悩んでいる排出事業者を応援:廃棄物処理と関連法規46種類のうち、31~40個目の法令紹介(簡易説 | 船井総合研究所コラム:最新☆産業廃棄物処分・収集運搬/一般廃棄物(塵芥、し尿汲取り浄化槽)/特別管理、再生資源業の経営支援

船井総合研究所コラム:最新☆産業廃棄物処分・収集運搬/一般廃棄物(塵芥、し尿汲取り浄化槽)/特別管理、再生資源業の経営支援

株式会社船井総合研究所☆環境ビジネスコンサルタント東新一(ひがし)の視点を発信【このような方におすすめ】一般廃棄物処理業(し尿汲取り浄化槽、家庭ごみ処理委託業、事業系一般廃棄物業)・産業廃棄物処理業・再生資源業(古紙、古鉄、スクラップ、非鉄)・環境関連団体

悩んでいる排出事業者を応援:廃棄物処理と関連法規46種類のうち、31~40個目の法令紹介(簡易説明)【環境コンサルタントコラム】東新一:都市計画法、建築基準法、工場立地法、PFⅠ法、産業廃棄物処理特定施設整備促進法、環境再生保全機構法、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法、広域臨海環境整備センター法、特定産業廃棄物支障除去特措法、労働安全衛生法

悩んでいる排出事業者を応援:廃棄物処理と関連法規46種類のうち、31~40個目の法令紹介(簡易説明) 前回や前々回の船井総研・環境/廃棄物コラム(排出元・行政・自治体向けコラム)では『廃棄物処理に係る関連する46の法令のうち、10法令』『11~20法令目』『21~30法令目の簡易説明や廃棄物処理との関連性』をご紹介しました。今回も引き続き、31~40法令目の簡易説明や廃棄物処理との関連性をご紹介します。

 

31.都市計画法は、1968年に制定された都市づくりにおいて、計画や決定手続きなど都市の健全な発展を推進した法律。都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することが目的。法体系上、建築基準法と密接な関係を有し、都市における建築等を規制しています。例えば、建ぺい率や容積率は都市計画で決め、建築基準法により、前面道路が建築基準法上の道路かどうかに応じた制限も加わるといった関係になります。建設廃棄物業が排出元との関係の中で、知っておきたい法令のひとつですね。

 

32.建築基準法は、1950年に制定された国民の生命や健康や財産の保護のため、建築物の敷地/設備/構造/用途についてその最低基準を定めた法律です。また、建築法規の根幹をなす法律。この法律の下には、建築基準法施行令・建築基準法施行規則・建築基準法関係告示が定められており、建築基準法施行令では規定を実現するための具体的な方法や方策を定めている。建築基準法施行規則では建築基準法と建築基準法施行令を実施する際に必要とされる設計図書や事務書式を定めている。建築基準法関係告示は監督官庁から公示され、複数分野の技術革新により日々変化していく事物へ追従するために建築基準法・建築基準法施行令・建築基準法施行規則を補完する役割を担っています。都市計画法同様、建設廃棄物業が排出元との関係上、知っておきたい法令のひとつですね。

 

33.工場立地法は、1973年に制定された特定工場(敷地面積が9,000m2以上、または建築物の建築面積の合計が3,000m2以上の中・大規模工場)を新設・増設する場合、生産施設に面積制限を課し、一定規模の緑地、環境施設の確保を義務づけた法律。その後、1997年の改正で、全国一律だった緑地面積率等の基準に代わり、都道府県などが条例によって、緑地や環境施設の敷地面積に対する割合を一定の範囲で強化、緩和できる「地域準則」が導入。さらに2004年3月に工場立地法施行規則と工場立地に関する準則、緑地面積率等に関する区域の区分ごとの基準などの関連規定が改正。大規模な廃棄物処理場も対象ということです。

 

34.PFⅠ法は、1999年に制定された国/地方公共団体等が行ってきた公共施設等の企画/建設/維持管理/運営を民間に委ねる方式(PFI)を定めた法律。PFI(Private-Finance-Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)といい頭文字からPFI)。民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法で、地方公共団体が発注者となり、公共事業として行うものです。廃棄物業界では、国土交通省による下水道施設、環境省による廃棄物処理施設がPFI事業に対し国庫補助金が交付されています。

 

35.産業廃棄物処理特定施設整備促進法は、1992年に制定された産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律。産業廃棄物の処理を効率的かつ適正に行う施設の整備をその周辺地域の公共施設の整備との連携に配慮しつつ促進する措置を講ずることにより、産業廃棄物の処理施設の安定的な供給及び産業廃棄物の適正な処理の推進。環境保全その他特定施設の整備に配慮すべき重要事項は5つあります(①環境の保全についての配慮:公害防止、自然環境保全や生活環境の保全等環境の保全に十分配慮する、②廃棄物処理計画との整合性の確保等、③災害の防止等、④最終処分場の跡地利用:周辺住民の要望等を踏まえつつ、有効な利用が図られるよう努める、⑤道路交通の安全及び円滑への配慮)。


36.環境再生保全機構法は、1999年に制定された独立行政法人環境再生保全機構の目的、業務の範囲等に関する事項を定めた法律。目的は公害による健康被害の補償及び予防、民間団体が行う環境保全に関する活動の支援、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の円滑な実施の支援、維持管理積立金の管理等の業務を行うことにより良好な環境の創出その他の環境の保全を図ること。また、次の5業務の範囲について規定(①公害健康被害の補償等に関する法律に基づく公害健康被害補償業務、②補償法に基づく公害健康被害予防業務、③民間団体の環境保全活動への支援業務、④ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理助成業務、⑤廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく最終処分場維持管理積立金の管理業務)。所属官庁は基本的に環境省ですが、一部の事務に農林水産省、経済産業省、国土交通省も行っております。


