#9
四階ー
鉄製の重々しい扉の前に並び立つ、前田とチームホルモン。
「さっきから、思ってたんだけど、なんか臭わないか?」
誰もが、思っていたことを、ヲタが口にした。
「ああ、なんか、腐った肉の匂いだ…」
バンジーが答えた。
「だれか、生肉持ってんのか?」
アキチャが、尋ねる。
「いや、焼いた肉だけだぜ。持ってるのは」
ウナギが言うと
うんうんと、チームホルモン全員が、さも当然という風にうなづく。
みんなが、焼いた肉を持ち歩いていることに、多少、前田は驚いた。だるまの手羽先みたいなものか。
ムクチは、笑顔でタッパーに入ったホルモン焼きを目の前に差し出していた。
「はは…あとで…ね」
と、前田は、丁重に断った。
「よし、行くぜ!」
ヲタが、リーダーらしく、リーダーっぽいしぐさで、扉を開けた。
ガチャリ
「うわっ!なんだ、この匂い!」
ヲタが、思わず、腕で鼻を覆う。
腐臭漂う室内は、照明がなく、薄暗い。
小さな天窓から差し込む星明かりだけが、頼りだ。「独房みてーだな、テレビで見た」とバンジーが言うように、コンクリートに囲まれた、味も素っ気もない部屋だった。
おそるおそる、室内に歩を進めるチームホルモンと、前田。
「ぎゃあ!」
突然、ウナギが、叫び声をあげる。何かを踏んだらしい。
「犬?」
足元には、犬の死骸のようなものが、転がっていた。血まみれで、骨が剥き出しの。暗さにまだ目が慣れないが、よく見ると、あちこちに、動物の死骸のようなものが見える。
ガチャガチャ、ガチャガチャ
部屋の奥のほうで、金属が擦れる音がする。
ガチャガチャ、ガチャガチャ
「ウガァ!ウガァァァァ!」
と、ほぼ同時に
獣の唸り声が重なり、
びくっとするチームホルモン。
部屋の隅、
暗闇に光る双眼。
ちょうど、そのとき、雲に隠れていた月が、顔を出し、室内を明るく照らし出した。
「ギャー!」
叫んだのは、ウナギだったが、心の中で思ったことは、皆、同じだった。
化け物…と。
鉄製の重々しい扉の前に並び立つ、前田とチームホルモン。
「さっきから、思ってたんだけど、なんか臭わないか?」
誰もが、思っていたことを、ヲタが口にした。
「ああ、なんか、腐った肉の匂いだ…」
バンジーが答えた。
「だれか、生肉持ってんのか?」
アキチャが、尋ねる。
「いや、焼いた肉だけだぜ。持ってるのは」
ウナギが言うと
うんうんと、チームホルモン全員が、さも当然という風にうなづく。
みんなが、焼いた肉を持ち歩いていることに、多少、前田は驚いた。だるまの手羽先みたいなものか。
ムクチは、笑顔でタッパーに入ったホルモン焼きを目の前に差し出していた。
「はは…あとで…ね」
と、前田は、丁重に断った。
「よし、行くぜ!」
ヲタが、リーダーらしく、リーダーっぽいしぐさで、扉を開けた。
ガチャリ
「うわっ!なんだ、この匂い!」
ヲタが、思わず、腕で鼻を覆う。
腐臭漂う室内は、照明がなく、薄暗い。
小さな天窓から差し込む星明かりだけが、頼りだ。「独房みてーだな、テレビで見た」とバンジーが言うように、コンクリートに囲まれた、味も素っ気もない部屋だった。
おそるおそる、室内に歩を進めるチームホルモンと、前田。
「ぎゃあ!」
突然、ウナギが、叫び声をあげる。何かを踏んだらしい。
「犬?」
足元には、犬の死骸のようなものが、転がっていた。血まみれで、骨が剥き出しの。暗さにまだ目が慣れないが、よく見ると、あちこちに、動物の死骸のようなものが見える。
ガチャガチャ、ガチャガチャ
