#8
「負け…だな」
「そのようですね」
忌々しさを孕んだアカネのつぶやきに、淡々とした態度で応えるマサナ。
「あなたたちの声が届いたのでしょうか…」
まさかとは思いますがーと、
目線を部屋の隅に遣った。
本部司令室の壁際には、縄で、ぐるぐる巻きにされ横たわる、鬼塚だるま、河西トモミ、倉持アスカ、宮澤サエの四人の姿があった。
口には粘着テープが貼られており、顔には、殴られた跡が痛々しかったが、皆、一様に、前田の勝利に興奮していた。
「前田が敗北する無惨な姿を見せてあげようと思ったのですが…」
とりあえず
テープを取ってあげなさい、とマサナは警護の側近二人に言った。
「いてて…そっと、剥がさんかい!ボケ!お前らみたいな、卑怯モンに、あつ姐が負けるはずがないんや!」
だるまが、吠える。
「くそっ!不意打ちくらわしやがって!」
「そうだそうだ!」
「おれの敦子に、何しやがるんだよ!縄ほどきやがれ!」
歌舞伎シスターズと学ランも、それに続く。
生徒会長同様、人質として、拉致されていたのだ。あらかじめ、ゲームの妨げになることを防いだかたちだ。
「あなた方の拘束は、継続させていただきます。おとなしく、自分たちの無力さを噛み締めながら、前田の闘い様をご覧なさい。暴れると、別室にいる生徒会長がかわいそうなことになりますよ」
「まぁ、このゲームも、間違いなく、次の階で終わりだろう。それまでの辛抱だ」
「そうですね。三階の彼女の技をまともに受け、再起不能にならなかった者は、いまだかつて、ひとりもいませんからね」
(あつ姐…無事で…)
だるまは、祈った。
いまは、ただ、祈ることしかできなかった。
「そのようですね」
忌々しさを孕んだアカネのつぶやきに、淡々とした態度で応えるマサナ。
「あなたたちの声が届いたのでしょうか…」
まさかとは思いますがーと、
目線を部屋の隅に遣った。
本部司令室の壁際には、縄で、ぐるぐる巻きにされ横たわる、鬼塚だるま、河西トモミ、倉持アスカ、宮澤サエの四人の姿があった。
口には粘着テープが貼られており、顔には、殴られた跡が痛々しかったが、皆、一様に、前田の勝利に興奮していた。
「前田が敗北する無惨な姿を見せてあげようと思ったのですが…」
とりあえず
テープを取ってあげなさい、とマサナは警護の側近二人に言った。
「いてて…そっと、剥がさんかい!ボケ!お前らみたいな、卑怯モンに、あつ姐が負けるはずがないんや!」
だるまが、吠える。
「くそっ!不意打ちくらわしやがって!」
「そうだそうだ!」
「おれの敦子に、何しやがるんだよ!縄ほどきやがれ!」
歌舞伎シスターズと学ランも、それに続く。
生徒会長同様、人質として、拉致されていたのだ。あらかじめ、ゲームの妨げになることを防いだかたちだ。
「あなた方の拘束は、継続させていただきます。おとなしく、自分たちの無力さを噛み締めながら、前田の闘い様をご覧なさい。暴れると、別室にいる生徒会長がかわいそうなことになりますよ」
「まぁ、このゲームも、間違いなく、次の階で終わりだろう。それまでの辛抱だ」
「そうですね。三階の彼女の技をまともに受け、再起不能にならなかった者は、いまだかつて、ひとりもいませんからね」
(あつ姐…無事で…)
だるまは、祈った。
いまは、ただ、祈ることしかできなかった。
#8
「本当にごめんなさいっ」
「もう、いいよ」
前田は、カナに傷の手当てをしてもらっていた。カナは自らの敗北を認め、傷の手当てを申し出たのだった。
手の傷を見て、泣きそうなカナ。
「まさか、右手にカップの欠片を握りこんでいたなんて…痛みで意識を逸らそうとしたんですね」
結果的に、100パーセントの精神攻撃を受けずにすんだようだ。
「まあ、利き腕じゃないし…」
と言って、はは、と前田は笑った。
「敦子お嬢様には、本当に驚かされます。そして、いろいろ教わった気がします。組織に入ったのは、カナの弱さ…。これからは、マジに…生きていこうと思います」
応急の手当てを済ますと、
これは、必要なときに、のんでください、と
カナは、救急箱の中から、錠剤を手渡した。増血剤や抗生物質などだった。
「ありがと。じゃ、急ぐから」
「はい。手には、魔法の薬を塗っておきました。我が家に代々伝わる秘伝の…」
言い終える前に、
前田は、すでに走りだしていた。
途中
すぐに、手の痛みがひいていくのがわかった。
(魔法?)
