チマチマの左手がおかしい。
肘から先が動かなくなってしまった。


2月に挙式を控え、幸せいっぱいのはずが
彼女とは結婚式の案内のリストのことで
怒鳴りあいの大喧嘩をし

仕事でも関係者を激怒させるミスを伝統芸のように
繰り返しており、みんな怒るというよりは
マジであきれている、いや
もう心配している、と言った方がいいかも知れない。


いずれにしてもストレスが原因のようだ。
休みを変えてあげたり、早く帰らせたりしているが
今日は豪快に遅刻をした。


俺も右目を怪我したし
天然娘は血の小便をした。
最近入った派遣の娘も血便が出たっていうし
神戸娘は腰の激痛を訴えたり

あげく、宮○くんの祖父は危篤だそうだ。


御祓いでも行こうかなぁ・・・。






  不謹慎だがスチュワーデス物語の片平なぎさを思い出した。
  そんな手の動きをしている。

「ブス磁石」
高校時代にチマチマにつけられていたあだ名だ。


読んで字のごとく
ブスにばかりモテる の意だ。


男から見れば
ケチで、愚痴っぽくて、いい加減と
負の三拍子揃ったチマチマ男であるが
女性の目線で見ると「穏やかでやさしいスポーツマン」なんだろう。


小中高とサッカーに明け暮れ
免許を取ってからは「走り屋」として峠を攻めたり
レースに出たりしていた(すべて自称)チマチマ男。


こいつと知り合って数ヶ月
最初は俺自身が人見知りということもあり
やさしく指導をしていたことに味をしめ
ウソついたり言い逃れを散々してきたチマチマだが
俺がペースを取り戻し
怒鳴りまくるようになると、
萎縮しまくって今では完全にYESマンになってしまった。


普段から接しているのでコイツの人となりは理解しているが
どう考えても女がグッとくるだけの魅力はないように思える。


しかし、こいつの彼女はメチャクチャ可愛い。
俺は本当に女というものが分からない。



こいつの元の上司であるタカシも強烈だ。
支店責任者としてふんぞり返っているタカシだが、
こいつの採用基準は「美人であること」その一点のみ。


「美人で仕事できるんやったらいいやん。楽しいやん。」が座右の銘だ。


今日も電話したら、聞いてもいないのに
直前まで打ち合わせをしていた某女性講師を


「○○先生な、美人やねん!」

「むっちゃエロいねん!」

「見に来るか?エロいでぇ」

「うらやましいんやろ?」

と自分の女のように自慢し続けた。


(「美人」「エロい」はこいつの口癖だが
それで何かするわけでもなく、大騒ぎするだけなのがまた意味不明だ。)


そう言えば以前、俺の支店に来た時
二人でベンチに座って話をしていると通りかかった背の高い女の子を
下から舐めるように目で追っていた。
オヤジの唾液のようなねちっこい視線で。


あきれ果てている俺に全く気づくことなく
一方的にいかに美人でエロいかをまくしたて続けるタカシ。
話は続き


「俺グラビアアイドルとか嫌いやねん。井上和香とか。」
頭悪そうやろ?あいつらの顔、気持ち悪いねん。」

と自分の好みまで話す。
(グラビアアイドルもオメーに興味ねーよ!)


しかしこいつの好みもよく分からない。
美人や美人や~~~と大騒ぎをしている女の中には
ごくまれに可愛いのもいるが
ほとんどの場合ブスばかりである


それを指摘しても
「みんながブスって思ってても、俺が可愛い思うんやったらいいやん。」
と独り占めできるからいいやろ?
とばかり一向にへこたれる気配がない。

でもこんなヤロウでさえ
仕事上で女性から告白されることがあるんだから世も末だ。







こんなタカシですが僕がよくしつけておきます。








   チマチマの後輩:宮○。最近、さかりがついてます



子供の頃から何回かハムスターを飼っていた。

ヒマワリの種を両手に持って
ポリポリ食っている姿は激可愛らしく
何時間見ても飽きなかった。


社会人になって衝動的にハムスターが飼いたくなり
ずっと飼育していたゴールデンハムスター から
方向転換し,さらに小さくて人なつっこくて人気があるという
ジャンガリアンハムスター を買った。


しかし既に少年心を喪失していた俺は
興味深く観察したのも束の間
しばらくしたら飼うのも面倒になり
最終的には深夜、近くの小学校の門の上に
カゴごと放置してそれっきりハムスターの飼育からは引退した。



ところが最近、職場でハムスターの話になり
以前、お風呂まで入れるくらい可愛がっていたという
ハムスター好きの神戸娘に


「俺はハムスターを箸でつまんでいた。└(^o^ )」
と発言したところ・・・




「ひっどーい・゚゚・(ノд≦*)・゚゚・。エーン

サイテーーーーーやぁぁ(ノ≧д≦)ノ

そんな人とは思わんかったぁ!ヽ(#`Д´)ノ」

と激しく罵倒されてしまった。



みんなはどう思う?



