平野幸夫のブログ -5ページ目

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

安倍晋三元首相が「旧統一教会票

」を自民党に差配していた重要な

証言が飛び出した。伊達忠一前参

院議長が旧統一教会の組織票の割

り振りを安倍元首相に頼んだ」と

テレビ朝日の取材に証言した。茂

木敏充自民党幹事長が「党が組織

的に関与したことはない」と否定

したが、まったく虚偽だったこと

が早くも判明してしまった。伊達

元議長は安倍元首相が首相秘書官

だった井上義行参院議員に組織票

を回したことも認めた。一連の経

過は、安倍政権下で認証された教

団の名称変更は「モリ・カケ・サ

クラ」と同じ「国政私物化」のせ

いではなかったかとの疑念を一段

と募らせる。党のトップが長く培

養し続けた腐敗の全容解明なしに

国政の浄化は進まない。

安倍元首相の銃撃事件と教団との

関係について、今回ばかりはTB

S、テレビ朝日の報道が健闘して

いる。連日、安倍元首相や現職閣

僚の教団との癒着を動かぬ証拠の

映像で流し続け、関与議員は否定

出来なくなって、「頼まれただけ

」「支援者は区別できない」など

の言い訳を弱々しく述べるばかり

である。教団の集会に登壇して韓

鶴子総裁を礼賛し、媚びる姿は見

苦しい。TBSの「報道特集」は

教団が霊感商法によって被害者ら

からかき集めた金額は1000億

円を超えているという内部文書を

報じた。その大半が韓国に還流し

、教団幹部が「戦前の植民地支配

の報復」という証言が伝えられた

。さらに一部が北朝鮮に流れてい

た疑惑まで浮上している。こうし

た一連の報道について、普段から

韓国を敵視する「嫌韓」派の自民

党議員らはどう受け取っているの

か。日本人の「生き血」を吸い取

るような教団の所業はけっして容

認できないはずだ。それなのに、

なぜか党内から教団批判の声は上

がらない。不思議で仕方ない。教

団に媚びることは、彼らが最も嫌

う「売国的行為」ではないのか。

党全体が教団がもたらす「宗教利

権」にどっぷり浸っているからで

はないのか。

野党が次の国会で本気で国政浄化

を掲げ闘うなら、ターゲットは2

015年の下村博文元文科相が認

めた教団の世界統一家庭連合への

名称変更だろう。90年代後半から

全国で多発していた霊感商法によ

る被害が拡大、文化庁は97年の教

団の名称変更申請をずっと認めな

かった。下村元文科相は「最終的

に決裁したのは文化庁の部長だっ

た」と関与を否定した。しかし、

前川喜平元文科事務次官は「当時

事務方ナンバー2の文化審議官だ

った自分は宗務課長に『認めるべ

きでない』と伝えていた」と30日

付け毎日新聞で述べている。

前川元次官は「何らかの政治的判

断が働いていなければ、前例を1

80度変えるような方針転換は起

きない。下村氏の『部長だけで判

断した』という説明には無理があ

る。『だめだ』と言ったが認めら

れてしまったのは下村氏の指示が

あったとしか考えられない」と話

している。

どこか既視感のあるやりとりでは

ないか。現場の官僚の判断を覆し

、政権幹部が横車をおしたのは「

加計学園」事件と同じではないか

。官邸官僚が「総理のご意向」と

前川元次官を呼びつけて獣医学部

開設を求めたことが発覚した。こ

れと同じ構図にみえる。文鮮明教

団教祖は祖父の岸信介元首相と親

密な関係を築いてきた。当時首相

だった安倍氏に教団とトップが名

称変更の認可を依頼していたとし

ても不思議ではない。下村が意向

を察して認めたと見る方が自然だ

。最終決裁者の下村氏が自らの判

断根拠をつまびらかにする責任が

ある。

安倍元首相が残した「負の遺産」

はまだ精算が終わっていない。

国会は政界浄化のために反社会

的な教団活動の存続を止める責

任がある。次回国会は、一連の

癒着の全容解明の場にしなけれ

ばならない。
    【2022・8・1】

旧統一教会(世界平和統一家庭連

合)と自民党の癒着が次々と明ら

かになってきた。特に際立つのは

銃撃された安倍晋三元首相が率い

た元清和会の安倍派幹部らである

。教団名の変更を唐突に認証した

下村博文元文科相、細田博之衆院

議長は3年前、名古屋の教会主催

会合で韓鶴子総裁を持ち上げ「安

倍首相に盛会を報告する」と祝意

を述べた。さらに萩生田光一氏、

末松信介氏ら安倍派幹部らが歴代

文科相に名を連ねてきたのは、安

倍派が宗教法人の許認可権を手放

さなかった表れではないか。教会

は巧妙に「安倍派シフト」を構築

して、献金、選挙応援、パーティ

ー券購入などに便宜を図ってきた

。この持ちつ持たれつの癒着が銃

撃事件の引き金になった。メディ

アはこの利権構造に切り込んで、

戦後保守政治の正体を明らかにす

る使命が託されている。

女性記者らへのセクハラ疑惑から

逃げ切ったと思われた細田議長に

追い討ちをかけるよう教会との癒

着を民放各局が報じた。2019

年10月、名古屋での世界平和統一

家庭連合国際指導者会議で挨拶に

立った細田氏は冒頭わざわざ安倍

首相の名を挙げて、「始終安倍総

理と話しをしておりますので、さ

っそく盛会を報告します」と話し

、会場から大きな拍手がわき起こ

った。この物言いは、当時から教

団と安倍首相首相の親密な関係を

思わせ、細田氏が首相に代わって

出席した印象を与えていた。

安倍首相退陣直後、いち早く後継

総裁候補に名乗りをあげた下村氏

と教団の癒着はもっとあからさま

だ。2012年から2015年ま

での文科相在任中、世界平和連合

