平野幸夫のブログ -4ページ目

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

新聞各紙の政治欄に必ず掲載され

ている短信記事には政局や政権の

内実を読み取れヒントが隠されて

いる。毎日なら「首相日々」、朝

日は「首相動静」……。首相が誰

と会ってどう過ごしたかを知らす

だけの記述だが、直近3連休の岸

田文雄首相の行動には、内外の情

勢にあきれるくらい危機感のなさ

が表れていた。国会の質疑が集中

しそうな旧統一教会との接点への

疑惑が高まる細田博之衆院議長、

止まらぬ円安、唐突に長男を首相

秘書官にした「親バカ人事」など

への批判にどう対応するのか。ど

こか投げやり気で、頭を引っ込め

時間だけが過ぎゆくのを待ってい

るだけの印象が際立つ。

3連休の行動で最も驚かされたの

は朝10時過ぎ、新幹線に乗って名

古屋経由で鈴鹿で開かれているF

1「日本グランプリ」に出席した

ことである。オープニングセレモ

ニーで数分間あいさつしただけで

、夕方トンボ帰りをいていた。途

中、静岡の豪雨災害の被災地を見

舞う気遣いもなかった。丸1日か

けて、一国の宰相がわざわざスピ

ーチしなければならない行事とは

とても思えない。オンライン画像

のスピーチで良かったはずだ。に

よる随行スタッフ、警備当局らの

費用がどれだけかかったのか明ら

かにしてもらいたいほどだ。

先週末は、細田議長が公表した紙

切れが世論の強い反発を招き、新

聞・TVの論調は、同じ「三権の

長」を、自分が何もしない口実に

している岸田首相の責任を問い始

め始めた。自民党内部から「首に

鈴を付けるのは首相しかない」と

いう声が出始めたという。ただで

さえ、茂木敏充幹事長が公表した

点検がずさんで、一部の議員を隠

していた内容が次々発覚している。
教団のイベントに出席した細田議

長が、教会を賛美し「安倍元首相

に様子を伝える」と言った映像が

連日、報道されていた。

そんな翌日の各紙の動静欄には「

来客なく、公邸で過ごす。午後神

田で散髪、夕方公邸」とあった。

休むのは結構だが、三重の「F1

」と併せ、緊迫感がまったく伝わ

ってこない。細田議長に「どう首

に鈴を付けるか」思案しているの

なら、連休明けに少しは気配が伝

わるはずだが、何もない。もしか

したら、本人に進退を任せるだけ

か。

安倍政権べったりのコメントを連

発し「スシロ-」と呼ばれた田﨑

史郎氏でさえ、先日の情報番組で

「これまでに見た最低の議長。早

く辞めるべきと思っていた」と評

していたくらいだ。こんな「御用

記者」に引導を渡されては、もう

お終いだろう。岸田首相がリーダ

ーシップを発揮して、送り出した

安倍派の幹部を説得して、辞任を

納得させれば、少しは支持率は回

復するだろうが、そんな気概も垣

間見えない。

野党は来週以降の衆参両院の予算

委員会でよほどの覚悟と戦略がな

ければ、国難に呆然と立ち尽くす

だけの岸田政権を追い詰めること

はできない。各社の内閣支持率は

依然急落している。どちらかとい

う高めに出る共同通信でも9月か

ら5・2ポイントダウンの35%に

なった。不支持率は半数に近い48

・3%に増えた。細田議長の対応

には何と87%が十分でないと答え

ていた。9割の人が反発している

という。

こんな時期に岸田首相はわずか31

歳の長男を首相秘書官に抜擢した

。選挙地盤を継承させたい個人的

な思惑だけが伝わり、批判が殺到

している。自分の早稲田大学時代

、父親の選挙を手伝った経験を同

じように積ませたいという世襲議

員ならでは発想だろう。難局の空

