#3
「さすが、宮澤さんですねー」
ありがとうございます、と助けられた3人が感謝の意をあらわす。
「フン、チョロいもんさ。次は、ラッパッパだな」
すでに意識のない山椒姉妹にツバをはきつける。
「おい、ちょっと待てよ」
口に含んだガムを噛む音が、夜の闇に響く。
「ウチの後輩に何してくれてんだよ!あ?」
「シブヤか…」
マジ女吹奏楽部ラッパッパ元四天王の一角、シブヤこと板野トモミだった。
お互いの視線が交錯する。
「問答無用って感じだな」
シブヤは、右手を前に差し出し、手招きした。得意のポーズだ。
「来いよ…宮澤ぁ…」
ありがとうございます、と助けられた3人が感謝の意をあらわす。
「フン、チョロいもんさ。次は、ラッパッパだな」
すでに意識のない山椒姉妹にツバをはきつける。
「おい、ちょっと待てよ」
口に含んだガムを噛む音が、夜の闇に響く。
「ウチの後輩に何してくれてんだよ!あ?」
「シブヤか…」
マジ女吹奏楽部ラッパッパ元四天王の一角、シブヤこと板野トモミだった。
お互いの視線が交錯する。
「問答無用って感じだな」
シブヤは、右手を前に差し出し、手招きした。得意のポーズだ。
「来いよ…宮澤ぁ…」
#3
「会いたかったよ。前田」
対峙する前田たちに対し、
100名余のアンダーガールズのメンバーを従え、マナツは、微笑んだ。その顔は、これまで、幾度となく修羅場をくぐってきたとは思えない綺麗さで、逆にそれが恐ろしくも感じられた。いまだかつて、ケンカで顔面をだれにも触れられたことがないという。
「きのうは、うちの兵隊をよくもやってくれましたね。もう、話し合いのテーブルにつくことはなくなりました。交渉決裂です」
「そっちが勝手に仕掛けてきたんやろがー」
だるまが叫ぶ。
「挨拶のつもりだったのですが、あなたたちはやりすぎました」
というわけで、と言ってマナツは、右手を挙げ、それを振り下ろした。
「やれ!」
手に手に凶器をもった、アンダーガールズ特攻隊メンバーが、前田、だるま、歌舞伎シスターズに迫る。
「ちっ!始まったか」
遅れてきたサドも参戦する。
両者、入り乱れての大乱闘の幕開けだった。
対峙する前田たちに対し、
100名余のアンダーガールズのメンバーを従え、マナツは、微笑んだ。その顔は、これまで、幾度となく修羅場をくぐってきたとは思えない綺麗さで、逆にそれが恐ろしくも感じられた。いまだかつて、ケンカで顔面をだれにも触れられたことがないという。
「きのうは、うちの兵隊をよくもやってくれましたね。もう、話し合いのテーブルにつくことはなくなりました。交渉決裂です」
「そっちが勝手に仕掛けてきたんやろがー」
だるまが叫ぶ。
「挨拶のつもりだったのですが、あなたたちはやりすぎました」
というわけで、と言ってマナツは、右手を挙げ、それを振り下ろした。
「やれ!」
手に手に凶器をもった、アンダーガールズ特攻隊メンバーが、前田、だるま、歌舞伎シスターズに迫る。
「ちっ!始まったか」
遅れてきたサドも参戦する。
両者、入り乱れての大乱闘の幕開けだった。
#3
ピーポーピーポー
遠くで、救急車のサイレンが鳴ってる。夜、緊急車両が出動することは、都会では珍しいことではない。
ここは、郊外にあるファミリーレストラン。何の変哲もない全国チェーンの店舗である。ただひとつ違うところといえば、マジ女吹奏楽部ラッパッパ元副部長のサドがホール係として、働いていることであった。
サドは、サイレンを耳にし、何か胸騒ぎを覚えた。
ピンポーン
呼び出しのベルが鳴る。テーブル番号を表示版で確認し、サドはテーブルに急いだ。
「お待たせしました」
しおらしい接客態度が、テーブルに座る客を見て、一変する。
「なんだー。お前らかよ。珍しいな」
「家から近いんだよっ!」
ジュリナは何故か、過剰に反応して言った。
「あれー。ジュリナさんの家って、たしか…」
ガツっ
テーブルの下で、ジュリナが、ネズミの足を蹴りつける。
「まあ、いいっす。それにしても、サドさん、そのユニフォーム似合ってるっすねー。かっこいいっす」
「うまいなー。お前は。そうやって、要領よく立ち回ってるのか?」
と、言いつつ悪い気はしないサドであった。
「よし、せっかく来てくれたんだ。ドリンクバー、サービスしてやるよ」
「ありがたいっす」
元気よく、返事するネズミに対し、ジュリナは何も反応しなかった。
「ま、ゆっくりしていきな」
サドは、テーブルを離れ、オーダーを通した。
視線は、ジュリナたちと遠くはなれた窓側のボックス席に向けられた。
「あっちは、お通夜みてーだな」
その視線の先には、前田、だるま、そして、歌舞伎シスターズの4人の姿があった。
ガシャーン!
