#4
(ビビってんじゃねーよ!)
前田の脳裏に、親友である高橋みなみの姿が浮かぶ。
(あたし、弱気な敦子はキライだよ!)
「みなみ…」
マナツの見えない拳に、どう立ち向かえばいいのか、その答えが出ないまま、前田はすでに虫の息だった。
「あつ姐えええー」
「前田!」
「前田の姉貴!」
あらかた、アンダーガールズを片付けた
だるまと歌舞伎シスターズは、ボロボロになりながらも、前田にエールを送る。
(ありがとう…みんな…)
そのエールを受けとめ、
前田は、そっと目を閉じ、深く息を吸い込んだ。そして、それをゆっくり吐き出す。
そのとき、パトカーのサイレンが徐々に近づいてくるのがわかった。
「あれ、検問突破されたのかな」
じゃ、そろそろ終わらせますかね、と言って、マナツはパンチを放った。
そのパンチを、前田は、初めて紙一重でかわす。目は閉じられたままだった。
「あれ?」
不思議がるマナツは、立て続けにパンチを繰り出した。それらも、すべて、紙一重でかわしていく前田。
「もう、お前の拳は…見切った!」
「あつ姐が、目をつぶって闘っとる」
だるまが不思議そうにつぶやいた。小歌舞伎がそれを受けて、語り始めた。
「心眼ー心の目をもって、相手の挙動を予測して行動することで、相手を制することができると言われている。具体的には、目や耳などの感覚器で知覚することができない情報を、経験と想像力で推測することによって、見えないものを把握することが出来るという」
「相変わらず、解説者じゃのう」
だるまは感心した。
「向こうは、けりがついたようだよ」
大歌舞伎が、サドとジュリナのほうをあごで指し示した。
前田の脳裏に、親友である高橋みなみの姿が浮かぶ。
(あたし、弱気な敦子はキライだよ!)
「みなみ…」
マナツの見えない拳に、どう立ち向かえばいいのか、その答えが出ないまま、前田はすでに虫の息だった。
「あつ姐えええー」
「前田!」
「前田の姉貴!」
あらかた、アンダーガールズを片付けた
だるまと歌舞伎シスターズは、ボロボロになりながらも、前田にエールを送る。
(ありがとう…みんな…)
そのエールを受けとめ、
前田は、そっと目を閉じ、深く息を吸い込んだ。そして、それをゆっくり吐き出す。
そのとき、パトカーのサイレンが徐々に近づいてくるのがわかった。
「あれ、検問突破されたのかな」
じゃ、そろそろ終わらせますかね、と言って、マナツはパンチを放った。
そのパンチを、前田は、初めて紙一重でかわす。目は閉じられたままだった。
「あれ?」
不思議がるマナツは、立て続けにパンチを繰り出した。それらも、すべて、紙一重でかわしていく前田。
「もう、お前の拳は…見切った!」
「あつ姐が、目をつぶって闘っとる」
だるまが不思議そうにつぶやいた。小歌舞伎がそれを受けて、語り始めた。
「心眼ー心の目をもって、相手の挙動を予測して行動することで、相手を制することができると言われている。具体的には、目や耳などの感覚器で知覚することができない情報を、経験と想像力で推測することによって、見えないものを把握することが出来るという」
「相変わらず、解説者じゃのう」
だるまは感心した。
「向こうは、けりがついたようだよ」
大歌舞伎が、サドとジュリナのほうをあごで指し示した。
#4
「なんやなんやー、検問か?」
関西弁の少女。
たしかに、傍から見ると、警察車両が暴走族を抑えているように見える。しかし、実際はその逆で、暴走族のほうが、警察車両の侵入を阻止している構図であった。
暴走族は、言わずとしれたアンダーガールズである。
「こっちに来たばっかりやから、ようわからんけど、東京では、暴走族のほうが検問するんやなー」
ひとりで、ボケたところ、だれもツッコミを入れてくれないので、自ら、なんでやねん、とひとりボケひとりツッコミをする少女であった。見たところ、高校生のようである。ブルーのジーンズに白のTシャツ、こげ茶の革ジャンという、ラフなスタイル。クールな顔に、よく似合っていた。
「おウチ帰りたいんやけどなー」
警察と暴走族の間で、小競り合いの格闘が行われていることは、全く意に介さずであった。
「なんだ?お前」
アンダーガールズのひとりに因縁をつけられる少女。
「ここは、通行止めだ。ほかを回れ」
少女は、アンダーガールズの検問に近づきすぎてしまったようだ。
しかし、木刀を持っているアンダーガールズにたじろぐ様子もなく、こう言った。
「しゃあないなー。ほな、道あけてもらおか」
関西弁の少女。
たしかに、傍から見ると、警察車両が暴走族を抑えているように見える。しかし、実際はその逆で、暴走族のほうが、警察車両の侵入を阻止している構図であった。