気も読めず。自ら恥じる気配もな

い。「親バカにつける薬あらず」

か。危急の時のトップの思慮なき

振る舞いがこれでは、国の行く末

を憂いたくなる。

   【2022・10・12】

内閣支持率が20%台に急落しても

野党第一党の立憲民主の支持率が

一向に上がらない。国を壊し続け

た「アベ政治」を継承した岸田政

権に対決する姿勢が希薄であるか

らだ。野田佳彦元首相の国葬参列

を許したり、政権に擦り寄る芳野

友子連合会長とできないのはその

表れである。野田元首相は近く国

会で安倍元首相の追悼演説まで引

き受けたという。野党は政権に対

峙するのが使命なのに、二人は「

敵に塩を送る」利敵行為を自覚で

きない。まさに「獅子身中の虫」

のような存在ではないか。これで

は二人と決別できない立憲の支持

が広がるはずもない。

党幹部の欠席を決めた立憲が最高

顧問の野田元首相になぜストップ

をかけられないのか。「葬儀に出

ないのは自分の人生観から外れる

」と個人の思いを述べて参列した

野田元首相を止められなかったこ

とがこの党の弱さである。201

2年、「社会保障と消費税の一体

改革」を安倍氏に約束させたこと

を口実に、事前の予想で惨敗必至

の無謀な衆院解散に踏み切ったの

が野田元首相である。案の定、政

権与党の民主は173人が落選す

る歴史的敗北を喫した。政権を取

り戻した安倍新首相はずっとこの

約束を反故にし続けたのである。
野田元首相は民主にとって「第一

級の戦犯」であり、除名こそふさ

わしい。

そんな人物に立憲が今も最高顧問

のポストを与えている。首相への

約束を守らず、政権を奪い取られ

た安倍元首相に国会で弔辞を送る

など、政治家としての資質を疑い

、言葉を失うほどだ。「人間とし

て」というなら、公の場でなく、

個人として手を合わせたら良いは

ずだ。

今朝の朝日新聞政治欄に立憲の小

沢一郎議員が野党第一党の役目を

記者に聞かれ、「間違った政治に

対して、野党は小異を捨て、まと

まって毅然とした態度を取るべき

だ。……国の将来を左右する問題

については、政治家たるもの、体

を張って命がけで反対しなければ

ならない。それが野党の仕事」と

述べていた。その通りだろう。

権謀術数を駆使して自民党を一時

野党に転落させ政権を奪取したか

つての実力者の言葉は重い。今は

無役といい、立憲執行部がしたた

かに政権交代を目指すなら「悪知

恵が働く」小沢氏こそ、最高顧問

に据え、党勢拡大のための助言を

聞くべきだろう。

もう一人、決別すべき人物は野田

元首相と同じ国葬に参列した芳野

友子連合会長だ。組織内でも批判

が高まり、芳野会長は「問題があ

るとの立場に立ちつつ、弔意を示

す一点においての判断だった」と

釈明を強いられた。傘下の産業別

労組は反対声明まで出していたの

に、政権与党に擦り寄る独善的な

振る舞いに対する振る舞いへの怒

りはなかなか収まらないだろう。

国葬だけでなく他にも麻生太郎元

首相らと食事を共にするなど、自

分が置かれた立場を忘れ、繰り返

される愚鈍な言動を止められない

。連合という組織の衰退ぶりがそ

こに表れている。

「提案型野党」を掲げていた立憲

の泉健太代表は党内から批判が高

まり、交替論まで出ていた。危う

さを感じたのか、衆院の代表質問

では細田博之議長に直接統一教会

との関係を質問するなど、わずか

に気概を示した。

しかし、細田議長は依然、記者会

見を拒否、また釈明を書いた紙切

れを議会運営委員長を示し、委員

長がそれを記者会見するという。

驕りきったふざけた対応ぶりだ。

この「伝言ペーパー」で済まそう