会から、後援組織「博友会」が、

何度も政治献金を受けていたり、

パーティ券を購入してもらってい

たことを週刊文春が報じている。

文科省は長く霊感商法など反社会

的な活動を繰り返していた統一教

会の名称変更を認めなかったが、

下村文科相在任中の2015年、

突然名称変更が認められたのであ

る。かつて文鮮明と親密だった岸

信介元首相が率いた派閥への長年

の攻勢が功を奏した形だ。霊感商

法による多くの被害者から損害賠

償請求訴訟が続いていた中、この

認証は政治判断が働いた結果とし

か思えなかった。

安倍元首相をめぐる加計学園疑惑

発覚当時、下村元文科相が学園か

ら200万円のヤミ献金を受け取

っていたことも追及された。野党

から追及され続けても下村氏は「

後で説明する」と逃げ回っていた

が、その約束をなお果たしていな

い。こんな利権ばかりが取り沙汰

される人物をずっと起用してきた

安倍元首相の本意はどこにあった

のか。教団との親密な関係を築い

てきた2人は何があっても一蓮托

生だったのかもしれない。

安倍元首相の秘書官だった安倍派

の井上義行参院議員は自ら賛同会

員になっていたことを認め、今回

の参院選で獲得票を倍増させて当

選した。これには世界平和統一連

合の支援が大きかったことを、井

上氏自身が認めている。

まだ他に同連合のイベントや講演

に参加したり、献金を受けていた

議員は多い。稲田朋美元防衛相、

高市早苗元総務相、山谷えり子元

国家公安委員長……。現職閣僚の

岸信夫防衛相と二之湯智国家公安

委員長も教団イベントに祝意を述

べたり、選挙支援を受けていた。

まるで「自民党総汚染」状態であ

る。茂木敏充幹事長が「組織的関

係はない」といくら否定しても、

まったく説得力はない。

取り締まるべき反社会的な組織か

ら利得をむさぼる薄汚い連中が、

安倍元首相の国葬を声高に叫ぶ。
まだ当初、銃撃事件の背景が分か

っていない時に比べて、国葬反対

の声は半数近くに増え始めた。安

倍派議員らを中心とした自民党と

と世界平和統一連合との癒着が明

らかになればなるほど、国葬開催

の正当性は一段と失われる。


    【2022・7・28】

安倍晋三元首相を銃撃した山上徹

也容疑者がなぜあれほど強烈な殺

意を抱き続けたのか。事件の背景

にある旧統一教会と自民党政権の

癒着についてまだ多くの新聞・テ

レビの及び腰の報道姿勢が目立つ

。それでも、週刊誌、夕刊紙など

の記事によって、政治献金、パー

ティー券購入、高額講演料……な

どの旧統一教会の「宗教利権」に

どっぷりはまった自民党の元閣僚

らの姿が判明し始めた。双方の政

治的思惑が一致して築いた「腐食

の構造」とも言えよう。山上容疑

者は安倍元首相をこの利権構造の

広告塔同然の存在とみなし、一段

と恨みを募らせたように見える。

岸田文雄首相が十分な議論もなく

唐突に決めた安倍元首相の「国葬

」について、「国家の意思で追悼

の思いを個人に強制する」という

批判が強まり始めた。各種世論調

査でも約4割の人が納得していな

い。根拠になる法律もないまま、

もし強行されたら、この国はさら

に法治国家とは言えなくなる。

国葬に反対する多くの人に共通す

るのは、「安倍元首相に哀悼の思

いは持つが、その功績については

評価が定まっていない」という気

持ちだろう。国家あげての催しに

しなければならないという正当性

に欠けるのは確かだ。事件を機に

新たに歴代自民党幹部や現職の同

党議員と旧統一教会幹部との親密

な関わりが次々明らかになってい

る。

昨日発売の週刊文春によると「安

倍側近」として知られた下村博文

元文科相が旧統一教会系の団体か

ら繰り返し政治献金を受けたり、

数十回にわたってパーティ券を購

入をしてもらっていたことが分か

った。下村元文科相についての最

大の疑惑は「統一教会の世界平和

統一連合への名称変更」にあたっ

て、当時の許認可権限のあった下

村元文科相が便宜を図ったのでは

という癒着である。ずっと認めら

れなかった名称変更が認められた

時期と文科相在任中と重なってい

たため、詳しい経過説明が求めら

れ、それを避けたたままなら疑惑

はさらに募る。遅まきながら立憲

、共産が被害者対策チームをスタ

ートさせたが、早急に調査報告を

出して、臨時国会の開催要求を急

ぐべきである。野党にとって格好

の政権与党追及のテーマであり、

自らの低落傾向に歯止めをかけら

れるどうかの正念場でもある。

同誌によれば、安倍元首相と親密

だった高村正彦前自民党副総裁は

旧統一教会の訴訟を引き受け、高

級車まで提供を受けていた。80年

代以降長く霊感商法を批判されて

きた団体から多額に相当する恩恵

を受けてきた無節操ぶりにあきれ

返るばかりだ。高村氏は高級車提

供について「不適切ですね。だか

らマズかった、と。それで教会と

関係を断ち切りました」と反省し

て見せたが、今さら白々しい。
高村氏は違憲の安保法制を強行採

決を推進させた中心人物でもある。


こんな薄汚れた顔を持つ人物らを

重用し続けた安倍元首相自身も旧

統一教会系の団体に礼賛メッセー

ジを送っていた。一連の政界工作

をめぐる経緯は山上容疑者が元首

相を攻撃対象にした動機と密接に

つながっているのではないか。

社会学者の宮台真司氏は今回の事

件をこう見立てた。「独特の世界

感と過度な資金集めを特徴とする

宗教団体が、長い時間をかけて自

民党などの政界に浸透しているよ

うに映ります。現代日本政治のタ

ブーが図らずも浮かび上がった形

になりました」(7月19日朝日朝

刊)

