銀行などの大手金融機関は、すべてが信頼できると考えてしまいがちです。


 相続財産の内容は、もちろん、オープンにしなければなりません。

ただ、オープンにするからには、信頼できる相手を選ばなければならないことも、至極当然のことであります。


 大手の金融機関なら信頼できろし、そのスタッフ方も優秀だろう、加えてサービスも充実しているだろうとまで考えてしまいます。


 実際、このような考え方のもと、銀行の「遺言信託」を利用している人は、少なくないことも事実と言えます。


 ただし、「遺言信託」を依頼することが、相続対策になるかどうかは、これまた慎重な判断が必要です。


 「遺言信託」は、公正証書遺言書の作成、その遺言の執行といったことが、主な業務です。


 しかし、ここで大切なのは、どういう内容の遺言にするかです。

被相続人の生前のうちに、どのような対策を行うかです。

たとえば、「財産の組み換えなど」といったことです。


 これらについては、銀行の「遺言信託」では、皆さん方が多く期待するほどのなサービスは受けられないと考えておくべきでしょう。


 相続税の試算などは、その銀行から委託された税理士の先生にしていただくこともできるかも知れません。


 ただ、本当に具体的な相続対策まで踏み込んでやっていただけるかは、これまた不明です。



      行政書士 平 野 達 夫


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 被相続人の父親が亡くなりました。

早速、信託銀行が遺言の執行に入ります。

被相続人が作成した「遺言書」どおりの、「遺産分割」を行おうとしました。


 しかし、被相続人の遺族は、猛反対します。

被相続人が「遺言信託」していたことすら、遺族は知りませんでした。


 そもそも、その「遺言書」の内容と、遺族の合意していた内容とに、大きな隔たりがあったのです。


 被相続人には、4人の子供がいました。

近隣に住む長男・次男と、遠くに嫁いだ長女・次女です。


 財産総額から見て、かなりの相続税もかかります。

幸い、長男も次男も仕事が順調で、ある程度のお金はあります。


 また、長女や次女は、長年、被相続人の近くに住む長男や次男が多めに相続することには、納得していました。


 そもそも、遠くに嫁いでいる長女や次女にとっては、実家の近くの不動産をもらっても、逆に困ります。


 そこで相続人である4人の子供たちは、「不動産は、すべて、長男と次男で相続する」、「長女と次女で、現金を相続する」、 さらに、「その代償交付金として、長男と次男から相当の金額を、長女と次女に渡す」というかたちでの合意がなされていました。


 ところが、相続が発生し信託銀行が行おうとしたこと、すなわち、被相続人の「遺言書」に記載してあったことは、「自宅は長男、近隣のマンションは次男、駐車場は長女・・・・」というように、不動産を4人の子供に分ける内容でした。


 被相続人である父親は、「4人がなるべく平等に」ということしか考えていなかったのです。


 それが、被相続人である父親が、「公平で紛糾しない」分け方と考えていました。


 信託銀行から紹介された税理士の先生が行った試算を基に、「4等分に近い」分割案を考えました。

それをそのまま、「遺言書」に記載しただけだったのです。


 信託銀行は、遺言を執行するのが仕事です。

遺族がそれに異を唱えたことで、信託銀行とは、弁護士を立てるほどの争いとなってしまいました。


 最終的には、なんとか話し合って、この「遺産分割」は、4人の遺族の合意どおりに行うことで落ち着いたようです。


 ただ、弁護士先生への報酬は、被相続人の4人の遺族が負担します。

また、信託銀行から紹介された司法書士の先生には、「不動産の名義変更、預貯金の名義変更」をしてもらい、ここでも、報酬が発生しました。


 さらに、信託銀行には、「遺言執行報酬」を、規定どおりに支払うことになりました。

「相続財産の1%」という規定があります。

大変なことです!