でも、これには深い訳があるのだ。
今日はそれを説明したい。


ある夏の日、俺は部屋で涼んでいた。
開けっぱなしにしていた窓から
クワガタとおぼしき昆虫が入ってきた。

「おっ!」と思ってよく見たら
ゴキブリだったw|;゚ロ゚|w ヌォオオオオ!!。


発狂しそうになりながらも
ありったけのティッシュを持ち出し
何とかそれを掴み取ることに成功。


普通なら厳重に封印してゴミ箱どころか
マッチで火をつけてベランダから放り投げるところが
ふと面白いことを思いついた。


『昆虫vs哺乳類の死闘』("▽"*)アヒョ



慎重にハムの飼育カゴまでティッシュを持っていく。
それッ!

ゴキブリは生きており、飼育カゴの中のハムスターもびっくり・・・













どころか、
見たこともない機敏な動きを見せたMyハムスターは
ゴキを掴むとそのままボリボリ食ってしまった

雑菌の温床といわれる不潔極まりない昆虫を
全く躊躇することなしに・・・。


..・ヾ(|||>Д<)シ


その後、繁殖させてみたらどうだろう?
という軽い気持ちでつがいにしたが
出産してからのハムはやせ衰え、愛らしかったおめめは
血走ったようなドングリ眼になって、凶暴になり
とても手に乗せてよしよし♡なんて出来るペットでは
無くなっていた。



そんな状況で手に取って「かわいいヾ(*^。^*)ノ」なんて
言える訳ねーだろッ!!!




・・・という訳でハムスターを購入予定の皆さん。
ヤツらはゴキブリ食べますから。



  
   こんな生き物飼いたくねー。
『会社のPCでエロチャットを楽しんでいる』
という噂を打ち消すのに必死のタカシちゃん。


普通なら無視するくせに
ムキになるところがまた怪しい(`-´)


今回は奴がかつて住んでいた
マンションの写真を公開しよう。

稼ぎは殆ど俺とかわらないはずだが
実にいいマンションに住んでいる。
物価の違いだろう。

俺の部屋は畳張りで万年床。
ドアも老朽化して動きも悪く
最近、見たこともない虫が発生したりと
まるで昭和の学生寮状態だと言うのに・・・。
(ついでに言うなら洗面所もメチャ臭い)


ルックス的に俺に遥かに及ばないコンプレックスからか
それ以外の条件をあげようと必死なんだろう。


おびただしいCDに囲まれた部屋。
ジャズなんかを流して実にいい雰囲気だ。
ギターなど立てかけてあったり
ワインもキンキンに冷やしておいてあったり・・



部屋全体が「SEXしにおいでよ!」と誘っていた。
そういう手もあるのか・・・。





     意味不明のポーズをとる酔っ払い。
     噂がもっと広まればいい。
「今日も一日頑張った、また休み明けな!」


にっこり笑って帰る仕事終わり。
俺とチマチマ男はオフィスビルに立っていた。


休み明けといっても、俺は当然出勤で
休むのはチマチマ男だけなのだが・・・。

営業マンとしては数字が構築できていない以上
「休日」という概念は持つべきではない。


「『営業マンに残業代がつく』っていうのが分からんわ、わし。」

これは廣島連合総長:カムサハムノダさんから教わった。
厳しいように聞こえるかも知れないが要はやればいいこと。
自分の待遇は自分で切り取る。

年上とは言えほぼ同世代の人の揺ぎ無い考え方に
当時の俺は大いに感じ入ったものだ。


あれから数年時代は変わったのだろうか?
「甘いんだよ!」と一蹴するのがチマチマさんだ。

彼の素晴らしい発想力で作りあげた「就業規則:12カ条」は
成果主義と年功序列が巧みに組み合わされた画期的なものだ。
れを実施できれば離職率に悩む会社は皆無になるだろう。
ご紹介しよう。


①勤怠は100%健全にとる。
 ただし自分のミスや落ち度でやむを得ず残業する場合でも
 気持ちよく残業が出来る環境を上司がつくること。


②昇格は年功序列。
 ただし結婚していなくなる率の高い女性については
 男性より不利にすること!


