おはようございます
コレステロールって聞いたときに思い浮かぶのは、血液ドロドロ→動脈硬化→心筋梗塞かしら?健康診断の結果でも、総コレステロール値やLDL値が高いと、食事に気をつけるように言われることもありますね。LDLなんて、悪玉コレステロールなんて呼ばれたりして。
コレステロールは、からだにとっては欠かせないもので、食物から摂取されるより、肝臓や小腸でつくられるほうがずっと多い。HDLは善玉だけど、LDLは悪玉なんていうことも、本来はないんです。LDLは、からだのあちこちへ肝臓から運ばれていくときの姿。HDLは、余ったコレステロールを再利用するために、肝臓へ戻すときの姿。当然のことながら、LDLのほうがHDLよりもずっとたくさんのコレステロールを含んでいます。だから悪玉とか言われちゃうのね、ホントは違うのに。
そもそもコレステロールが体内で何に使われるか?というと、
① 細胞膜を安定させる成分
② 性ホルモンや副腎皮質ホルモンの原料
③ ビタミンD前駆体の原料
などになるんです。どれも生きていくうえで重要でしょ?ほかにも、血管壁の内側に張り付いて、血流でけずられるリスクから血管をまもるなんていう役割も果たしています。
心筋梗塞多発国と言われたフィンランドでは、肥満・高血圧・高脂血症という生活習慣病リスクを下げるプロジェクトが行われたことがありました。対象となったのは、生活習慣病リスクの高かった人1200人。半分はそれまでどおりの生活。残りの半分は、動物性脂肪の代わりに植物性脂肪を積極的に摂るというもの。5年間の追跡調査の結果、後者のコレステロール値は下がったものの、死亡率は高くなっていたとか。皮肉な結果です。
これは、「動物性脂肪を植物性脂肪に置き換えただけなのがいけなかった。」と武庫川女子大学国際健康開発研究所長の家森先生はおっしゃいます。植物性脂肪に含まれるリノール酸は、体内でアラキドン酸をつくりだして、これが血栓をつくりやすくする場合もあるんです。植物性脂肪っていっても、いろいろ種類があることは、Vanillaさんの「健康油シリーズ」 をお読みになった方ならおわかりですね。まだの方はご一読されることをおすすめします。
家森先生はさらに、「健康のため食生活を改善するのは大事だ。しかし、コレステロール値は低いほどよいのではない。脳卒中王国だったころの日本人は低すぎた。何事も中庸がよいのである。」(06.10.1.日経新聞記事より)とおっしゃっています。
また、↑にも書いたように、コレステロールは細胞膜をつくる上で欠かせないもの。少なすぎると、細胞自体がもろくなってしまいます。特に、血管壁ね。コレステロール値が低すぎちゃうと、血管が破れやすくなって、脳卒中のリスクも高くなるんです。ちなみに、総コレステロール値が220 mg/dl以上だと高コレステロール血症。これは皆様ご存知と思いますが、低すぎる場合も(HDL値が40mg/dl未満)、低HDLコレステロール血症として治療対象になるんですよ。
問題なのは、コレステロールそのものじゃなくて、コレステロールの代謝のありかた。本来からだが必要とするものを、必要なときに供給できて、余分なものは再利用されたり、胆汁として排泄されたりと、うまく循環すること。それには、酵素や酵素を助けるビタミン、食物線維なんかも必要。「平常心をつくるアミノ酸 ① ② 」とか「ストレス軽減には亜鉛も必要?」 などでもお伝えしていますが、大事なのは、やっぱりバランスなんですね。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
山茶花のきれいな時季になりましたね。