第24回鍼灸国家試験 解説(3) 病理学・臨床医学総論 | 春月の『ちょこっと健康術』

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【病理学】

 

問題38 乳癌の確定診断に最も重要なのはどれか。

1. 触診

2. 超音波検査

3. エックス線検査

4. 生検

 

答え: 4

 

癌の確定診断とは、癌細胞の存在を証明することであり、疑わしい組織を採取し、顕微鏡などでその有無を判定する。 このように、組織片を採取して診断する方法を生検という。 したがって、4が正しい。

 

1. 乳房の触診では、しこりの有無を確認する。 しこりは、早期発見の一助になるが、乳腺症でも生じるし、腫瘍性だとしても、良性か悪性かの判断は難しい。

 

2. 超音波検査では、一般に、線維腺腫(良性腫瘍)では腫瘤の境界が明瞭で内部エコーが均一であり、乳癌では腫瘤の境界が不明瞭で内部エコーが不均一になると言われている。 それでも、診断としては「疑わしい」という段階であり、確定診断とはならない。

 

3. 乳房のX線検査はマンモグラフィで行われる。 一般に、線維腺腫では辺縁が明瞭な腫瘤影となり、乳癌では不整形な腫瘤影になると言われているが、これも確定診断とはならない。

 

 

問題39 死体現象のうち血液の分布の片寄りで生じるのはどれか。

1. 死冷

2. 死斑

3. 死後硬直

4. 自己融解

 

答え: 2

 

死斑は、重力で死体の下面に血液が集まって生じるもの。 死斑は死後2時間で観察できるようになり、8~12時間で完成する。 その後は溶血が生じてヘモグロビンが血管外に逸脱する。 

 

死後4~5時間以内に体位変換されると、死斑は完全に移動するが、それ以降では、始めにできたものと後からできたものとが残り、両側性死斑となる。 したがって、「血液分布の片寄りによって生じる」のは、死斑であり、2が正解。

 

1. 死冷とは、死後、熱放散によって体温が外界の温度まで低下すること。

 

3. 死後硬直とは、いったん弛緩した筋肉が硬くなること。 死後3~4時間で始まり、死後30時間くらいまで続く。

 

4. 自己融解とは、死後、自身の酵素によってタンパク質・脂質・糖質などが分解され、組織や細胞が軟らかくなる晩期死体現象である。

 

 

問題40 肉芽組織の構成要素はどれか。

1. 上皮細胞

2. 内皮細胞

3. 神経細胞

4. 平滑筋細胞

 

答え: 2

 

肉芽組織は、創傷治癒の過程で創面に新しくできる幼弱な組織で、肉のようにやわらかく、赤い顆粒状の粒々をともなった出血しやすい組織である。 赤い顆粒状の粒々は、傷ついた血管から遊走してきた血管内皮細胞や白血球を含んでいる。 血管内皮細胞は分裂・増殖して、創傷部位に集積した線維芽細胞と線維芽細胞が産生するコラーゲン(膠原線維)を足場として、毛細血管を新生する。 したがって、2の内皮細胞が正解。

 

 

問題41 感染伝播経路の観点から、接触感染の予防が最も有効なのはどれか。

1. インフルエンザ

2. 風疹

3. 結核

4. MRSA

 

答え: 4

 

感染経路には、大きく分けて接触感染、飛沫感染、空気感染の3種類がある。 

・ 接触感染は、感染者と直接的に接触、あるいは汚染された食品や水、ドアノブ、タオル、医療器具などを介して間接的に接触して感染を起こすもので、経口感染や性行為感染なども含まれる。 

・ 飛沫感染は、病原体を含む飛沫を吸引するか、粘膜組織に吸着することで感染を起こすもの。 

・ 空気感染は、病原体を含む塵埃または飛沫核(空気中で飛沫の水分が蒸発して5μm以下の軽い微粒子になったもの)を吸い込んで感染を起こすもの。

 