同じ思いを抱くが、メディアや野

党が同じようにタブー視してこの

社会にはびこる病理に立ちすくん

ではならない。

ある中国の古典の言葉を思い起こ

す。

「善悪の報いは影の形に随(した

が)うが若し」

「善事や悪事に対する報いは、影

が形に従うようにように、確実に

現れる」という意味で、今も不正

を自覚しない為政者に、警句とし

て投げかけたい。


    【2022・7・22】

あきれるばかりの戦意喪失ぶりだ

。野党第1党・立憲の泉健太代表

が安倍晋三元首相の国葬に対して

、当初黙認していたかと思うと、

党内の反発を受け、急に「閉会中

審査を」と言い始めた。元首相主

催の「桜を見る会」前夜祭の支出

をめぐって、安倍元首相は国会で

118回も嘘をつき、議会制民主

主義への信頼を失わせた。「モリ

・カケ」事件も決着していない。

戦後民主主義を壊し続けた張本人

を「テロに倒れた宰相」と美化し

、国費を使って礼賛するなど、あ

ってはならないことだ。元首相を

賛美してやまない自民党には事件

の背景になっている旧統一教会か

ら献金を受けたり、選挙で支援し

てもらうなど関係の深い議員が約

100人以上もいると報じられて

いる。野党は本来なら、臨時国会

を要求して、戦後長く全国で健全

な家庭を壊し続けた「邪教集団」

を取り締まる法律を新たに制定す

るなど、再発防止に取り組むべき

だ。それが野党の使命ではないの

か。同時に安倍元首相の祖父、岸

信介元首相以来、ずっと旧統一教

会系列団体の「広告塔」になった

経緯も詳細に解明しなければなら

ない。

「事件は社会の病理を映す鏡だ」。

新人記者教育で先輩らが何度も口

にした言葉が今回の事件ほどあて

はまることはない。旧統一教会が

その反社会的活動を覆い隠すため

与党政治家に献金、選挙応援、秘

書派遣など多岐にわたる工作を展

開していたことが徐々に判明し始

めた。政治活動という名目で隠さ

れた厚い岩盤の下で、醜い腐敗が

進行増殖し続けてきた。蓋を開け

れば、「霊感商法」による巨額の

収奪が全国で行われていた。事件

でそれが白日にさらされ、多くの

人にその深刻さを痛感させたので

ある。

被害者の相談に応じてきた「全国

霊感商法対策弁護士連絡会」によ

れば、5年間で50億円もの被害が

あったといい、数億円単位の被害

も少なくないという。山上徹也容

疑者の母親は1億円を取られ、家

庭が崩壊したことが判明している

。もちろん、徹也容疑者の犯行は

とうてい容認できるものではない

。しかし、強いられた極限の困窮

生活を想像すると、哀切の思いが

募り、胸に迫る。自衛隊勤務時代

、生活苦の兄妹に死亡保険金を渡

すため、自殺まではかっっていた

という。その経緯を語る叔父の言

葉には怒りがたぎっていた。

弁護士連絡会が関連のある自民党

議員に文書で注意を呼びかけたが

、安倍元首相はそれを無視し、昨

年9月、旧統一教会直系の「天宙

平和連合」(UPF)にビデオメ

ッセージを送っていた。これを見

た徹也容疑者が安倍元首相を「広

告塔」と見て、さらに怒りを募ら

せたという供述が徐々に明らかに

なっている。別の調査によれば、

3年前の安倍内閣の閣僚20人のう

ち、10人が支援、協力関係があっ

たとされる。

この癒着の実体を解明するため、

早急に臨時国会の開催を要求する

のが立憲の役割ではないのか。れ

いわ、共産、社民は既に国葬反対

を表明しているが、泉代表は何を

ためらっているのか。安倍政権が

どれだけ民主主義の土台を壊し続

け、国政を私物化してきたか、野

党議員なら骨身にしみているはず

だ。元首相は事件の犠牲者として

哀悼すべきだが、公費を使った国

葬を行うための歴史的評価は定ま

っていない。

参院に返り咲いた辻元清美議員は

先週末「国葬に反対します。安倍

政治の功罪はしっかり検証される

べき」と反対の意思を表明した。

大方の立憲議員の思いを代弁して

いるのではないか。薄汚れた与党

の宗教利権追及は、反転攻勢の材

料にもなりえる。

先の参院選では比例区で、立憲は

大幅に票を減らし、維新にも負け

た。敗因は「闘う野党」としての

戦意喪失が、有権者に見抜かれた

ことではないのか。泉代表が掲げ

る「提案型野党」など政権にとっ

