「国葬反対」なぜ言わぬ | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

あきれるばかりの戦意喪失ぶりだ

。野党第1党・立憲の泉健太代表

が安倍晋三元首相の国葬に対して

、当初黙認していたかと思うと、

党内の反発を受け、急に「閉会中

審査を」と言い始めた。元首相主

催の「桜を見る会」前夜祭の支出

をめぐって、安倍元首相は国会で

118回も嘘をつき、議会制民主

主義への信頼を失わせた。「モリ

・カケ」事件も決着していない。

戦後民主主義を壊し続けた張本人

を「テロに倒れた宰相」と美化し

、国費を使って礼賛するなど、あ

ってはならないことだ。元首相を

賛美してやまない自民党には事件

の背景になっている旧統一教会か

ら献金を受けたり、選挙で支援し

てもらうなど関係の深い議員が約

100人以上もいると報じられて

いる。野党は本来なら、臨時国会

を要求して、戦後長く全国で健全

な家庭を壊し続けた「邪教集団」

を取り締まる法律を新たに制定す

るなど、再発防止に取り組むべき

だ。それが野党の使命ではないの

か。同時に安倍元首相の祖父、岸

信介元首相以来、ずっと旧統一教

会系列団体の「広告塔」になった

経緯も詳細に解明しなければなら

ない。

「事件は社会の病理を映す鏡だ」。

新人記者教育で先輩らが何度も口

にした言葉が今回の事件ほどあて

はまることはない。旧統一教会が

その反社会的活動を覆い隠すため

与党政治家に献金、選挙応援、秘

書派遣など多岐にわたる工作を展

開していたことが徐々に判明し始

めた。政治活動という名目で隠さ

れた厚い岩盤の下で、醜い腐敗が

進行増殖し続けてきた。蓋を開け

れば、「霊感商法」による巨額の

収奪が全国で行われていた。事件

でそれが白日にさらされ、多くの

人にその深刻さを痛感させたので

ある。

被害者の相談に応じてきた「全国

霊感商法対策弁護士連絡会」によ

れば、5年間で50億円もの被害が

あったといい、数億円単位の被害

も少なくないという。山上徹也容

疑者の母親は1億円を取られ、家

庭が崩壊したことが判明している

。もちろん、徹也容疑者の犯行は

とうてい容認できるものではない

。しかし、強いられた極限の困窮

生活を想像すると、哀切の思いが

募り、胸に迫る。自衛隊勤務時代

、生活苦の兄妹に死亡保険金を渡

すため、自殺まではかっっていた

という。その経緯を語る叔父の言

葉には怒りがたぎっていた。

弁護士連絡会が関連のある自民党

議員に文書で注意を呼びかけたが

、安倍元首相はそれを無視し、昨

年9月、旧統一教会直系の「天宙

平和連合」(UPF)にビデオメ

ッセージを送っていた。これを見

た徹也容疑者が安倍元首相を「広

告塔」と見て、さらに怒りを募ら

せたという供述が徐々に明らかに

なっている。別の調査によれば、

3年前の安倍内閣の閣僚20人のう

ち、10人が支援、協力関係があっ

たとされる。

この癒着の実体を解明するため、

早急に臨時国会の開催を要求する

のが立憲の役割ではないのか。れ

いわ、共産、社民は既に国葬反対

を表明しているが、泉代表は何を

ためらっているのか。安倍政権が

どれだけ民主主義の土台を壊し続

け、国政を私物化してきたか、野

党議員なら骨身にしみているはず

だ。元首相は事件の犠牲者として

哀悼すべきだが、公費を使った国

葬を行うための歴史的評価は定ま

っていない。

参院に返り咲いた辻元清美議員は

先週末「国葬に反対します。安倍

政治の功罪はしっかり検証される

べき」と反対の意思を表明した。

大方の立憲議員の思いを代弁して

いるのではないか。薄汚れた与党

の宗教利権追及は、反転攻勢の材

料にもなりえる。

先の参院選では比例区で、立憲は

大幅に票を減らし、維新にも負け

た。敗因は「闘う野党」としての

戦意喪失が、有権者に見抜かれた

ことではないのか。泉代表が掲げ

る「提案型野党」など政権にとっ

ては、何の痛痒も感じないだろう

。傷を深めないためにも、もう代

表交代しかないのではないか。

   【2022・7・17】