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は接触感染によって広がるため、入念な手洗いや清掃、器具の消毒などが予防策となる。 したがって、4が正解。

 

1. インフルエンザは、接触感染の可能性もあるが、飛沫感染が多い。

2. 風疹は飛沫感染する。

3. 結核は飛沫核感染(空気感染)する。

 

 

問題42 胎盤を通過する免疫グロブリンはどれか。

1. IgA

2. IgE

3. IgG

4. IgM

 

答え: 3

 

IgGは、オプソニン化や中和の作用が強く、血中濃度がもっとも高い(免疫グロブリン全体の約75%を占める)。 分子量が小さく、胎盤を通過できる唯一の抗体である。 母譲りのIgGは、生後乳児が自前でつくれるようになるまで、乳児の免疫を支える。 したがって、3が正解。

 

1. IgAは、粘膜上に分泌され、局所免疫に働き、母乳に含まれる。

2. IgEは、肥満細胞や好塩基球の細胞膜表面のFcレセプターと結合し、1型アレルギーに関与する。

4. IgMは、補体の活性化や細菌凝集などの働きが強く、抗原の侵入に際して最初に産生される。

 

 

問題43 肥満細胞が主役となる疾患はどれか。

1. 花粉症

2. 結核

3. 橋本病

4. 関節リウマチ

 

答え: 1

 

花粉症は、1型(即時型・アナフィラキシー型)アレルギーである。 IgE抗体が関与し、肥満細胞(マスト細胞)からヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが放出されて、種々の症状が起こる。 したがって、1が正解。

 

2. 結核菌に対する過剰反応は4型(遅延型・ツベルクリン型)アレルギーで、主役となるのはヘルパーT細胞である。

 

3. 橋本病は、甲状腺分泌細胞が傷害され甲状腺ホルモンの分泌が低下する自己免疫疾患で、2型(細胞融解型・細胞傷害型)アレルギーに分類される。  甲状腺ホルモンの分泌が亢進するバセドウ病は、2型の亜型として5型アレルギーに分類される。

 

4. 関節リウマチは、免疫複合体によって関節組織が傷害される3型(免疫複合体型・アルサス型)アレルギーである。

 

 

問題44 癌が最も転移しやすい臓器はどれか。

1. 心臓

2. 脾臓

3. 肝臓

4. 腎臓

 

答え: 3

 

癌のもっとも特徴的で、恐れられている性質のひとつが転移である。 血行性あるいはリンパ行性に癌細胞が移動して、行きついた先で増殖し、転移巣をつくる。 血行性転移を受けやすい臓器には、大循環のフィルター器官となる肺と門脈循環のフィルター器官となる肝臓があげられる。 したがって、3が正しい。 ほかに、副腎や骨髄も転移を受けやすい。 心臓、筋、脾臓への転移は、あることはあるが、まれである。

 

 

【臨床医学総論】

 

問題45 対光反射の遠心路はどれか。

1. 動眼神経

2. 三叉神経

3. 外転神経

4. 顔面神経

 

答え: 1

 

動眼神経は第3脳神経で、外眼筋と上眼瞼挙筋を支配する運動神経と、毛様体筋と瞳孔括約筋に分布する副交感神経からなる。 対光反射は、眼球に光が入ると、それが片目であっても、両目の瞳孔が小さくなる(縮瞳が起こる)反射であり、受容器は網膜、求心路は視神経、中枢は動眼神経副核(エディンガーウェストファール核)、遠心路は動眼神経(副交感神経)、効果器は瞳孔括約筋である。 したがって、1が正解。

 

2. 三叉神経は第5脳神経で、眼裂より上方の感覚を支配する眼神経、眼裂と口裂の間と上顎歯の感覚を支配する上顎神経、口裂より下方・下顎歯の感覚と咀嚼・嚥下運動に関わる筋を支配する下顎神経からなる。 感覚神経として鼻粘膜や口腔粘膜にも分布するため、くしゃみ反射や唾液分泌反射の求心路となる。 また、嚥下反射においては、口蓋からの求心路および嚥下運動の遠心路となる。