③しかし20代の若手を抜擢することを
 会社側は常に意識すること。


④報奨金はもっと多くして社員のモチベーションアップを
 心がけよ。


④結婚準備、葬式などやむを得ない状況においては
 無制限に休みを取れることとする。


⑤遅刻や早退には賞罰なし、また嫌味や叱責をした上司は
 部下のモチベーションを下げた罪としてペナルティを課す。


⑥業績が作れないのは上司の指導が悪い
 降格、減棒等の処置は上司が甘んじてうけること。


⑦通勤費は「徒歩」だろうと「自転車」でこれる距離であっても
 考えられ得る一番費用のかかる公共機関の乗り物代で支給する。
 (毎日往復でタクシーを使っているくらいの金額が望ましい)


⑧転勤した社員の昇給、昇格は、転勤しない社員よりも
優先的に実施する。


⑨仕事中のインターネット使用については
 自分の彼氏・彼女に関係あるのであれば無制限に使用可能とする。


⑩転勤した後に起こったクレームについては残った現場の人間が
 責任を持って処理する。転勤した当事者には連絡しない。


⑪社員の休日中に起こったクレーム等も現場の責任者が
 全力で対応し、当日社休を取った社員には一切連絡をしない。


⑫勤務中の喫煙および飲食については
 本人の自由意志を何よりも優先する。





どうだろうか?
いつの日かチマチマ男が企業を興した時は
是非、面接に行こうと俺は思っている。


そんなことを想像しながら
チマチマと別れようと背中を向けた刹那・・・


ん?」と小さな声でつぶやいた。


振り返ると、奴の通勤用のチャリ(身体に似合わず馬鹿デカイ!)の
前カゴの中に誰かの捨てた空き缶が入っていた。



黙って拾い、ごみ箱に入れる訳でもなく
丁寧に道路上にそっと置き去りするチマチマ。

怒りで青ざめた顔とプルプル震える背中に
白い炎をみた。


小さい・・・。本当に・・・。


強気で鳴らす同期のタカシ。
マネージメント能力は高く、頭も良く、ビジネスマンとして
非常に将来有望である。(と、本人は固く信じている)


まぁ学歴もそこそこあり、仕事も出来るし
上からの覚えもめでたい、それは認めよう。
アピール上手だしね。


カムサハムノダさんと俺はタカシを良く知っているので
どうとも思わないが、過去の業績+強烈なアピールの成果で
奴は『デキる男』として一目置かれている。(かな?)


そんなタカシも現在は転勤して
別の支店にて業務を行っている。


以前の職場では、責任者として
王様のように振舞っていたようだが
赴任先ではそうはいかない。


俺も4月に経験済みだが、気心知れたメンバーとは違う。
こちらが構えていると同様、新しい責任者を迎え入れるほうも
「どんな人なんだろう・・・?」と緊張している訳で・・・。


ビジネスモデルがどうの、ビジネスマンとして、だの
お客にリーチする商品だの、戦略がどうの
基本的には理屈コキで、小うるさい男のイメージだろう。



本日、廣島のマタドール:カムサハムノダさんから電話があった。



「なぁなぁ、タカシ、大変なことになったん知っとる?(*´艸`*) 」




「いえ、知りませんけど・・・何があったんですか?」




「それが、おもしれーんよぉ・・・:・(`▽´)・:ケケケ」



カムサハムノダさんの話によると

次の休みを取る予定のタカシが
職場に来れない自分の代わりに
「業務報告メールを打って欲しい」と同じ職場の女性に依頼。
IDとパスワードを教えた。


言われるがままに、タカシに教えられたIDとパスワードを入れ
メールボックスを開いた瞬間、
沢山の受信メールの中から
彼女の目に飛び込んで来たものは・・・・



【今日の夜、SEXして♡】



ってな感じのタイトルのメール!!!



