被相続人が亡くなる前に、相続人に「相続の放棄」をさせることはできません。

 

 たとえば、相続財産が自宅建物しかなく、それを同居している長男に相続してほしいと思っている親がいるとします。

 

 相続人である他の子供たちに、「揉めるといけないから、あなたたちは相続を放棄して!」と言います。

 しかし、たとえ子供たちが親の言うことを了承したとしても、それは口約束にしかなりません。

 

 相続人は、相続権が発生する前に、自らその権利を放棄することはできません。

すなわち親がが亡くなって相続が開始した段階で、相続人は財産を相続するかしないかを自分自身で決めます。

もし相続したくないなら、放棄することができます。

 

 「相続で揉めたくないから、自分は財産はいらないので放棄したい」という相続人も、いるかも知れませんね。

 

 また、預貯金や不動産などのプラス財産よりも、多額の借金があったり、被相続人が連帯保証人になっているなどのケースでは、相続することでマイナス財産をかかえてしまうことにもなりかねません。これは大変です。

 

 このようなケースでは、相続を放棄したい相続人も多く出てまいりましょう。。

その時になって、「相続放棄の手続」が必要となってまいります。

 

 

              平成29年1月11日  

                       行政書士 平  野  達  夫

 未成年者の「孫」などが相続人となる場合には、「特別代理人」の選任が必要となります。

ただし、利害関係のある「親権者」は、この「特別代理人」にはなれません。

 

 子供がいない場合は、第2位の「父母」が相続人となります。

この「父母」が亡くなっており、「祖父母」が存命であれば、その「祖父母」が相続人となります。

 

 この先祖にさかのぼる場合の相続人のことを、「直系尊属」といいます。

また、相続人が認知症などで判断能力を欠く場合は、「成年後見人」をたてる必要があります。

 

 ここまでの相続人が全員いない場合、第3位の「兄弟姉妹」に、相続権が移ります。

また、この「兄弟姉妹」が亡くなくなっていますと、その子供が相続権を代襲します。

 

 「甥」や「姪」が、ここで相続権を代襲します。

つまり、「甥」や「姪」が相続権を持つことになります。

 

 それぞれ複数人いれば、その人数で財産を等分します。

兄弟姉妹に遺留分がないように、「甥」や「姪」にも遺留分はありません。

 

 なお、「甥」や「姪」のこどもに、相続権が代襲されることはありません。

すなわち、兄弟姉妹の相続のケースでは、「代襲相続」は一代までです。

 

 

              行政書士  平  野  達  夫

 子供や父母、兄弟姉妹が亡くなっている場合についてお話してまいります。

先ずは、優先順位第1位の「子供」が亡くなっている場合です。

 

 もしその子供に孫がいましたら、「孫」がそのまま相続権を引き継ぎます。

これを、「代襲相続」といいます。

 孫が代襲相続するケースも、法定相続分は全く同じです。

 

 配偶者がいる場合ですと、孫の取り分は、2分の1となります。

いない場合は、全ての財産は、「配偶者」が相続します。

 

 これは「遺留分」についても、同様です。

孫が複数おりますと、その人数で等分します。

 

 また、子や孫がいなくてひ孫がおりますと、その「ひ孫」が相続人となります。

 

 つまり、配偶者以外は、常に血のつながりのある「子孫」が、優先的に相続権を持つことになります。

 この相続人のことを、「直系卑属」といいます。

 

 

                   行政書士  平  野  達  夫

 法定相続分通りに遺産を分けなくても、問題はありません。

ただ法定相続人が最低限相続できる取り分も、法律で定められております。

この最低限の取り分を、「遺留分」といいます。

 

 以下が、それぞれの相続人の「遺留分」です。

 

・  配偶者の「遺留分」は、法定相続分の2分の1です。

・  子供の「遺留分」は、法定相続分の2分の1です。

・  両親の「遺留分」は、配偶者がおらず、 父母のみが相続人となる場合  

   法定相続分の3分の1です。

  

   なお、兄弟姉妹には、遺留分はありません。

 

 みなさんが相続対策をするなかで、必ず決めておかなければならないのは、財産をどのように分けるかということでしょう。

 

 その時に、相続人の最低限の権利でもある「遺留分」を考慮しておきませんと、大きなモメごとの原因になってしまいます。

 

 ここで、「遺留分」の簡単な計算例をあげてみます。

配偶者と子供2人が、例えば、1800万円の財産を相続するケース考えてみます。

 