階段を駆け上がりながら、まさか…ね、と思う前田であった。
「もきゅ」
「もう、いいよ」
前田は、カナに傷の手当てをしてもらっていた。カナは自らの敗北を認め、傷の手当てを申し出たのだった。
手の傷を見て、泣きそうなカナ。
「まさか、右手にカップの欠片を握りこんでいたなんて…痛みで意識を逸らそうとしたんですね」
結果的に、100パーセントの精神攻撃を受けずにすんだようだ。
「まあ、利き腕じゃないし…」
と言って、はは、と前田は笑った。
「敦子お嬢様には、本当に驚かされます。そして、いろいろ教わった気がします。組織に入ったのは、カナの弱さ…。これからは、マジに…生きていこうと思います」
応急の手当てを済ますと、
これは、必要なときに、のんでください、と
カナは、救急箱の中から、錠剤を手渡した。増血剤や抗生物質などだった。
「ありがと。じゃ、急ぐから」
「はい。手には、魔法の薬を塗っておきました。我が家に代々伝わる秘伝の…」
言い終える前に、
前田は、すでに走りだしていた。
途中
すぐに、手の痛みがひいていくのがわかった。
(魔法?)
階段を駆け上がりながら、まさか…ね、と思う前田であった。
「もきゅ」
#8
「今夜は、千客万来だな」
ブラックとアルファの対決を見届け、帰途についていたサド。
「いや、今夜だけじゃないか。最近、モテ期が来てるのか」
苦笑するサド。
物陰に、ひとの気配を感じていた。
不意に、サドめがけて、何かが飛んできた。
それを、顔の真横で、受け止めるサド。
飛んできたものは、黄色いレモンだった。
「出てこい!ストーカー野郎!」
サドは、レモンを地面に叩きつけた。
「ほんのあいさつだよ!」
ソプラノの声と容姿が、言葉遣いと不釣り合いだった。
あらわれたのは、アイドルのように、かわいらしい顔の少女。見たことのある制服。
髪型は、両サイドで結ばれている、いわゆるー
「ツインテール…」
「おれの手駒を、次々と、やってくれたようだな」
「何者だ!?」
「市川…ミオリ」
そこで、
サドは、すべてを理解した。入院中の、あじゃ
が言っていたー
「矢場久根の…新総長か…」
ツインテールの背後に、凶凶しいオーラが見えた。まるで、悪魔のようなー。
ブラックとアルファの対決を見届け、帰途についていたサド。
「いや、今夜だけじゃないか。最近、モテ期が来てるのか」
苦笑するサド。
物陰に、ひとの気配を感じていた。
不意に、サドめがけて、何かが飛んできた。
それを、顔の真横で、受け止めるサド。
飛んできたものは、黄色いレモンだった。
「出てこい!ストーカー野郎!」
サドは、レモンを地面に叩きつけた。
「ほんのあいさつだよ!」
ソプラノの声と容姿が、言葉遣いと不釣り合いだった。
あらわれたのは、アイドルのように、かわいらしい顔の少女。見たことのある制服。
髪型は、両サイドで結ばれている、いわゆるー
「ツインテール…」
「おれの手駒を、次々と、やってくれたようだな」
「何者だ!?」
「市川…ミオリ」
そこで、
サドは、すべてを理解した。入院中の、あじゃ
が言っていたー
「矢場久根の…新総長か…」
ツインテールの背後に、凶凶しいオーラが見えた。まるで、悪魔のようなー。