ては、何の痛痒も感じないだろう

。傷を深めないためにも、もう代

表交代しかないのではないか。

   【2022・7・17】

 

予想をはるかに上回る「自民圧勝

」だった。参院選の投票結果は自

民が改選過半数を単独で確保、他

の改憲3党を合わせて、改憲発議

に必要な衆参の3分の2を超した

。投票2日前に起きた安倍晋三元

首相殺害事件が与党への大きな同

情票へのうねりを呼び起こしたの

は明白だ。容疑者は安倍元首相を

狙撃した動機を供述しているのに

、捜査当局はその事実を半ば隠蔽

し、当初メディアも安倍元首相と

旧統一教会(世界平和統一家庭連

合)との関係性を報じなかった。

安倍元首相は霊感商法で批判され

ているこの関連組織にビデオメッ

セージを送っていたことにも触れ

なかった。メディアはそんな「忖

度報道」を続け、今も「安倍礼賛

報道」一色の様相だ。事件の真相

を「知る権利」に応えなければ、

ジャーナリズムのさらなる衰退に

陥るばかりだ。

凶弾に倒れた安倍元首相には、哀

悼の意をささげたい。主張こそ違

え、今回のような蛮行によって命

を落とすいわれはないはずだ。二

度と同種事件の再発を招かないた

めにも、事件の全容解明は不可欠

である。ところが、警察史上、ま

れに見る大失態を犯した警備担当

の警視庁、奈良県警は自ら不手際

まともに向き合おうとせず、県警

本部長は「問題があったのは否定

できない」と口をにごすばかりで

あった。ありありと責任を回避し

たい気持ちが読み取れた。

メディアも捜査当局の判断を安易

に受け入れ、参院選終了まで「特

定の宗教団体」とそのまま伝え続

けた。まともな記者であれば「容

疑者が『特定の宗教団体』などと

言うはずがない。固有名詞を正確

に明らかにすべきではないか」と

突っ込むべきなのに、会見を見て

いる限り、記者からそんな声は上

がらなかった。事件記者OBとし

て情けない気持ちが募って仕方な

い。前線の記者なら不十分な情報

を事実を積み重ねて、読者や視聴

者に事実を伝える務めがある。そ

の気概があって、霊感商法の旧統

一教会と安倍元首相の関係性をも

っと伝えていれば、同情票は減っ

て、違う流れになっていたかもし

れない。

それ以前に看過できなかったのは

事件当夜の県警刑事部長と捜査一

課長の会見だった。容疑者が「(

安倍元首相の)政治信条に恨みは

ない」と供述し、宗教法人と元首

相の関係性について動機を詳細に

語っているのに、捜査一課長は「

特定の宗教団体に恨みがあった」

と容疑者が自白した具体的な宗教

団体名を隠し続けている。容疑者

周辺の複数のメディアの取材では

既に母親が旧統一教会の信者にな

って多額の金を寄付し、家庭が崩

壊した経緯が近所や親族の証言で

明らかになっている。取り調べで

容疑者は「安倍首相と統一教会と

つながりがあると思い込んで狙っ

た」と供述していたのに、県警の

会見では旧統一教会の名を伏せ続

けた。安倍首相が旧統一教会に肩

入れしていたことに焦点が当たれ

ば、参院選投票日を控えて、事件

の影響を抑えるための政治判断が

働いたとしか思えない。実際にあ

る局の投票分析では、安倍元首相

の事件後2日間で、投票先を自民

党に変えた大きな流れがあったと

報じていた。

死者にむち打つつもりはないが、

安倍元首相が生前、旧統一教会系

の天宙平和連合が開いた大集会に

ビデオメッセージを送り「皆様の

活動に敬意を表します」と述べ、

その映像が5分間流された。安倍

元首相の祖父、岸信介元首相が旧

統一教会の創始者と懇意にしてい

たことは霊感商法の被害者らの間

で広く知られていた。安倍元首相

は演説の中で「家庭の価値」を強

調し、教会の思想に共感を寄せて

いた。(しんぶん赤旗から)。安

倍元首相に強い反感を抱き続けた

容疑者の心象風景に立ち入るため

にも、詳細な検証を行わなければ

ならない。

霊感商法の被害者らを支援してい

る紀藤正樹弁護士は事件直後「奈

良県警は宗教団体の団体名を発表

すべきです。発表された宗教団体

もきちんと記者発表すべきです。

元総理が殺害されたという歴史的

かつ重大事件の殺害動機をあいま

いにすべきではないとおもいます

」と語っていた。(ヤフーニュー

スから)