・  配偶者 ( 妻もしくは夫 ) 

 

法定相続分は、1800万円×2分の1=900万円  

「遺留分」は、900万円×2分の1=450万円 

 

・  子供2人 ( 息子・娘 ) 

 

それぞれの法定相続分は、1800万円×2分の1÷2=450万円  

それぞれの「遺留分」は、450万円×2分の1=225万円 

 

 

 

               行政書士  平   野   達   夫  

 「法定相続分」とは、法定相続人が受け取る財産の取り分のことです。

全ての相続財産のうち、誰がどのような割合で受け取るかについては、その基準が法律で定められています。

 

 「配偶者」は常に相続人でありますが、「配偶者」がいない場合は、最上位の法定相続人のみが財産を受け取ります。

 同順位の相続人が複数いる場合は、財産は等分されます。

 

 ただ必ずしも、「法定相続分」の通りに分割されなくてもいいことになっています。

相続人全員の同意があれば、「遺留分」を侵害しない限り、どのように財産を分けても構いません。

 

 とはいいましても、一番にモメやすいのが、この「遺産分割」でしょう。

遺言書にどのように分けて欲しいかが明示されていれば、スムーズな話し合いになることも多いでしょう。

しかし遺言書がないとなりますと、モメない方が不思議です。

 

 もし相続人同士で合意に至らず、裁判所の「調停」にまで進んだケースですと、「法定相続分」に沿って分割することがほとんどのようです。

 

 

           平 成 28 年 10 月 13 日

                  行政書士  平  野  達  夫

  子供の配偶者は、相続人になれません。

「養子」は、実子と同様の権利を持ちます。

 

 もし認知している「婚外子」がいるとしますと、その子も実子と同様の相続権を持ちます。

 

 平成25年に民法が改正され、「非嫡出子」も、嫡出子と同等の権利を有するようになりました。

 

 離婚した配偶者との間に子供がいる場合、あなたがその子の親権を持っていなかったとしても、その子には相続権があります。

 

 また、再婚相手の「連れ子」は、あなたの遺産を相続する権利はありません。

相続権を持たせるには、連れ子を養子縁組する必要があります。

 

 なお、みなさんが望めば、法定相続人以外の人にも、財産を相続させることはできます。

 

 たとえば、内縁の夫や妻、友人にも財産を与えることができます。

その場合には、被相続人の「遺言書」が必要となります。

ここで「遺言書」が、大きな力を発揮するわけですね。 

 

 

           平 成 28 年 9 月 29 日  

               行 政 書 士   平   野   達   夫

  相続の準備についてお話する前に、ここで相続の基本事項を説明したいと思います。

 

 先ずは、相続人です。

財産を相続する権利のある人は、民法で定められており、これを法定相続人と呼びます。

 

 確実に相続人となるのは、「配偶者」です。

法的に婚姻関係を持っている限り、必ず「配偶者」は法定相続人になります。

 

 加えて「配偶者」以外にも、財産を相続する権利を持つ家族がいます。

その権利を得る優先順位が決められており、その最上位にいる人が、相続権を持ちます。

 

  順位は、第1位が子供です。

第2位が両親で、被相続人より先に父母が死亡している場合は、祖父母です。

そして第3位が兄弟姉妹です。

 

 つまり、「配偶者」がいれば、法定相続人は次のパターンのいずれかにないます。

 

    ・ 配偶者と子供   

 

    ・ 配偶者と両親 ( 子供がいない場合 )     

 

    ・ 配偶者と兄弟姉 ( 子供も両親もいない場合 )

  

 「配偶者」がいない場合は、優先順位の最上位のグループの者が法定相続人となります。

子供がいれば、子供がすべての遺産を相続します。

子供がいなければ、両親、兄弟姉妹の順で誰が相続するかが決まります。

 

 因みに、事実婚の場合ですと、内縁の妻若しくは夫は相続人にはなれません。

 

            平 成 28 年 9 月 27 日

                      行 政 書 士  平  野  達  夫

 相続税の金額は、複雑な計算になります。

ところで皆さんの中には、その大体の金額を出してみたい方もおられると思います。

 

 先にもあげた例で、一つ計算してみましょう。

母親が亡くなり、2人の子供が相続人となる場合を考えます。

相続財産は7000万円です。

 

 この7000万円から「基礎控除額」の4200万円を差し引いた、2800万円に相続税がかかると考えます。

 

