#9
わたしは彷徨う
あのひとのいない世界をー
大都会東京。
眠らない街
新宿ー
夜になっても、昼と変わらない明るさ、そして、それ以上の華やかさを撒き散らす。
でも、わたしにとっては、あのひとのいない世界など、闇に等しい。
わたしは、今日も、彷徨う。回遊魚のように
あのひとをさがしてー
いるはずのない、あのひとをー
あのひとに、言いたかったことは、ただひとつー
『ねえ…怒ってる?』
連夜のように、新宿の街を、彷徨い歩くひとりの少女。
人混みのなか、センスの良いロック調のファッションと、眉目秀麗な顔立ちは、行き交う人々を振り向かせた。
ただ、表情は乏しく、圧倒的に近寄りがたいオーラも醸し出していた。
そんななか、大きめのサングラスをかけたスーパーモデルのようにスタイル抜群の女性が近づいてきた。ゆるふわカールのヘアスタイル、モノトーンのジャケットに、ミニスカート、赤いパンプスが印象的だった。
女性が、おもむろに
少女に声をかける。
素通りしようとする少女に、ふたたび、声をかけ、自分のケータイを手渡した。
少女が、ケータイを耳に当てる。
少女の表情が一変した。
あのひとのいない世界をー
大都会東京。
眠らない街
新宿ー
夜になっても、昼と変わらない明るさ、そして、それ以上の華やかさを撒き散らす。
でも、わたしにとっては、あのひとのいない世界など、闇に等しい。
わたしは、今日も、彷徨う。回遊魚のように
あのひとをさがしてー
いるはずのない、あのひとをー
あのひとに、言いたかったことは、ただひとつー
『ねえ…怒ってる?』
連夜のように、新宿の街を、彷徨い歩くひとりの少女。
人混みのなか、センスの良いロック調のファッションと、眉目秀麗な顔立ちは、行き交う人々を振り向かせた。
ただ、表情は乏しく、圧倒的に近寄りがたいオーラも醸し出していた。
そんななか、大きめのサングラスをかけたスーパーモデルのようにスタイル抜群の女性が近づいてきた。ゆるふわカールのヘアスタイル、モノトーンのジャケットに、ミニスカート、赤いパンプスが印象的だった。
女性が、おもむろに
少女に声をかける。
素通りしようとする少女に、ふたたび、声をかけ、自分のケータイを手渡した。
少女が、ケータイを耳に当てる。
少女の表情が一変した。
#9
ガッシャーン
と、天井の照明に何かが激突した。
白煙とともに、パラパラと蛍光灯のガラスの破片が、降り注ぐ。
その真下ー
三階のフロアに存在するものは、前田敦子、ただひとりであった。左の拳が、真っ直ぐ、天に伸びていた。閉じられた双眸。
天井に激突したのは、親衛隊十人衆、木本カノンだった。重力を無視したかのように、天井にはりついたままである。
ほどなく、白衣をまとった救護班が到着した。
救護班というのは、アンダーガールズの隊員ではなく、組織の系列病院のれっきとした医療従事者である。デスゲームが行われる際は、緊急配備される。
前田に群がる救護班。
「わたしは…大丈夫…あの子を…お願い…」
そう言うと、前田は、部屋を出ようとした。
「ちょっと待ちなさい!そんな体でどこへ行くの!?」
白衣の女性が、強い口調で咎めた。
「仲間が…待ってるから…」
その言葉を残し、前田は重い体を引きずるように、部屋を後にした。
「…前田のほうが、カノンより、底が深かったってことか」
ビルの最上階の司令室では、アカネが、自分自身を納得させるように、ひとりごちた。
「いったい、何が起こったのか私にはわかりませんでした…あなたには、見えましたか?」
「いや、尋常じゃないスピードの上、インパクトの瞬間、カノンのからだがカメラの死角になって、はっきりとは見えなかったが、おそらく…左、だろうな…」
驚きを隠せないマサナの問いに、アカネが口惜しげに答えた。
「そうですか…まさしく起死回生の一撃…」
「幻の左…か」
と、天井の照明に何かが激突した。
白煙とともに、パラパラと蛍光灯のガラスの破片が、降り注ぐ。
その真下ー
三階のフロアに存在するものは、前田敦子、ただひとりであった。左の拳が、真っ直ぐ、天に伸びていた。閉じられた双眸。
天井に激突したのは、親衛隊十人衆、木本カノンだった。重力を無視したかのように、天井にはりついたままである。
ほどなく、白衣をまとった救護班が到着した。
救護班というのは、アンダーガールズの隊員ではなく、組織の系列病院のれっきとした医療従事者である。デスゲームが行われる際は、緊急配備される。