事件を伝える各局のテレビのキャ

スター、アナウンサーらが喪服や

黒服に身を包んでいたのが、異様

に映った。そんな外見より「隠さ

れた事実」に肉薄することが報道

機関の最重要な役目である。

    【2022・7・12】

岸田政権の現職閣僚の口から、ま

たとんでもない暴言が飛び出した

。「野党の人からくる話は、我々

は何一つ聞かない」。議会制民主

主義を根幹から否定するような山

際大志郎経済再生相の演説である

。岸田文雄首相がアピールする「

聞く力」がどれほど空疎であるか

を示している。参院選の情勢調査

で、「与党過半数を超す勢い」と

報じられ、気が緩んだのか、与党

幹部から驕りと無知に染まった発

言が相次いだ。「山際発言」と合

わせた3連発は有権者を愚弄しき

っており、見過ごせない。こんな

政権への怒りが鉄槌に変わるかも

しれない。

有権者意識がわずかながら変化す

る予兆はあった。選挙中盤で、自

民の茂木敏充幹事長がNHKのテ

レビ討論で「消費税を減税したら

年金は3割カットになる」と恫喝

発言をして以来、年金を受給して

いる高齢者が離反し始めた。参院

選の焦点である1人区は野党共闘

が進まなかったため、与党の草刈

場状態だったのが、「茂木発言」

を許しがたいとする声が強まった

。先週末の毎日新聞の選挙情勢分

析では、3つの1人区で野党議員

が盛り返し、接戦になっていると

いう。

元々国会の質疑で、閣僚席から野

党議員に野次を飛ばしたり、質問

を遮ったりして評判が悪かった茂

木幹事長。年金支給と消費税は別

項目であり、リンクさせること自

体に無理がある。野党は消費税の

使途が社会保障の財源になるとい

う政府の説明自体が嘘だったと責

めていた。その追及は的を射てお

り、消費増税分の8割が借金返済

に充てられていたのである。痛い

ところを衝かれた茂木幹事長が追

及逃れに、恫喝に転じたのが経過

だ。有権者は現役世代も先進国中

で最下位の平均賃金であることを

改めて認識し、各党の賃上げ政策

をよく吟味して投票行動につなげ

てもらいたい。

3番目の暴言はいつもの麻生太郎

副総裁が口にした。「子どもの時

にいじめられたのはどんな子だっ

たか。弱いのがいじめられる。強

いやつはいじめられない。国も同

じだ」。ウクライナの侵攻を例え

て、あたかも攻められる側にも責

任があるかのような発言にへきへ

きする。いじめをどこかで正当化

するゆがんだ価値観を持つ男が首

相だったことを思い、改めてこの

国の政治の退廃ぶりを嘆きたくな

る。

もちろん岸田首相自身が「暴言3

連発」を注意した気配はない。ま

さかこちらで「聞く力」を発揮し

て、その言い分を聞いてうなずい

てはいないだろうな、と問いかけ

たくなった。自身はG7とNAT

Oの会議に出席したくらいで、帰

国後は何の存在感も感じさせない

。「中身が空疎だから、ビジョン

や国の将来像を語れないのではな

いか。国政選挙は政治家としての

抱負を熱く語る絶好の機会なのに

、まるでその熱気が伝わらない。

どんどん高くなる物価と円安に何

も手を打たないリーダーなど退場

してもらいたい。

このまま与党が勝てば、与党化す

る維新、国民を吸収し改憲の道が

一挙に開かれることになる。岸田

首相は安倍元首相ら極右勢力に押

されて、防衛費倍増、敵基地攻撃

などを進め、一段と軍事・外交で

対米従属色が強まるのは明白だ。

そうなれば、憲法のおかげで戦後

77年間一滴の血も戦争で流さなく

て済んだ平和国家が瓦解してしま

う。この参院選はそれを止める正

念場である。


    【2022・7・7】

世界のリーダーを気取って、NA

TO首脳会議に出席した岸田文雄

