#2
「ぼくらは夢見てーるかー?未来を信じーていーるかー?」
ヘッドフォンから流れる音楽を口ずさみながら、ピンクのフードをかぶった少女が繁華街を歩いている。
「さーて、マックでも行きますかー」
ネズミが、大通りに出ると、なにやら人だかりが出来ていた。ケンカのようだ。
まわりには、ケンカを煽っているものもいる。野次馬は、いい気なものだ。
「どれどれ」
野次馬の間を、スルスルと通り抜け、皆の関心の中心を見ると
「おやおや」
ネズミの瞳に、ジュリナと3人の特攻服が飛び込んできた。
どちらも、ケンカ慣れしていて、致命傷は与えられていなかった。ジュリナは3人相手でも、身軽さを発揮し、奮戦していた。
と、そこへ、けたたましい警笛とともに、ようやく警官が数人走ってきた。
「ちっ、おぼえてろよ」
陳腐な捨て台詞を吐き、3人は、路地へと逃げこんでいった。
ジュリナも、ひらりと、身を翻し、人混みに消えた。
「あの特攻服は、たしか…、アンダーガールズ」
最狂最悪と謳われたレディースの名を、ネズミはつぶやいた。
ヘッドフォンから流れる音楽を口ずさみながら、ピンクのフードをかぶった少女が繁華街を歩いている。
「さーて、マックでも行きますかー」
ネズミが、大通りに出ると、なにやら人だかりが出来ていた。ケンカのようだ。
まわりには、ケンカを煽っているものもいる。野次馬は、いい気なものだ。
「どれどれ」
野次馬の間を、スルスルと通り抜け、皆の関心の中心を見ると
「おやおや」
ネズミの瞳に、ジュリナと3人の特攻服が飛び込んできた。
どちらも、ケンカ慣れしていて、致命傷は与えられていなかった。ジュリナは3人相手でも、身軽さを発揮し、奮戦していた。
と、そこへ、けたたましい警笛とともに、ようやく警官が数人走ってきた。
「ちっ、おぼえてろよ」
陳腐な捨て台詞を吐き、3人は、路地へと逃げこんでいった。
ジュリナも、ひらりと、身を翻し、人混みに消えた。
「あの特攻服は、たしか…、アンダーガールズ」
最狂最悪と謳われたレディースの名を、ネズミはつぶやいた。
#2
学園を飛び出したジュリナは、やみくもに走りつづけた。行くあてもなく。
気がつけば、繁華街に来ていた。
(なんで、こんなにイライラするんだろう)
ジュリナは、こんな気持ちになったのは初めてだった。
(くそっ!あいつのせいだ)
サドの言葉を思い返していた。
(オレは、いったいどうすれば……)
そのとき、不意に右の肩に衝撃があった。
ぶつかってきたのは、
特攻服を着た気合いのはいったレディースたち。目の前に3人、壁のように立ちふさがっていた。
「なんだよ」
ジュリナは、面倒くさそうに、言いすてた。
「ガキがいきがるなよ!その制服はマジ女か」
「だったら、なんなんだよ!」
ジュリナが、紫の特攻服へ食ってかかるように言った。まるで狂犬のように。
「やれ」
3人の真ん中のリーダー的な女が、言うやいなや、左右の二人が殴りかかってきた。
ジュリナは二人の攻撃を、両腕でブロックする。その刹那、腹部に衝撃を受けた。
「ぐはっ」
リーダー格の女の前蹴りをモロにくらってしまったジュリナ。
思わず、片膝をつく。
(ちっ、こいつら、かなりケンカ慣れしてやがる)
気がつけば、繁華街に来ていた。
(なんで、こんなにイライラするんだろう)
ジュリナは、こんな気持ちになったのは初めてだった。
(くそっ!あいつのせいだ)
サドの言葉を思い返していた。
(オレは、いったいどうすれば……)
そのとき、不意に右の肩に衝撃があった。
ぶつかってきたのは、
特攻服を着た気合いのはいったレディースたち。目の前に3人、壁のように立ちふさがっていた。
「なんだよ」
