第71話〜言って!
夕方の静まり返ったひろのオフィスで、ひろの携帯が鳴った。
電話の向こうにはみきの明るい声が聞こえた。
「もしもし」
『ひろ 今どこにいるの?』
「会社にいるよ」
『愛してる』って言って。
「な、なに言ってんだよ突然。ここは会社だぜ」
『早く、愛してるって!』
「ば、ばか言うなよ。周りに人がいるんだ。そんなこと言えるか」
ひろは周りを見渡しながら小声で答えた。
『いま、いま言って』
「あ、あとで帰ったら、ちゃんと言うから!」
そんなやり取りのあと、
ひろのすぐ上席の部長がニヤニヤしながらこう言った。
「ん?彼女から?なにを言えって?」
『い、いえ。なんでもないです』
「会社じゃ話せないことなんだ?」
「え、ええ。まあ‥‥」
『正直に話してごらんなさいな』
「はあ」
『んで、なんて?』
「あ、愛してるって言えと」
『ぶっ、あはははー。やるねえ、彼女!」
すっかり、みきにやられた、ひろだった。
電話の向こうにはみきの明るい声が聞こえた。
「もしもし」
『ひろ 今どこにいるの?』
「会社にいるよ」
『愛してる』って言って。
「な、なに言ってんだよ突然。ここは会社だぜ」
『早く、愛してるって!』
「ば、ばか言うなよ。周りに人がいるんだ。そんなこと言えるか」
ひろは周りを見渡しながら小声で答えた。
『いま、いま言って』
「あ、あとで帰ったら、ちゃんと言うから!」
そんなやり取りのあと、
ひろのすぐ上席の部長がニヤニヤしながらこう言った。
「ん?彼女から?なにを言えって?」
『い、いえ。なんでもないです』
「会社じゃ話せないことなんだ?」
「え、ええ。まあ‥‥」
『正直に話してごらんなさいな』
「はあ」
『んで、なんて?』
「あ、愛してるって言えと」
『ぶっ、あはははー。やるねえ、彼女!」
すっかり、みきにやられた、ひろだった。
第70話〜誕生日に
冬になったある日、ふたりはいつものようにメールでやりとりをしていた。
「だんだん ひろのこと忘れそう」
『なに言ってんだよ』
「だって‥‥』
『いつだってこうして 電話もメールもしてるじゃないか』
「いや、そうじゃなくて‥‥」
『じゃあ、なんだよ』
「もう!それだけ寂しいってこと!」
『そうか‥‥』
ふたりはいつか、一緒に暮らそうと誓い合っているけれど、
それがいつ、どこで、どんなカタチにするかは、まだ決まっていない。
ふたりの今の生活や仕事などの環境を考えると、
今はまだきちんと決められる状況ではないからだ。
お互いに似た性格は今となっては十分知っている。
だから、メールや電話の声で
どんな気持ちでいるのかは、手に取るように分かっているつもりだ。
「みき オマエの誕生日に行くよ」
『えっ?ほんと?』
「ああ、本当さ。ふたりで誕生日をまた祝おう」
『うれしい!』
ひろは早速、飛行機のチケットを手配した。
こうしてまた、広島行きが決まった。
いくつ夜を越えたら あなたに逢える
私を なにが急がせているの
いつも見つめ合い 寄り添い
愛のためになくすものなんて ないから
「だんだん ひろのこと忘れそう」
『なに言ってんだよ』
「だって‥‥』
『いつだってこうして 電話もメールもしてるじゃないか』
「いや、そうじゃなくて‥‥」
『じゃあ、なんだよ』
「もう!それだけ寂しいってこと!」
『そうか‥‥』
ふたりはいつか、一緒に暮らそうと誓い合っているけれど、
それがいつ、どこで、どんなカタチにするかは、まだ決まっていない。
ふたりの今の生活や仕事などの環境を考えると、
今はまだきちんと決められる状況ではないからだ。
お互いに似た性格は今となっては十分知っている。
だから、メールや電話の声で
どんな気持ちでいるのかは、手に取るように分かっているつもりだ。
「みき オマエの誕生日に行くよ」
『えっ?ほんと?』
「ああ、本当さ。ふたりで誕生日をまた祝おう」
『うれしい!』
ひろは早速、飛行機のチケットを手配した。
こうしてまた、広島行きが決まった。
いくつ夜を越えたら あなたに逢える
私を なにが急がせているの
いつも見つめ合い 寄り添い
愛のためになくすものなんて ないから
第69話〜二人だけ
ひろとみきが抱き合う時間は長い。
見つめ合ってキスをして、
お互いのぬくもりを感じはじめる。
やがて体が重なりゆっくりと揺らいでいく‥‥
ふたりともかつて、
こんなに愛し合う相手などいなかった。
身と心の相性の良さ‥‥