 被相続人の遺産総額は相当な額であったことから、この「遺言執行報酬」は、かなりの額になってしまいました。

信託銀行は、それはそれは、しっかりと収めてしまいます。


 このように、この「遺言信託」が、後に、大きなトラブルのもとになりました。

時間を浪費させただけなのに、これだけの報酬を払うということは、どうにも納得いかないところでしょう。


 いかがでしょうか。

あなたは、納得できますか・・・・。



      行政書士 平 野 達 夫


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 財産は、きちんとオープンしなければなりません。

自分が亡くなった後、配偶者や残った子供たちが対立しあうようなことがあってほしくありません。


 そのためには、被相続人としては、予め「きちんとした対策」を講じておく必要があると考えます。


 そこで、このように「きちんとしておく」意味で、信託銀行の「遺言信託」の利用考えます。


 遺言信託とは、遺言を中心とする相続関係業務を信託銀行にゆだねる制度といってもよいでしょう。


 基本的なものとして、先ずは、「遺言書の作成」や「保管」があげられます。


 この遺言書は、「公正証書遺言」となります。

「公正証書遺言」は、紛失したり、改ざんされたりする心配がない遺言書といえます。

その代わりに、作成時にコストも発生します。


 ほかに、被相続人の相続発生後の信託銀行の業務には、「遺産の名義変更」の手続きや「遺産の処分」などがあり、これは手続き代行と言われるものです。


 更に、戸籍などの関係書類の取得から、財産の名義変更に至るまで、まとめて依頼できます。


 また、「相続税の申告」が必要なケースでも、信託銀行が提携している税理士や行政書士などの先生から専門の指導を受けて、スムーズな申告をはかります。



      行政書士 平 野 達 夫


       

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 土地は、「路線価」に、形状などを加味して評価されます。 

さらに、利用形態も、土地評価に反映されます。


 自宅のように、自身で使っている土地は、ご存知のように「自用地」といいます。


 この「自用地」は、「路線価」や形状によって評価した額が、そのまま、評価額となります。


 一方、人に貸している土地は、「貸宅地」といいます。

この「貸宅地」は、借地権相当額を差し引いた額が、評価額となります。

借地権割合は、60~70%が、一般的です。


 また、土地所有者が持つ「底地」の評価額は、「自用地」評価額の30~40%になります。


 旧借地法で、借地人の権利が手厚く保護され、土地所有者である地主に簡単には返還されないことを反映して、このような低い評価になっているようです。


 なお、「定期借地権」が設定されている土地の場合は、期間満了時に返還されることから、この満了期間が近づくにつれて、評価が上がっていくことになります。


 また、「親族に貸していて、地代の収受がほとんどない」というケースでは、「使用貸借」として、「自用地」と同じ評価になります。


 さらに、駐車場の場合も、利用者の権利が小さいこと、すなわち、立ち退かせることが法的に容易なことから、「自用地」評価となります。


 一方、土地の上にアパートやマンションを建てているケースでは、入居者を簡単には退去させられないことから、「自用地」に比べて、評価は下がります。


 これは、「貸家建付地」として、「自用地」評価額の80%前後の評価となります。

皆様、ご参考になりましたでしょうか・・・・・。



      行政書士  平 野 達 夫


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 「病気のご主人に代わって、奥さんが頑張ってきた」という「過去」がありました。