首相が「ならず者・プーチン」か

ら仕返しされた。ロシアがサハリ

ン(旧樺太)での日本のLNG(

液化天然ガス)権益を奪おうとし

ている。場違いのNATOの会議

に顔を出した岸田首相へのプーチ

ン大統領の不当な嫌がらせにみえ

るが、事前に防げたはずだ。岸田

首相は「すぐに止まるものではな

い」と言うだけで、対抗措置をと

る気配もない。軍拡路線に突っ走

るトップがどんどん国益を失わせ

ている。

したたかなプーチン大統領がロシ

ア制裁に加わった日本に強硬措置

をとることは必然だった。その上

で、したたかさな外交を駆使して

エネルギーの安全保障と権益を守

るのが首相の責務なのに、メンバ

ーでもないNATOにわざわざ出

席した。ロシア側の怒りを呼ぶこ

とは予想されたはずだ。「サハリ

ン2」から撤退を強いられば、日

本の各電力会社の電力供給に大き

な支障が出る。国民に節電要請を

しながら、政府自らが電力不足に

つながる振る舞いをするという政

治責任が厳しく問われなければな

らない。相手が「ならず者」だか

らこそ、したたかに相手の手の内

を読み解いておかなければならな

いのに、それを怠った結末だ。

合わせて27回もプーチン大統領と

首脳会談を重ねながら、何の成果

も得られず、巨額の経済協力をむ

しり取られた安倍晋三元首相の罪

も大きい。「ならず者」を増長さ

せた素地は、「揉み手外交」しか

できなかった安倍元首相がつくっ

た。2019年の首脳会談で、

「ウラジミール、君と僕は同じ未

来を見ている」と持ち上げ、「シ

ンゾー」と呼ばれうれしがった。

「まるで赤子の手をひねる」よう

な稚拙な言動を繰り返したことが

思い出される。

「ウラジミール」と呼んだ仲なら

、安倍元首相は今すぐにモスクワ

に飛んで、戒めるべきではないの

か。最近安倍元首相は「プーチン

は変わってしまった」と嘆いたと

いう。そもそも、相手の本性を見

抜けず自分の打算だけで動いてい

たことを恥じるべきだろう。

自分が参加しているある勉強会の

メンバーだった全国紙の元モスク

ワ特派員が山口での会談前、「今

度こそプーチンは(北方領土の)

2島返還に応じるかもしれない」

と期待を込めながら語っていたこ

とを鮮明に思い出す。しかし、そ

れまでの会談で、プーチン大統領

が数時間も会談に遅れたり、日本

の経済協力しか成果がなかった経

緯を見て、自分は「2島返還」な

ど応じるわけがないと思い、それ

を口にして、他のメンバーから眉

をひそめられたことがある。

案の定、プーチンは返還などには

応じず、1千億円をはるかに上る

経済協力を安倍元首相に約束させ

た。それどころか、その後、日米

安保に対抗する名目でミサイル基

地まで作られてしまった。

こんな日本の安全保障上の弱点を

作った反省もなく、岸田首相も同

じような愚行を繰り返している。

NATO会議に出て、中国が海洋

進出を強める懸念を表明したが、

北大西洋をとり囲む欧米の首脳に

は「ウクライナへの支援疲れ」が

見え、岸田首相が「ウクライナは

明日の東アジアかもしれない」と

アピールしても、彼らに切迫感は

感じられず、「中国リスク」を共

有できるはずもなかった。

外交の要諦は「隣国との良好な関

係維持」が第一である。どんな専

制国家でも戦争するわけにはいか

ず、辛抱強く付き合うしかない。

それをわきまえず、ウクライナ侵

攻に悪乗りして、防衛費倍増、敵

基地攻撃、核共有などの軍拡路線

は危うくて仕方ない。今朝の朝日

新聞の川柳欄に「岸田軍拡路線」

を不安がる句があり、思わずうな

ずいた。
「中国抜きにアジアと連携図るだ

と」     (大阪・遠藤昭)  

 

