AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -237ページ目

#2

「ともみ!あすか!」

大歌舞伎、小歌舞伎と呼ばれる歌舞伎シスターズの二人が、駆けつけてきたのだ。

「前田!大丈夫かよ?3年になって、クラスは一緒になれなかったけど、あたしら前田四天王だぜ」
「あとはまかせてよねー」

二人は、そう言うと、アンダーガールズの残党に向き直る。大歌舞伎が仕掛ける。彼女の得意技である掌底が、ものの見事にアンダーガールズの顎に決まり、次々と倒れていく。

「とうとう出ちまったか。姉貴の必殺技。掌底突き。拳ではなく、手のひらの下部、その硬い部分で相手に打撃を与えることにより…」

「おい、解説はいらねーよ」

小歌舞伎のいつもの解説が終わる前に、前田と歌舞伎シスターズ以外、この場に立っている者はいなくなっていた。

「さすが姉貴」

「ありがとう。二人とも」

礼を言う前田。

「だるまから連絡があってね。心配で来てみたら、この有り様。おっと、だるまは大丈夫かよ?」
「姉貴ー。大丈夫みたいっす。分厚い脂肪のおかげで。一応、病院連れていきますかー」

「タフさ加減は四天王一だな」

二人のやりとりを聞き、前田は、ほっと胸をなで下ろした。

小歌舞伎が、だるまを持ち上げようとしていた。
「こいつ、重っ」

そこへ、前田が近づく。

「わたしに…わたしに担がせて」

そう言って、前田は、だるまの巨体を背に負い歩き始めた。

「すんまへん…敦ねえ」
だるまが意識を取り戻した。

「大丈夫ですよ」

微笑む前田。

「あ、そうや。ひとつ忘れてましたわー」

だるまは、前田の背中で何やらごそごそしたかと思うと、胸元から何かをとりだした。

前田の肩越しに、手羽先が差し出される。前田は、苦笑しつつもその手羽先に口を近づけ、一口食べた。

そして、だるまも手羽先にかじりつき言った。

「勝利の手羽先やあ」

後ろからついてきている歌舞伎シスターズの二人も苦笑しつつ、その光景を眺めていた。

#2

アンダーガールズの特攻隊のなかでも、精鋭のメンバーが、手に手に武器を携え、前田とだるまに襲いかかる。巨大な波に飲み込まれる小舟さながら、二人の姿は一瞬で見えなくなる。その波は次から次と荒れ狂い、休まることを知らない。

「だるまー!」

木刀や鉄パイプを否応なく、からだに数十回うちつけられ、仁王立ちのだるまの姿はボロ雑巾のような有り様だった。だるまが盾となり、無傷の前田が悲痛な叫びをあげた。

「あ、敦ねえ、だ、大丈夫でっか?」

それだけ、言うとだるまは、崩れ落ちた。よかった、とひとこと残し。

「ああああああああ!」

怒りに震える前田。
そして、だるまを横にすると、眼鏡に手をかけた。

「てめーら、ゆるせねえ」

まわりの敵を目で威圧する。

「マジにならなきゃ…マジにならなきゃ、仲間を支えられねーんだよ!」

眼鏡をはずし、リミッター解除された前田が、集団に突っ込む。
怒りの拳は、次々に紫の特攻服を倒していく。
ひとり、またひとり。

アンダーガールズも決して弱いわけではなかったが、火のついた前田にはかなわなかった。

30人は、いたであろうアンダーガールズも、ものの数分で、あと5人となった。

さすがの前田にも、疲労の色が見える。きのうの今日だ。

「おらー」

残った敵が一斉に、木刀を振り上げた瞬間だった。間に割って入る、二人の少女の姿があった。
その二人を見て、前田の顔に驚きが走った。

二人は、前田のその顔を見て、言った。

「あれあれーまさかお忘れじゃないでしょうねー」
「歌舞伎シスターズ参上」

#2

学ランのマンションを後にした二人。

前田は、ずっと歩きながら考えていた。最近起きた出来事が、すべてつながっているのではないか、そう思えてならないのだ。

「敦ねえ、いったいどういうことなんですかねー?」
マンションからずっと、前田に話しかけているが、まったく、反応されないにも関わらず、だるまは話し続けていた。

「学ランどこ行ったんでっしゃろ?矢場久根のやつらなんですかねー?また、だれか狙われるんやろかー?」


それでもなお考え続ける前田。

「敦ねえ」

ピタッと、前田の足が止まった。

二人の行く手をふさぐように、
30人はいるであろう、紫の特攻服を着たレディースが、全員、前田を鋭く睨みつけていた。いわずとしれたアンダーガールズである。それぞれの手には、木刀や鉄パイプが握られていた。

前田も、臆することなく、眼鏡の奥から、睨み返す。

「ア、アンダーガールズ…」
だるまは、体の震えをおさえることが精一杯であった。

アンダーガールズ…
都内、最大勢力の暴走レディース。総員1000名を超えるといわれ、最狂最悪の名をほしいままにしているチームである。平均年齢17歳。悪逆非道の限りをつくし、警察も手をやいている。


「あなたが前田さんですか?」
長い黒髪の端正な顔立ちの少女がひとり、前に進み出た。

「わたしは、アンダーガールズ特攻隊長、向田マナツ」

「前田…敦子」

前田は、だるまを手で制し、マナツの前に立った。

マナツは朗々と話し始めた。
「マジ女は、今後、我々アンダーガールズの支配下に入ってもらいます。従わなければ、マジ女の生徒がどうなってもしりません。まあ、もうすでに…」
くくっと、笑いがもれた。

「な、なんで笑っとるんやー?」
だるまが、前田の制止を振り切ろうと、いきりたった。

「理由?知らなーい」

小ばかにした笑みを浮かべ、マナツは、前田に背を向けた。

「じゃ、あとはよろしく」
そのまま、30人のメンバーを残し、マナツは去っていった。
そして、とり残されたメンバーは、いきなり、前田とだるまに容赦なく襲いかかってきた。