やり手で有能なビジネスマン:タカシ。
しかし、奴の裏の顔は
「何食わぬ顔をして会社のアドレスでエロチャットを楽しむ男」
それしかないだろう。


確かに最近、支店IDのメールボックスを開いてみると
こういう系統のメールは毎日、山ほど来ている。

しかしこの時は「携帯からのメールだった。」
と言う未確認情報も飛び交った為、

「タカシ=奔放な性生活を満喫するエロ坊主」

というイメージが俺たちの脳裏に刻まれてしまった。


その後、自分のメールの件が
とんでもないことになっていることを聞きつけたタカシが
俺のところにも弁明をするべく電話をかけてきた。


曰く「あれは、イタズラや。」
曰く「支店にも沢山届いてんねん。」
曰く「スタッフにも「こんなん来たで~」と言って見せているくらいやでっ!。」



ふーん。(¬(ェ)¬。)


こういう話が大好きなカムサハムノダさんにも
「そのメール、転送しろ!」って言われたらしいし
(そういう意地悪な所、大好きです。先輩♡)
タカシにとっては受難の日であった。



今日は一日タカシのネタで楽しめた。
素敵な情報ありがとうございました。♪♪




そうかと思えば



    ハリ助なり

って、ハリマネからもバージョン変えて届くし・・・。



どうですか?
この際、運気を高めるお寺でもみんなで一泊二日で行きませんか?
神聖なる業務時間にインターネットを見るなんて
真面目な俺には考えられない。


ところが世の調査結果を見ると

こんな結果が・・・。


全く嘆かわしいことだ。


少なくとも俺の職場では
そんなことはさせない。


という訳でチマチマが休みなのをいいことに
事務所のスタッフ全員の立会いの下
チマチマのパソコンの履歴をチェックしてみた。


個人情報?
そんなの関係ない。




何せ、過去に神戸娘からの
 「中○さんて、すっごい最近やる気になってないですか?」
の質問に「何で?」と聞いてみたところ

 「中○さんのパソコン、私の席から見えるんやけど
 Yahooでお天気情報見てた!
 あれって、アポ切ったお客様がちゃんと来れるかどうか
 チェックしてるんや思うわ~。」


 と、性善説に立った持論を展開したので
 彼の人となりを嫌という程、思い知らされている俺としては
 「そんな訳ねーよ。」という確信のもとチマチマ男に
 「何でお天気情報見てるの?」と質問した。
 
 答えはモジモジしつつ
 「彼女が来るんでぇ・・・」とのこと。

 要は遠距離恋愛をしている彼女を迎えに行ったり送ったり
 するために天気が知りたかっただけだったという事例もある。


真面目そうなルックスと
柔らかい物腰、丁寧そうな受け答えに騙されてはいけない。
ざるで水をすくう様な仕事ぶりに何度泣かされたことか。

最近もあいつの放置プレー的な仕事で
メチャメチャ怒られたばかり・・・。

タカシとハリマネと田○さんなら
分かってくれるだろう。この感じ。


で、ヤツの履歴だが1週間ほど前
「湯郷温泉」
「由比浜」
「城崎温泉」

をじっくりと見た形跡があった。

そう言えばつい最近の休み明け
「これお土産です。」と
シブチンなあいつが珍しく温泉饅頭を買ってきたっけ・・・。
そういうことか・・・。
みんな合点が言った。


「こういうトコは本当ちゃっかりしてますよね~。」
笑いを噛み殺して後輩の宮○くんがつぶやく。



その後、「中○○○」というテメーの名前も
Yahooで検索して遊んだ形跡も発見された。




キャハハッ!!ナニソレ!!(ノ∀`*)ノ彡☆ バンバン!!!!




