#8
前田は、二階から三階に続く階段を、一気に駆け上がり、三階の部屋の扉の前に立った。
そのときー
ふと、
不吉な思いが頭をよぎった。
(何か…いやな感じ…)
虫の知らせかー
しかし、立ち止まるわけにはいかない。前田は、その考えを振り切り、扉を開いた。
ガチャリ
三階
室内は、意外にも、板張りで、まるで、空手道場のような、というのが第一印象だった。
それほど、広くはない。天井が、少し高かった。
「来たか。前田…」
黒の拳法着を、身にまとった少女が、部屋の奥に佇んでいる。長いストレートの黒髪。前髪はまっすぐ整えられており、眉が凛々しい。武人の風格が漂う。
「…十人衆か?」
「アンダーガールズ親衛隊、十人衆、木本カノン!参る!」
言い終わる前に
いきなり、助走なしの跳躍。
3メートルは、あろうかという前田との距離をものともしない、飛び蹴り。人並みはずれた体のバネだ。
前田は、その攻撃をしっかりと両腕でブロックした。
腕がしびれる。
ふわりと着地するカノン。
「さすがに、三階まで、たどり着いただけはある。おもしろい」
その道の達人は、一度、手を合わせただけで、相手の力量を見抜くことが可能だという。
カノンも、前田の実力を読み取ったのだろうか。不敵な笑みを浮かべていた。
「中国拳法か…」
モニターでは、前田とカノンの闘いが始まっていた。それを見て、だるまがつぶやいた。
「中国武術の少林拳です。少林拳とは、中国河南省発祥で、彼女は、幼い頃、総本山で修行し、歴代最年少で、師範となったそうです。『天下の武術少林より出ず』という言葉があるように、現存するあらゆる拳法の源流ー」
マサナの講釈に、だるまは、すこし考えてから、言った。
「なるほど。北斗神拳っちゅうやつやな」
「ちげーよ!」
学ランと歌舞伎シスターズの三人に即座につっこまれる だるまだった。
そのときー
ふと、
不吉な思いが頭をよぎった。
(何か…いやな感じ…)
虫の知らせかー
しかし、立ち止まるわけにはいかない。前田は、その考えを振り切り、扉を開いた。
ガチャリ
三階
室内は、意外にも、板張りで、まるで、空手道場のような、というのが第一印象だった。
それほど、広くはない。天井が、少し高かった。
「来たか。前田…」
黒の拳法着を、身にまとった少女が、部屋の奥に佇んでいる。長いストレートの黒髪。前髪はまっすぐ整えられており、眉が凛々しい。武人の風格が漂う。
「…十人衆か?」
「アンダーガールズ親衛隊、十人衆、木本カノン!参る!」
言い終わる前に
いきなり、助走なしの跳躍。
3メートルは、あろうかという前田との距離をものともしない、飛び蹴り。人並みはずれた体のバネだ。
前田は、その攻撃をしっかりと両腕でブロックした。
腕がしびれる。
ふわりと着地するカノン。
「さすがに、三階まで、たどり着いただけはある。おもしろい」
その道の達人は、一度、手を合わせただけで、相手の力量を見抜くことが可能だという。
カノンも、前田の実力を読み取ったのだろうか。不敵な笑みを浮かべていた。
「中国拳法か…」
モニターでは、前田とカノンの闘いが始まっていた。それを見て、だるまがつぶやいた。
「中国武術の少林拳です。少林拳とは、中国河南省発祥で、彼女は、幼い頃、総本山で修行し、歴代最年少で、師範となったそうです。『天下の武術少林より出ず』という言葉があるように、現存するあらゆる拳法の源流ー」
マサナの講釈に、だるまは、すこし考えてから、言った。
「なるほど。北斗神拳っちゅうやつやな」
「ちげーよ!」
学ランと歌舞伎シスターズの三人に即座につっこまれる だるまだった。
#8
満天の星空ー
その中に、ひときわ大きく輝く星がひとつ、流れて、消えた。
それを、高台にある公園のベンチで、ひとり見上げる少女。
「東京でも…星って、見えるんやな…」
マジすか女学園転入生の山本サヤカだ。前田に、一目惚れ(?)したということで、マジ女にやってきて、転校初日から、争いに巻き込まれ、アンダーガールズ特攻隊長、向田マナツを一発のパンチで沈め、矢場久根死天王の宮澤タエの暗器を見破ったり、と、なにかと謎の多い少女だ。
後ろの方から
駆け寄ってくる足音がした。
「サヤ!やっと見つけたで!」
息も絶え絶えな髪の長い少女が、サヤの背中に声をかけた。
「だれやねん!」
「相変わらず、つまらんボケやな」
「ちぇ!ウチはいま、憂いを帯びた麗しい美少女が、星空を眺めるっちゅう体で、ひたっとるんや!邪魔せんとき!ナナ」
ナナと呼ばれる、その少女は、サヤとほぼ同世代。旧知の仲のようだ。