暴走族は、言わずとしれたアンダーガールズである。
「こっちに来たばっかりやから、ようわからんけど、東京では、暴走族のほうが検問するんやなー」
ひとりで、ボケたところ、だれもツッコミを入れてくれないので、自ら、なんでやねん、とひとりボケひとりツッコミをする少女であった。見たところ、高校生のようである。ブルーのジーンズに白のTシャツ、こげ茶の革ジャンという、ラフなスタイル。クールな顔に、よく似合っていた。
「おウチ帰りたいんやけどなー」
警察と暴走族の間で、小競り合いの格闘が行われていることは、全く意に介さずであった。
「なんだ?お前」
アンダーガールズのひとりに因縁をつけられる少女。
「ここは、通行止めだ。ほかを回れ」
少女は、アンダーガールズの検問に近づきすぎてしまったようだ。
しかし、木刀を持っているアンダーガールズにたじろぐ様子もなく、こう言った。
「しゃあないなー。ほな、道あけてもらおか」
#4
時はきたー
とうとう、マジすか学園の現トップvsアンダーガールズ特攻隊長のタイマン勝負が始まったのであった。
「うああああ」
前田の拳がうなりをあげて、マナツめがけて、くりだされる。しかし、拳は虚しく空を切るばかりだ。右、左、右、ことごとくかわされている。
「お疲れのようですね。大振りになってますよ」
冷静に、微笑みすら浮かべながら、体をかわすマナツ。
「ちくしょう!」
「そろそろ、反撃してもいいですか」
シュッ
瞬間、闇を切り裂く空気音だけが聞こえた。
前田の右頬から、血がしたたる。
攻撃は、なおも続けられた。
シュッ!シュッ!シュッ!
一瞬で、前田の顔は、吹き出す鮮血で赤く染まる。
(は…迅い)
目にもとまらぬスピードで
パンチを繰り出すマナツ。
たまらず、前田は、両腕をあげ、しっかり顔面をガードする。ガードの奥の瞳は、戦意を失ってはいない。
「そんなものですか?がっかりしました」
防御にまわった前田に不服そうに、
肩をすくめるマナツ。
「あああああ」
前田が、再度仕掛けようとした刹那、腹部に衝撃が走った。
「ぐふっ」
がっくりと両膝を地につけて、うめく前田。
「はぁ…はぁ…、拳が…見えない…」
依然として前田は、
突破口を見いだせずにいた。
同じ頃ー
サドとジュリナの即席コンビは、面白いように、アンダーガールズの猛者たちを倒していく。お互いの弱点を補い、長所を引き出し合い、爆発的な破壊力を生んでいた。
「はぁ…はぁ…、やるなージュリナ」
サドが、右ストレートを叩き込みながら言った。
「う、うるせーよ!おらー!」
サドの死角から襲ってくる敵に、回し蹴りをきめる!
あっという間に、ほとんどのアンダーガールズのメンバーが戦闘不能に陥っていった。
「そろそろ、エンディングっすかねー」
おかわり、おかわり、と言いながらドリンクバーに向かうネズミだった。
とうとう、マジすか学園の現トップvsアンダーガールズ特攻隊長のタイマン勝負が始まったのであった。
「うああああ」
前田の拳がうなりをあげて、マナツめがけて、くりだされる。しかし、拳は虚しく空を切るばかりだ。右、左、右、ことごとくかわされている。
「お疲れのようですね。大振りになってますよ」
冷静に、微笑みすら浮かべながら、体をかわすマナツ。
「ちくしょう!」
「そろそろ、反撃してもいいですか」
シュッ
瞬間、闇を切り裂く空気音だけが聞こえた。
前田の右頬から、血がしたたる。
攻撃は、なおも続けられた。
シュッ!シュッ!シュッ!
一瞬で、前田の顔は、吹き出す鮮血で赤く染まる。
(は…迅い)
目にもとまらぬスピードで
パンチを繰り出すマナツ。
たまらず、前田は、両腕をあげ、しっかり顔面をガードする。ガードの奥の瞳は、戦意を失ってはいない。
「そんなものですか?がっかりしました」
防御にまわった前田に不服そうに、
肩をすくめるマナツ。
「あああああ」
前田が、再度仕掛けようとした刹那、腹部に衝撃が走った。
「ぐふっ」
がっくりと両膝を地につけて、うめく前田。
「はぁ…はぁ…、拳が…見えない…」
依然として前田は、
突破口を見いだせずにいた。
同じ頃ー
サドとジュリナの即席コンビは、面白いように、アンダーガールズの猛者たちを倒していく。お互いの弱点を補い、長所を引き出し合い、爆発的な破壊力を生んでいた。
「はぁ…はぁ…、やるなージュリナ」
サドが、右ストレートを叩き込みながら言った。
「う、うるせーよ!おらー!」
サドの死角から襲ってくる敵に、回し蹴りをきめる!
あっという間に、ほとんどのアンダーガールズのメンバーが戦闘不能に陥っていった。
「そろそろ、エンディングっすかねー」
おかわり、おかわり、と言いながらドリンクバーに向かうネズミだった。