おはようございます
昨日、脳脊髄液(髄液)の流れについて、橋本一成先生の説をご紹介しましたが、ひとつ書き忘れてました。脳から脊髄中心管を流れ降りた髄液は、中山の孔から出て、脊髄クモ膜下腔を上向きに流れ、脳へと戻っていくとのこと。「脳脊髄液って何? どこを流れてるの?」 には、追記しておきました。
脳脊髄液が、流れる方向や吸収される場所についてはともかく、クモ膜下腔を流れていることは、ご理解いただけましたね。では、そのクモ膜下腔って、どういうものなんでしょうか?
(鍼灸学校「解剖学」教科書より)
骨(頭蓋骨と脊椎)の下で、脳は脳膜に、脊髄は髄膜におおわれています。脳膜と髄膜は、場所によって呼び方を変えているだけで、同じものであり、互いにつながってるので、脳脊髄膜と総称します。
脳脊髄膜は、外側から順に、硬膜・クモ膜・軟膜の3層構造になっています。
硬膜は、骨のすぐ内側にある、とても丈夫で強靭な被膜。感覚神経がたくさん分布しているので、硬膜下血腫のような塊で圧迫されると、はげしい痛みを生じます。
クモ膜は硬膜の内側にあるやわらかい膜で、網のような線維束の突起があり、軟膜との間に空間をつくっています。この空間がクモ膜下腔で、脳脊髄液が流れるようになっているんですね。
クモ膜下腔には、脳の血管がクモ膜の線維束突起を縫うように走っています。この血管が破れると、脳脊髄液に血液が加わって量が増えてしまうために、脳が圧迫されて、はげしい頭痛と嘔吐を起こします。これがクモ膜下出血です。
硬膜に接しているクモ膜の細胞は、脳脊髄液を硬膜側に漏らさない構造になっていて、これをクモ膜バリア細胞層といいます。このクモ膜バリア細胞が、末梢神経の神経周膜につながっているんだと、橋本先生はおっしゃいます。
下半身に分布する末梢神経は、脊髄末端部から馬のしっぽのように出ているので、馬尾神経と呼ばれますが、この場所のクモ膜下腔は広くて、袋状になっています。脳脊髄液の検査のために行なう、腰椎穿刺の針を刺すのは、ここです。
軟膜は、脳と脊髄に密着している膜です。
クモ膜下腔についてわかったところで、脳脊髄液減少症について、もう一度考えてみましょう。
「うつ病?心身症?自律神経失調症?それとも脳脊髄液減少症?」 では、クモ膜が傷ついたことで脳脊髄液が漏れると書きましたけど、よく考えたら、クモ膜は骨に囲まれていますから、ぶつけたり転んだりした程度では、そうそう傷つくような場所ではありませんね?
橋本先生の『解剖学の抜け穴』によれば、クモ膜バリア細胞につながる末梢神経の神経周膜が破れることで、脳脊髄液漏れの原因となるそうです。なるほど、これなら理解できます。
検査薬を腰椎穿刺の部位から注入して、脳脊髄液漏れを起こしている場所をつきとめ、そこに血液を注射することで穴をふさぐのがブラッド・パッチ療法。脳脊髄液は固まりませんが、血液は固まりますからね。
腰椎穿刺で脳脊髄液漏れは起こらないの?と思いましたけど、刺した場所はわかってるわけですから、そこにブラッド・パッチしておくんでしょうかね。それとも、漏れを起こさないような構造の針を使うんでしょうか。腰椎穿刺について説明しているサイトを何件か調べましたけど、そこまでは書かれてませんでした。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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