とすれば、世論のさらなる怒りを

呼び起すだろう。

    【2022・10・7】

きっとスピーチライターは「して

やったり」とほくそ笑んでいるこ

とだろう。安倍晋三元首相の国葬

で菅義偉元首相の弔辞の評価が高

まっている。フジTVなどは報道

番組のゲストに菅元首相を呼んで

、特番改めて賛辞を送っている。

しかし、国葬には反対の声が強く

、式後も批判が収まらない。岸田

文雄首相がより所にした弔問外交

はあいさつを交わしただけで何の

成果も誇示できなかった。「スガ

スピーチ」は国を壊し続けただけ

の「アベ政治」とそれに続く現政

権の負の遺産を覆い尽くす多大な

効果があったと警戒すべきだろう



今朝のフジTVの情報番組に呼ば

れた菅元首相は安倍昭恵夫人に頼

まれ、弔辞を考えた経緯を得意気

に語り出した。官房長官在任時、

記者会見で大事なことを一切語ら

ず、恫喝まがいの強権的な振る舞

いをし続けたことを忘れたかのよ

うな物言いだった。それに、橋下

徹氏が「スガスピーチ」を過度に

飾り立て、持ち上げていた。

「僕は今回の菅さんのスピーチは

人間性の表れであります。あれを

『演出』と呼ぶのは許しません」

維新代表時、何度も官邸を訪れ、

安倍元首相や菅長官との親密な関

係を誇示していた人物らしい太鼓

持ちを思わすコメントだった。

弔辞には「日本よ、日本人よ、世

界の真ん中で咲き誇れ。これがあ

なたの口癖でした」。菅元首相が

明らかにした安倍元首相が普段か

ら中身のない空疎な言葉を発して

いたことが、よく分かる。「美し

い国」という語句もよく使ってい

た。多くのスピーチの達人は「抽

象的な言葉は人の心に響かない」

と教える。安倍演説はいつもその

真逆の内容で、心酔するのは側近

や強く戦前回帰の価値観を抱く支

持者ばかりだった。

「銀座の焼き鳥屋で3時間説得し

た。我が生涯最大の達成です」

「(山県有朋の歌)かたりあひて

 尽くしし人は先立ちぬ 今より

後の 世をいかにせむ」

口下手で「ガース-」と呼ばれた

人物と思えない冗舌ぶりではない

か。SNSで感動が広がったとい

う内容に巧妙な演出が見えてしま

う。「焼き鳥屋」のくだりは「人

に気持ちを伝えるのは『シーンを

描け』という文筆家のよくある教

えに習っただけだ。ライタの介在

は疑いようがない。むしろ素材を

活かしたライターの技が垣間見え

る。山県の歌の引用は様々な仕掛

けが隠されている。山県は陸軍を

創設した人物で、国民的には人気

がなかった政治家であることを知

っておかなければならない。この

引用には、軍国主義的匂いが漂い

強い違和感を覚えた。

「世をいかにせむ」は内閣支持率

急落を見据えで暗に「岸田おろし

」による強権政治復活への決意が

伝わってこないか。危うい。危う

い。

「アベ・スガ政治」がもたらした

国の衰退は様々な経済指標に表れ

ている。平均賃金は既に韓国に追

い抜かれ、30年間ほとんど増えて

いない。かつて世界2位だったG

DPは何と19位にまで成り下がっ

た。止まることのない円安も金融

市場を国債をジャブジャブ発行し

たアベノミクスの行き詰まりによ

って、1ドル145円前後まで落

ち込んだ。通貨は国力の表れであ

り、村上誠一郎元行革相が安倍元

首相を「国賊」と呼んだのは、国

葬で「アベ政治」を看過できなか

ったからだろう。自民党安倍派か

ら「処分しろ」という声が上がっ

ているのは、それしか派閥が一致

できないからではないのか。今朝

の朝日新聞の川柳欄にあった句は

多くの民意を代弁していた。

「安倍さんに厚化粧して葬儀終え

」  (東京・鈴木了一)