宮○くんは堪えきれずに爆笑した。


チマチマ・・・君の先輩としての威厳、粉砕しちゃった・・・。
ごめんな。




     怒ってもダメ!
「喫煙は5歳も肌年齢を老化させる。」
そんな記事を読んだ。


ここ数年タバコをバカバカ吸っているが
疲れやすいし、金もかかるし、ヤニ臭くなるし
おまけに肺が痛い時もある。


百害あって一利なし。
わかってはいるが仕事でイラついた時は
ついつい気分転換に吸ってしまう。


実に良くないことだ。
肌なんて気にしないけど
でもガサガサの肌も印象が良くない。


という訳で禁煙をしてみようと思った。
しかし、自分ひとりでやっても面白くない。
道連れが必要だ。


今の職場は全員が愛煙者だ。
一人の例外もなく。
早速、事務所にいた宮○、神戸娘に提案してみる。



「なぁ、禁煙してみんか?」



渋るかと思いきや、宮○くんも神戸娘も
「いいですよ。」と即答♪



「でも・・・ただの禁煙じゃ面白くないなぁ・・
禁煙出来んかったヤツ、罰ゲームしようか?」



「いいですね~。やりましょう。」

やけにノリはいいが、
どうせ自分だけは負けないと思っているのだろう。




「じゃあ、一番最初にタバコ吸ったヤツ
全員に焼肉おごることにしようや」




「了解です。」



「・・・ところで、マネージャー・・・
中○さんも参加するんですか?」

宮○クンが聞いてきた。


「当たり前じゃん!みんなでやるから盛り上がるんよぉ。
タバコ代が貯金に回せるとか、保険料が高くなるとか
そんなん言うたら一発でOKよ!」


「中○さんは金(かね)ですもんね~。」


そんな噂をされているのを
知る由もないチマチマ男が用事を終えて
事務所に帰ってきた。


「なぁなぁ、中○くん。
みんなで禁煙しようと思うんだけど・・・
中○くんも参加せんか?」


背中がピクッと動いた。

禁煙ですか?



「そう、大体タバコなんて金もかかるで~。
一日何本吸うんよ?自分?」


多い時で一箱でしょうか・・・


「一箱270円、月に20箱買うとして5400円。
 一年で・・ええっと・・64,800円にもなるわ。
病気にでもなったら医療費もかかるし、寿命も縮まるし・・・
色々お金かかるでぇ~。」



チマチマの顔は青ざめ始めていた。



「禁煙した方がええよな?近○さん?」



「はい・・」



「禁煙せんといけんわな?宮○くん?」



「もちろんです!」




「・・・で、中○くんはどう?」



禁煙した方がいいと思います。やりましょう!

周りの意見に流される典型的日本人だ。



「よっしゃ!じゃぁ、負けたヤツはみんなに
焼肉をおごるちゅうことで・・・」


その瞬間だった。
ヤツの表情が見る見るうちに歪み始めた。

眉間にシワを寄せてうつむいている。

まさか・・・



「どうしたん?中○く・・・」



僕は無理ですね・・・。
たぶん負けると思います。





えっ?でも、ついさっき・・・




「中○さん、やってみな分からんでしょ?
禁煙したこともないのに・・一回やってみな分からへんし・・・」

神戸娘の提案にも



いや、無理やと思います。



「中○さん、どうしたんですか?」

焼肉がかかった瞬間からの豹変振りに
笑いを噛み殺しながら宮○くんも質問したが。



禁煙むりや・・・

と、つぶやくのみ。



場は白けてしまい
その後入れ替わり立ち代り休憩室でタバコを吸った。

あ~あ。


「今日、昼メシ何食う?」
チマチマに聞いてやる。


俺が何も聞かなければ
黙っていつものヤツ(チマチマセット)にするに
決まっているシブチン野郎だが
敢えて聞いてやることで

「何にしましょうか?」という答えに誘導し
別のモノを食わせるようにする知能犯の僕。



「カレーにするか?」



そうですね、そうしましょう。

と答えるのかと思いきや、さにあらず


昨日、皆さんは何を食べられたのですか?

と昨日のオーダーを聞いてきた。




「あー?、お好み焼。」

岡山にあって珍しい広島風お好み焼屋さんを
発見し、ここ最近食いまくっている。
昨日も宮○を巻き込んで食ったのだ。



あれ、旨いですよね・・・

そういえば、数日前
こいつにも無理やり注文させて食わせたのだった。



「お好み焼にするか?」



いいですね。

嬉しそうだ。





「でも、昨日も食ったしな~。やっぱカレーにしようか?」



カレーにしましょうか・・・

残念そうだ。が、そんなことは俺には関係ない。




「じゃあココイチに電話注文するから
みんなに何がいいか、聞いて来い!」


俺とチマチマ以外はタバコ休憩に行っている。



はい、わかりました。


ゾロゾロと事務所に戻ってくる部下たち。


「何にする?メニュー表から選べや。」



「僕、牛しゃぶカレーにします!」

「わたし、チキン煮込みカレーにチーズトッピングゥ♪」

「俺は何にしようかなぁ・・・トンカツカレーは衣が気になるし・・・う~ん。」




じっと黙っているチマチマに聞いてみる。

「中○くんは何にすんの?」


「・・・・」

しばし、沈黙の後、意を決したように言った。




僕は今日はカレーは止めておきます。」




「えっ?そうなん?・・・じゃぁ何にすんの?」




お好み焼にしていいですか?


