選挙の日に考える、日本の教育への満足と選択
「小学4年生から受験勉強、中高一貫校を経て推薦で大学へ、そして就活」。このレールに乗って、日本の教育にあなたは満足していますか?
今日は投票日です。教育に携わる一員として、またこの国の未来を考える一人として、今一度、私たちの教育の姿を見つめ直す日にしてみませんか?
小学4年生から中学受験対策に明け暮れる子どもたち、中高一貫校で「あまり勉強しなくても」大学まで進める現実、大学では研究より就活。活動は就活のため。大学院では研究費が削られ、ぼろぼろのトイレとエアコンが消された部屋。そして「学歴」とみなされていない大学院。これらの状況を、私たちはどれだけ「当たり前」として受け入れているでしょうか。
選挙は、過去を忘れる日ではなく、未来を選択する日です。過去30年間の教育の在り方を振り返り、そしてここ一年で見えてきた変化の中で、私たちに求められている行動は何なのか。この記事では、教育の現場から見える課題と、投票がその課題解決に果たす役割について考えます。
30年前はそうではなかった。それが良い変化か、悪い変化か。あなたの考え次第です。
焦らされる教育:早すぎる「受験」の季節
日本の子どもたちは、早い段階から「受験」というレールに乗せられます。主要な進学塾では、小学4年生の段階で、中学受験に向けた高度で体系的なカリキュラムが始動します。国語では主語・述語・修飾語の関係や要旨のまとめ方を、算数では「つるかめ算」や「過不足算」といった特殊算を学び、社会や理科では入試を見据えた知識を体系的に詰め込まれていきます。
これらの学習は「思考力の育成」を謳いながらも、その実態は「本格化する中学入試のカリキュラム」の一環です。一部の進学校では、小学4年生の時間割は「週2日、60分×3コマ」に及び、夕方から夜にかけて塾通いが日常となる子どもたちも珍しくありません。遊びや様々な経験を通じて自己を形成するべき大切な時期に、子どもたちの時間と可能性が、早期の受験準備へと収斂されている現実があります。
レールとジレンマ:中高一貫校から大学、そして就職まで
受験競争を勝ち抜き、中高一貫校に入学した子どもたちは、確かに安定した教育環境を手に入れます。しかし、その裏には「あまり勉強しなくても大学までいける」という保証と、それが生む意欲の低下という構造的な課題が横たわっています。指定校推薦などの制度は確実な進路を提供しますが、一方で、コツコツと真面目に取り組む姿勢は評価されつつも、一般受験組に比べ基礎学力面での懸念が指摘されることも事実です。
大学に進むと、学生たちは「就職活動」という新たな巨大な壁に直面します。
近年、大学は研究機関としての役割以上に、就職予備校的な側面を強めている感があります。研究費は削られ、学生たちは授業よりも就活のエントリーシート(ES)や面接対策に時間を割かざるを得ません。
この流れは、大学院にまで及びます。一部では「学歴ロンダリング」(より上位の大学院へ進学して学歴を「塗り替える」こと)という言葉が示す通り、大学院さえもが「研究の場」というより、「就職のための最終学歴」として機能している側面があるのです。
投票が変えるかもしれない、教育と未来
このような教育の現状は、もはや個人や家族の努力だけでは変えられない、社会全体の仕組みに根ざした問題です。そして、その仕組みを変える可能性の一つが、今日の投票にあります。
今回の選挙では、実に36年ぶりとなる2月の投開票が実施され、それは大学入試シーズンと重なりました。このため、「精神的にも余裕がない」と投票を躊躇する受験生もいます。
日程が短期であるがために、在外での投票ができなかったり、大雪の影響で投票が難しかったり、受験期であるがために比較的若い層は行動が難しかったり。これは野党に不利にはたらき、与党は確実に表を獲得できる状況だと言われます。
重要なのは、各政党が教育政策にどう向き合っているかです。主要政党の候補者は、所得制限のない教育の無償化、大学授業料の大幅減額、給付型奨学金の拡充など、従来とは一線を画す政策を掲げています。
お金のことばかりですが、教育は30年間よい方向に傾いたのでしょうか? なぜそうなったのでしょうか?
「子どもを差別・分断しない」 ことを強調し、外国時ににまで幼保から大学までの完全な無償化を訴える声。
私立の学校を選択肢としていたのに、無償化で選択肢を排除するような動き。
「国が子どもを支える社会に」 変えるため、できたのはこども庁ではなく、こども家庭庁。
教育問題は単なる「子育て支援」を超え、この国の未来をどんな人材が担うのか、という根本的な問いなのです。
変革の一票を、今日という日に
日本の教育は、多くの子どもたちと家族に大きな負担を強いながらも、出口では就職活動という別の競争を生み出しています。幼少期から「受験」というレールに乗り、その先に待つのは「就活」というレール。このサイクルに、私たちはどこまで満足しているのでしょうか。
選挙とは、現状に対する静かな不満を、未来への明確な意思に変える行為です。過去30年間、教育を巡る議論はありながらも、抜本的な変革は先送りにされてきました。しかし、ここ最近の1年で、教育無償化の是非や財源論争がこれほどまでに政治の中心に躍り出たことは、確かな変化の兆しです。なぜそうなったのでしょうか? 野党が活躍できたからと言われます。
今日、投票所に足を運ぶその一歩は、子どもたちの過密な塾通いのスケジュールを眺めながら感じた疑問や、大学の研究環境の衰退に覚える無力感を、変えるための第一歩になります。「教育に満足していない」のであれば、その思いを忘れずに、変革を求める一票を投じる時です。あなたの一票が、子どもたちの時間と未来を、そしてこの国の教育の在り方を、少しだけ良い方向へと動かす力になるかもしれません。