    【2022・10・2】

朝からTV各局はまるで国民全体

が弔意を示しているかと錯覚させ

るような国葬関連画像をたれ流し

ている。新聞・通信各社の世論調

査で安倍晋三元首相の国葬に3分

の2に近い人が反対しているのに

、そんな民意はお構いなしの政府

への擦り寄りぶりだ。しかも日本

テレビの子会社が企画・演出を受

注、総合司会はフジの女子アナが

担当するという癒着ぶりである。

民主主義国家では政権批判をでき

ないメディアは「ラップドッグ」

(愛玩犬)と侮蔑される。メディ

アが本来持つべき「ウォッチドッ

グ」(番犬)機能を忘れた堕落ぶ

りを映し出す国葬でもある。

政府が誤った判断をすれば「ワン

ワン」とほえて、主人(国民)に

警鐘を鳴らすべき役割を例えたの

が番犬機能である。そんな最重要

な使命など知らぬかのように、国

葬イベントに自ら組したのが、日

テレ子会社「ムラヤマ」である。

この会社は安倍政権末期のスキャ

ンダル「桜を見る会」の会場設営

を担った。今春、日テレ傘下に入

った。政府は国葬も委託したが、

日テレは本来報道倫理上は返上す

べき立場だったのに引き受けさせ

た。さすがに、石沢顕社長の定例

会見で質問が出て「正しい手続き

で正当にに選ばれた。報道姿勢に

いささかも影響はない」と苦しい

釈明をした。

国葬の司会に起用されたフジの島

田彩夏アナウンサーにも驚かされ

た。普段フジTVのニュース番組

でよく顔をみるアナウンサーで、

公平中立を務めるべき報道倫理を

持っていれば、自ら辞退べきイベ

ントだったはずだ。しかし、安倍

元首相と日枝久会長が懇意だった

つながりから頼まれ「栄誉」とで

も思ったのだろうか。そうである

なら残念だが、道を踏み外した「

キャリアアナ」と言うしかない。

民意からかけ離れ、カネ、ヒト…

…政府への全面協力をいとわない

日テレ、フジ。改めて両局を「翼

賛放送局」と呼びたくなる。亡く

なった安倍元首相は生前、メディ

アを「敵、味方」に分断させた。
その結末が今回の政府による国葬

運営に表れたとも言えよう。

かつて米国によるベトナム戦争で

国防省の秘密報告書「ペンタゴン

・ペーパーズ」を内部告発し、戦

争終結への道を開いたダニエル・

エルズバーグさんは政府の言いな

りになって政権批判ができないメ

ディアを「ラップドッグ」と指弾

、政権とメディアの問題は日本で

も同じだ」と述べ、政府との癒着

を日本メディアは見て見ぬふりを

してきたと批判した。

一方、昨日の毎日新聞社会面トッ

プに今回の国葬について、95歳の

元高校教師がこれまでの5度の国

葬を知る立場から「人の死を国や

政治の利用するのは絶対あかん」

と警鐘を鳴らす記事が掲載されて

いた.