 

3. 外転神経は第6脳神経で、外側直筋(外眼筋のひとつ)を支配する運動神経である。

 

4. 顔面神経は第7脳神経で、舌前2/3の味覚、表情筋を支配する運動神経、舌下線・顎下腺・涙腺・鼻腺に分布する副交感神経からなる。 唾液分泌反射において、舌や咽頭粘膜からの求心路および唾液分泌の遠心路となる。

 

 

問題46 疾患と診察所見の組合せでよくみられるのはどれか。

1. 鉄欠乏性貧血 ― 歯肉出血

2. 巨赤芽球性貧血 ― 関節内出血

3. 腎性貧血 ― 血尿

4. 再生不良性貧血 ― 鼻出血

 

答え: 4

 

再生不良性貧血は、多能性幹細胞の障害によって起こる貧血で、骨髄の低形成や汎血球減少(赤血球・白血球・血小板の3系統の血球が減少)、出血傾向がみられる。 皮膚や粘膜から出血しやすくなり、鼻出血がよくみられる。したがって、4の組み合わせが正しい。

 

1. 鉄欠乏性貧血は、鉄の欠乏によって赤芽球内でのヘモグロビン合成が障害されて起こる貧血で、血小板に影響はなく、歯肉出血の原因とはなりにくい。 歯肉出血は肝硬変でもみられるが、90%は歯周病によるものである。

 

2. 巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12もしくは葉酸欠乏によって赤芽球の成熟が障害されて起こる貧血で、血小板が減少して出血傾向は生じるが、関節内出血の原因とはなりにくい。 関節内出血がよくみられるのは血友病である。

 

3. 腎性貧血は、腎障害によって赤血球産生刺激因子であるエリスロポエチンの産生が低下するために起こる貧血で、血尿はみられない。 血尿をきたすのは、腎・尿路系の悪性腫瘍や結石、炎症などである。

 

 

問題47 レイノー現象がみられるのはどれか。

1. 原発性アルドステロン症

2. アジソン病

3. 全身性硬化症(強皮症)

4. パーキンソン病

 

答え: 3

 

レイノー現象とは、寒冷刺激によって発作的に四肢抹消に虚血が生じ、皮膚が蒼白ないしチアノーゼとなり、やがて回復すると充血と発赤が起こる現象。 全身性硬化症(強皮症)は慢性炎症性疾患であり、全身の結合組織に炎症・変性が生じ、小血管病変を伴うもので、皮膚硬化やソーセージ様手指、レイノー現象がみられる。 したがって、3が正解。

 

1. 原発性アルドステロン症は、副腎皮質の球状帯に腺腫・癌・過形成などの原発性病変があり、アルドステロンが過剰に分泌される疾患である。 低カリウム血症をきたすため、高血圧、筋力低下、悪心嘔吐、痙攣、皮膚乾燥などが生じる。

 

2. アジソン病は、副腎に原発する病変による慢性副腎皮質機能不全症で、副腎皮質ホルモン(アルドステロン、コルチゾール、副腎アンドロゲン)が総合的に脱落する。 低血糖、低血圧、高カリウム血症、低ナトリウム血症などをきたし、色素沈着、易疲労、脱力感、食欲不振、皮膚乾燥などが生じる。

 

4. パーキンソン病は、緩徐に進行する神経変性疾患で、静止時振戦、小刻み歩行、前屈姿勢、仮面様顔貌、脂顔などがみられる。

 

 

問題48 発疹部に痛みを伴うのはどれか。

1. 麻疹

2. 帯状疱疹

3. アトピー性皮膚炎

4. 接触性皮膚炎

 

答え: 2

 

帯状疱疹は、三叉神経節や脊髄後根神経節に潜伏感染した水痘・帯状ヘルペスウイルスが、宿主の免疫能が低下したときに再活性化されて生じる。 神経節の支配領域にある皮膚に、神経の走行に沿って水疱をつくり、神経痛を伴う。 したがって、2が正解。

