「喫煙は5歳も肌年齢を老化させる。」
そんな記事を読んだ。


ここ数年タバコをバカバカ吸っているが
疲れやすいし、金もかかるし、ヤニ臭くなるし
おまけに肺が痛い時もある。


百害あって一利なし。
わかってはいるが仕事でイラついた時は
ついつい気分転換に吸ってしまう。


実に良くないことだ。
肌なんて気にしないけど
でもガサガサの肌も印象が良くない。


という訳で禁煙をしてみようと思った。
しかし、自分ひとりでやっても面白くない。
道連れが必要だ。


今の職場は全員が愛煙者だ。
一人の例外もなく。
早速、事務所にいた宮○、神戸娘に提案してみる。



「なぁ、禁煙してみんか?」



渋るかと思いきや、宮○くんも神戸娘も
「いいですよ。」と即答♪



「でも・・・ただの禁煙じゃ面白くないなぁ・・
禁煙出来んかったヤツ、罰ゲームしようか?」



「いいですね~。やりましょう。」

やけにノリはいいが、
どうせ自分だけは負けないと思っているのだろう。




「じゃあ、一番最初にタバコ吸ったヤツ
全員に焼肉おごることにしようや」




「了解です。」



「・・・ところで、マネージャー・・・
中○さんも参加するんですか?」

宮○クンが聞いてきた。


「当たり前じゃん!みんなでやるから盛り上がるんよぉ。
タバコ代が貯金に回せるとか、保険料が高くなるとか
そんなん言うたら一発でOKよ!」


「中○さんは金(かね)ですもんね~。」


そんな噂をされているのを
知る由もないチマチマ男が用事を終えて
事務所に帰ってきた。


「なぁなぁ、中○くん。
みんなで禁煙しようと思うんだけど・・・
中○くんも参加せんか?」


背中がピクッと動いた。

禁煙ですか?



「そう、大体タバコなんて金もかかるで~。
一日何本吸うんよ?自分?」


多い時で一箱でしょうか・・・


「一箱270円、月に20箱買うとして5400円。
 一年で・・ええっと・・64,800円にもなるわ。
病気にでもなったら医療費もかかるし、寿命も縮まるし・・・
色々お金かかるでぇ~。」



チマチマの顔は青ざめ始めていた。



「禁煙した方がええよな?近○さん?」



「はい・・」



「禁煙せんといけんわな?宮○くん?」



「もちろんです!」




「・・・で、中○くんはどう?」



禁煙した方がいいと思います。やりましょう!

周りの意見に流される典型的日本人だ。



「よっしゃ!じゃぁ、負けたヤツはみんなに
焼肉をおごるちゅうことで・・・」


その瞬間だった。
ヤツの表情が見る見るうちに歪み始めた。

眉間にシワを寄せてうつむいている。

まさか・・・



「どうしたん?中○く・・・」



僕は無理ですね・・・。
たぶん負けると思います。





えっ?でも、ついさっき・・・




「中○さん、やってみな分からんでしょ?
禁煙したこともないのに・・一回やってみな分からへんし・・・」

神戸娘の提案にも



いや、無理やと思います。



「中○さん、どうしたんですか?」

焼肉がかかった瞬間からの豹変振りに
笑いを噛み殺しながら宮○くんも質問したが。



禁煙むりや・・・

と、つぶやくのみ。



場は白けてしまい
その後入れ替わり立ち代り休憩室でタバコを吸った。

あ~あ。