱咤

学校の成績表を見るたびに母親の機嫌が悪くなり、家の雰囲気は常に暗い
父親は遠くから「無理しなくていいよ」と電話で言うが、それを母親が「甘やかし」と否定する

 

👇海外大学を目指すなら、最初に読む1冊。

 

現地での友達はできるにはできたが、ディスカッションやプロジェクトではいつも自分が足を引っ張る感じがあり、次第にグループから外されるように
「サキはまじめだけど、役に立たない」という評価が暗黙のうちに共有されている

3年後、サキさんは16歳。英語力は日常会話ができるレベルで、「留学した割には」という評価
数学や理科は日本の中学3年生レベルにも達していない
母親は「もう少し頑張れば…」とまだ諦めていないが、サキさん自身は「私、何のためにここにいるんだろう、お金と時間の無駄じゃないの」と本音を漏らすように

高校卒業後については「とりあえず日本の大学に入れればいいけど、どの大学も無理そう」と絶望感をにじませている
唯一の楽しみは、週末に日本から送ってもらったマンガを読むことだ。


【なぜ思ったようにいかなかった? 3つの大きな理由】

これらの例に共通するのは、親の「外国にいけば、インター校に入学すれば英語はある程度自然に上達する」という過度な楽観です。

理由1:インターナショナルスクールでも、英語は「自然に」身につかない

 

続きは👇

 

 

香港へ駐在される方は子供の学校選びに悩みつつ、最終的にインターナショナルスクールを選択することが多くなっています。

 

香港には日本人学校の小学校と中学校があり、非常に充実したカリキュラムを提供しています。実際、香港日本人学校から日本の難関中学校・高校へ受験・転入する生徒も多く、学力面での実績も十分です。

 

それでもなお、インターナショナルスクールを選ぶ方が多いのには、理由があります。

 

インター校ならではの魅力とは、国際的な環境で英語力を本格的に身につけられること、多様な文化背景を持つ友人と切磋琢磨できること、そしてIB資格などを通じて世界中の大学への進学ルートが開けていることです。


「日本の教育もしっかり受けさせたいけれど、せっかく香港にいるなら国際的な環境も経験させたい」そんなふうに考えるご家庭が、子供の将来を見据えてインター校を選択されるケースが増えているのです。

 

ここでは、インター校の選び方、日本人学校との比較、日本人学校のインターナショナルセクションや英語セクションについての説明を交え、子供にとってどの学校を選ぶべきかを考えていきます。

 

インターナショナルスクールが非常にたくさんある香港では、どこのインター校に入学するか、どこを選んだかで帰国後の学校が決まってしまうことも。香港での生活が決まったら、すぐに行動に移していかないと、定員が埋まった時点でどんなに成績が良い子供も、また特別な配慮が必要な子供の居場所もなくなってしまいます。

 

学校選びの参考にしていただくために、あえて私の個人的な見解もお伝えしておきます。

 

先に言っておきますが、私は個人的には日本人学校の英語セクションやインターナショナルセクションはお勧めしません。香港日本人学校の普通の日本語セクションはお勧めします。

 

日本人学校を選ぶのであれば、日本語セクションを選びましょう。中途半端に英語教育を入れるよりも、帰国時や日本の学校の受験を想定し、日本語で日本の公教育のカリキュラムを徹底的に学習するメリットは高いものがります。そもそも中学・高校受験は日本語で行われます。

 

日本語で各教科をしっかり固めつつ、英語は塾などでいくらでも伸ばせます。実際、香港の日本人学校の生徒の英語力は非常に高いものです。

 

また、一度インターナショナルスクールへ入学すると、その後、事情が変わって日本人学校への転入学を希望しても、受け入れが難しくなることがあります。これはその時の校長先生の判断によるところが大きく、必ずしも希望が通るとは限りません。もし可能性として考えておきたいなら、事前に日本人学校へ日本語で詳細を問い合わせしておくことが重要です。

 

そして、これは香港の学校だけの問題ではありませんが、在香港日本人の間での「噂」には注意が必要です。

 

自分の子どもが通っている学校の悪い話はなかなか表に出てこないものですし、逆に良い話は誇張が含まれていることも少なくありません。ママ友コミュニティの情報は参考程度にとどめ、最終的には自分の目で見て、自分の子どもに合うかどうかを判断基準にするのが一番だと思います。

 

また、ママ友からの噂より、信頼できる関係の人にお願いして、香港の教育事情や学校に詳しい誰かを紹介してもらい、その方からの情報をしっかり確認しながら見極めていきましょう。そういった人間関係を持っていることは、香港生活、特にインターナショナルスクールでの人間関係を良好に保つためにも役立ちます。