突如、駐車場に面したガラス窓が粉々に砕け散った。そして、店内には、鉄パイプが転がっていた。何者かが、店内めがけ、鉄パイプを投げ込んだのだ。
割れた窓ガラスから、外を窺う4人。
その視線の先には、アンダーガールズのメンバーの姿があった。100人はくだらない。先頭にいるのは、きのう、挨拶に来た特攻隊長、向田マナツ。
前田は、無言で、店内を飛び出す。3人もあとにつづいた。
「店長、すいません!ちょっと休憩もらいます!」
サドも、すぐに、そのあとを追った。
遠くで、救急車のサイレンが鳴ってる。夜、緊急車両が出動することは、都会では珍しいことではない。
ここは、郊外にあるファミリーレストラン。何の変哲もない全国チェーンの店舗である。ただひとつ違うところといえば、マジ女吹奏楽部ラッパッパ元副部長のサドがホール係として、働いていることであった。
サドは、サイレンを耳にし、何か胸騒ぎを覚えた。
ピンポーン
呼び出しのベルが鳴る。テーブル番号を表示版で確認し、サドはテーブルに急いだ。
「お待たせしました」
しおらしい接客態度が、テーブルに座る客を見て、一変する。
「なんだー。お前らかよ。珍しいな」
「家から近いんだよっ!」
ジュリナは何故か、過剰に反応して言った。
「あれー。ジュリナさんの家って、たしか…」
ガツっ
テーブルの下で、ジュリナが、ネズミの足を蹴りつける。
「まあ、いいっす。それにしても、サドさん、そのユニフォーム似合ってるっすねー。かっこいいっす」
「うまいなー。お前は。そうやって、要領よく立ち回ってるのか?」
と、言いつつ悪い気はしないサドであった。
「よし、せっかく来てくれたんだ。ドリンクバー、サービスしてやるよ」
「ありがたいっす」
元気よく、返事するネズミに対し、ジュリナは何も反応しなかった。
「ま、ゆっくりしていきな」
サドは、テーブルを離れ、オーダーを通した。
視線は、ジュリナたちと遠くはなれた窓側のボックス席に向けられた。
「あっちは、お通夜みてーだな」
その視線の先には、前田、だるま、そして、歌舞伎シスターズの4人の姿があった。
ガシャーン!
突如、駐車場に面したガラス窓が粉々に砕け散った。そして、店内には、鉄パイプが転がっていた。何者かが、店内めがけ、鉄パイプを投げ込んだのだ。
割れた窓ガラスから、外を窺う4人。
その視線の先には、アンダーガールズのメンバーの姿があった。100人はくだらない。先頭にいるのは、きのう、挨拶に来た特攻隊長、向田マナツ。
前田は、無言で、店内を飛び出す。3人もあとにつづいた。
「店長、すいません!ちょっと休憩もらいます!」
サドも、すぐに、そのあとを追った。