被相続人が亡くなる前に、相続人に「相続の放棄」をさせることはできません。
たとえば、相続財産が自宅建物しかなく、それを同居している長男に相続してほしいと思っている親がいるとします。
相続人である他の子供たちに、「揉めるといけないから、あなたたちは相続を放棄して!」と言います。
しかし、たとえ子供たちが親の言うことを了承したとしても、それは口約束にしかなりません。
相続人は、相続権が発生する前に、自らその権利を放棄することはできません。
すなわち親がが亡くなって相続が開始した段階で、相続人は財産を相続するかしないかを自分自身で決めます。
もし相続したくないなら、放棄することができます。
「相続で揉めたくないから、自分は財産はいらないので放棄したい」という相続人も、いるかも知れませんね。
また、預貯金や不動産などのプラス財産よりも、多額の借金があったり、被相続人が連帯保証人になっているなどのケースでは、相続することでマイナス財産をかかえてしまうことにもなりかねません。これは大変です。
このようなケースでは、相続を放棄したい相続人も多く出てまいりましょう。。
その時になって、「相続放棄の手続」が必要となってまいります。
平成29年1月11日
行政書士 平 野 達 夫