交わす言葉は二人とも名前と「愛してる」だけだ。
いつまでも揺らいでいたいと
すべてがひとつになるたびに思うのだった。
見つめ合ってキスをして、
お互いのぬくもりを感じはじめる。
やがて体が重なりゆっくりと揺らいでいく‥‥
ふたりともかつて、
こんなに愛し合う相手などいなかった。
身と心の相性の良さ‥‥
交わす言葉は二人とも名前と「愛してる」だけだ。
いつまでも揺らいでいたいと
すべてがひとつになるたびに思うのだった。
第68話〜妊娠
ひろがみきの住む街から帰ってきて少し経った頃だった。
いつものように電話で話しをしていたら、
みきは突然こんなことを言ってひろを驚かせた。
「ひろ こないよ‥‥」
『ん?なにが』
「こない‥‥」
ひろはピンときた。
「えっ?こない?まさか?」
『うん。こない』
「マジか?」
『わたし 産むから』
「そりゃ本当なのか?!」
『わたし 産むからね』
ひろは少しだけ心中が複雑になったが、
もしそれが本当であればそれはそれでいいと思った。
「もしそうだったら、きっと余裕で育てられるだろうなあ」
『うん そうね』
「子どもが20才になったら、オレはろくじゅう‥‥かあ」
『うん 高齢出産になるね』
「そうかあ」
ひろは、生まれたときの自分とみきの姿を思い描き、
そして育てているときのふたりも考えてみた。
それはそれできっと、楽しいんだろうなあと思った。
「そうなりゃ、もっと頑張って働かなきゃな」
『うん 頑張ってね』
しかし、それはみきのひろへのいたずらだった。
「みき その後 体調はどうだ?」
『うん 普通にね』
「あっ そお」
『うん』
いっぱい食わされたひろだった。
少しだけ楽しい夢を見させてもらったような気がした(笑)

いつものように電話で話しをしていたら、
みきは突然こんなことを言ってひろを驚かせた。
「ひろ こないよ‥‥」
『ん?なにが』
「こない‥‥」
ひろはピンときた。
「えっ?こない?まさか?」
『うん。こない』
「マジか?」
『わたし 産むから』
「そりゃ本当なのか?!」
『わたし 産むからね』
ひろは少しだけ心中が複雑になったが、
もしそれが本当であればそれはそれでいいと思った。
「もしそうだったら、きっと余裕で育てられるだろうなあ」
『うん そうね』
「子どもが20才になったら、オレはろくじゅう‥‥かあ」
『うん 高齢出産になるね』
「そうかあ」
ひろは、生まれたときの自分とみきの姿を思い描き、
そして育てているときのふたりも考えてみた。
それはそれできっと、楽しいんだろうなあと思った。
「そうなりゃ、もっと頑張って働かなきゃな」
『うん 頑張ってね』
しかし、それはみきのひろへのいたずらだった。
「みき その後 体調はどうだ?」
『うん 普通にね』
「あっ そお」
『うん』
いっぱい食わされたひろだった。
少しだけ楽しい夢を見させてもらったような気がした(笑)

第67話〜プロポーズ
別れの前日の夜も、
当たり前のように愛し合った。
ひろはみきを見つめてこう言った。
「みき オレと結婚してくれ」
『うん』
みきの返事を聞いてひろは、また強くみきを抱きしめた。
「永遠にオレのそばにいてくれ」
『うんうん』
みきの目から流れた一滴の涙を、
ひろは唇でやさしく拭い去った。
そしてまた抱きしめた。
ひろがみきに逢いに来た理由は、
自分自身の気持ちとみきの気持ちを確かめるためだった。
そして、正直な気持ちをみきに伝えた。
帰りの飛行機の中でひろは夢をみた。
教会の前の門の前に、三脚に乗った古いカメラがあった。
そのカメラのファインダーを上から覗くと、
教会の玄関に立つふたりの姿が見えた。
とても幸せそうな笑顔で写っていた。
当たり前のように愛し合った。
ひろはみきを見つめてこう言った。
「みき オレと結婚してくれ」
『うん』
みきの返事を聞いてひろは、また強くみきを抱きしめた。
「永遠にオレのそばにいてくれ」
『うんうん』
みきの目から流れた一滴の涙を、
ひろは唇でやさしく拭い去った。
そしてまた抱きしめた。
ひろがみきに逢いに来た理由は、
自分自身の気持ちとみきの気持ちを確かめるためだった。
そして、正直な気持ちをみきに伝えた。
帰りの飛行機の中でひろは夢をみた。
教会の前の門の前に、三脚に乗った古いカメラがあった。
そのカメラのファインダーを上から覗くと、
教会の玄関に立つふたりの姿が見えた。
とても幸せそうな笑顔で写っていた。