部屋の奥のほうで、金属が擦れる音がする。
ガチャガチャ、ガチャガチャ
「ウガァ!ウガァァァァ!」
と、ほぼ同時に
獣の唸り声が重なり、
びくっとするチームホルモン。
部屋の隅、
暗闇に光る双眼。
ちょうど、そのとき、雲に隠れていた月が、顔を出し、室内を明るく照らし出した。
「ギャー!」
叫んだのは、ウナギだったが、心の中で思ったことは、皆、同じだった。
化け物…と。
#9
「おい!あそこに倒れてるのって、前田じゃないか?」
チームホルモンの五人は、危なげなく、入り口から、一階、二階、三階と突き進んだ。そして、四階に続く階段の踊場で力尽きて、倒れ込んでいる前田を、ヲタが真っ先に発見した。
「前田ー!」
全員が、駆け寄る。
「大丈夫か!前田?」
「水、水!あと、ホルモン食べさせるか?」
「バカか!おめーは!」
バンジー、ウナギ、アキチャが、オロオロしてる間に、ムクチが、脈を取り、水を飲ませ、全身の傷の様子を診ていた。
ムクチの意外な一面が、またひとつあらわれた。実は、医学にも精通しているのだ。応急手当てもお手のものだった。
「あ…」
前田が、ふと、目を覚ます。
「やったあ!」
小躍りして喜ぶチームホルモン。
「みんな…、どうして…?」
「細かいことはいいんだよ。入り口にいた見張りのやつぶっ飛ばして、いろいろ聞いたぜ。親衛隊十人衆って、おっそろしくヤバい奴ららしいな。よく、ひとりで三人も倒せたな」
「下っ端は、生徒会長たちがどこにいるかまでは、聞かされてないらしい。やっぱり、十人衆を倒していくしか手は、なさそうだ」
バンジーとヲタが状況を説明する。
その言葉に
前田が立ち上がる。
「みんな、ありがとう。ここからは、ひとりで行くから…」
親衛隊の恐ろしさを誰よりも、肌で感じている前田。誰も巻き込みたくはなかった。
「わたしも行く!」
ムクチが、前田のまえに立ちふさがる。
「おめえ一人に行かせるわけにはいかねえんだよ」
ヲタも、前田を心配していた。
「この先は、やっかいだぜ!」
アキチャが、階段の先を仰ぎ見る。
「道案内させてもらおうか…」
地獄の一丁目のな、とウナギ。
「つきあうぜ、チームホルモン!」
バンジーは、当たり前のように、頷いて、言った。
「みんな…」
前田の瞳には、涙があふれていた。
チームホルモンの五人は、前田のほうを見て、微笑んだ。
チームホルモンの五人は、危なげなく、入り口から、一階、二階、三階と突き進んだ。そして、四階に続く階段の踊場で力尽きて、倒れ込んでいる前田を、ヲタが真っ先に発見した。
「前田ー!」
全員が、駆け寄る。
「大丈夫か!前田?」
「水、水!あと、ホルモン食べさせるか?」
「バカか!おめーは!」
バンジー、ウナギ、アキチャが、オロオロしてる間に、ムクチが、脈を取り、水を飲ませ、全身の傷の様子を診ていた。
ムクチの意外な一面が、またひとつあらわれた。実は、医学にも精通しているのだ。応急手当てもお手のものだった。
「あ…」
前田が、ふと、目を覚ます。
「やったあ!」
小躍りして喜ぶチームホルモン。
「みんな…、どうして…?」
「細かいことはいいんだよ。入り口にいた見張りのやつぶっ飛ばして、いろいろ聞いたぜ。親衛隊十人衆って、おっそろしくヤバい奴ららしいな。よく、ひとりで三人も倒せたな」
「下っ端は、生徒会長たちがどこにいるかまでは、聞かされてないらしい。やっぱり、十人衆を倒していくしか手は、なさそうだ」
バンジーとヲタが状況を説明する。
その言葉に
前田が立ち上がる。