 

続きは、noteの記事ページから。👇 学校名と、その現状を書いてあるため拡散禁止です。

 

「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない

の最終話です。


9. IBは“道具”ではなく“土壌”

繰り返しになりますが、国際バカロレアは「医学科入学のための手段」ではありません。それは、知的な好奇心を育て、世界の複雑さに向き合う力を養い、自分自身の価値観や進路と真摯に向き合うための“土壌”です。

この土壌の上に、時間をかけて、自然に「医師になりたい」という志が芽吹いたとき、その志は非常に強く、しなやかで、どんな入試のプレッシャーにも負けないものになります。合格している生徒はそういう生徒です。

だからこそ、最初から「IBを利用して医学科を目指す」と考え始めたなら、一度立ち止まってみてほしいのです。

「IBDPという、日本の教育とは全く違う教育プログラムの中で、何を学び、何を問い、どんな人間になりたいのか。その先に、もし医学という道が自然と見えてきたならそのときは、迷わず選択すればよい」

IBDPの2年間は、実質1年半の期間です。そう言ってみれば短期間にどれだけ大変な課題をこなして、最終試験まで突き進むことになるかの現実に驚きを感じます。

その1年目を本気でやり抜き、さらに続ける。その中で「医師になりたい」という強い意志がまだあり医学科を目指すのであれば話はシンプルです。IBDPのカリキュラムを通じて鍛えられる批判的思考力、分析力、エッセイ作成能力、そして学習だけではないボランティやは課外活動の全て。その量を捌く自己管理能力は、医学部入試で問われる基礎学力や問題解決能力と決して異なるものではありません。むしろ、IBDPに真摯に取り組んだ先に身につくこれらの力は、医学部合格へと自然に結びついていきます。つまり、過度に受験テクニックに振り回されることなく、IBDPでの学びを深め続ければ、合格は自ずと見えてくる、それが結論です。

 

👇で全話が読めます。noteです。

 

「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない

の第8話です。

 

8. 受験の注意点

8-1) IBを活用できる医学科は限られている


日本の医学部医学科にIB資格で出願する場合、大きく分けて二つのルートがあります。

ルート①:IB特別選抜(国際バカロレア枠)や総合型選抜を利用する

一部の国公立大学および私立大学では、IBDP取得者を対象とした特別選抜を実施しています。

これらの特別選抜では、一般的な大学入学共通テストを受験する必要がなく、IBDPの成績や面接、小論文などで合否が判定される点が大きな特徴です。ただし、募集人員は各大学数名・若干名と少なく、人数的には狭き門であることに変わりはありません。高知大学ではIB特別選抜で実質10名以上の合格者を出すため、医学科においてIBDP入試にもっとも力を入れている大学と言えます。実際の入学者は数名になりますが、これは個別事情によるものです。各大学ともに同じことですが、きちんとIBDP最終得点において基準得点を達成し入学できるようにしなくてはなりません。

ルート②:外国学校選抜や海外生選抜を利用する

総合型とはわけて記載されますが、海外の高校を卒業した生徒の場合は、日本人でも外国学校選抜対象者になります。募集要項の熟読が必要です。

その中でIBDPの成績を評価対象とするため、IB特別選抜とは異なる基準があることがあります。

 

👇海外大学は絶対に合格できます。

海外大学 合格の 手引き

 

いずれのルートを選ぶにせよ、まずは「自分がどの大学のどの入試方式で出願できるのか」を正確に把握することが第一歩となります。募集要項の理解は非常に難しいため、疑問があれば再度熟読し、それでも疑問があれば事務局・問い合わせ窓口へ連絡しましょう。

8-2) 出願資格・スコア要件と科目選択

医学部のIB選抜で最も注意すべきは、出願資格の厳格さです。各大学が設定する条件は実に細かく、一つでも満たさなければ出願すらできません。

【スコア要件の実例】

横浜市立大学:全体成績評価40以上、かつ物理・化学・生物から2科目および数学の3科目を履修し、うち1科目はHL成績評価5以上、他の2科目はSL成績評価6以上またはHL成績評価5以上

岡山大学:全体成績評価39点以上、かつ物理・化学・生物から2科目および数学を履修し、うち1科目はHL成績評価4以上、他の2科目はSL成績評価5以上またはHL成績評価3以上

 

👇難関インターの場合は、これで入学が確定します。

成績だけではない。インター校に絶対に合格したい時に読む特別な「方法」: 入学試験、面接が間近でもすぐに始めることが必要 国際バカロレア (完全版)

 