「内心の自由を飛び越えて、望ん

でもいないことを強制するのが権

力なんです。人の死を利用する点

で、戦時中の国葬と安倍氏の国葬

は似た点がある……国葬の背後に

は権力の怖さがあることを知って

欲しい」

「死の政治利用」という改めて本

質を衝いた言葉が、国葬を映す画

像に重なって胸に響く。


   【2022・9・27】

久しぶりに心ある保守政治家の良

心が伝わった。安倍晋三元首相の

国葬欠席を表明した村上誠一郎元

行革担当相の発言である。安倍政

権を評価し「財政、金融、外交を

ぼろぼろにし、官僚機構まで壊し

た。旧統一教会に選挙まで手伝わ

せた。国賊だ」と総務会後に述べ

たという。安倍派議員は「離党す

べき」と息巻くが、発言の何が納

得出来ないのか、具体手に反論も

できていない。アベノミクスの破

綻で国力は著しく低下してしまっ

た。明らかで止まらない円安だけ

みても、それは明白だ。既に不動

産なども外国から「買いたたかれ

る国」に成り下がっているではな

いか。さすがに悪行を重ねた張本

人を国葬で弔うことに我慢ならな

かったのだろう。「アベ政治」の

帰結としての「国賊発言」は強く

首肯できる。

村上元行革相は「モリ・カケ・サ

クラ」のスキャンダル発覚時当時

から辛口のコメントを出していた

が、特に地元愛媛で発覚した加計

学園の疑惑を憂いて姿が記憶に残

る。安倍派の幹部が「絶対許せな

い。8年8カ月首相を人を国賊呼

ばわりするのは」と息巻いたが、

これほど長期政権だったからこそ

、数々の失態を重ねてしまったの

である。

日増しに強まる「国葬反対」の声

にも岸田文雄首相は「丁寧に説明

をし続ける」としか言わず、強行

する構えだ。このままでは「国賊

を国葬にするのか」とヒートアッ

プした声も上がりそうだ。劣化が

顕著な放送メディアも20%台に急

落した内閣支持率をみてか、一部

の番組で政権批判が聞こえるよう

になった。

比較的在野精神をみせるTBS「

ニュース23」の小川彩佳キャスタ

ーが20日の放送で、国葬について

コメント。「安倍首相が在任中ど

うだったのか、旧統一教会との
つながりの深さは、など様々な論

点はあると思うんですが」と述べ

て「国葬への反対や疑問の声に真

摯に耳を傾けようという姿勢が政

府与党から見えてこない」と批判

し、岸田首相を至極真っ当な言葉

で指弾した。

「同じ説明を丁寧に繰り返すこと

が丁寧な説明でないはず」

分かりやすい物言いが胸に響いた

。「その通りだ」と思わず小さな

声を上げた。岸田首相には「検討

使」というあだ名がついた。何も

決められず、だらだらと現状追認

するだけの政治姿勢に対する絶妙

な風刺ではないか。

外信記事によれば、岸田首相は国

連演説で国連の機能改革をアピー

ルし「小さな声にも真摯に耳を傾

けながら、国際社会における法の

支配を強化するべく行動する」と

述べたという。官僚の作文だろう

が、まさに「どの口が言うか」で

ある。

独断で決めた国葬にあてはめると

、反対する人々にまったく「真摯

に耳を傾け」ていないではないか

。反対はもはや小さな声でもなく

、圧倒的な数の「NO」になって

きた。どの法律にも書かれていな

い国葬の強行は自ら「法の支配」

を踏みにじっていることに気が付

かないのか。そうだとしたら、

「暗愚宰相」と呼ぶしかない。無

思慮な国連演説は世界に「恥をさ

らした」と言えば、言い過ぎか。


     【2022・9・22】

「一体どの国のニュース番組か」

。TV映像に絶え間なく流れる英

国女王の葬儀イベントは連日トッ

プ扱い。見るたびに番組制作者の

思考停止ぶりに疑念が募り、暗然

とする。どの局も見知らぬ「英国

王室ジャーナリスト」らを起用、

「いかに女王が愛されていたか」

というコメントばかりが長時間語

られる。どの局も過剰で画一的だ

。1週間も続けられると、辟易し

「市民生活に何の影響があるのか

」「もっと大事なニュースがある

」と口に出したくなる。同じ国葬

でも安倍元首相の国葬は反対が断

然多くなったことや自民党の統一

教会調査のずさんさが際立ってき

たのに、十分に報じられない。こ

の過剰・画一報道は政権批判がで

きない放送メディアの劣化と惨状

を一段と視聴者に知らしめている。

それにしても自民党調査は発表後

、次々と統一教会との関係隠しを

していた議員が判明、関係議員を

少なく見せたい意図があったこと

が隠せなくなった。岸田文雄首相

、茂木敏充幹事長らの不都合なこ

とを隠し通す悪辣ぶりを一段と示

している。とりわけ「マザームー

ン」と言って韓鶴子総裁に何度も

すり寄り賛辞を述べた山本朋広元

副防衛相、岸田首相最側近の木原

官房副長官は自分が教団の関連団

体に出席しておきながら、隠し続