昼メシ食うのに何で俺の許可がいるんだ?
意味が分からないが俺に怒鳴られ過ぎておかしくなったのかしら。




「あっそう、じゃあ買いに行ってくれば?」




はい。

さっきまでの恨めしそうな顔からは一変して
根暗なあいつにしては珍しくスキップする勢いで事務所を飛び出していった。
よほど、気に入ったのだろう。

まぁ広島男子としては
故郷の食事を「うまい」と思ってもらうのは悪い気はしない。



俺たちがカレーを食い終わり
やっとチマチマが戻ってきた。
随分、待たされたのだろうが
とにかく、手にはお好み焼きの入った包みを持っていた。



「中○さん、余程、気に入ったんですね。」


「中○さん、お好み焼きじゃなくてチマチマ焼きでしょ?」

同僚や後輩に冷やかされるチマチマ。
でも、何言われても嬉しそうだ。


勇気を出して俺の誘いを断り、ヤツにしては奮発した昼飯。


さぁ、お楽しみの「お好み焼




しかし・・・この直後
客が入れ替わり立ち代りやってきて
嵐のような忙しさになり・・・

食事どころではなく、落ち着いた頃には
結局、冷え切ったお好み焼を食べる羽目に・・・。


電子レンジの前に立って
温まるのを待っているチマチマの後ろ姿は
確実に怒っていた。
チマチマ男のすごい話を聞いた。




ある日の昼下がり。
後輩の宮○クンが弁当を買いに出かけた。

チマチマも先輩風を吹かし
自分の弁当(チマチマセットか?)を頼んだらしい。



「中○さん、買ってきましたよ!(。^▽^。)ノ 」



おっ、ありがとう・・・
奴はいつも小声である。




いくら?



「えーーーっと・・・350円です。⌒(o^▽^o)ノ゚」




じゃぁ、はい、これ
500円を出すチマチマ。



「あっ、中○さん・・・僕、今お釣りの小銭、ないんですよ~。(ー'`ー;)」




じゃぁ、ええよ、別に・・・





マヂ━━━(゚Д゚;;;ノ)ノ━━━!?









俺は耳を疑った。
あのケチで有名なチマチマ男が
大切な自分の金を
「別にええよ。」と言ったとは・・・。


倹約に倹約を重ね、身銭を切ることを極度に嫌う
あのチマチマ男が・・・

少しでも自分に損させた人間には
深夜、神社で藁人形に釘をガンガンうちつける
内向的な銭っ子が・・・


信じられないッ!!!!!(;゜〇゜)




そう思ったのは俺だけではなかったらしく
思いがけない申し出に唖然とする宮○くんより先に
自称:お人よし、その実、ズゲズゲ人の傷つくことを
言ってのける天然娘(33)が


「中○さん、大丈夫ですか?何かあったんですか?」

とマジで聞いた。



天然さんまで・・・そんな・・・(-_-X)


ささやくような小声で静かに怒るチマチマ。
空想の中でお仕置きのレイプ開始だ。



そんな話を聞いて黙っていられる俺ではなく
早速、チマチマを呼び出し、聞いてみる。



「なぁ・・・お釣り、返さなくていいって、本当に言ったの?」



はい、言いました。」

苦笑いしながら
タレこんだ宮○くんは憎悪の対象になっている。


「一体どうしたんよ?
ケチで有名な中○くんが・・・何かあったんか?」



・・・。僕、決めたんです。男なら
バーンと金を使わなアカンと思って・・・



やっぱ、出すもん、出さないと
良くないじゃないですかぁ・・・



豪快に、と言うか
思い切り良く、遣うときは遣おうって!」




得意そうに語るチマチマ男。
俺と二人きりでタバコを吸ってる時
奴の「テキトーク」は全開バリバリだ。



・・・が、マンションでもポーンッと買ったが如く
偉そうに語っているこやつの
「返さなくていいぜ」と後輩に言い放った金額は
わずか150円だという事を忘れてはいけない。




彼女にも言われてますし・・・。」



「マジか?だったら150円とかじゃなくて
それこそ後輩に昼飯おごってやるとか、したらいいのに。」




・・・・・。」
薄笑いを浮かべるチマチマ。
その目にはかすかに憤怒の色が浮かんでいた。



そうだ、150円でもこいつには大金だ。
ましてや人にあげるなんて・・・。


よく頑張ったぞ、チマチマ。



という訳で・・・
150円ぽっちでも「人におごる」となると
一大決心!



これがチマチマ男。
もうすぐ結婚を控えた26歳です。





     チマチマセットで今日もご機嫌