AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -233ページ目

#3

#3

前田は、すでに疲労困憊で、いまにも力尽きそうであった。

そのときー


「前田ー!頭だ、頭を狙うんだ!」

謎の声が遠くから、前田の耳に届いた。

(こ、この声は…?)

頭とは、すなわち、統率者を意味する。大人数を相手にする鉄則のひとつだ。ここでは、向田マナツを指す。

「だるまー!歌舞伎ー!お前らは、道をつくるんだー!」

その謎の声に呼応するかのごとく、だるまと歌舞伎シスターズの3人は、前田の前の敵に立ち向かっていった。

傷つき、崩れ落ちながらも、前田のために道をつくろうとする3人。

「あつ姐!早くー!」
「前田!絶対勝てよー!」
「急いで!」


「み、みんな…」

それぞれの想いを受け取り、前田は、つき進んだ。木刀や鉄パイプの波の中を。

そして、ついには、特攻隊長である向田マナツの目の前にたどり着いた。

「ようこそ。前田」

マナツは、特に驚く様子もない。想定の範囲内なのか。

はぁはぁと、肩で息をする前田。

「マジにはな…マジには…、マジで応えるってのが、マジなんだよ!」

前田は、かけていた眼鏡を放り投げた。






「ぐはっ」

シブヤが、地面にひれ伏した。

「き、きたねーぞ…」

「ケンカに、キレイもきたねーもねーんだよ」

さっすが宮澤さん!矢場久根死天王の肩書きは伊達じゃないっすねーと、まわりの矢場久根生徒にもてはやされながら、4人は、夜の闇に消えた。

「あ…あいつ…本当に、あの学ランか…」

そのまま、シブヤは、冷たいアスファルトに沈んだ。

#3

深夜の駐車場には、怒号が渦巻いていた。

100人対5人の闘い。

単純にひとりが20人を相手にするといったわけではない。四方八方、どこから襲いかかってくるかわからない攻撃。それが次から次と間断なく続けられていく。当然のことながら、アンダーガールズ特攻隊員は、そんじょそこらのヤンキーとは違い、ケンカ慣れしていた。
だるまや歌舞伎シスターズには、あまり人員を割かず、
手ごわい前田やサドに対しては、集中攻撃をしかけるという、見事な人海戦術だった。

「おらー!」

だるまの頭突きが、見事に決まる。

「かかってこいやー!」
大歌舞伎の掌底も、的確に急所をとらえていた。
「ナイス!姉貴」

小歌舞伎は、解説に徹したかったが、そういうわけにもいかず、大歌舞伎の手ほどきを受けた技で、かろうじて対処していた。


しかし、やはり、多勢に無勢。
30分ほど経過した時点で、
だるま、歌舞伎シスターズ、
そして、もちろん
前田とサドにも、さすがに疲労の色が見えてきた。

「まったく、キリがねえな!これじゃ」

矢継ぎ早の攻撃に、うんざり気味のサド。

「サドさん!あぶない!」
前田が叫ぶ。
サドの背後から、鉄パイプが振り下ろされそうになっていた。

ボキ!

骨の折れる音。

「うぎゃああああ」

痛みで、転がりまわったのは、アンダーガールズの方だった。

「ジュリナ!」

後方から、あらわれたのは、ハイキックを決めたジュリナだった。

「なにやってんだよ。こんなやつらにやられてんじゃねーよ」

フッと、口元の血を手でぬぐうサド。

「ありがとよ!ジュリナ、背中…頼むぜ!」

「おう!」

サドとジュリナは、背中合わせになり、アンダーガールズに向かって構えをとった。



「まったく、素直じゃないんだから」

店内から、その光景を眺めていたネズミが、つぶやいた。