「みんな、ありがとう。ここからは、ひとりで行くから…」
親衛隊の恐ろしさを誰よりも、肌で感じている前田。誰も巻き込みたくはなかった。
「わたしも行く!」
ムクチが、前田のまえに立ちふさがる。
「おめえ一人に行かせるわけにはいかねえんだよ」
ヲタも、前田を心配していた。
「この先は、やっかいだぜ!」
アキチャが、階段の先を仰ぎ見る。
「道案内させてもらおうか…」
地獄の一丁目のな、とウナギ。
「つきあうぜ、チームホルモン!」
バンジーは、当たり前のように、頷いて、言った。
「みんな…」
前田の瞳には、涙があふれていた。
チームホルモンの五人は、前田のほうを見て、微笑んだ。
#9
入り口の見張りを突破し、チームホルモンの五人が、一階エントランスホールに、足を踏み入れた。
その様子は、もちろん、司令室のモニターに映し出されており、総参謀の大矢マサナの知るところとなった。
司令室には、だるま達の姿はなかった。すでに別室に移動させられていた。
「子猫が、五匹、迷い込んできたようです」
「正面の見張りは、やられたってことか。兵隊、追加しねーのか?」
現在、ビル内には、アンダーガールズ隊員100名ばかりが、待機している。不測の事態に備えて。
「そうですね…ゲームには、多少のサプライズがないと、面白味に欠けるというもの。前田も、すでに満身創痍ですし、このまま、合流するまで泳がせましょう。こういう事態は、会員様たちも織り込み済みですから」
「要は、殴り合いが見てーんだろ。お偉いさんは。乱闘より、親衛隊とのガチンコ(真剣勝負)がお好みらしい。たとえ、死人が出ても。揉み消すのなんて、簡単だろうしな」
吐き捨てるように、アカネは言う。
「次は四階ですか。四階は死階…まさに死のフロア。前田プラス五人、いやたとえ十人だとしても、突破することはできないでしょう…本当に死人が出るかもしれませんね…」
「シノブか…あいつだけは、だれにも制御(コントロール)できないからな…」
四階ー
薄暗い室内ー
ガチャガチャ、ガチャガチャ
「ウガァ!ガァ!」
ガチャガチャ、ガチャガチャ
謎の金属音と不気味な唸り声が、絶え間なく、響きわたっていた。
その様子は、もちろん、司令室のモニターに映し出されており、総参謀の大矢マサナの知るところとなった。
司令室には、だるま達の姿はなかった。すでに別室に移動させられていた。
「子猫が、五匹、迷い込んできたようです」
「正面の見張りは、やられたってことか。兵隊、追加しねーのか?」
現在、ビル内には、アンダーガールズ隊員100名ばかりが、待機している。不測の事態に備えて。
「そうですね…ゲームには、多少のサプライズがないと、面白味に欠けるというもの。前田も、すでに満身創痍ですし、このまま、合流するまで泳がせましょう。こういう事態は、会員様たちも織り込み済みですから」
「要は、殴り合いが見てーんだろ。お偉いさんは。乱闘より、親衛隊とのガチンコ(真剣勝負)がお好みらしい。たとえ、死人が出ても。揉み消すのなんて、簡単だろうしな」
吐き捨てるように、アカネは言う。
「次は四階ですか。四階は死階…まさに死のフロア。前田プラス五人、いやたとえ十人だとしても、突破することはできないでしょう…本当に死人が出るかもしれませんね…」
「シノブか…あいつだけは、だれにも制御(コントロール)できないからな…」
四階ー
薄暗い室内ー
ガチャガチャ、ガチャガチャ
「ウガァ!ガァ!」
ガチャガチャ、ガチャガチャ
謎の金属音と不気味な唸り声が、絶え間なく、響きわたっていた。