 奥さんから見て、「他人」である「ご主人の兄弟」には相続させたくないというのは、決してわがままなことではありません。

むしろ、合理性のあることと言っていいでしょう。


 また、甥を非常にかわいがっていたご主人と同様に、我が子のように接していたというのも、奥さんの「考慮すべき過去」と言えます。


 ここから、「甥を養子に迎える」という方法が導き出されます。

すなわち、「過去」とは、これまでの経緯に配慮すること、被相続人が大切にしていたものを守ることです。


 「現在」の問題点としては、「子供がいない」ということが挙げられます。

これは、養子をとることで解決します。


 さらに、「相続税が多額である」「貸地が多くて、非効率」というのも、押さえておくべき「現在」と言えましょう。


 すなわち、「現在」とは、現状の姿を明らかにする、相続税額を的確に把握する、資産効率なるものを見直すことなどです。


 「甥を養子ににすると、相続税が大きく増えてしまう」という試算結果が出ますが、ここで「未来」を考えて見ます。


 たとえば、「現在」の税額を抑えることができたとしても、いずれ多額の税金がかかってくることもあり得ましょう。


 それならば、今、「ご主人の兄弟への相続を回避」をするのが、より合理的と言えます。


 「未来」の課題として、「相続税の納税」があります。

ご主人が亡くなったときだけでなく、奥さんが亡くなったときのことまで見据えます。


 「現金の一括納付」は無理なので、「延納がスムーズにできるよう、安定した収益源があるといい」という結論にも達します。


 そのために、「権利の調整」を行います。

すなわちここで、資金の準備をします。

そして、「新たなマンションを建てる」という提案にもつながります。


 「未来」とは、相続人たちの今後の生活を安定化させる、心身の負担をかけない、二次相続にも配慮することなど挙げられます。


 相続は、一口に「節税」「分割」「納税資金」という観点だけで、トータル的な解決までにたどりつくには、容易なことではありません。



      行政書士  平 野 達 夫


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 相続対策の軸を、「過去」、「現在」、「未来」という形にして表しします。


 「過去」とは、それまでの経緯や、被相続人の気持を大切にすることです。


 たとえば、「先祖代々受け継がれている土地は、売らない」「被相続人が作成の遺言書に、忠実な分割をする」といったことが、これに該当します。


 「現在」とは、現時点の姿をより明らかにすることです。

「相続税の計算」は、もちろん相続対策では大切な要素になります。


 しかし、「不動産の活用方法に問題がないか」を考えることも、これまた大切なことです。


 「貸地の資産効率」や、たとえば、「建物を建てるべき土地を、駐車場にしている」といったことです。


 また、「未来」とは、相続発生後の家族の生活をいいます。

「どうやって納税するか」ということではありません。


 「本当に、収入減はあるのか、確保されているのか」、「これから先へ向けて、我々の心身の負担はどうなのか」、「二次相続まで考えた税額」といったところです。


 相続対策においては、どうしても、「不動産の売却」がともなうことが多くあります。


 「不動産を売却する」ということは、誰しもが安易に考えてしまいがちです。


 しかし、売却するということは、「収益を挙げるモト」を失うということにつながります。


 それを元に戻すことは、容易なことではありません。

したがって、「今後の収入」についてのケアは、とても大切なことになってまいります。



      行政書士  平 野 達 夫

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 「相続対策」といった場合、一般的に言われるものとしては、「節税」、「分割」、「納税資金」の3つが上げられます。


ただ、これらの3つは、それぞれ上手く両立できないことも、多々出てまいります。


 わかりやすい例で言いますと、例えば、「不動産を買う」ということ、すなわち、「現金を不動産に換える」ということは、「節税」になります。


 不動産は、「路線価」で評価されます。

そのため、通常は、時価よりも低い評価になります。


 すなわち、不動産の購入に使った現金の額よりも低いものです。

賃貸マンションを建てた場合、土地の評価は、更に下がってまいります。


 一方、現金を失った分、納税資金は完全に減ります。

そのため、遺産分割は難しくなってしまいますね・・・。


 このようなことから、「節税」「分割」「納税資金」という3つの基軸のうち、「どれを優先すべきか」を判断することは、決して、容易なことではありません。


 ただ結局のところ、どうしても多くの方々は、メリットが分かりやすい「節税」を優先的に進めてしまいがちです。



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 「土地を手離す」ことに難色を示す地主さんもいますが、相続税の試算や資産の効率を考えて、手離すことに納得される方も多くおられるようです。