 

1. 麻疹(はしか)のカタル期には口腔頬粘膜にコプリック斑が出現し、発疹期になると全身に丘疹が生じる。 麻疹の発疹は、痒みや痛みは伴わない。

 

3. アトピー性皮膚炎では紅斑、丘疹、苔癬化局面(皮膚が肥厚して硬化したもの)を生じる。 1型アレルギー反応であり、IgEによって肥満細胞が活性化され、脱顆粒によって放出されるヒスタミンの作用で、発疹は痒みを伴う。

 

4. 接触性皮膚炎には、毒性・刺激性の強い物質に触れることで生じる刺激性接触性皮膚炎と、特定の物質に反応するアレルギー性接触性皮膚炎とがある。 いずれも紅斑、膨疹などを生じ、痒みを伴うことが多い。

 

 

問題49 知覚障害の型と疾患の組合せで正しいのはどれか。

1. 分節性 ― 脊髄空洞症

2. 片側性 ― ブラウンセカール症候群

3. 解離性 ― 横断型脊髄損傷

4. 手袋靴下型 ― 多発性神経炎

 

答え: 4

 

多発性神経炎は、末梢神経が両側性・対称性に侵される疾患で、知覚障害は手袋靴下型となる。 したがって、4の組み合わせが正しい。

 

1. 脊髄空洞症や腫瘍、出血、外傷などで脊髄中心管周辺の灰白質が障害されると、交差性感覚線維が障害されて、その脊髄節の痛覚と温度覚が消失し、触覚と深部感覚は保たれる。 このように、障害される感覚と障害されない感覚があることを感覚解離という。 皮膚分節の領域に片側性・分節性に感覚障害が生じるのは、変形性脊椎症や椎間板ヘルニアなどで神経根が障害されたときである。

 

2. ブラウンセカール症候群は、脊髄半側が完全に障害されたときに現れる脊髄半側横断障害である。障害された脊髄節の半側性全感覚消失と半側弛緩性運動麻痺、障害脊髄節より下の深部感覚消失、複合感覚消失と痙性運動麻痺、障害脊髄節より下の反対側の痛覚と温度覚の消失が起こり、解離性の感覚障害となる。 反対側半身の全感覚が消失し、半身性の感覚障害となるのは、視床が障害されたときである。

 

3. 横断型脊髄損傷では、障害された脊髄節より下の全感覚が脱失し、痙性運動麻痺を伴う。この状態を脊髄横断症候群といい、脊髄横断型あるいは全周性感覚障害となる。 解離性感覚障害を生じるのは、脊髄空洞症やブラウンセカール症候群である。

 

 

問題50 髄膜刺激徴候はどれか。

1. ラセーグ徴候

2. ブラガード徴候

3. ケルニッヒ徴候

4. ガワーズ徴候

 

答え: 1・3

 

髄膜刺激徴候を診るための他動的に行う検査には、項部硬直、ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候がある。 したがって、3が正解である。 しかし、東洋療法学校協会の正答肢表には1も含まれている。 それは、ケルニッヒ徴候とラセーグ徴候の手技が似ており、ラセーグ徴候でも髄膜刺激徴候がみられることがあるからということらしい。

 

1. ラセーグ徴候は、通常は腰椎神経根症状のテストとして紹介されている。 ところが、その方法については、下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)と同様に、仰臥位で、膝伸展位で検者が下肢を挙上していき、股関節屈曲70度以下で殿部~下肢後面に出たら陽性とするというものと、ケルニッヒ徴候と同様に、仰臥位で、股関節・膝関節90度屈曲位から、下腿を伸展させていき、下肢後面に痛みが出たら陽性とするというものがあり、混乱を生じている。 これも、ラセーグ徴候を正解に含めた理由かもしれない。

 