けていた。ネパールまで行って教

団関連イベントに参加した山際経

済再生相は当初否定していたのに

、調査では認めざるをえなくなっ

たが、教団信者のビラ配りやポス

ター張りを報告せず「確認できな

い」と嘘をついていた。名称変更

を認めた張本人である下村博文元

文科相は選挙での教団の推薦状ま

でもらい、写真におさまっていた

。それでも、「直前に渡されただ

け」と居直り、党の選挙公約に教

団の要望を反映した疑いが浮上し

た。

岸田首相は本人任せのアンケート

調査だけで幕引きを狙っているだ

ろう。誰一人責任をとらない出鱈

目さに有権者の怒りは増すばかり

だ。時事通信の世論調査では、内

閣支持率がそれまで最低だった毎

日新聞の38%をさらに下回り32・

3%になったのは必然だった。も

う内閣総辞職か解散を決断しなけ

ればならない、危険水域に近づい

てきた。安倍元首相の国葬につい

て、反対が51・9%と賛成の25・

3%をダブルスコアで上回ってい

た。このまま国葬を強行すれば、

30%割れは必至ではないか。

統一教会問題は日本国民の巨額の富

が韓国の邪教の信者らによって、収

奪されているという国家間に横たわ

る大がかりな詐欺事件である。被害

者救済に取り組む全国霊感商法対策

弁護士連絡会によれば、刑事事件化

した2009年以降だけでも全国で

正体隠しの勧誘による被害総額は21

億円にのぼっている。消費者庁への

被害相談件数は開設以来1000件

にのぼる深刻さである。保守政治家

なら率先して、再発防止に取り組み

なければならない事案のはずだ。

活字メディアは継続的に報道してい

るが、放送メディアは一部を除いて

早くも政府に忖度してか、ニュース

量が急激に少なくなった。この問題

を決着させるには新たな法整備しか

ない。しかし、自民党は「今の法令

で何ができるか最大限追及したうえ

で議論を進める」(岸田首相)とや

る気のなさを見せつけた。今後も教

団との関係を断ち切れないことは明

白な消極姿勢だ。

野党は好機である。立憲民主は「カ

ルト被害防止・救済法」(仮称)を

立案中と言うが、臨時国会で他の野

党を引き込み、何の手も打てない自

民党との違いを際立たせる戦略が求

められる。

10月の臨時国会では安倍元首相と教

団の深い関係や下村元文科相による

教団の名称変更に焦点をあて、その

経緯を問いただす必要がある。この

過程で「教団の宗教法人解散命令」

も目指すべきだ。そのためには報道

に頼らない、有志議員による調査チ

ームを編成、追及材料を収集するこ

とが求められる。ありきたりの質疑

では与党の多数に押し切られ、実が

ある結果は得られない。「モリ・カ

ケ・サクラ」以上の覚悟が問われて

いる。
    【2022・9・17】

予想通り、ボロボロと事後も癒着

の実態が相次いで発覚している。

幕引きの意図が露骨に見えた自民

党の旧統一教会に対する点検結果

公表後も教団と関係があった議員

が後を絶たない。自民党は数十年

にわたって教団と「反共」の絆を

深め、教団の跋扈を許した。調査

はその中核だった「安倍家三代」

の所業にまったく触れず、多くの

有権者が納得できる内容ではなか

った。週末の世論調査で内閣支持

率がまた急落した。国会を開かず

反対の多い安倍元首相の国葬を断

行しようとしたり、十分な説明も

なく原発再稼働を表明したことも

併せ、この「3悪行」が「凡庸政

権」の正体を現わしている。

新聞休刊日の朝、ネットニュース

で流れた朝日新聞の内閣支持率調

査に、岸田文雄首相は肝を冷やし

落ち込んでいることだろう。既に

毎日新聞の調査では支持率が38%

台に急落していたが、自民党の教

団自己点検結果公表後の週末の数

字は前回より支持率はさらに6ポ

イントも落ち込み41%になった。

注目すべきは不支持率が47%と半

数近くに増え、政権発足後最低に

なったことだ。

さらに、国葬に対する首相の説明

に64%の人が「納得出来ない」と

答え、「納得できる」と答えた人

が23%とトリプルスコアの差がつ

いたことも、政権に大打撃になり

そうだ。有権者は遅ればせながら

自民党と教団の癒着をもたらした

元凶を理解してきたのではないだ

ろうか。


国会の閉会中審査で野党の「安倍

元首相と教団の関係が明らかにな

っていない」との質問に、岸田首

相は「本人は死亡しており、調査

には限界がある」と答弁した。「

限界」という語句を使うのなら、

「ここまで調べたが、これ以上は

分からなかった」と声明するのな

ら一定の納得が得られるかもしれ

ないが、調査の内容を示さない」
まま「分からない」と言われても

、信用できるはずがない。

既に各紙の取材で、1954年韓

国で教団を創設した文鮮明教祖と

安倍元首相の祖父、岸信介元首相