    【2022・7・2】

新聞のテレビ欄を見ると、この国

が今参院の選挙期間中とはとても

思えない。選挙公報のような候補

者紹介や予定調和で進行するNH

Kの政治討論会は見る気になれな

い。特に朝昼の民放キー局のワイ

ドショーは選挙報道が皆無に近く

わざわざ避けているとしか思えな

い堕落ぶりである。ロシアのウク

ライナ侵攻について、ロシアのプ

ロパガンダ報道をあれほど強く批

判したTVメディアが国政選挙に

ついては一斉に口をつぐむ。プー

チン大統領の強権ぶりを指弾する

資格はない。新聞の序盤の情勢調

査は「与党、過半数の公算大」と

、あたかも勝敗は決したような報

道ぶりである。政権与党幹部がほ

くそ笑む姿が目に浮かぶ。

参院選の最大の争点は「物価高に

よる生活苦」と減り続ける賃金だ

ったはずなのに、政権与党は防衛

費倍増、改憲の是非に争点ずらし

に躍起だ。本来なら、歯止めのか

からない円安による生活必需品の

値上げを、生活者目線で扱うべき

だろう。野党の多くが公約に掲げ

た「消費税減税」もほとんどの局

が扱わない。歯牙にもかけぬ扱い

は有権者が実現性の低い政策と思

い込ませる。どの局も天気やコロ

ナの生活支援金詐欺ばかりに時間

をさいている。画一・過剰報道は

テレビ局番組制作者らの無思考ぶ

りを表し、目に余る。有権者に代

わって、各党の政策を吟味する報

道機関の使命を忘れたかのような

惨状である。

今選挙で第一に検証すべきは「ア

ベノミクスの総括」ではないのか

。先進国の平均賃金は総じて大幅

増になっているのに、日本だけは

約20年前より下落しているという

現状をどれだけの人が認識してい

るのかという視点を持てば、「ア

ベ・スガ政権」の経済失政と何の

手も打てない岸田政権の無責任さ

を報じなければならない。「岸田

インフレ」「落ちぶれた日本」…

…。そんな語句が、メディアに飛

び交っても仕方ないのに、国の行

方を決める政治報道自体が皆無に

近い。一体何を恐れているのか。

最近のTV報道で特に気になる記

者の言葉遣いがある。「岸田総理

大臣としては…」「自民党の茂木

幹事長としては…」。報じる者の

立場を忘れて、権力者と一体化し

てしまっている表現が横行してい

る。「としては」の言葉遣いには

報道する相手との距離感がなくな

り、まるで相手に成り代わったよ

うな印象を与えることを知らない

のだろうか。「総理は」「幹事長

は」でいいではないのか。報じる

側の自分が権力者との近さを誇る

意思が図らずもにじみ出ているの

かもしれない。

特にNHKの政治記者らは際立っ

てこの言葉遣いを多用している。

安倍政権時、「安倍総理としては

……」の常套句を多用した岩田明

子記者の影響は大きい。NHK政

治部では、政権のおぼえめでたい

記者が出世する姿を見ているうち

に、当たり前のように若手記者が

同じ言葉遣いをしている。おそら

く、それがどんな批判的な目で見

られているか、その意識さえなさ

そうである。


「細田衆院議長のセクハラ」「岸

田派議員の『パパ活』」「自民党

京都府連の政治資金違反」はその

後どうなったのか。議員資質を疑

う事件が頻発したのに、テレビは

続報をほとんど伝えない。まるで

政権与党の広報機関に成り下がっ

たかのようだ。

権力と対立し緊張関係があってこ

そのジャーナリズムである。今回

の参院選で政権与党が予想通り勝

てば、国を一挙に軍拡・改憲路線

に引き込むとみるべきだ。「戦争

が出来る国」から「戦争をする国

」になるターニングポイントであ

る。歴史観を持たない記者や番組

制作者が国を破綻の淵に導くこと

に手を貸しているように見えて仕

方ない。
            【2022・6・27】

フランスの総選挙で、女性の清掃員

が与党の前閣僚を破った。マクロン

大統領の与党連合が惨敗し、格差是

正を求める急進左派の連合などが躍

進した一幕だった。ドイツは左派社

民党のシュルツ首相になり、南米の

コロンビアでは初の左派政権が誕生

、今秋のブラジル大統領選でも左派

の元大統領が有力視されている。世

界は「格差是正」を求める大きな政

治潮流がうねる。一方で先進国中唯

一平均賃金が下落した日本は、物価

高騰に円安が追い打ちをかける。き

ょう公示された参院選で、有権者は

「インフレ無策」の政府に厳しい審

判を下せるのか。

フランス総選挙で野党第一党に急進

した左派連合は急進左派「不服従の

フランス」は社会党、共産党、環境

政党で結成された。最低賃金の引き

上げなど、格差是正を掲げ都市部で

多くの議席を獲得した。前閣僚を破

った女性清掃員は西アフリカ・コー

トジュボワール出身で7年前に仏国

籍を得たばかりというというハンデ

ィがありながら、パリ郊外の選挙で

勝利した。勤務先のホテルに待遇改

善を求めるストライキを続けたこと

が多くの有権者の共感を得た。弱い

立場の人を救済すべき政治が機能し

た象徴的なシーンだった。

一方、極右「国民連合」も大きく勢

力を伸ばしたが、選挙戦では極右イ

メージを抑え、ガソリン消費税引き

下げなど物価高対策を強くアピール

したのが功を奏したという。右左問

わず、生活防衛の政策が投票判断の

決め手になることを示す。コロンビ

アの新大統領・ペトロ氏も貧困層に

土地を開放する目的で結成された左

翼ゲリラだった。下院議員時代には

汚職追放に尽力したという。キュー

バ革命の立役者、チェ・ゲバラの信

奉者がボリビアで殺された7歳の時

、父が涙したのを見て、政治に目覚

めたというエピソードが胸に響く。