ジュリナは、面倒くさそうに、言いすてた。
「ガキがいきがるなよ!その制服はマジ女か」
「だったら、なんなんだよ!」
ジュリナが、紫の特攻服へ食ってかかるように言った。まるで狂犬のように。
「やれ」
3人の真ん中のリーダー的な女が、言うやいなや、左右の二人が殴りかかってきた。
ジュリナは二人の攻撃を、両腕でブロックする。その刹那、腹部に衝撃を受けた。
「ぐはっ」
リーダー格の女の前蹴りをモロにくらってしまったジュリナ。
思わず、片膝をつく。
(ちっ、こいつら、かなりケンカ慣れしてやがる)
#2
その日、めずらしく学ランは、学園に姿を見せなかった。前田やだるまが連絡を試みるも、何の音沙汰もなかった。
「気になりますねえ、敦ねえ」
前田とだるまが、下校している。
「昨日から、敦ねえ、サド、チームホルモン、学ランまで……」
苦々しく、だるまがつぶやく。
「まだ、わかりませんよ。学ランは」
希望的観測かもしれないということは、前田にもわかっていた。
とりあえず、連絡がつかないのはおかしいということで、二人は、学ランの家に向かうことにした。
学ランの父は、一流企業の重役に就いているということもあり、高級マンションの一室に、学ランは父と母と住んでいた。
初めて、訪れた二人は、そのたたずまいに驚く。
セキュリティーは万全で、入り口はオートロックなので、前田は、インターフォンを押してみた。
ほどなく、学ランの母と思われる人物が、応答した。
「はじめまして。さえさんの同級生の前田と言います」
「そうですかー。あの子、きのうから、帰ってないんですよー。まあ、よくあることですので」
ほほほ、と上品そうに笑う母。
「わかりました。ありがとうございます」
前田は、帰ろうとする。
だるまは、インターフォンに食い下がる。
「あんた、母親なら心配やないんですかい!連絡とれへんのですよ!」
前田は、だるまをインターフォンから、ひきはがす。だるまがよろけた。
「何かある」
前田は、眼鏡の端を、指でついと持ち上げた。
高級マンションの一室で、学ランの母は、深いためいきをついて言った。
「これでいいのよ、さえ」
部屋の隅には、学ランの姿があった。
「気になりますねえ、敦ねえ」
前田とだるまが、下校している。
「昨日から、敦ねえ、サド、チームホルモン、学ランまで……」
苦々しく、だるまがつぶやく。
「まだ、わかりませんよ。学ランは」
希望的観測かもしれないということは、前田にもわかっていた。
とりあえず、連絡がつかないのはおかしいということで、二人は、学ランの家に向かうことにした。
学ランの父は、一流企業の重役に就いているということもあり、高級マンションの一室に、学ランは父と母と住んでいた。
初めて、訪れた二人は、そのたたずまいに驚く。
セキュリティーは万全で、入り口はオートロックなので、前田は、インターフォンを押してみた。
ほどなく、学ランの母と思われる人物が、応答した。
「はじめまして。さえさんの同級生の前田と言います」
「そうですかー。あの子、きのうから、帰ってないんですよー。まあ、よくあることですので」
ほほほ、と上品そうに笑う母。
「わかりました。ありがとうございます」
前田は、帰ろうとする。
だるまは、インターフォンに食い下がる。
「あんた、母親なら心配やないんですかい!連絡とれへんのですよ!」
前田は、だるまをインターフォンから、ひきはがす。だるまがよろけた。
「何かある」
前田は、眼鏡の端を、指でついと持ち上げた。
高級マンションの一室で、学ランの母は、深いためいきをついて言った。
「これでいいのよ、さえ」
部屋の隅には、学ランの姿があった。