が「反共」という理念で一致し、

A戦犯仲間の笹川良一氏の仲介で

親しくなったことが明らかになっ

ている。その後霊感商法が問題化

してからも、岸氏の娘婿で安倍晋

三氏の父親の安倍晋太郎元外相が

教団系の「勝共連合」の懇親会で

挨拶、系列の「思想新聞」に登場

していた。晋三氏も2015年、

教団関連団体「天宙平和連合」の

会合に、教団トップを礼賛するビ

デオメッセージを送っていたので

ある。狙撃事件後の元参議院議長

の証言では晋三氏が、教団票を差

配し自分の秘書官だった井上義行

参院議員を当選させたことも、判

明した。

「安倍家三代」が教団と自民党の

関係を深め、教団を増長させたこ

とは疑いようない。元首相が亡く

なるまで安倍派の議員ら中心にな

って、教団を礼賛した講演やメッ

セージを繰り返した画像が相次い

で明るみになった。一連の動かぬ

証拠で、関係議員らは否定しよう

がない。

細田博之衆院議長、萩生田光一政

調会長、山谷えり子元国家公安委

員長……らへの調査は不十分で、

このまま幕引きをはかろうとして

も、野党やメディアのさらなる追

及をかわすことはできない。いつ

までも国会を閉じることもできず

、10月の臨時国会では癒着隠し、

国葬強行が反発を強め質疑の中心

になるだろう。さらに、何の議論

もなく進めた原発再稼働と沖縄知

事選の与党の完敗が重なり、「や

ったふりだけ」を見せ、「丁寧な

説明を尽くす」と言って、逃げ回

るばかり。スタートして1年も経

たないうちに、もうこの「凡庸政

権」の末期が見え始めた。

    【2022・9・12】

岸田文雄首相の青ざめた表情が目

に浮かぶ。新型コロナウイルスに

感染したのは気の毒だが、旧統一

協会と自民党の癒着に知らぬ顔を

決め込んだ結果、毎日新聞の世論

調査で内閣支持率が一挙に16ポイ

ントも下落し、36%になった。不

支持率も54%と政権発足以来最低

になったが、教団による被害拡大

に怒る民意を甘く判断した必然の

数字だろう。教団と閣僚、党幹部

らの関係の深さを示す証言が次々

発覚しているのに、嘘で言い逃れ

する姿を次々見せつけられている

のが大きい。岸田首相が厳しい対

応をせず、今なお教団を「当該団

体」とあいまいにしていることへ

の反発も強い。このまま政権が何

の手も打たず、教団への「解散命

令」を出せなかったら、社会が致

命的なダメージを受けるだろう。

この問題は政権与党と教団のもた

らした「人の生き血を吸う」よう

な所業がはびこる病巣が深刻であ

るからだ。

岸田首相はこのまま野党が要求す

る臨時国会の召集を10月まで先送

りする意思を固めたようだが、国

会論戦を避ける手法は安倍・菅政

権と同じだ。明らかに憲法53条違

反で、野党の要求を重く受け止め

るべきとした岡山、那覇地裁の判

決にも逸脱しており、また新たな

提訴がだされそうだ。「私には聞

く耳がある」と言いながら、その

言葉に反する言動を繰り返す岸田

首相は期待を持たせた点で、以前

の政権より質が悪い。それでも「

丁寧で寛容な政治」と言い続ける

厚顔ぶりである。昨日の記者との

オンライン会見で「自民党として

は組織として関係がなかった」と

言い張ったが、新内閣の半数以上

に教団との癒着が指摘されてしま

った後の空疎な答えで、これから

も「何もしない」と言っているの

同然だ。

トップが毅然とせず、日和見的な

態度を改めないから、配下の党幹

部や閣僚らも、ひたすら頭をすく

め反省した素振りを見せるだけだ

。「教団と自民党は組織的関係は

ない」と言い切っていた茂木敏充

幹事長は強い批判に「社会的に問

題が指摘される団体と党は関係を

一切持たない」と釈明に追い込ま

れた。深い関係がなかったのなら

、こんな言い訳をする必要はなか

ったはずだ。唐突に党運営の指針

「ガバナンスコード」を盛り込む

と表明したが、これまでの癒着実

態の解明なしでは、言葉遊びと受

け取られるだけだろう。

教団名を改称した2015年当時

の文科相だった下村博文氏は、そ

の後も認証した明白な根拠を自ら

示せていない。教団は本部のある

韓国・ソウルで日本の信者らによ

る大がかりなメディア糾弾集会を

開催した。被害の拡大に加え、露

骨な反社会活動を繰り広げるのを

根本的に止めるには、宗教法人の

解散命令か反カルト法制定しかな

い。法制定はまだ時間がかかるの

で、当面は政府が宗教法人認可を

取り消し、実質的な解散命令を出

すのが有効ではないか。しかし、

岸田政権の体質ではこのまま黙っ

て、批判の嵐が通り過ぎるのを待

つだけだろう。

毎日新聞の世論調査では、政権に

さらなる痛手となる数字が出てい

る。安倍元首相の国葬について、

反対が53%と、賛成の30%のダブ

ルスコアに近づいてきたのである

