#3
前田は、すでに疲労困憊で、いまにも力尽きそうであった。
そのときー
「前田ー!頭だ、頭を狙うんだ!」
謎の声が遠くから、前田の耳に届いた。
(こ、この声は…?)
頭とは、すなわち、統率者を意味する。大人数を相手にする鉄則のひとつだ。ここでは、向田マナツを指す。
「だるまー!歌舞伎ー!お前らは、道をつくるんだー!」
その謎の声に呼応するかのごとく、だるまと歌舞伎シスターズの3人は、前田の前の敵に立ち向かっていった。
傷つき、崩れ落ちながらも、前田のために道をつくろうとする3人。
「あつ姐!早くー!」
「前田!絶対勝てよー!」
「急いで!」
「み、みんな…」
それぞれの想いを受け取り、前田は、つき進んだ。木刀や鉄パイプの波の中を。
そして、ついには、特攻隊長である向田マナツの目の前にたどり着いた。
「ようこそ。前田」
マナツは、特に驚く様子もない。想定の範囲内なのか。
はぁはぁと、肩で息をする前田。
「マジにはな…マジには…、マジで応えるってのが、マジなんだよ!」
前田は、かけていた眼鏡を放り投げた。
「ぐはっ」
シブヤが、地面にひれ伏した。
「き、きたねーぞ…」
「ケンカに、キレイもきたねーもねーんだよ」
さっすが宮澤さん!矢場久根死天王の肩書きは伊達じゃないっすねーと、まわりの矢場久根生徒にもてはやされながら、4人は、夜の闇に消えた。
「あ…あいつ…本当に、あの学ランか…」
そのまま、シブヤは、冷たいアスファルトに沈んだ。
そのときー
「前田ー!頭だ、頭を狙うんだ!」
謎の声が遠くから、前田の耳に届いた。
(こ、この声は…?)
頭とは、すなわち、統率者を意味する。大人数を相手にする鉄則のひとつだ。ここでは、向田マナツを指す。
「だるまー!歌舞伎ー!お前らは、道をつくるんだー!」
その謎の声に呼応するかのごとく、だるまと歌舞伎シスターズの3人は、前田の前の敵に立ち向かっていった。
傷つき、崩れ落ちながらも、前田のために道をつくろうとする3人。
「あつ姐!早くー!」
「前田!絶対勝てよー!」
「急いで!」
「み、みんな…」
それぞれの想いを受け取り、前田は、つき進んだ。木刀や鉄パイプの波の中を。
そして、ついには、特攻隊長である向田マナツの目の前にたどり着いた。
「ようこそ。前田」
マナツは、特に驚く様子もない。想定の範囲内なのか。
はぁはぁと、肩で息をする前田。
「マジにはな…マジには…、マジで応えるってのが、マジなんだよ!」
前田は、かけていた眼鏡を放り投げた。
「ぐはっ」
シブヤが、地面にひれ伏した。
「き、きたねーぞ…」
「ケンカに、キレイもきたねーもねーんだよ」
さっすが宮澤さん!矢場久根死天王の肩書きは伊達じゃないっすねーと、まわりの矢場久根生徒にもてはやされながら、4人は、夜の闇に消えた。
「あ…あいつ…本当に、あの学ランか…」
そのまま、シブヤは、冷たいアスファルトに沈んだ。
#3
深夜の駐車場には、怒号が渦巻いていた。
100人対5人の闘い。
単純にひとりが20人を相手にするといったわけではない。四方八方、どこから襲いかかってくるかわからない攻撃。それが次から次と間断なく続けられていく。当然のことながら、アンダーガールズ特攻隊員は、そんじょそこらのヤンキーとは違い、ケンカ慣れしていた。
だるまや歌舞伎シスターズには、あまり人員を割かず、
手ごわい前田やサドに対しては、集中攻撃をしかけるという、見事な人海戦術だった。
「おらー!」
だるまの頭突きが、見事に決まる。
「かかってこいやー!」
大歌舞伎の掌底も、的確に急所をとらえていた。
「ナイス!姉貴」
小歌舞伎は、解説に徹したかったが、そういうわけにもいかず、大歌舞伎の手ほどきを受けた技で、かろうじて対処していた。
しかし、やはり、多勢に無勢。
30分ほど経過した時点で、
だるま、歌舞伎シスターズ、
そして、もちろん
前田とサドにも、さすがに疲労の色が見えてきた。
「まったく、キリがねえな!これじゃ」
矢継ぎ早の攻撃に、うんざり気味のサド。
「サドさん!あぶない!」
前田が叫ぶ。
サドの背後から、鉄パイプが振り下ろされそうになっていた。
ボキ!
骨の折れる音。
「うぎゃああああ」
痛みで、転がりまわったのは、アンダーガールズの方だった。
「ジュリナ!」
後方から、あらわれたのは、ハイキックを決めたジュリナだった。
「なにやってんだよ。こんなやつらにやられてんじゃねーよ」
フッと、口元の血を手でぬぐうサド。
「ありがとよ!ジュリナ、背中…頼むぜ!」
「おう!」
サドとジュリナは、背中合わせになり、アンダーガールズに向かって構えをとった。
「まったく、素直じゃないんだから」
店内から、その光景を眺めていたネズミが、つぶやいた。
100人対5人の闘い。
単純にひとりが20人を相手にするといったわけではない。四方八方、どこから襲いかかってくるかわからない攻撃。それが次から次と間断なく続けられていく。当然のことながら、アンダーガールズ特攻隊員は、そんじょそこらのヤンキーとは違い、ケンカ慣れしていた。
だるまや歌舞伎シスターズには、あまり人員を割かず、
手ごわい前田やサドに対しては、集中攻撃をしかけるという、見事な人海戦術だった。
「おらー!」
だるまの頭突きが、見事に決まる。
「かかってこいやー!」
大歌舞伎の掌底も、的確に急所をとらえていた。
「ナイス!姉貴」
小歌舞伎は、解説に徹したかったが、そういうわけにもいかず、大歌舞伎の手ほどきを受けた技で、かろうじて対処していた。
しかし、やはり、多勢に無勢。
30分ほど経過した時点で、
だるま、歌舞伎シスターズ、
そして、もちろん
前田とサドにも、さすがに疲労の色が見えてきた。
「まったく、キリがねえな!これじゃ」
矢継ぎ早の攻撃に、うんざり気味のサド。
「サドさん!あぶない!」
前田が叫ぶ。
サドの背後から、鉄パイプが振り下ろされそうになっていた。
ボキ!
骨の折れる音。
「うぎゃああああ」
痛みで、転がりまわったのは、アンダーガールズの方だった。
「ジュリナ!」
後方から、あらわれたのは、ハイキックを決めたジュリナだった。
「なにやってんだよ。こんなやつらにやられてんじゃねーよ」
フッと、口元の血を手でぬぐうサド。
「ありがとよ!ジュリナ、背中…頼むぜ!」
「おう!」
サドとジュリナは、背中合わせになり、アンダーガールズに向かって構えをとった。
「まったく、素直じゃないんだから」
店内から、その光景を眺めていたネズミが、つぶやいた。