2. ブラガード徴候は、腰椎神経根症状を診るテストで、SLRテストで陽性となった股関節屈曲の角度より5度下肢を下げた状態(痛みが消失する角度まで下げた状態)で、足関節の背屈を強制し、下肢背面に痛みが出たら陽性とする。

 

3. ケルニッヒ徴候では、仰臥位で股関節と膝関節をそれぞれ90度に屈曲させ、下腿を検者の手で伸展させていき、大腿と下腿の角度が135度に到達しないうちに痛みが出たら陽性と診断する。

 

4. ガワーズ徴候は、手で膝を押しながら大腿を除々によじ登るように立ち上がる状態で、登攀性起立とも呼ばれる。筋ジストロフィー症で認められる症状である。

 

 

問題51 肩関節の診察法と疾患の組合せで正しいのはどれか。

1. ペインフルアークサイン ― 棘上筋腱損傷

2. スピードテスト ― 上腕三頭筋腱炎

3. アプリヘンションサイン ― 肩関節周囲炎

4. ドロップアームサイン ― 大円筋断裂

 

答え: 1

 

ペインフルアークサイン(有痛弧徴候)は、肩関節を外転(水平挙上)していく過程あるいは挙上した位置からおろしていく過程で、60~120度の間で特に強い痛みを感じたら陽性となる。 棘上筋腱の損傷、肩峰下滑液包炎、肩峰下に骨棘ができた場合などでみられる。 したがって、1の組み合わせが正しい。

 

2. スピードテストは、肘関節伸展・前腕回外位で前方挙上させ、前腕に上から抵抗を加えたときに、結節間溝に痛みが出たら陽性となる。 上腕二頭筋長頭腱炎の有無をみる。

 

3. アプリヘンションサインは、肩関節90度外転位・肘屈曲位で、肩関節をゆっくりと外旋させ、痛みや違和感があれば陽性となる。 肩関節の前方不安定性をみる。

 

4. ドロップアームサインは、肩関節を他動的に90度外転させてから、ゆっくりと自動的に内転させ、その途中で軽く腕をたたく。 痛みがある、ゆっくり腕を下げることができない、腕をたたかれたときにストンと腕が落ちるなどがあれば陽性となる。 腱板損傷の有無をみる。

 

 

問題52 成人のバイタルサインで異常所見はどれか。

1. 体温 36.5℃

2. 血圧 110/70mmHg

3. 呼吸数 18回/分

4. 脈拍 110回/分

 

答え: 4

 

健常成人の脈拍数は1分間に65~85回。 乳幼児は約120回、3歳までは100回で、成長に伴い次第に減少する。 成人で1分間に100回以上の場合を頻脈、60回以下を徐脈という。 したがって、脈拍 110回/分は頻脈で異常所見となり、4が正解。

 

1. 正常体温は、腋窩温で36.0~37.0度の範囲。 37.0~37.9度を微熱、39.0度以上を高熱、41.5度以上を過高熱、36.0度未満を低体温という。

 

2. 120/80mmHg未満が至適血圧、120~129/80~84mmHgが正常血圧、130~139/85~89mmHgが正常高値血圧で、140/90mmHg以上を高血圧とする。 最大血圧が男子で100mmHg未満、女子で90mmHg未満を一般に低血圧という。

 

3. 安静時の健常成人の呼吸数は1分間に16~20回で、呼吸数/脈拍数比はほぼ1:3~4である。

 

 

問題53 顔貌と疾患の組合せで正しいのはどれか。

1. 仮面様顔貌 ― 肝硬変

2. 満月様顔貌 ― クッシング症候群

3. 無欲状顔貌 ― 狭心症

4. ヒポクラテス顔貌 ― バセドウ病

 

答え: 2

 

満月様顔貌は、クッシング症候群やステロイド剤の大量使用など、副腎皮質ホルモンの過剰によって起こる。 したがって、2の組み合わせが正しい。

 

1. 仮面様顔貌はパーキンソン病でみられる。 肝硬変では、肝炎や胆道閉塞などと同様に、黄疸がみられるが、特徴的な顔貌はない。

 