。自民党幹部と教団との深い付き

合いはまだまだ出てきそうで、教

団票を長年差配し、広告塔になっ

てきた安倍元首相に弔意を示した

くない人はまだ増えそうだ。各地

で国葬への根拠なき国費支出差し

止め請求が出された。各地の弁護

士会が中心になって今後も提訴が

続きそうだ。

国葬反対の署名運動もスタートし

た。上野千鶴子さんや佐高信氏ら

有識者は今日からオンライン署名

を呼びかけている。法律学者の多

くが国葬には根拠法がなく、政権

が内閣府設置法を拠り所にしてい

る点に無理があると指摘している

。この法律には国葬をいう文言は

なく、内閣法制局が忖度して説得

力に欠ける法解釈で政権にすり寄

ったように映る。国会開催中なら

必ず質疑が集中していただろう。

このまま反対の声を無視して国葬

を強行しても、政権浮揚の効果は

ない。むしろ分断を招いた政治責

任が厳しく問われることになるの

ではないか。
     【2022・8・23】

「統一教会汚染議員」の聞き苦し

い言い訳のオンパレードである。

「応援のスタッフは知らない」

(北村経夫参院議員)、「私は

関係ありません」(山谷えり子

元国家公安委員長)、「(教団

名称変更)現場が判断した」(

下村博文元文科相)……。どの

釈明もこれまでの教団との深い

関係を否定するばかりである。

国会も満足に開かず、自民党は

元首相の銃撃事件を招いた元凶

に蓋をする気配だ。信者からま

き上げた年間500億円もの金

は今も韓国に環流されている。

被害を断ち切るには、「反カル

ト法」による規制しかない。政

権がもし立法に賛成できないな

ら、教団との付き合い自粛はポ

ーズでしかない。

臨時国会初日に登院し、記者ら

教団との関係を聞かれた議員ら

はまともに答えず、逃げ回る姿

ばかりが目立った。選挙事務所

のスタッフが教団関連団体から

派遣され、教団の支援議員にな

り、5回もイベントに出席して

いた北村議員は「全てを把握す

るのは現実的には不可能」と説

得力がない説明をするだけだっ

た。山谷議員は国際勝共連合が

全国に投票を呼びかける支援を

受け、それを示す文書まで残っ

ているのに、関係ないという素

振りをして、度し難い厚顔ぶを

見せつけた。

最も醜悪なのは下村元文科相で

ある。教団の名称変更が被害拡

大の節目だったことから最も多

く記者から質問を浴びた。それ

でも、自身が事前報告を受けて

いたことを認めながらも「大切

な案件なので現場が判断した」

と無責任な答えでかわそうとし

]た。その上で「文化庁が丁寧

に説明してもらいたい。私が言

っても信じない方がたくさんい

る」と話した。語るに落ちると

はこのことであろう。こんな言

い訳を信じる有権者がどれだけ

いるだろうか。あまりに批判が

収まらず、下村元文科相は4日

になって「今となったら責任を

感じる」と反省して見せたが、

詳細な説明抜きでは火種が消え

ることはない。

教団の不正と自民党の関わりに

ついて火消しに懸命な茂木敏充

幹事長はまたも党としての調査

せず、また「組織的関係はない

」と繰り返し、野党が要求する

第三者委員会による調査にも応

じない。秋の国会の質疑対象に

したくない意向が露骨に見えた


一方で岸田政権は教団の「広告

塔」になっていた安倍元首相の

「国葬」は強行する構えだ。し

かし、共同通信の世論調査では

「反対」が50%を超え、「賛成

」を上回った。自民党、とりわ

け安倍派の議員の多くが教団票

を自らの票田にしていた実態が

次々明るみになるほど、「反対

」はさらに増え続けるのは必至

だ。

このまま国会が規制に何の成果

も出せなかったら、教団は生き

延びて、被害者はさらに増え続

けるだろう。欧米では早くから

、教団の脱税を摘発、文鮮明教

祖は米国連邦裁判所で1年半の

有罪判決を受け収監された。1

年後に釈放されたが、妻の韓鶴

子氏と「世界皇帝、世界皇后」

を名乗って各国の信者から巨額

の収奪を繰り返したが、各国は

一斉に規制強化に乗り出した。

この国で遅まきながらも「カル

ト規制法を制定するなら、20

01年にフランスで施行された

「反セクト法」が参考になりそ

うだ。セクトとは社会的な警戒

が必要なカルト組織を指す。こ

の法律はカルト教団を識別する

ための判断基準を設けて識別し

ている。①精神的不安定化②法

外な金銭要求③元の生活からの

意図的な引き離し④身体に対す

る危害⑤子供の強制的な入信…

…などで、最後に「公権力への

浸透の企て」があり、これが今

回の「汚染議員」らにぴったり

当てはまる。

国会が新たに規制法を制定出来

ないなら、この国はずっと専制

国家以下の人権意識のない国と

見なされ続けるだろう。

    【2022・8・6】

(都合で次回は8月23日に掲

載します)