というように、指定科目と成績の基準点があります。結果的に最終得点が満たされない場合は不合格になります。

注目すべきは、単に「高い合計得点」だけでなく、特定の科目を特定のレベルで履修していることが求められる点です。数学の選択科目(Analysis and Approaches / Applications and Interpretation)については、岡山大学ではどちらでも可とされていますが、大学によって指定が異なる可能性もあるため、事前確認が必須です。毎年改訂されるため、かならず最新の募集要項を熟読しましょう。

【日本語要件にも注意】

多くの国公立大学医学科では、IBにおける「日本語」履修を出願条件としています。「言語Aを日本語(HL・SL可)により履修し成績評価4以上、または言語Bを日本語(HL)により履修し成績評価6以上」などと定められており、日本語を履修していない場合は日本語能力試験N1などが別途必要です。日本語能力試験の日程調整も必要になります。

特に、海外のインターナショナルスクールでIBを履修している場合、日本語科目の有無が進路選択に直結するため、早めの確認が欠かせません。

 

👇チックがあるとイジメにつながります。

チック症とトゥレット症候群をコントロールする方法: 子供と学校生活、家庭での治療と自分でできるコントロールの方法

 

8-3) スコアだけでは語れない医学部が「本当に見ているもの」

読む前は「とにかくIBで高スコアを取れば合格できるのか」と思われるかもしれません。しかし、実際の合格者たちの声を聞くと、スコアだけでは決して語れない世界があることが見えてきます。同じ高校から受験した複数名の中から、合格できた生徒は比較的低いスコアだったということがあります。

岡山大学医学部に合格したある生徒は、IB最終スコア39点という数字で合格を勝ち取りました。これは横浜市立大学の40点以上という基準には届かない数字です。では、何が彼女を合格に導いたのでしょうか。

「志望理由書は、医療関係の体験をしていると書きやすいですし、強みになると感じました。私の場合は、医療関連の海外短期留学経験(3週間、トビタテ奨学金利用)や、ボランティアで行ったケア施設での活動が大きかったです」そのことに関しては誰がどんな質問をしても丁寧に意見を交えて返答できる自信があります。

また、CAS(創造性・活動・奉仕)の活動として2年間続けた子ども食堂でのボランティアをポイントにあげる生徒もいました。「幅広い世代の人々と交流することで、多様な価値観や生活状況に触れる機会も得られました。こうした経験を通じて、日本における貧困や、経済状況および家庭環境が健康に与える影響に関心を持つようになり、公衆衛生の視点から社会の不条理に向き合う医師を目指したいと考えるようになりました」

 

👇とにかく、いろいろ考えてみて。

 

これらの声から浮かび上がるのは、医学部の選抜が「医師としての適性」単なる学力ではなく、社会課題への関心、多様な人々と向き合う姿勢、そして「なぜ医師になりたいのか」という根源的な問いへの答えを総合的に評価しているという事実です。

8-4) 早期準備の重要性「IBDP開始前」から動き出す

医学科受験において勉強・各教科の偏差値アップは「早ければ早いほど有利」というのは、もはや受験界の常識です。しかしIB生の場合、この「早さ」の定義がさらに厳しくなります。

「医学部を目指す生徒さんにとっては、IBDPが始まる前の時期をいかに過ごすかが、その後の進路決定に大きな影響を与えます」

IBDPは高校2年・3年の2年間のプログラムです。1年では終えられません。
つまり、高校1年(インター校などでは卒業年の3年前の学年)はIBDPの準備年・プレIBDPとなります。

 

👇中学生からの行動が受験を変える。

 

この時期の決断と行動は非常に重要です。この期間の中盤にはIBDPの科目選択が行われ、学校の科目ごとの定員などの調整があります。大学入試に必要な科目を選択するわけですが、その選択希望科目をとれるかどうか、校内ではすでに競争となります。

さらにこの期間からの学習・課外活動が主に大学入試の願書や提出書類に書き込む内容となります。医学科志望理由書の「核」となる経験を始めているかは重要です。

もし何も始めていないなら、なにかに参加してきっかけを作ることから始めないと、手遅れになります。大きなことを始める必要はなく、既存の学校内ボランティア活動の機会に参加するだけでもかまいません。

何かをすでに始めている場合は、それを充実させるか、さらに他のことを行うか、またそれをどのように来年に活かしていくかというプランを作っていきます。

勉強だけではなく他の何かの実績が医学科合格には必要になりますから、他の何かを真剣に対策していくことができるのは、勉強が本格的に忙しくなるまえのプレIBDP期間が最適です。

次回第9話は
9. IBは“道具”ではなく“土壌”
です。簡単なまとめです。