 法定相続人の2人が半分ずつ相続し、それぞれが1400万円を受け取るとしましょう。

税制改正後は、法定相続人の取得金額が1000万円から3000万円までの場合ですと、税率は15%で、その「控除額」は50万円です。

 

 それで計算しますと、法定相続人2人の子供の相続税は、それぞれ「160万円」ずつとなります。

 

 これを聞きますと、「改正前は無税だったんだから、なんとか支払わずにすませたい!」という方もきっといらしゃるでしょう。

 でも若しかしたら、実際にあなたの準備次第では、納める税金の額をほぼゼロにすることも可能かも知れませんね。

 

 なお、相続人は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に、税の申告をしなければなりません。

 

 これに遅れますと、「延滞税」も課せられてしまいます。

あらかじめ、申告の必要があることを伝えておけば、相続人もあわてることもないでしょう。

 

                 平 成 28 年 9 月 23 日 

                               行政書士   平   野   達   夫

 先の税制改正で、大幅に増税された相続税のことが気になる方も、多くいらしゃると思われます。

 この改正で、知っておかなければならない最も大切なことは、基礎控除の引き下げです。

 

 相続が開始し財産を相続する時、その財産の金額から「基礎控除額」を差し引いたものに相続税がかかります。

もし相続財産が「基礎控除額」よりも少なければ、相続税はかかりません。

 

 すなわち、「基礎控除額」が引き下げられたということは、より多くの人が相続税を納める対象になるといくことです。

 

 では相続財産がどのくらいあると、相続税が発生するのでしょうか。

ここで「基礎控除額」の算出方法を見てみましょう。

 

   改正前  5000万円+( 1000万円×法定相続人の数 )

   改正後  3000万円+( 600万円×法定相続人の数 )

 

 母親が亡くなり(父親はすでに他界しています)、2人の子供が法定相続人となる場合で考えてみましょう。

 

 たとえば、この家庭の相続財産として、「土地」の評価が5000万円で、「現金」が2000万円あるとします。

合計で相続財産は7000万円です。

 

 改正前は、「基礎控除」となる金額7000万円(5000万円+1000万円×2人の場合)でしたが、改正後は、4200万円(3000万円+600万円×2人の場合)に減額されます。

 

 すなわち、以前なら7000万円の財産は、「基礎控除額」以下となります。

相続税を納めることはなくてすみましたが、これからは、相続税の納税が発生するということになります。

 

 「うちにはそんなに財産がないから、相続税なんてかかりません」と言っていた方、例えば首都圏に一戸建ての自宅を持っていれば、それだけで、数千万円の財産になる可能性も十分にでてきます。

 

 更に加えて、「預貯金・有価証券など」の相続財産とみなされるものを合わせますと、相続税が発生するラインをはるかに超えてまいります。

 

 なお、実際に相続税を払わなくてすむケースでも、税務署への申告は、必要となります。

 

                平 成 28 年 9 月 19 日   

                           行政書士  平  野  達  夫

 モメない相続をするためには、事前の準備が必要です。

先ずは、できるだけ早く準備を始めていただくことです。

 

 「まだまだ元気だから大丈夫」といって、何も講ぜずにしている方が、よくおられます。

しかし、相続対策は、元気なうちにしかできません。

病気になってしまっては、それどころではなくなるでしょう。

 

  相続対策の一つとして、「生命保険の活用」があげられます。

たとえば、相続財産が自宅の建物と、僅かばかりの現金のみだったとします。

 

 このケースですと、相続人たち皆の納得がいくような財産分割をすることは、至難といえましょう。

 「生命保険」を使えば、自宅の建物を維持したままにして、財産を分けることもできます。

ただし、財産を残しおく方が高齢となってしまいますと、これもまた、活用できる保険が限られてしまいます。

 

 さらに、「認知症」など責任能力がないものとみなされる状態になってしまいますと、もう何もできません。

 

 「生命保険」に入れないのはもとより、「遺言書」も書けなくなってしまうかも知れません。

お分かりですか、モメないための相続対策は、何一つできなくなってしまいます。

 

 「もう少し早ければ、いろいろと相続対策もできたのに・・・・・・・・」

これでは、もう遅いでしょう。

 

 「相続の準備なんて、まだ考えなくてもいい」と思っていらっしゃるみなさん方!

「今だからこそ、できることがあるんですよ!」        

 

 

           平 成 28 年 9 月 17 日 

                          行政書士  平  野  達  夫