#4
「なんや、楽しそうやなー」
数刻前から、少しはなれた場所で、前田軍団とアンダーガールズの抗争を興味深そうに眺めている姿があった。先ほど、アンダーガールズの検問のところにいた関西弁の少女だ。
「あいつ、前田って言うんかー」
少し考えた後、決意の表情で言った。
「よっしゃ、決めたで!」
そのとき、木陰でスーパーモデルのようにスタイルの良い女性がケータイ片手に話してるのが見えた。
「東京は、夜でもグラサンかけるんやなー。芸能人かいな?まあ、スタイルはウチとかわらんなー」
誰も聞いてないと思い、テキトーな発言をする関西弁の少女。
謎の女性は、先ほどの抗争のなか、前田たちにアドバイスをした謎の声、そのひとであった。
「…It was over.Maeda won.Your advice contributes to the fact.」
報告の電話のようである。
「……In addition,later.」
通話が終わり、その場をはなれた。
その後ろを、尾行するかのように、フードつきのスウェットを着た少女ーネズミがついて行った。
しかし、
ビルの角を一つ曲がったところで、その女性の姿は、忽然と消え失せてしまっていた。
数刻前から、少しはなれた場所で、前田軍団とアンダーガールズの抗争を興味深そうに眺めている姿があった。先ほど、アンダーガールズの検問のところにいた関西弁の少女だ。
「あいつ、前田って言うんかー」
少し考えた後、決意の表情で言った。
「よっしゃ、決めたで!」
そのとき、木陰でスーパーモデルのようにスタイルの良い女性がケータイ片手に話してるのが見えた。
「東京は、夜でもグラサンかけるんやなー。芸能人かいな?まあ、スタイルはウチとかわらんなー」
誰も聞いてないと思い、テキトーな発言をする関西弁の少女。
謎の女性は、先ほどの抗争のなか、前田たちにアドバイスをした謎の声、そのひとであった。
「…It was over.Maeda won.Your advice contributes to the fact.」
報告の電話のようである。
「……In addition,later.」
通話が終わり、その場をはなれた。
その後ろを、尾行するかのように、フードつきのスウェットを着た少女ーネズミがついて行った。
しかし、
ビルの角を一つ曲がったところで、その女性の姿は、忽然と消え失せてしまっていた。
#4
「うおおおお!」
反撃にうつる前田。
完全に攻守は逆転した。
呼吸を整え、気合いを入れ直した前田のパンチは格段にキレがよくなっていた。マナツは防戦一方にならざるをえない。しかし、その防御にも徐々に陰りが見えてきた。マナツの体に強烈なパンチが何発も当たりだしていた。そして、ついに…
マナツが、過去に、誰にも触れられたことのない顔面に、前田の拳がまともに炸裂した。
「ま…前田ぁ…」
初めての衝撃。
前田の超ヘビー級のパンチをモロに顔面に受けたにもかかわらず、倒れることなく、膝をつくこともなく、立ち続けるマナツ。さすがは隊を任されているだけはある。
さらに、前田はパンチを打とうとして、そして、やめた。
「あつ姐!どうしたんでっか?とどめ刺したってくださいよー」
だるまが促す。
「もう、いいよ」
前田は、マナツに背を向けて言った。
マナツは、立ったまま意識を失っていた。
それを見て、前田の勝利を確信した
だるまと歌舞伎シスターズは、傷だらけの顔で微笑んだ。
サドもそばまで来ていた。
「よくやったな、前田。さすがは、マジ女のてっぺんだ」
「サドさん…すいません」
またしても、サドを巻き込んでしまった自責の念が浮かんだ。生傷が痛々しい。
「気にするな。ケンカは私のストレス解消法だ」
「……ありがとうございます」
「お前らも、よく頑張ったな」
だるまと歌舞伎シスターズにもねぎらいの言葉をかける。
3人は照れくさそうだ。
ピーポーピーポー
数台のパトカーと救急車のサイレンの音が近づいてきた。
「おい、お前たち、早く逃げろ!」
この状況で、正当防衛は通用しないだろう。
「わかりました。サドさんは?」
サドは、ファミレスを眺めて苦々しく言った。
「バイト」
夜の駐車場に、みんなの笑い声が木霊した。
反撃にうつる前田。
完全に攻守は逆転した。