 売買に際して、借地人からいただく代金は、「底地権部分」に相当する金額です。


 今ここに、「1平米の路線価が25万円で、広さ80㎡」の土地を想定して見ます。


 この土地で言えば、「底地権部分」に相当する金額は、「単純な路線価評価」(25万円×80㎡=2000万円)の30~40%にあたる600~800万円になります。


 借地人からすれば、今自分が住んでいる土地が、路線価の3割ないし4割程度の支出によって、完全に自分のものになるとしたら、決して悪い話では無いようにも思えます。


 ただ、3割、4割と言っても、大きい金額になります。

簡単には、決断できないでしょう。


 でも、思い切って決断し、借地人は買い取りに応じます。

ほかにも、多くの借地人が買い取りに応じてくれて、一つの資金の捻出が実現したとします。


 このような「権利の調整」で得た金額を、地主さんは、そのまま「相続税納税の足し」にしてもよいのですが、相続税を納めるのは、被相続人が亡くなったときだけではありません。


 その配偶者の奥さんが亡くなった際にも、またかかってきます。

大地主となると、相続税の一括納付はこれまた大変です。


 もちろん、相続税は現金での一括納付が原則ですが、「延納」という形の分割払いも、視野にいれなければならなくなります。


 そこで、先の底地権相当部分の売却代金をもって、アパート建築の資金の一部にすることもできます。

 

 近くにアパートを一棟建て、安定的に家賃収入が入って来るようにします。

この収入を、「相続税延納資金」にするわけです。



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 貸地は、「地代」という収入を生み出します。

その意味では、決して、貸地が価値がないわけではありません。


 「地代」は、一般的には、「固定資産税・都市計画税」の3~5倍ほどと言われています。


 この固定資産税・都市計画税を納めるのは地主です。

すなわち、地主の地代収入は、「固定資産税・都市計画税の2~4倍となります。


 なお、土地の市場価値や資産の効率以外にも、貸地には、問題点はあるようです。


 よくある例として、「地代を払わない」、「借地人の相続があった」など、トラブルや煩雑な手続きを伴います。


 そこで先ずお勧めするのが、土地の「権利調整」です。

一つの土地の上に、「借地権」、「底地権」の2つが混在しています。


 このような今ある状態を調整して、すべてを、「所有権」という形に整理するというのが、「権利調整」の意味するところでもあります。


 この具体的な手法を、以下に示して見ましょう。


① 今住んでいる借地人に、土地(底地)買ってもらうこと、すなわち、底地権と現金の交換です。


② 借地人から借地権を買い取り、立ち退いてもらうこと、借地権と現金の交換です。


③ 土地を分割して、一方の土地を借地人の所有とし、もう片方の土地を地主の所有とするもので、借地権と所有権のそれぞれの交換です。


 実務上多いのは、①といわれます。

地主さんの「相続税の納税資金作り」というニーズに応えるため、この形をとるのがほとんどのようです。


 これは、当然といえば至極当然のことです。

ただ、「土地を手離す」ことに、難色を示す地主さんも多くおられるようです。




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 貸している土地において、地主さんの持つ権利を、「底地権」といいます。

一方、借地人の持つ権利を、「借地権」といいます。


 相続税の評価にも表れているとおり、一般的には、「底地権」が30~40%で、「借地権」が60~70%というのが実情のようです。


 この底地と借地の関係は、丁度、「コーヒーカップ」と「ソーサー」によく例えられます。


 すなわち、底地が「ソーサー」で、借地が「コーヒーカップ」というところです。


 たとえば、「コーヒーカップ」がなく、「ソーサー」だけがあったとしても、価値はありません。


 誰も、買う方はおりませんね。

土地の場合においても、全く同様なことが言えます。


 「底地権」だけを売るというのは、これまた至極困難です。


 このように、貸地は、「売却困難な資産」になっているのです。

したがって、貸地の市場価値は、ほとんどないものと言っても間違いありません。



      行政書士  平 野 達 夫


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