AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -235ページ目

#3

ピーポーピーポー

遠くで、救急車のサイレンが鳴ってる。夜、緊急車両が出動することは、都会では珍しいことではない。

ここは、郊外にあるファミリーレストラン。何の変哲もない全国チェーンの店舗である。ただひとつ違うところといえば、マジ女吹奏楽部ラッパッパ元副部長のサドがホール係として、働いていることであった。

サドは、サイレンを耳にし、何か胸騒ぎを覚えた。

ピンポーン

呼び出しのベルが鳴る。テーブル番号を表示版で確認し、サドはテーブルに急いだ。

「お待たせしました」

しおらしい接客態度が、テーブルに座る客を見て、一変する。

「なんだー。お前らかよ。珍しいな」

「家から近いんだよっ!」

ジュリナは何故か、過剰に反応して言った。

「あれー。ジュリナさんの家って、たしか…」

ガツっ

テーブルの下で、ジュリナが、ネズミの足を蹴りつける。

「まあ、いいっす。それにしても、サドさん、そのユニフォーム似合ってるっすねー。かっこいいっす」

「うまいなー。お前は。そうやって、要領よく立ち回ってるのか?」

と、言いつつ悪い気はしないサドであった。

「よし、せっかく来てくれたんだ。ドリンクバー、サービスしてやるよ」
「ありがたいっす」

元気よく、返事するネズミに対し、ジュリナは何も反応しなかった。

「ま、ゆっくりしていきな」

サドは、テーブルを離れ、オーダーを通した。
視線は、ジュリナたちと遠くはなれた窓側のボックス席に向けられた。

「あっちは、お通夜みてーだな」

その視線の先には、前田、だるま、そして、歌舞伎シスターズの4人の姿があった。

ガシャーン!

突如、駐車場に面したガラス窓が粉々に砕け散った。そして、店内には、鉄パイプが転がっていた。何者かが、店内めがけ、鉄パイプを投げ込んだのだ。

割れた窓ガラスから、外を窺う4人。

その視線の先には、アンダーガールズのメンバーの姿があった。100人はくだらない。先頭にいるのは、きのう、挨拶に来た特攻隊長、向田マナツ。

前田は、無言で、店内を飛び出す。3人もあとにつづいた。

「店長、すいません!ちょっと休憩もらいます!」

サドも、すぐに、そのあとを追った。

#3

その日の夜。

矢場久根女子高校のチハルは、3年になっても、相も変わらず援助交際まがいの商売を続けていた。商売というより、詐欺に近いのだが。

「まったく、世の中ちょろいもんだぜ。ド変態ばっかでよー」

至福の笑みを浮かべながら、お札の枚数を、指で数えていた。

そのとき、夜の風景には似つかわしくないファッションセンスの3人を通りの向こうに確認できた。
(マジ女の山椒姉妹か)
今日のシノギは、このへんにしとくか、と言い、スクーターにまたがり、その場を後にした。

途中、矢場久根の制服を着た生徒を見かけた。

「あれ?あいつは…」



「フフフ、あの服かわいかったー」
「そうねー。今度、買っちゃお」
「やっぱり、今日の占いがよかったんだわ」

みゃお、らぶたん、まなまなの山椒姉妹は、渋谷をブラブラした帰りであった。

「今日のお寿司占いは、まぐろー」
「わたし、ブリ」
「わたしは、コハダー」

そんな、他愛もない会話を延々と続けていた。
「おい、お前ら、山椒姉妹だろ?」

突然、矢場久根女子高校の生徒3人が、山椒姉妹の行く手を遮る。好戦的な態度だ。

「だったら、なんなんだよ。矢場久根ー」

みゃおが、持っている日傘を、いきなり相手に叩きつける。らぶたん、まなまなも、それに続く。3人のコンビネーションはなかなかのもので、
因縁をつけた矢場久根のほうが、押されはじめた。
そのとき、後方から、矢場久根の制服を着た生徒が、もうひとりあらわれた。

「お前ら、はなれてろ」
言うやいなや、ジャンプ一番、みゃおの顔面に、右の拳をたたきこむ。

「ぐわっ」
倒れこむみゃお。
返す刀で、らぶたんに肘うち、まなまなに蹴りを加える。すごい身のこなしだ。

「なんだ、山椒姉妹もたいしたことないな」

雲の切れ間から、月明かりが、みゃおを見下ろすその者の全身を照らし出した。

みゃおが、見上げる。

「が…学ラン…」

山椒姉妹は、絶句するしかなかった。

#3

コンコン

部屋をノックする音。

「だれだあ?」

病院の白いベッドの上で、全身を包帯で巻かれ、右足が石膏で固められた姿の矢場久根前総長がうめくように言った。

「よう!いい部屋じゃないか。このままずっといればいいんじゃないか?」

「ちっ!全治3週間だとよ。早く、シャバに出たいぜ。

あのとき以来か。
久しぶりだな。サド」

花束を右肩に担ぎ、あじゃの病室を訪れたのは、紛れもなく、前ラッパッパ副部長のサドだった。サドとは、幾度となく抗争を繰り返した旧知の仲だ。
「お前にちょっと訊きたいことがあってな。花より食べ物のほうがよかったか?」

どのみち、内臓がボロボロで食べることが困難なことはわかっていた。タフで名を馳せたこの女を、ここまで、痛めつけるとは。

「訊きたいことってのは、ヤツのことだろ?あの悪魔のような女の…」
サドが黙ってうなずく。あじゃをこんな状態にした新総長のことだと言外にあらわしていた。

「ヤツは、突然、オレたちの目の前にあらわれた。臆することなく、オレを含め、部下50人の目の前に」

苦々しく、あじゃが語り出す。

「外見は、まるでアイドルみたいに華奢で、かわいらしい顔だった。髪は長く、両サイドをリボンで結んでいた」

「ツインテールってやつか」

「そう、そのツインなんとかだ。どこから見ても、ケンカができるようには見えねー。そいつが突然、タイマンを申し込んできやがった。笑ったね。全員大笑いさ」

言葉とは違い、あじゃの表情には、畏怖が漂っていた。

「結局、ちょっかいをかけた部下のひとりが瞬殺。そのあと、その場にいた部下全員があっという間に血の海に沈められた」

いま、思い返しても信じられねーというあじゃの言葉に、サドも同じ思いを抱いていた。

「アイツの拳は速くて重かった。だが、それだけじゃなく、何かが宿ってるような拳だった。さすがのオレもこのありさまさ」

「そうか。お前がタイマンでやられるとは…何かの間違いだと思いたかったぜ」

ふーとサドは深いため息をついた。

「矢場久根のトップのあとは、マジ女を狙うと思う。この地域では、双璧だからな。十分、気をつけろ」

「ああ、ありがとよ」

もう始まってるけどな、とは言わなかった。

「悪魔の拳か…で、そいつの名前は?」

「ヤツの名は…」