前田に群がる救護班。
「わたしは…大丈夫…あの子を…お願い…」
そう言うと、前田は、部屋を出ようとした。
「ちょっと待ちなさい!そんな体でどこへ行くの!?」
白衣の女性が、強い口調で咎めた。
「仲間が…待ってるから…」
その言葉を残し、前田は重い体を引きずるように、部屋を後にした。
「…前田のほうが、カノンより、底が深かったってことか」
ビルの最上階の司令室では、アカネが、自分自身を納得させるように、ひとりごちた。
「いったい、何が起こったのか私にはわかりませんでした…あなたには、見えましたか?」
「いや、尋常じゃないスピードの上、インパクトの瞬間、カノンのからだがカメラの死角になって、はっきりとは見えなかったが、おそらく…左、だろうな…」
驚きを隠せないマサナの問いに、アカネが口惜しげに答えた。
「そうですか…まさしく起死回生の一撃…」
「幻の左…か」
#9
アンダーガールズ新宿本部ビル前ー
前田が、建物内に入って、すでに二時間が経過しようとしていた。
夜も深まってきた。
入り口には、見張り役であろう紫の特攻服のアンダーガールズ隊員が数人、目を光らせていた。
少し、離れた場所から、入り口を眺めるピンクのフードをかぶった少女。
「てか、あいつら、おっせーな!もう、前田、やられちまってるかなー。このネズミ様は、肉体労働は専門じゃねーから…」
と、そこへ
「待たせたな!」
「おお!待ってましたー!チームホルモンのみなさん」
颯爽と
ヲタを先頭に、バンジー、アキチャ、ウナギ、ムクチの面々が到着した。いつもの緑の上下のジャージが、新宿の街に、この上なく、そぐわない。
「すまねーな。ヲタのやつが、なかなかつかまらなくてな」
と、バンジー。
「至福の時間だったんだぜ。そんなことより、生徒会長を助けに、前田がひとりで、敵の本部に乗り込んだってのは、本当か?」
「本当っす!この目で見たんスから。あと、だるま達には、連絡とれなかったんで、もしかしたら…」
「なるほど。しっかり、見張りがいやがるな」
アキチャが、入り口を見やる。
「とは言っても、やるしかねーだろ」
そう言って、ウナギは全員の顔を見回した。
ひとり…足りない…
いつの間にか、ムクチが、単身、本部ビルの入り口に向かって歩いていた。
「おい!なんだ、てめえ!ジャージなんか着やがって」
さっそく
アンダーガールズの見張りのひとりに、因縁をつけられる。
ムクチは、ニコッと微笑んだかと思うと、見張りの隊員の顔に、右拳をめり込ませていた。
崩れ落ちる隊員。
「かかってこいやー!」
気合い入りまくりのムクチだった。
その光景を遠目から見ていたヲタたちは、唖然とするしかなかった。
前田が、建物内に入って、すでに二時間が経過しようとしていた。
夜も深まってきた。
入り口には、見張り役であろう紫の特攻服のアンダーガールズ隊員が数人、目を光らせていた。
少し、離れた場所から、入り口を眺めるピンクのフードをかぶった少女。
「てか、あいつら、おっせーな!もう、前田、やられちまってるかなー。このネズミ様は、肉体労働は専門じゃねーから…」
と、そこへ
「待たせたな!」
「おお!待ってましたー!チームホルモンのみなさん」
颯爽と
ヲタを先頭に、バンジー、アキチャ、ウナギ、ムクチの面々が到着した。いつもの緑の上下のジャージが、新宿の街に、この上なく、そぐわない。
「すまねーな。ヲタのやつが、なかなかつかまらなくてな」
と、バンジー。
「至福の時間だったんだぜ。そんなことより、生徒会長を助けに、前田がひとりで、敵の本部に乗り込んだってのは、本当か?」
「本当っす!この目で見たんスから。あと、だるま達には、連絡とれなかったんで、もしかしたら…」
「なるほど。しっかり、見張りがいやがるな」
アキチャが、入り口を見やる。
「とは言っても、やるしかねーだろ」
そう言って、ウナギは全員の顔を見回した。
ひとり…足りない…
いつの間にか、ムクチが、単身、本部ビルの入り口に向かって歩いていた。
「おい!なんだ、てめえ!ジャージなんか着やがって」
さっそく
アンダーガールズの見張りのひとりに、因縁をつけられる。
ムクチは、ニコッと微笑んだかと思うと、見張りの隊員の顔に、右拳をめり込ませていた。
崩れ落ちる隊員。
「かかってこいやー!」
気合い入りまくりのムクチだった。
その光景を遠目から見ていたヲタたちは、唖然とするしかなかった。