3. 無欲状顔貌は高熱性疾患、うつ病、脳疾患などでみられる。 狭心症では、発作時の蒼白や痛みによる苦悶状顔貌がみられる。

 

4. ヒポクラテス顔貌は消耗性疾患でみられる。 バセドウ病では眼球突出がみられる。

 

 

問題54 自律神経反射はどれか。

1. バビンスキー反射

2. ホフマン反射

3. モロー反射

4. アシュネル反射

 

答え: 4

 

アシュネル反射(眼球心臓反射)は、両側の眼球を圧迫すると徐脈をきたすもの。 遠心路は迷走神経であり、自律神経反射である。 したがって、4が正解。

 

1. バビンスキー反射は下肢の原始反射で、足の裏をとがったもので踵から爪先にむけてゆっくりとこすると、足の母指が足背の方にゆっくり曲がる拇指現象と、他の4指が外側に開く開扇現象をみせるもの。 1~2歳で消失する運動反射であり、2歳を超えてもみられる場合は、錐体路障害を疑う病的反射となる。

 

2. ホフマン反射は上肢の病的反射で、中指を挟んだ状態で、中指の先をはじくと、手指特に母指にすばやい屈曲がおこるもの。 錐体路障害でみられる。

 

3. モロー反射は上肢の原始反射で、乳児の頭部を急に落としたり、大きな音でびっくりさせたりすると、上肢を伸ばして腕を開き、抱きつくような格好をするもの。 生後6か月程度で消失する運動反射である。

 

 

問題55 まだら認知症がよくみられるのはどれか。

1. パーキンソン病

2. アルツハイマー型老年認知症

3. ピック病

4. 脳血管性認知症

 

答え: 4

 

まだら認知症は、同じことができたりできなかったりするもので、脳血管性認知症の特徴である。 したがって、4が正解。

 

1. パーキンソン病では、幻視・幻聴を特徴とするレビー小体型認知症を伴うことがある。

2. アルツハイマー型老年認知症では、認知機能全般に徐々にできないことが増えていく。

3. ピック病では、性格変化や異常行動が特徴で、次第に記憶障害や失語などが出てくる。

 

 

問題56 悪性貧血について正しいのはどれか。

1. 伴性劣性遺伝である。

2. 抗内因子抗体が陽性となる。

3. 正球性貧血を呈する。

4. ビタミンB1投与が有効である。

 

答え: 2

 

悪性貧血(巨赤芽球性貧血)では、抗内因子抗体や抗胃壁細胞抗体が陽性になり、シリング試験を行うとビタミンB12の吸収不良が認められる。 したがって、2が正解。

 

1. 巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12あるいは葉酸の欠乏で起きる貧血の総称であり、伴性劣性遺伝ではない。 ビタミンB12欠乏を引き起こす先天性疾患にメチルマロン酸血症があるが、これは常染色体劣性遺伝である。

 

3. 巨赤芽球性貧血は大球性正色素性貧血であり、正球性正色素性貧血となるのは溶血性貧血である。

 

4. ビタミンB12欠乏症にはビタミンB12、葉酸欠乏症には葉酸を投与する。

 

 

問題57 急性ウイルス性肝炎で正しいのはどれか。

1. A型肝炎では発熱がよくみられる。

2. B型肝炎では垂直感染はみられない。

3. C型肝炎では劇症化することが多い。

4. E型肝炎では生鮮魚介類摂取が原因となることが多い。

 

答え: 1

 

A型肝炎では、全身倦怠感や食欲不振などのほかに、発熱と関節痛がよくみられる。 したがって、1が正解。

 

2. A型とE型は経口感染であるが、B型・C型・D型は血液・体液感染であり、垂直感染と水平感染のどちらも起こる。

 

3. 劇症肝炎はB型に多く、C型は慢性肝炎に移行しやすい。

 

4. 生鮮魚介類摂取が原因になるのはA型で、E型はイノシシなどの獣肉の生食が原因となることが多い。