AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -215ページ目

#8

「押してるねー。前田のやつ、ほんっと、底が見えねーな」

アカネは、これまでの闘いを通して、前田の実力を、認めはじめていた。

「そうですね。闘うたびに強くなる精神力、怒り、そして仲間を想う気持ちが、肉体を凌駕し、ちからを増幅させていくようです。研究材料としては、このうえない逸材。もっとも、カノンも、まだ、底を見せてはいませんが…」

「確かにな。どっちの底が、深いか…だな」

アカネとマサナの視線の先のモニターには、攻勢に転じている前田の姿があった。



鬼気迫る前田のパンチのラッシュ。
カノンは、相当、打たれ続けていた。それでも、負けずに打ち返す。


お互い
足を止めての打ち合い。
カノンは、前田のパンチをまともに十数発は受けながらも、まるで、意に介さず、避けようともせず打ち返してくる。
ふたりの血と汗が飛沫となって、飛び散る。

「はあ…はあ…不死身か…」

「生まれつき痛みを感じない体でね」
生来、カノンには痛覚というものを感じる器官が備わっていなかった。
よって、いまだかつて、痛みというものを知らない。

「だったら、ひとの痛みってやつを、教えてやるよ!」

さらに、前田のラッシュは激しさを増した。


その勢いは、ついにカノンを床にたたき伏せた。

「はぁ…はぁ…」

しかし
前田のほうも、すでに体力の限界にきていた。

「前田…期待以上だったよ。お前の強さは…。そんなお前に敬意を表して、最期は、私の奥義で葬ろう」

そう言うと、カノンは、立ち上がり、少し距離を置き、見たことのない構えを見せる。
意識朦朧な前田に対し、左手をまっすぐ伸ばし、半身の構え。
そして、右の拳は、ソフトボールを握るくらい開き、前田に向けつつ、腰の付近に当てていた。ちからを溜めるかのように。

開いた右拳の前の空気が、ゆらめいて見えた。

カノンと前田との距離は、約2メートル。

カノンが、


右手を、


押し出した。

勢いよく。

轟という音とともに、爆風のような衝撃が、前田の全身を襲った。


前田は、一直線に、3メートル後ろの壁に、飛ばされた。そのまま、壁に激突し、跳ね返り、さらに床に正面から、衝突し、バウンドし、


そしてー


動かなくなった。


まるで、投げつけられた、おもちゃの人形のように。


「別了(ビェラ)…」

カノンは、永遠の別れの言葉を前田に投げかけた。








#8『巨星堕つ!?星空の下の邂逅』 終

#8


親衛隊十人衆、カノンの拳法家ならではの多彩な攻撃は、徐々に、前田を壁際に追い詰めていた。パンチひとつとっても、通常のそれとは軌道も出所も違う。加えて、ヒジやヒザ、それらを組み合わせた無限の打撃コンビネーション。
前田の天性の勘が、かろうじてクリーンヒットを避けていた。

(このままじゃ…ダメだ)

前田が、危険を覚悟で、一歩踏み込んだ。

直後ー

カノンの拳が、前田の顔面をとらえた。

「ぐはっ」

前田の頭が跳ね上がる。そして、ヒジ、蹴り、拳、ヒザ、ヒジと、相手が倒れるまで止まらない無限コンボ。

たまらず、前田が崩れ落ちる。

「はぁ…はぁ…」

「万全の体調のお前と闘いたかったよ」

皮肉ではなく、カノンの本心の発露だった。

「うあああ!」

立ち上がりざまの
前田のパンチは、無情にも、カノンには届かない。

カノンは、壁に向かって跳んでいた。
そして、反動を利用した蹴り。三角跳び。
前田がガードすらできず、吹き飛んだ。

拍子抜けした
カノンは何か思いついたように、
「そういえば、さっき、事務用のケータイに…」
と言って、スマートフォンを取り出した。
そして、それを、伏している前田の側に放り投げる。

スマートフォンのディスプレイには、生徒会長の傷ついた姿、

と、


だるま、学ラン、歌舞伎シスターズの捕らわれている姿が、一緒に写っていた。生徒会長同様に、皆、顔の生傷が痛々しい。


前田のなかで、ぷちっと何かが切れる音がした。

半瞬後ー

前田の右の拳が、カノンの顔面を貫いた。
よろめくカノン。

「これが…お前の本気か…」
カノンが、うれしそうに言った。

「世の中…マジしかねーんだよ」

前田の怒りは、頂点に達していた。

#8

『前田、進級おめでとう』

生徒会長の峯岸みなみが、そういって話しかけてきたのは、桜の花びらが舞う、始業式のあとのことだった。

『あ、はい』

何故か、峯岸に対してはかしこまってしまう前田。
峯岸が、前田の座っているベンチに腰を落とし、前を向いたまま言った。

『前田、生徒会に興味はないか?』

唐突な問いだった。

『えっと…別に…』

『そうか。お前となら、素晴らしい生徒会活動ができそうなんだがな』

『そうですか…』

『それにしても、前田、お前…最近、変わったな。なんていうか、いい感じだ』

『はあ』

どうも、と生返事する前田。

『転入したての頃は、なんか、いろんなものから逃げてたよな。受け身でさ。降りかかる火の粉さえ払っておけばー的なとこがあっただろ。でも、それは、私から言わせると、“逃げ”だったんだよな。それが、最近は、なんか前向きになってきたな。確かに、ケンカは、いくない。でも、ケンカにも、いいケンカと悪いケンカがあるということだ』

前田は、峯岸の、こういうハッキリとしたところが、好きだった。

『とにかく、前田が、まわりの仲間や、このマジすか女学園を大切に思ってきてくれてることを嬉しく思う。というわけで、生徒会副会長の席は空けておくぞ』

『いや、それはちょっと…』

すると
峯岸が、急に、黙ってー
そして

泣き出した。

『ぶえええええええええん』

その大きな泣き声に、生徒が集まってきた。

前田は、必死に、峯岸をなだめるので精一杯だった。