「格差是正」が世界の政治潮流であ

るのは論を待たないが、参院選が迫

った日本では、与党自民党が公約を

発表したが、「円安放置」で輸入物

価高騰に何の有効策も打ち出せなか

った。それどころか、日銀の黒田東

彦総裁は国会で何度も「円安は経済

全体にプラス」と答弁、ついにはイ

ンフレを「家計の許容度が高まって

いる」と発言し謝罪、撤回を迫られ

てしまった。この間、岸田文雄首相

はようやく「生活総合対策本部」を

立ち上げたが、有効策がなく「やっ

てる感」を演出するばかりである。

自らも「欧米の物価高7%に比べ、

日本はまだ2%で低い」という弁明

を繰り返し、まるで真剣味を感じさ

せていない。

日本で平均賃金が上がらないのは、

低賃金の非正規雇用者が激増、全体

の40%までになったのが最大の要因

だ。賃金上昇を抑制し株価ばかりを

上げようとした「アベノミクス」が

破綻したという反省なくして、「新

たな資本主義」など何の共感も得ら

れないだろう。自民党の公約には「

同一労働同一賃金」などかつて野党

が掲げていた公約が並ぶが、言葉ば

かりで政策実現の道筋は見えない。

4日前の毎日新聞世論調査結果は岸

田内閣支持が前回から5ポイントも

下落して48%になった。支持率低下

は今年2月以来で、66%が「物価高

苦しい」と答えた。政治家の想像以

上生活苦を感じる人が激増している

表れではないか。この結果を見て、

野党は世界の政治潮流に乗って「消

費税減税」一点で共闘を模索すべき

だろう。実現できれば、勝利出来る

のではないか。与党がロシアのウク

ライナ侵攻に悪乗りして性急な防衛

費倍増、憲法改悪などをアピールし

ても、専守防衛を堅持する姿勢を強

調して真正面から相手にせず、生活

防衛だけを争点にして政府の無策を

浮かび上がらせればよい。したたか

な知恵と手練手管の戦術を駆使して

論戦に勝たなければ、フランスの野

党のような勢力拡大は期待できない。

   【2022・6・22】

政権発足時、「令和版所得倍増」

を掲げた岸田文雄首相は最近、

この言葉を口にしなくなった。

経済界に呼びかけてもに一向に

賃金が上がらず、実質賃金は下

がり続け先進国で最下位、韓国

にも抜かれてしまった。インフ

レにも無策のまま。「成長と分

配はどこに行った」と問いかけ

たくなる。そんな有権者の怒り

からか、急速に「岸田インフレ

」のフレーズが拡散し始めた。

参院選まで約3週間に迫り、よ

うやく「やったふり政治の」実

像が鮮明になってきた。

盤石に見えた政権基盤も、じわ

じわと支持者離れによって揺れ

動き出した。そんな逆風を感じ

始めたのか、岸田首相は国会閉

会にあたって、「感染症危機管

理庁」や「こども家庭庁」の立

ち上げをアピールした。しかし

、いずれも規模やスタッフの内

容も決まっていない。インフレ

には「物価・賃金・生活総合対

策本部」の設置を表明したが、

こちらも中身の説明がない。記

者会見でこうした方針を語る岸

田首相に内閣記者会会の記者ら

はまったく突っ込んだ質問が出

来ず、まるで政府公報連絡会の

ような有様である。

同じ日に開かれた新型コロナウ

イルスの政府有識者会議の報告

書も政府の自己弁護ばかりが際

立った。当初からメンバーに感

染症の専門家が一人もおらず、

御用学者や専門外のエコノミス

トらが目立ち、あまり期待され

ていなかったのも確かだが、報

告書のあまりの薄っぺらに怒り

の声が上がったほどだ。常に議

論を茶化すだけの古市憲寿氏や

コンサルタントらはお飾り的存

在み見えた。記者会見に座長の

大学学長が出ず、官僚が文章の

説明をする姿に危機意識の欠如

がにじみ出ていた。

政府寄りの尾身茂分科会会長は

「呼ばれたが(説明は)たった

7分」と暴露したほど。毎日新

聞の解説記事によれば、会が立

ち上がる前から官僚が集められ

、必要な資料作りが行われ、筋

書きが出来ていたという。

第6派で批判が集中したワクチ

ン3回目接種の遅れについても

、前堀内詔子ワクチン担当相の

能力のなさと大失態にはふれて

おらず、まったく検証の名に値

しない。首相肝いりの組織が、

いかに体裁を繕うだけの運営だ

ったかというのが、よく分かる。

こちらも岸田首相のリーダーシ

ップのなさによるものだろう。

一声「中身あるものにしてくれ

」と言えば、緊張感がでて、実

のあるものになったかもしれな

い。今後設置を目指すとする感

染症危機管理庁のトップは官房

長官が兼ねるといい、欧米のよ

うに専門家を司令塔にするとい

う発想もない。もしかしたら厚

労省の既得権益が失われるとい

う思惑によって、外部起用が阻

止されたのかもしれない。今後

新たな感染症が流行しても、ま

た各省庁からの寄せ集めの官僚

がそれぞれの出身官庁の既得権

益を代弁する動きをするのでは

ないか。


国会は閉会したが、「アベ・ス

ガ政権」当時と同じように、重

大な政治スキャンダルが相次い

で発覚した。細田衆院議長によ

る相次ぐセクハラ行為、岸田派

だった吉川赴衆院議員の「パパ

活」疑惑だ。いずれも責任逃れ

の言動を繰り返している。長期

政権がもたらした驕りと腐敗体

質は何も変わっていない。「強

面の言動が嫌われたアベ・スガ

政権よりましだ」という消極的

な支持が、一挙に無策の政権怒

りに変わってもおかしくない。

参院選が終わると、しばらく国

政選挙がなく、政府寄りメディ

アは「岸田首相には選挙後に

『黄金の3年』が待っている」

と分析するが、有権者の怒りを

考慮すれば、けっして安泰には

見えない。


    【2022・6・17】