37.中間貯蔵・環境安全事業株式会社法は、国策会社(JESCO)が中間貯蔵事業及びPCBの無害化処理事業を遂行することを規定した法律(2011年に制定)。JESCOは、国等の委託を受けて行う中間貯蔵事業と旧日本環境安全事業株式会社の実施していたPCB廃棄物処理事業を行う、政府全額出資の特殊会社。なお、同法の第一条では、中間貯蔵・環境安全事業株式会社は、中間貯蔵の確実かつ適正な実施の確保を図り、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することに資するため、中間貯蔵に係る事業を行うとともに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理その他環境の保全に資するため、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係る事業並びに環境の保全に関する情報及び技術的知識の提供に係る事業を行うことを目的とする株式会社と示しています。


38.広域臨海環境整備センター法は、1981年に制定された廃棄物の広域的処理が必要な区域において、海面埋立てによる広域処理場の建設、管理等の業務を行う法人の設立手続等を定めた法律。この法律に基づき、近畿2府4県を処理対象区域とする「大阪湾フェニックス計画」が推進。別呼称ではフェニックスセンター法(ごみを燃やした後の灰から新たな土地が生まれることから、伝説の火の鳥に基づく)。「大阪湾フェニックス計画」とは廃棄物を処分するために、大阪湾に4つの海面埋立処分場を整備するというプラン。第一期計画「尼崎沖処分場」「泉大津沖埋立処分場」、第二期計画「神戸沖埋立処分場」「大阪沖埋立処分場」の整備が推進されています。受入れの終了予定は2032年度末ですが、延長の予定になっています。


39.特定産業廃棄物支障除去特措法は、2003年に制定された不法投棄廃棄物の財政支援を定めた法律。2023年3月31日に失効。大規模な不法投棄問題の対策について早期解決するためにできた法律。適用事例は以下:1.香川県・豊島不法投棄事案:2003年(281億円)【豊島総合観光開発株式会社】、2.青森・岩手県境不法投棄事案:2004年(655億円)【三栄化学工業株式会社/縣南衛生株式会社】、3.山梨県須玉町事案:2004年(2.4億円)【有限会社坂下工業】、4.秋田県能代市事案:2005年(25.7億円)【有限会社能代産業廃棄物処理センター】、5.三重県桑名市事案:2005年(2.86億円)【株式会社七和工業】6.新潟県上越市事案:2005年(1.6億円)【上越特殊建設株式会社】、7.福井県敦賀市事案:2006年【キンキクリーンセンター株式会社】、8.宮城県村田町事案:2007年【株式会社グリーンプラネット】、9.横浜市戸塚区事案:2008年(42億円)【株式会社三興企業】、10.岐阜県岐阜市北部地区産業廃棄物不法投棄事案:2008年(99.9億)【株式会社善商】、11.新潟市産業廃棄物不法投棄事案:2008年(3.432億円)【株式会社新潟県産廃処理センター】、12.福岡県宮若市産業廃棄物不法投棄等事案:2009年(11.7億円)【グリーン産業株式会社】、13.三重県桑名市五反田地内不法投棄事案:2011年(14.7億円)【七和工業】があります。

 

40.労働安全衛生法は、1972年に制定された労働者の安全と衛生について基準を定めた法律。「職場における労働者の安全と健康を確保」と「快適な職場環境を形成する」を目的で制定され、「労働災害の防止のための危害防止基準の確立」「責任体制の明確化」「自主的活動の促進の措置」など総合的、計画的な安全衛生対策を推進するとしています。化学物質が原因の労働災害は年間およそ450件。2023年4月「新たな化学物質規制」が施行。改正の主な3要点(①ラベル・SDS通知、リスクアセスメント実施対象物質が大幅に増加、②労働者のばく露防止・ばく濃度を基準値以下にする義務、③化学物質を取扱う労働者に適切な保護具を使用させる)

 

<廃棄物処理と関連法規一覧、廃棄物処理には46種類の法令のうち31~40法令目:都市計画法、建築基準法、工場立地法、PFⅠ法、産業廃棄物処理特定施設整備促進法、環境再生保全機構法、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法、広域臨海環境整備センター法、特定産業廃棄物支障除去特措法、労働安全衛生法

以上、如何でしたか?失効した環境関連法もありましたが、不法投棄自体無くなるとは思えません。個人及び法人のしっかりとした環境に対する意識と管理体制の高度化がさらに求められそうです。次回以降では以下の法令をご紹介します。
41.電気事業法
42.消防法
43.高圧ガス保安法
44.省エネ法
45.地球温暖化対策推進法
46.FⅠT法

 

<今までのコラムの一例とお問合せ先>

『廃棄物処理に係る関連する46の法令のうち、10法令の簡易説明や廃棄物処理との関連性など』

 

☆『11~20法令の簡易説明や廃棄物処理との関連性など』

 

☆『21~30法令の簡易説明や廃棄物処理との関連性など』

下水道法・海洋汚染防止法・PCB特措法・水銀汚染防止法・浄化槽法・公有水面埋立法・土壌汚染対策法・フロン発生抑制法・放射性物質汚染対処特措法・環境影響評価法

 

☆【無料経営相談や環境・廃棄物相談:お問合せ先】

船井総合研究所では排出事業者向けに廃棄物現場の簡易診断を実施しています。法令違反があってからでは遅いです。遠慮なくご相談くださいませ。