呼吸を整え、気合いを入れ直した前田のパンチは格段にキレがよくなっていた。マナツは防戦一方にならざるをえない。しかし、その防御にも徐々に陰りが見えてきた。マナツの体に強烈なパンチが何発も当たりだしていた。そして、ついに…
マナツが、過去に、誰にも触れられたことのない顔面に、前田の拳がまともに炸裂した。
「ま…前田ぁ…」
初めての衝撃。
前田の超ヘビー級のパンチをモロに顔面に受けたにもかかわらず、倒れることなく、膝をつくこともなく、立ち続けるマナツ。さすがは隊を任されているだけはある。
さらに、前田はパンチを打とうとして、そして、やめた。
「あつ姐!どうしたんでっか?とどめ刺したってくださいよー」
だるまが促す。
「もう、いいよ」
前田は、マナツに背を向けて言った。
マナツは、立ったまま意識を失っていた。
それを見て、前田の勝利を確信した
だるまと歌舞伎シスターズは、傷だらけの顔で微笑んだ。
サドもそばまで来ていた。
「よくやったな、前田。さすがは、マジ女のてっぺんだ」
「サドさん…すいません」
またしても、サドを巻き込んでしまった自責の念が浮かんだ。生傷が痛々しい。
「気にするな。ケンカは私のストレス解消法だ」
「……ありがとうございます」
「お前らも、よく頑張ったな」
だるまと歌舞伎シスターズにもねぎらいの言葉をかける。
3人は照れくさそうだ。
ピーポーピーポー
数台のパトカーと救急車のサイレンの音が近づいてきた。
「おい、お前たち、早く逃げろ!」
この状況で、正当防衛は通用しないだろう。
「わかりました。サドさんは?」
サドは、ファミレスを眺めて苦々しく言った。
「バイト」
夜の駐車場に、みんなの笑い声が木霊した。
#4
サドとジュリナの二人は、最後の敵をそれぞれ、パンチとキックで同時に倒した。
「ふー、なかなか手強かったな。頭数多すぎだぜ。ま、あとは、前田がやってくれるだろ」
遠くで、前田とマナツが闘っているのが見える。優勢なのがこちらからも見てとれた。
「ふん!あんなやつに負けるようじゃ、マジ女のてっぺんとは言わせねえ」
そんな素直じゃないジュリナを見て、サドは笑った。
「な、何笑ってんだよ!」
ジュリナがふくれっ面になる。
「鼻血…出てるぜ」
「えっ!」
恥ずかしそうに、
ごしごしと鼻の頭を、袖口で拭うジュリナ。
「ははは、ウソだよ」
「ちっ!」
なあ、ジュリナ。と、優しく語りかけるように、サドは話し始めた。
「お前は今まで、ずっと、ひとりで闘ってきたんじゃないか?たしかに、ひとりなら、気楽だろうな。失うものがないんだから。だけど、守るべきものがあるほうが、どこまでも強くなれるんだ。それが…仲間の絆ってやつだ」
「…よくわかんねえ」
「そうか。まあ、いまはわからなくてもいいさ。だけどな、少なくとも私は、お前のこと、仲間だと思ってる。マジ女の後輩だしな。それと、さっきは助かったぜ。ありがとな」
ジュリナが、ひとに感謝されたのは生涯で初めてのことだった。今までにない感情が胸に湧き上がってくるのを感じた。そして、思わず知らず、その場から逃げ出していた。
「ふー、なかなか手強かったな。頭数多すぎだぜ。ま、あとは、前田がやってくれるだろ」
遠くで、前田とマナツが闘っているのが見える。優勢なのがこちらからも見てとれた。
「ふん!あんなやつに負けるようじゃ、マジ女のてっぺんとは言わせねえ」
そんな素直じゃないジュリナを見て、サドは笑った。
「な、何笑ってんだよ!」
ジュリナがふくれっ面になる。
「鼻血…出てるぜ」
「えっ!」
恥ずかしそうに、
ごしごしと鼻の頭を、袖口で拭うジュリナ。
「ははは、ウソだよ」
「ちっ!」
なあ、ジュリナ。と、優しく語りかけるように、サドは話し始めた。
「お前は今まで、ずっと、ひとりで闘ってきたんじゃないか?たしかに、ひとりなら、気楽だろうな。失うものがないんだから。だけど、守るべきものがあるほうが、どこまでも強くなれるんだ。それが…仲間の絆ってやつだ」
「…よくわかんねえ」
「そうか。まあ、いまはわからなくてもいいさ。だけどな、少なくとも私は、お前のこと、仲間だと思ってる。マジ女の後輩だしな。それと、さっきは助かったぜ。ありがとな」
ジュリナが、ひとに感謝されたのは生涯で初めてのことだった。今までにない感情が胸に湧き上がってくるのを感じた。そして、思わず知らず、その場から逃げ出していた。