「麗しい美少女…て」
あきれた様子で、肩をすくめるナナ。
「それより、なんで、みんなになんも言わんと、勝手に大阪とびだしたんや!?」
ナナは、気を取り直し、話を本筋に戻した。
大阪から、サヤを追いかけてきたらしい。
「引き継ぎは、済ませてきたで」
「そんなん、だれも納得いってへんわ!アホ!いつも、いつも、サヤは、気まぐれやったけど…今回だけは最悪や!一体なんでなんや!?」
まくし立てるナナに対し、言い返すうまい言葉も見つからなかった。
サヤは、急に真面目な顔つきになって、言った。
「失くしたもん…取り返しに来たんや…」
その中に、ひときわ大きく輝く星がひとつ、流れて、消えた。
それを、高台にある公園のベンチで、ひとり見上げる少女。
「東京でも…星って、見えるんやな…」
マジすか女学園転入生の山本サヤカだ。前田に、一目惚れ(?)したということで、マジ女にやってきて、転校初日から、争いに巻き込まれ、アンダーガールズ特攻隊長、向田マナツを一発のパンチで沈め、矢場久根死天王の宮澤タエの暗器を見破ったり、と、なにかと謎の多い少女だ。
後ろの方から
駆け寄ってくる足音がした。
「サヤ!やっと見つけたで!」
息も絶え絶えな髪の長い少女が、サヤの背中に声をかけた。
「だれやねん!」
「相変わらず、つまらんボケやな」
「ちぇ!ウチはいま、憂いを帯びた麗しい美少女が、星空を眺めるっちゅう体で、ひたっとるんや!邪魔せんとき!ナナ」
ナナと呼ばれる、その少女は、サヤとほぼ同世代。旧知の仲のようだ。
「麗しい美少女…て」
あきれた様子で、肩をすくめるナナ。
「それより、なんで、みんなになんも言わんと、勝手に大阪とびだしたんや!?」
ナナは、気を取り直し、話を本筋に戻した。
大阪から、サヤを追いかけてきたらしい。
「引き継ぎは、済ませてきたで」
「そんなん、だれも納得いってへんわ!アホ!いつも、いつも、サヤは、気まぐれやったけど…今回だけは最悪や!一体なんでなんや!?」
まくし立てるナナに対し、言い返すうまい言葉も見つからなかった。
サヤは、急に真面目な顔つきになって、言った。
「失くしたもん…取り返しに来たんや…」
#8
(な、なんてやっかいなパンチだ…軌道が…読めねー…)
矢場久根新総長、市川ミオリの拳は、どこから飛んでくるのか、まったくわからないーその攻撃は、迅く、重く、無秩序で、そして、無慈悲だった。
サドは、かわすことはおろか、ガードすら、ままならない。
「マジ女のサド、噂ほどじゃないな!」
ミオリの攻めは、サドの顔に集中していた。両腕のガードをものの見事にすり抜け、的確に顔面に連打また連打。一撃で意識を根こそぎ持っていかれてもおかしくない重量級パンチを、何発もまともにくらい、立っているのが不思議なくらいだった。
「くっそ!っらぁ!」
サドの右回し蹴り一閃。
それすら
ひらりとかわすミオリ。
「はぁ…はぁ…」
「そんなものかよ!伝説のラッパッパとやらは」
たいしたことねーな、と言いつつ、ふたたび距離をつめるミオリ。
それを見て、サドは両腕を、だらりと下ろした。
「観念したか!」
「うおおおおおお!」
懐に招き入れてからの
サドの乾坤一擲の右ハイキック。
しかし、そこに、ミオリの姿はー
なかった。
刹那。顔面に、強烈な拳撃。
サドの視界が、一瞬で、闇に閉ざされた。
空白の闇ー
サドは、そのまま、地に墜ちた。
悪魔が
微笑んだ。
矢場久根新総長、市川ミオリの拳は、どこから飛んでくるのか、まったくわからないーその攻撃は、迅く、重く、無秩序で、そして、無慈悲だった。
サドは、かわすことはおろか、ガードすら、ままならない。
「マジ女のサド、噂ほどじゃないな!」
ミオリの攻めは、サドの顔に集中していた。両腕のガードをものの見事にすり抜け、的確に顔面に連打また連打。一撃で意識を根こそぎ持っていかれてもおかしくない重量級パンチを、何発もまともにくらい、立っているのが不思議なくらいだった。
「くっそ!っらぁ!」
サドの右回し蹴り一閃。
それすら
ひらりとかわすミオリ。
「はぁ…はぁ…」
「そんなものかよ!伝説のラッパッパとやらは」
たいしたことねーな、と言いつつ、ふたたび距離をつめるミオリ。
それを見て、サドは両腕を、だらりと下ろした。
「観念したか!」
「うおおおおおお!」
懐に招き入れてからの
サドの乾坤一擲の右ハイキック。
しかし、そこに、ミオリの姿はー
なかった。
刹那。顔面に、強烈な拳撃。
サドの視界が、一瞬で、闇に閉ざされた。
空白の闇ー
サドは、そのまま、地に墜ちた。
悪魔が
微笑んだ。